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エターナル

「見どころ」にPR表現を含みます。

『エターナル』(原題:싱글라이더、英題:A Single Rider)は、2016年に韓国で製作され、2017年2月22日に公開されたドラマ・サスペンス映画です。監督はイ・ジュイクが務め、主演にはイ・ビョンホン、コン・ヒョジン、アン・ソヒが名を連ねています。本作は、家族と成功を追い求めた男が、人生の岐路で自らの選択を見つめ直す物語を、静かで内省的なタッチで描いています。韓国での興行収入は約23万人(最終動員数)と商業的には控えめでしたが、批評家からは高い評価を受けました。オーストラリアを舞台にした異国情緒溢れる映像美と、抑制された感情表現が特徴で、家族や人生の意味を問う深いテーマ性が観客に響きました。日本では2018年3月24日に公開され、ミニシアターを中心に上映されました。111分のruntimeで、心理ドラマとしての重厚さとサスペンスの緊張感が絶妙に融合しています。

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あらすじ

カン・ジェフン(イ・ビョンホン)は、証券会社の支店長として成功を収め、ソウルで妻スジン(コン・ヒョジン)と息子ジヌとともに暮らしています。しかし、金融危機の余波で顧客に多額の損失を負わせた責任から、ジェフンは職を失い、人生の基盤が揺らぎます。そんな中、彼は家族のためにオーストラリアに移住していたスジンとジヌに会うため、シドニーを訪れます。現地でジェフンは、妻と息子が自分抜きで新たな生活を築いている姿を目の当たりにします。スジンは現地の音楽教師として働き、ジヌは新しい環境に順応しています。一方、ジェフンは疎外感と孤独に苛まれています。

シドニーでジェフンは、韓国人留学生ジヨン(アン・ソヒ)と出会います。彼女はワーキングホリデーで生活費を稼ぎながら、夢と現実の間で葛藤しています。ジェフンはジヨンの純粋さと悩みに共感し、彼女を通じて自分の人生を振り返ります。やがて、ジェフンがスジンの生活を遠くから観察する中で、彼女の新たな人間関係や幸せそうな姿に複雑な感情を抱きます。物語は、ジェフンが家族との再会を果たすのか、それとも新たな道を選ぶのか、曖昧な余韻を残しながら進みます。サスペンス要素として、ジェフンの過去の仕事に関わる秘密や、ジヨンの周囲で起こる出来事が絡み合い、緊張感を高めます。結末は観客に解釈を委ねる形で、人生の選択と向き合う深い余韻を残します。

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女優陣の活躍

映画『エターナル』の女性キャストは、コン・ヒョジンとアン・ソヒが中心となり、それぞれ異なる魅力で物語に深みを加えました。コン・ヒョジンは、妻スジン役として抑制された感情表現で圧倒的な存在感を発揮しました。「ラブコメの女王」として知られる彼女ですが、本作では一転して内省的で複雑な女性像を演じ、批評家から高い評価を受けました。スジンは、夫の成功に依存していた過去から脱却し、オーストラリアで自立した生活を築く女性として描かれています。コン・ヒョジンは、セリフよりも表情やしぐさでスジンの葛藤や成長を伝え、特に家族との距離感を描くシーンでは繊細な演技が光ります。彼女のナチュラルな美しさと、シドニーの風景に溶け込むカジュアルなファッションも、キャラクターの新たな一面を強調しました。

アン・ソヒは、留学生ジヨン役で映画復帰を果たし、アイドル(元Wonder Girls)から女優への転身を印象づけました。ジヨンは夢を追いながら経済的な不安に直面する若者で、純粋さと脆さを併せ持つキャラクターです。ソヒは、ジヨンの無垢な笑顔と、追い詰められた時の不安げな表情を見事に演じ分け、観客に強い印象を与えました。イ・ビョンホンとの共演シーンでは、年齢差を超えた心の交流を自然体で表現しました。特に、シドニーの街角での会話シーンは、彼女の演技が物語の情感を高める重要な瞬間となりました。助演ながらも、ソヒの存在感は物語のサブプロットに不可欠であり、以降の女優活動への足がかりとなりました。

感想

『エターナル』は、派手な展開や劇的なクライマックスを避け、静かな内省と情感で観客を引き込む作品です。シドニーの美しい風景と、抑制された音楽が、主人公の孤独と葛藤を際立たせます。観客からは「イ・ビョンホンの抑えた演技が心に刺さる」「コン・ヒョジンの表情だけで物語が伝わる」「結末の曖昧さが考えさせる」との声が多く、深い余韻が評価されました。Filmarksでは平均3.6点(5点満点、約800件のレビュー)で、ミニシアター系作品として安定した支持を得ました。一方で、「展開がスローすぎる」「サスペンス要素が中途半端」と感じる意見もあり、好みが分かれる作品でもあります。

個人的には、家族や成功を追い求めた末に自分を見失うテーマが強く響きました。ジェフンがシドニーで家族を「見つめる」視点は、まるで観客自身が彼の人生を覗き見るような感覚を与えます。コン・ヒョジンとアン・ソヒの演技は、男性主人公の物語に温かみと多層性をもたらし、女性視点の共感も呼び起こします。サスペンスの緊張感は控えめですが、人生の岐路での選択を描く心理ドラマとしては十分なインパクトがありました。

解説

『エターナル』は、現代社会における成功、家族、自己実現のテーマを掘り下げる作品です。タイトルは、遊園地のシングルライダー(1人でアトラクションに乗る人)を想起させ、孤独と向き合う主人公の心情を象徴しています。監督イ・ジュイクは、商業映画の枠を超えた芸術的アプローチで知られており、本作でもシドニーの風景を活用した映像美と、抑制されたストーリーテリングで独自のスタイルを貫いています。物語は、韓国映画によく見られるメロドラマやアクションとは異なり、北欧映画のような静謐なトーンを持ち、観客に解釈の余地を残しています。

本作の背景には、2008年の金融危機後の韓国社会が色濃く反映されています。ジェフンのようなエリートが一瞬で転落する現実や、家族との疎遠さは、韓国の都市部で働く中高年層の不安を投影しています。また、オーストラリアを舞台にしたことで、韓国人の海外移住や異文化での適応というテーマも浮かび上がります。ジヨンのストーリーは、若者の経済的困窮やワーキングホリデーの現実を描写し、世代間の対比を際立たせています。サスペンス要素は、ジェフンの過去の仕事やジヨンの周囲の出来事を通じて導入されますが、あくまで心理ドラマの補助的な役割に留まります。

イ・ジュイク監督は、インタビューで「観客がジェフンの選択を自分に重ねてほしい」と語っており、結末の曖昧さは意図的なものです。このアプローチは、商業映画としてはリスクを伴いますが、批評家からは「韓国映画の新たな可能性」と評価されています。音楽はキム・テソンが担当し、ミニマルなスコアで情感を強調しています。撮影監督キム・ドンヨンのシドニーでのロケーション撮影は、都市の騒がしさと自然の静けさを対比させ、物語のテーマを視覚的に補強しています。

主要キャスト

  • イ・ビョンホン(カン・ジェフン役):『共同警備区域JSA』や『グッド・バッド・ウィアード』で知られる韓国を代表する俳優。ジェフンの孤独と葛藤を抑えた演技で表現し、批評家から絶賛された。
  • コン・ヒョジン(スジン役):『最も普通の恋愛』や『椿の花咲く頃』で人気の女優。スジンの自立と複雑な感情を繊細に演じ、物語に深みを加えた。
  • アン・ソヒ(ジヨン役):元Wonder Girlsのメンバーで、『新感染 ファイナル・エクスプレス』にも出演。ジヨンの純粋さと不安定さを自然体で演じ、女優としての可能性を示した。
  • ジャック・キャンベル(オーストラリア人男性役):スジンの現地での関係者として登場。控えめながら重要な役割を果たす。
  • チェ・ジヌ(ジヌ役):ジェフンの息子役。子役ながら自然な演技で家族の絆を描く。

スタッフ

  • 監督・脚本:イ・ジュイク(長編デビュー作。短編映画での評価を背景に、心理ドラマの名手として注目される)
  • 製作:ワーナー・ブラザース・コリア、PERFECT STORM FILM
  • 配給:ファインフィルムズ(日本)
  • 音楽:キム・テソン(ミニマルなスコアで情感を強調)
  • 撮影:キム・ドンヨン(シドニーの風景を活かした映像美)
  • 編集:キム・ジェボム(抑制されたテンポで物語を構築)
  • 美術:イ・ハジュン(オーストラリアの生活感をリアルに再現)

総括

『エターナル』は、イ・ビョンホン、コン・ヒョジン、アン・ソヒの卓越した演技と、イ・ジュイク監督の繊細な演出が融合した心理ドラマの傑作です。コン・ヒョジンとアン・ソヒの女優陣は、男性主人公の物語に女性視点の共感と多様性をもたらし、観客に深い印象を残しました。シドニーの異国情緒と静謐な映像美は、人生の岐路で揺れる主人公の心情を映し出します。商業的な成功は控えめでしたが、家族、成功、自己実現をテーマにした本作は、観客に自らの人生を振り返るきっかけを与えます。韓国映画の枠を超えた普遍性を持ち、ミニシアター系作品として長く愛されることでしょう。

レビュー 作品の感想や女優への思い

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