ムーアパーク・カレッジ(Moorpark College)は1967年に設立されたアメリカ合衆国カリフォルニア州ムーアパークにある公立コミュニティ・カレッジ。ベンチュラ郡コミュニティ・カレッジ・ディストリクトに所属し、約1万3千人の学生が150エーカーの広大なキャンパスで学んでいます。動物訓練プログラムなどで知られ、多様な教育機会を提供しています。出身女優にエイプリル・ボールビー、コルビー・ケイラット、リンダ・ケリッジ、パメラ・セガルたち。
歴史
ムーアパーク・カレッジの歴史は、1960年代のアメリカ教育改革の波に遡ります。ベンチュラ郡コミュニティ・カレッジ・ディストリクトが設立された1963年頃から、コミュニティ・カレッジの拡充が図られました。1965年、ベンチュラ郡の住民が8百万ドルの債券を発行し、建設資金を確保しました。これにより、1966年に建設が開始され、管理棟、科学技術棟、体育館、メンテナンス棟、図書館、キャンパスセンターなどの施設が次々と建てられました。
1967年9月11日、初代学長ジョン・コリンズ氏のもとで正式に開学しました。当初の学生数は約1,400人で、教員は50名ほどでした。しかし、開学直後から人気を博し、初年度の登録者は2,500人に達しました。以降、学生数は急速に増加し、2014年には14,254人にまで膨れ上がりました。キャンパスは、ストラスーン家から寄贈された134エーカーの土地を中心に、ディストリクト所有の土地を加えて150エーカー規模に拡張されました。
1971年、2代目学長ロバート・ロンバルディ氏が就任しました。彼の在任中、学生数は倍増し、4年制大学への編入準備を重視したカリキュラムが強化されました。1974年から1989年まで在任したレイ・ヒアロン氏は、最長の学長として知られています。彼の時代に、ムーアパーク・カレッジ・ファウンデーションが1980年に設立され、運動競技場、アンフィシアター、天文台などの施設整備が進められました。1985年には、6,000席のポール・グリフィン・ジュニア・スタジアムが完成しました。
1987年の20周年記念では、チャールズ・テンプル天文台とカールスバーグ・アンフィシアターが奉献されました。これらの施設は、ベンチュラ郡の教育・文化拠点として機能しています。また、近隣のオークサード・カレッジの支援として、カマリロ・センターの設立に協力しました。2000年には、ムーアパーク・カレッジ高校(The High School at Moorpark College)がキャンパス内に開設され、高校3・4年生向けの先進プログラムを提供しています。初の卒業生は2001年に25名でした。
転入率の面では、2007年の転入適格者2,252名のうち、2年以内に130名、3年以内に480名、4年以内に793名が4年制大学へ進学しました。1973年に開始されたエキゾチック・アニマル・トレーニング・アンド・マネジメント・プログラムは、2011年に新センターの着工により拡大し、200頭以上の動物を収容する施設が整備されました。2013年9月からバーナード・ラスキン氏が暫定学長を務め、2015年2月からはルイス・パブロ・サンチェス氏が就任しました。2021年4月には、ジュリアス・ソケヌ氏が正式学長に就任しています。
財政面では、2011/2012年度の基金が99,410ドルで、学術スタッフ490名、管理スタッフ159名が在籍しています。このように、ムーアパーク・カレッジは地域の教育ニーズに応えながら、着実に発展を遂げてきました。今日では、多様な学生層を受け入れ、質の高い教育を提供する重要な機関として位置づけられています。
教育
ムーアパーク・カレッジは、公立コミュニティ・カレッジとして、アソシエイト・ディグリー(準学士号)、証明書プログラム、4年制大学への編入準備を主な教育目標としています。学生の多くが、UCシステムやCSUシステムへの転入を目指しており、高い転入率を誇ります。例えば、2007年のコホートでは、4年以内に約35%の学生が大学へ進学しています。この転入支援は、カウンセリングサービスや転入ワークショップを通じて強化されています。
学問分野は多岐にわたり、芸術・人文科学、ビジネス・技術、保健・安全、科学・数学、社会科学・児童発達などの部門に分かれています。各部門では、基礎教育から専門スキルの習得までをカバーするコースが用意されています。特に注目されるのが、1973年に開始されたエキゾチック・アニマル・トレーニング・アンド・マネジメント・プログラムです。このプログラムは、動物の世話、訓練、管理を専門とし、ゾウ、ライオン、チーターなどの希少動物を扱います。2011年に建設された新センターでは、200頭以上の動物が生息し、学生は実践的な経験を積めます。このプログラムは、動物園や野生動物施設への就職に直結しています。
また、キャンパス内にあるThe High School at Moorpark Collegeは、ムーアパーク統一学区の高校生向けのデュアル・エンロールメント・プログラムで、大学レベルの授業を高校在学中に受講可能です。卒業生はアソシエイト・ディグリーを取得し、早期に大学進学の準備が整います。キャリア教育センターでは、就職支援やインターンシップの機会を提供し、学生の就労スキルを向上させています。
アスレチックス面では、男子8種目、女子8種目のバリシティ・チームを擁し、Raidersをマスコットとします。CCCAAのWestern State Conferenceに所属し、フットボールはSouthern California Football Association、レスリングはSouthern California Wrestling Associationで競います。施設として、ポール・グリフィン・ジュニア・スタジアムやチャールズ・テンプル天文台、カールスバーグ・アンフィシアターが活用され、学生の身体的・文化的発達を促進します。
学生生活は、多様なクラブ活動やイベントで充実しています。フォレンジックス・チームは全国トップの成績を収め、ディベートやスピーチのスキルを養います。また、ブラック・ヒストリー・マンスなどの文化イベントを通じて、多文化理解を深めます。図書館やラボ施設は最新設備を備え、オンライン学習もサポートしています。このように、ムーアパーク・カレッジは、包括的な教育環境を提供し、学生の学業・キャリア・パーソナル・グロースを支えています。
出身女優
- エイプリル・ボールビー:アメリカの女優で、バレエに加えてフランス語と海洋生物学を専攻。CBSのコメディ番組『トゥー・アンド・ア・ハーフ・メン』でカンディ役を演じ、人気を博しました。ムーアパーク・カレッジ在籍中(卒業せず)に演劇への興味を深め、Ivana Chubbuckのもとでドラマを学びました。以降、『ドールハウス』や『リバーデール』などの作品で活躍し、モデルとしても活動しています。彼女のキャリアは、コミュニティ・カレッジでの基礎教育が基盤となっています。
- コルビー・ケイラット:ポップシンガー兼ソングライターですが、女優としてもエンターテイメント分野で貢献しています。ムーアパーク・カレッジ在籍中(卒業せず)に音楽活動を始め、ベンチュラ郡のイベントで歌いました。代表曲「Bubbly」は大ヒットし、グラミー賞にノミネートされました。女優としてはミュージックビデオやゲスト出演で経験を積み、多才なアーティストとして知られています。
- リンダ・ケリッジ:1980年代のカルト映画女優で、『The Return of Captain Invincible』などの作品に出演しました。ムーアパーク・カレッジ卒業後、カリフォルニア州立大学ノースリッジ校でさらに学び、キャリアを転換。オーストラリアの政治家や作家としても活躍し、教育の重要性を強調しています。彼女の多様な経歴は、カレッジ時代の柔軟な学びがもたらしたものです。
- パメラ・セガル(パメラ・アドロン):女優兼声優で、『キング・オブ・ザ・ヒル』などのアニメで声を担当しました。ムーアパーク・カレッジ在籍中(ティーンエイジャー向けの学校プログラム)に演技を学び、ティーンスターとしてデビュー。以降、『Better Things』でクリエイターとしても成功し、エミー賞を受賞。カレッジの環境が、彼女の創造性を育んだと言えます。
出身女性アスリート
- テリ・デイビッドソン:1987年にトリプルジャンプとロングジャンプでNCAAおよびNAIAオールアメリカンに選出されました。ムーアパーク・カレッジの陸上部で活躍し、記録を更新。卒業後、プロアスリートとして競技を続け、地域のスポーツ振興に貢献しています。彼女の成功は、カレッジのトレーニングプログラムの質の高さを示しています。
- コリーン・ゲイニー:1987年のジャベリンスローでオールアメリカン栄誉を受けました。ムーアパーク・カレッジ在籍中に投擲技を磨き、州大会で優勝。卒業後はコーチとして後進を指導し、女性アスリートのロールモデルとなっています。カレッジ時代の厳しい練習が、彼女の精神力を養いました。
- ステイシー・ギブソン:1994年に陸上競技でオールアメリカンに選ばれました。ムーアパーク・カレッジのトラックチームでスプリントとジャンプを専門とし、チームを州チャンピオンに導きました。プロ転向後、オリンピック予選に進出。カレッジの施設とコーチングが、彼女の国際レベルへの飛躍を支えました。
- リサ・アッシュ:女子陸上部のオールタイムトップ10リストで、800m走の記録4:36.73を保持しています。ムーアパーク・カレッジ在籍中にミドルディスタンスを専門とし、CCCAA大会でメダルを獲得。卒業後、大学チームで活躍し、コーチとしても女性アスリートの育成に携わっています。彼女の持久力は、カレッジの包括的なトレーニングによるものです。
- ノエル・ライター:800m走でオールタイム2位の4:38.60を記録した陸上選手です。ムーアパーク・カレッジのWestern State Conferenceで活躍し、チームの勝利に貢献。卒業後はマラソンランナーとして市民レースで好成績を収め、健康啓発活動にも参加しています。カレッジ時代の基礎が、長期的なキャリアを可能にしました。
- サクセス・プライソック:バスケットボール選手で、2023-24シーズンにムーアパーク・カレッジで平均7.4得点、7.2リバウンドを記録し、CCCAA州準決勝進出に貢献しました。モーガン州立大学へ転入し、フォワードとして活躍。カレッジの競技環境が、彼女の身体能力とチームワークを向上させました。
- グレイス・ヘイゼルトン:2024-25年のビーチおよびインドアバレーボールのアスリート・オブ・ザ・イヤーに選出されました。ムーアパーク・カレッジのバレーボールチームで攻守にわたる活躍をし、州大会でMVPを獲得。卒業後、プロリーグを目指し、女性スポーツの推進に寄与しています。カレッジの多様なスポーツプログラムが、彼女の多角的なスキルを育てました。
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