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鬼畜

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1978年に松竹で公開された映画『鬼畜』は、松本清張の同名短編小説を原作とし、野村芳太郎監督により描かれた人間ドラマ。零細印刷屋の主人とその妻が、不倫の果てに生まれた三人の幼い子供たちを巡る悲劇を描き、大人のエゴイズムと親子の絆の脆さを痛切に表現しています。主演の緒形拳と岩下志麻の迫真の演技が光り、当時の社会問題を反映した重厚な作品として評価されています。興行的にも成功を収め、数々の映画賞を受賞しました。

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基本情報

  • 邦題:鬼畜
  • 公開年:1978年
  • 製作地:日本
  • 上映時間:110分
  • ジャンル:サスペンス、ドラマ
  • 配給:松竹
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女優の活躍

本作では、二人の女優が重要な役割を果たしています。まず、岩下志麻は主人公の妻・お梅役を演じています。彼女は、夫の不倫を知り、愛人との子供たちを執拗に排除しようとする冷徹で強靭な女性を、鬼気迫る表情と抑揚のある演技で体現しました。岩下のキャリアの中でも、この役は特に印象的で、彼女の凛とした美しさと内なる激情が融合し、観る者の心を強く揺さぶります。野村監督とのタッグはこれで複数回目であり、互いの信頼が深い演技を生み出しました。

次に、小川真由美は愛人・菊代役です。彼女は、夫の裏切りによって絶望し、子供たちを本妻の元に置き去りにして去るという、悲痛な女性像を繊細に表現しています。小川の演技は、静かな諦めと母としての苦悩を強調し、物語の悲劇性を高めています。彼女の存在は、単なる引き金ではなく、全体の人間模様を深める重要な要素となっています。これらの女優たちの活躍により、本作は女性の心理描写においても高い評価を得ています。

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女優の衣装・化粧・髪型

岩下志麻のお梅役では、1970年代の庶民的な家庭婦人を反映した衣装が用いられました。主に地味なワンピースやエプロン姿が多く、灰色や紺色のシンプルなデザインが中心です。これにより、日常の抑圧された生活感が強調され、彼女の内面的な苛立ちを視覚的に支えています。化粧は薄く、自然な肌色を基調とし、唇に淡い赤を差す程度で、強靭な性格を際立たせつつ、過度な華やかさを避けています。髪型はショートカットで、後ろに軽くまとめ、作業しやすい実用的なスタイルです。このような装いが、役の現実味を高めています。

小川真由美の菊代役では、貧困と母性の象徴として、くたびれた着物や粗末なブラウスが選ばれました。色合いはくすんだ茶色や緑で、子供を抱くシーンでは特に生活の厳しさを表しています。化粧はほとんど施されず、素顔に近い状態で、疲労と絶望の表情をそのままにしています。髪型は肩まで伸ばしたストレートヘアで、乱れやすく、感情の高ぶりを象徴します。これらの要素は、彼女の悲劇的な立場を強調し、観客に強い印象を残します。全体として、時代背景を尊重したリアリスティックなスタイリングが、女優たちの演技を効果的に引き立てています。

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あらすじ

物語は、埼玉県川越市を舞台に、零細印刷屋を営む竹中宗吉(緒形拳)の元に、かつての愛人・菊代(小川真由美)が三人の幼い子供――長男の利一(岩瀬浩規)、次女の良子(吉沢美幸)、三男の庄二(石井旬)――を連れて現れるところから始まります。宗吉はこれまで密かに養育費を払っていましたが、商売の不振により支払いが滞り、菊代は絶望の末に子供たちを置き去りにして姿を消します。

宗吉の正妻・お梅(岩下志麻)は、この事実を知り激怒します。彼女は夫の裏切りを許さず、子供たちを家に置くことを拒絶し、宗吉に「始末」するよう迫ります。貧困と家庭内の緊張の中で、三男の庄二は栄養失調と虐待めいた扱いにより病死します。お梅はこれを「自然の成り行き」として受け止め、残る二人の子供への圧力を強めます。

次に、次女の良子が置き去りにされ、行方不明となります。宗吉は良心の呵責に苛まれながらも、妻の冷たい視線と生活の苦しさに耐えかね、長男の利一を連れ出して崖下に突き落とそうとします。しかし、利一の純粋な信頼と父への愛情に直面し、宗吉は自らの鬼畜ぶりを悟ります。物語は、警察の捜査が迫る中、宗吉の内面的崩壊を描き、親子の絆の悲劇で幕を閉じます。このあらすじは、大人のエゴが無垢な子供たちを破壊する過程を、克明に追っています。

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解説

本作は、松本清張の原作が1957年に検事の河井信太郎から聞いた実話を基に執筆されたもので、野村芳太郎監督が長年温めていた映画化プロジェクトです。監督は原作の発表当時からその衝撃的なテーマに魅了され、脚本家の井手雅人と複数回の推敲を重ね、リアリズムを追求しました。物語の核心は、弱い男が社会・家庭の圧力に屈し、鬼畜の行為に及ぶ心理描写にあります。緒形拳の演技は、気弱さと狂気の狭間を絶妙に表現し、観客に深いトラウマを残します。

時代背景として、戦後日本の貧困と家族崩壊を反映しており、不倫や隠し子問題が社会的なタブー視される中、子供たちの犠牲を強調しています。野村監督の他の清張作品『砂の器』や『疑惑』と同様、親子関係の歪みをテーマに据えつつ、本作では特に「親殺し」の逆、すなわち親による子殺しの残酷さを描き、社会批判を込めています。音楽の芥川也寸志氏による不安定なメロディは、心理的な緊張を高め、視覚的なリアリティ(川越のロケ地使用)とともに、観る者を圧倒します。

批評家からは、演技の迫力とテーマの重さが絶賛され、日本アカデミー賞をはじめ複数受賞。一方で、子供虐待の描写が過激との声もあり、当時の倫理観を問う作品となりました。現代的に見ても、DVや児童虐待の問題を予見する先見性があり、再評価の対象です。全体として、大人の罪と子供の無垢の対比が、普遍的な人間ドラマとして昇華されています。

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キャスト

  • 緒形拳(竹中宗吉)
  • 岩下志麻(お梅)
  • 小川真由美(菊代)
  • 岩瀬浩規(利一)
  • 吉沢美幸(良子)
  • 石井旬(庄二)
  • 蟹江敬三(阿久津)
  • 穂積隆信(ブローカーの水口)
  • 大滝秀治(銀行貸付係)
  • 加藤嘉(医師)
  • 田中邦衛(パトカーの警官)
  • 大竹しのぶ(婦人警官)
  • 鈴木瑞穂
  • 浜村純
  • 三谷昇
  • 梅野泰靖
  • 山谷初男
  • 石井均
  • 江角英明
  • 松井範雄
  • 山本勝
  • 鈴木誠一

スタッフ

  • 監督:野村芳太郎
  • 脚本:井手雅人
  • 原作:松本清張
  • 撮影:川又昂
  • 美術:森田郷平
  • 音楽:芥川也寸志
  • 録音:紅谷聡
  • 照明:岩井寛
  • 編集:釘宮殿之
  • 製作:野村芳太郎、野村芳樹
  • 配給:松竹
  • 製作会社:松竹株式会社

以上が、映画『鬼畜』の詳細です。この作品は、深い人間心理を探求する名作として、後世に語り継がれるでしょう。

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劇場映画
なむ

洋画好き(字幕派)。だいたいU-NEXTかNetflixで、妻と2匹の猫と一緒にサスペンスやスリラーを観ています。詳細は名前をクリックしてください。猫ブログ「碧眼のルル」も運営。

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