キャリー・アン・フレミング(Carrie Anne Fleming)はカナダ出身の女優。ビクトリアで育ち、ドラマとダンスを学び、モデルから俳優へ転身。転機が訪れた2005年、SFホラーアンソロジーシリーズ『マスターズ・オブ・ホラー(Masters of Horror)』のエピソード「Jenifer」で、ダリオ・アルジェント監督により主演に抜擢。のち、TVシリーズ『iZombie』や『スーパーナチュラル』で活躍。身長170cmの多才な演技派。
プロフィール
- 名前:キャリー・アン・フレミング(Carrie Anne Fleming)
- 生年月日:1974年8月16日(51歳)
- 出生地:カナダ/ノバスコシア州ディグビー、ベアリバー
- SNSサイト:Instagram・X・LinkedIn
生い立ち・教育
キャリー・アン・フレミング(Carrie Anne Fleming)は、1974年8月16日にカナダのノバスコシア州ディグビー、ベアリバーという小さな町でこの世に生を受けました。幼少期は自然豊かな環境の中で過ごし、家族の温かな支えのもとで穏やかな日々を送りました。しかし、家族の経済状況が厳しかったため、幼い頃から自立心を養う必要がありました。彼女の両親は地元で懸命に働き、キャリー・アン自身も家計を助けるためにさまざまなアルバイトを経験したそうです。このような背景が、後の彼女の強い意志と忍耐力を形成する基盤となったのでしょう。
家族とともにビクトリア、ブリティッシュコロンビア州に移住した後、キャリー・アンは地元のマウント・ダグラス・シニア・セカンダリー・スクールに通いました。この学校は自然に囲まれた美しいキャンパスで知られ、生徒たちに多様な教育機会を提供する名門校です。在学中、彼女は学業に励む傍ら、芸術分野への情熱を早くから発揮しました。特に、演劇とダンスに強い興味を抱き、クラスメートたちと一緒に学校の劇団活動に参加するようになりました。こうした初期の経験が、彼女の創造性を刺激し、将来のキャリアへの道筋を照らし始めたのです。
学校教育の傍ら、キャリー・アンは専門的なトレーニングを積むために、地元の劇場団体に所属しました。まず、カリドスコープ・シアター(Kalidoscope Theatre)でドラマを学びました。この劇場は、ビクトリアの若手俳優育成に特化したコミュニティ・シアターで、即興演技や脚本解釈、キャラクター構築などの基礎を徹底的に叩き込まれました。キャリー・アンはここで、舞台の上で観客を魅了する喜びを知り、演技の奥深さに魅了されました。毎週のワークショップや公演を通じて、彼女は自信を築き上げ、プロフェッショナルな視点を得ることができました。
並行して、キッドコ・シアター・ダンス・グループ(Kidco Theatre Dance Group)でダンスのレッスンを重ねました。このグループは、子供たち向けのエンターテイメントを専門とし、学校公演やスポーツイベントでのパフォーマンスを数多く行っていました。キャリー・アンはバレエ、ジャズ、ヒップホップなどの多様なダンススタイルを習得し、身体表現の重要性を体得しました。グループのツアー活動を通じて、カナダ各地を回る機会に恵まれ、異なる文化や観客の反応を間近で観察しました。これらの経験は、彼女の身体能力を高め、演技における動きのニュアンスを豊かにする基盤となりました。ダンスの厳しいトレーニングは、忍耐力と規律を養い、後の長時間の撮影スケジュールに耐えうるスタミナを身につけさせました。
高校卒業後、キャリー・アンはすぐにモデル業に足を踏み入れました。家族の経済的支援のため、ビクトリアのローカル・エージェンシーに所属し、ファッションショーや広告撮影に携わりました。この時期は、彼女にとって演技への橋渡しとなりました。カメラの前でポーズを取る経験は、表情のコントロールやボディランゲージの洗練を促し、女優としての感性を磨きました。しかし、モデル業だけでは満足できず、彼女はエキストラや小役のオーディションを受け始めました。こうした初期の苦労が、キャリー・アンのタフネスを形成し、今日の成功の原動力となっているのです。彼女の生い立ちは、恵まれた環境ではなく、努力と情熱によって道を切り開いた典型例と言えるでしょう。この教育と初期経験が、彼女の多角的な才能を育み、ホラーからコメディまで幅広いジャンルで活躍する女優像を築き上げました。
経歴
キャリー・アン・フレミングの俳優キャリアは、高校卒業後の1990年代初頭に始まりました。当初はモデルとして活動していましたが、演技への情熱が抑えきれず、1996年にアダム・サンドラー主演のコメディ映画『ハッピー・ギルモア(Happy Gilmore)』で端役を獲得しました。しかし、残念ながら彼女のシーンはカットされてしまい、スクリーンに姿を現すことはできませんでした。この出来事は、彼女に挫折を味わわせましたが、同時にプロの現場の厳しさを学び、さらなる努力を促すきっかけとなりました。以降、彼女はエキストラや小役を積み重ね、トロントやバンクーバーのオーディションに通い続けました。奇妙な仕事やエキストラ出演で生計を立てる日々は、経済的に苦しく、時には家族への支援もままならない状況でしたが、キャリー・アンは決して諦めませんでした。
転機が訪れたのは、2005年です。SFホラーアンソロジーシリーズ『マスターズ・オブ・ホラー(Masters of Horror)』のエピソード「Jenifer」で、ダリオ・アルジェント監督により主演に抜擢されました。この作品は、彼女のキャリアのターニングポイントとなりました。主人公ジェニファーは、顔に重度の火傷跡を持つ女性で、男性を誘惑し破滅させる妖艶で残酷なキャラクターです。キャリー・アンは特殊メイクを施され、痛々しい姿を演じ抜きました。監督のアルジェントは、彼女の生々しい演技を高く評価し、「この役は女優にとって非常に困難で不快なものだったが、彼女は強い意志と信念を持って臨んだ」と語っています。この役柄は、ホラーファンからカルト的な人気を博し、オンライン投票で最優秀女優賞、最優秀ゴア賞、最優秀悪役賞を受賞するなど、国際的な注目を集めました。オスカー受賞メイクアップアーティストのハワード・バーガーによるプロテーゼメイクも話題となり、クエンティン・タランティーノ監督からも称賛されました。これにより、キャリー・アンはホラー界の新星として認識され、以降のオファーが殺到するようになりました。
2005年から本格的にTVシリーズへの出演が増えました。SFドラマ『ザ4400(The 4400)』で重要な脇役を演じ、未来から来た人々のドラマを繊細に描きました。同じく2005年スタートのオカルトホラー『スーパーナチュラル』では、シーズン2で看護師役の端役を務めた後、シーズン5からカレン・シンガー役にキャスティングされました。元々はエリザベス・マルロー演じるキャラクターでしたが、妊娠のため降板し、キャリー・アンが引き継ぎました。カレン役は、主人公ボビーの亡妻として、感情豊かな再演シーンが多く、彼女の演技力が光りました。シーズン7でも再登場し、ファンの間で高い評価を得ました。このシリーズは長寿番組として知られ、キャリー・アンの安定した演技が視聴者を引きつけました。
2010年代に入り、彼女の活躍の場はさらに広がりました。2015年のコメディホラー『iZombie』では、準レギュラーとしてゾンビ探偵の仲間を演じ、ユーモアとシリアスのバランスを取った役柄で人気を博しました。同年、ドラマ『UnREAL』に出演し、現実のリアリティ番組制作の裏側を描く複雑なキャラクターを体現。批評家から絶賛され、彼女の演技の幅広さを証明しました。また、映画分野では2007年のファンタジー『イン・ザ・ネーム・オブ・ザ・キング:ア・ダンジョン・シージ・テイル(In the Name of the King: A Dungeon Siege Tale)』でジェイソン・ステイサムと共演し、アクションシーンをこなしました。2007年のロマンティックコメディ『グッド・ラック・チャック(Good Luck Chuck)』では、ダニエル・ラドクリフと絡むコミカルな役を披露。2017年のSFドラマ『Rememory』では、記憶を視覚化する装置をめぐる物語で、心理描写の深い演技を披露しました。
近年も精力的に活動を続け、2014年の犯罪ドラマ『Motive』で容疑者役を演じ、推理の鍵を握る女性を鮮やかに描きました。2014年のTV映画『Along Came a Nanny』では、ミステリアスなナニー役でサスペンスを盛り上げ、2014年の『The Unauthorized Full House Story』では、ビハインド・ザ・シーンズの役どころをコミカルに演じました。2013年の『Like Sunday, Like Rain』では、音楽と青春を描くインディペンデント映画で、支援者の母親役を温かく体現。2016年の『SUPERGIRL/スーパーガール』では、DCユニバースのスーパーヒロインシリーズにゲスト出演し、アクションとドラマを融合させました。また、2010年代後半には、インディー映画やショートフィルムにも進出し、監督や脚本家としても才能を発揮。『That Burning Feeling』では共演者との即興演技を楽しんだと語っています。
キャリー・アンの経歴は、ホラーからコメディ、ドラマまで多岐にわたり、常に挑戦的な役を選ぶ姿勢が特徴です。カナダの俳優として、バンクーバーやトロントを拠点にハリウッド作品にも進出。エキストラから主演へ、そして多ジャンル女優への変貌は、彼女の不屈の精神の賜物です。今日も彼女は、新たなプロジェクトに情熱を注ぎ、観客を魅了し続けています。
私生活
キャリー・アン・フレミングの私生活は、キャリアの華やかさとは対照的に、静かで家族中心の穏やかなものです。公の場では控えめな性格で知られ、プライバシーを重視する姿勢がファンを惹きつけています。彼女はビクトリアのルーツを大切にし、カナダの自然豊かな環境を愛する一員として、地元コミュニティとのつながりを保っています。インタビューでは、家族の支えが自身の成功の源泉だと繰り返し語っており、感謝の念を忘れません。
私生活の大きな出来事として、結婚と離婚の経験があります。キャリー・アンは若い頃、ロンアルド・ジェームズ・マコナギー(Ronald James McConaghy)氏と結婚しました。この結婚は、彼女の20代前半の時期にあり、モデル業や初期の演技活動と重なる頃でした。夫婦はカナダで新生活をスタートさせましたが、キャリアの忙しさと生活の変化がもたらすストレスが次第に影を落としました。詳細は公にされていませんが、互いの成長を尊重し、円満に離婚に至ったとされています。この経験は、キャリー・アンをより強くし、独立した女性としての視点を養いました。離婚後、彼女は一人でキャリアを築き上げ、自己実現の道を歩み続けました。
現在、キャリー・アンは著名なEAゲームプロデューサー、ケイドモン・ソマーズ(Caedmon Somers)氏とパートナーシップを組んでいます。ソマーズ氏は、Electronic Artsの人気タイトル開発に携わるクリエイターで、二人は共通のクリエイティブな情熱を通じて出会いました。彼らの関係は、互いの仕事をお互いに尊重し、支え合うパートナーシップとして知られています。キャリー・アンは、ソマーズ氏の革新的なゲームデザインにインスピレーションを受け、自身の演技にデジタル要素を取り入れるアイデアを共有するそうです。二人で過ごす時間は、ビクトリアの海岸沿いの散策や、映画鑑賞が中心で、忙しいスケジュールの中でのリラックスしたひと時を大切にしています。
最も心温まるのは、キャリー・アンの母性です。彼女には一人娘がおり、家族の中心に位置づけられています。娘の名前や生年はプライベートに保たれていますが、インタビューで「娘は私の太陽のような存在」と語るほど、深い愛情を注いでいます。女優業の合間を縫って、娘の学校行事や趣味をサポートし、母親としての役割を全うしています。娘は母親の仕事に興味を持ち、セット訪問を喜ぶエピソードも。キャリー・アンは、娘を通じて子育ての喜びと挑戦を学び、役柄の母親像に深みを加えています。例えば、『Supernatural』のカレン役では、自身の経験が感情表現に活かされました。
私生活の趣味として、ヨガと読書が挙げられます。撮影の合間にヨガを実践し、心身のバランスを保っています。また、ホラー小説や自伝を好み、インスピレーションの源としています。慈善活動にも積極的で、カナダの子供支援団体に寄付し、地元イベントに参加。環境保護にも関心が高く、ビクトリアのビーチクリーン活動を支援しています。SNSでは、仕事の裏話や日常のスナップを控えめに投稿し、ファンとの交流を温かく続けています。キャリー・アンの私生活は、プロフェッショナルな顔とプライベートな優しさが融合した、魅力的なものです。家族との絆が、彼女の創造性を支え、未来への希望を灯しています。
出演作品
映画
- ハッピー・ギルモア(1996年):端役(カット)
- イン・ザ・ネーム・オブ・ザ・キング:ア・ダンジョン・シージ・テイル(2007年):デル・リン
- グッド・ラック・チャック(Good Luck Chuck)(2007年):ステファニー
- リメンバー・ミー(2017年):サマンサ
- ライク・サンデー、ライク・レイン(2014年):母親役
- アロング・ケイム・ア・ナニー(2014年):ナニー役
- ザット・バーニング・フィーリング(2014年):ゲスト役
TV
- マスターズ・オブ・ホラー:「Jenifer」(2005年):ジェニファー(主演)
- ザ4400(The 4400)(2005-2007年):複数のエピソード:ニコール・サリバン
- スーパーナチュラル(2005-2011年):シーズン2: 看護師、シーズン5&7: カレン・シンガー
- iZombie(2015-2019年):複数のエピソード:準レギュラー役
- UnREAL(2015-2018年):複数のエピソード:レイチェル
- モーティブ(2014年):シーズン2:容疑者役
- SUPERGIRL/スーパーガール(2016年):ゲスト出演
- ジ・アンオーソライズド・フル・ハウス・ストーリー(2015年):キャスト役
その他
- ステイgate SG-1(1997-2007年):ゲストエピソード
- シークレット・エージェント・マン(2000年):ゲスト
- ザ・クリス・アイザック・ショー(2000-2004年):ゲスト
キャリー・アンの出演作品は、ホラー、SF、コメディ、ドラマと多岐にわたり、各役で独自の魅力を発揮しています。特に『Jenifer』と『スーパーナチュラル』は彼女の代表作として、ファンの間で語り継がれています。
レビュー 作品の感想や女優への思い