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立ち去った女

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『立ち去った女』(2016年)は、フィリピンの社会危機を背景に、権力と赦しのテーマを探求するラヴ・ディアス監督の黒白長編映画。無実の罪で30年間投獄された女性ホラシアが釈放され、家族の喪失を知り、元恋人への復讐を計画します。ヴェネツィア国際映画祭で黄金獅子賞受賞。

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基本情報

  • 邦題:立ち去った女
  • 原題:Ang babaeng humayo
  • 英題:The Woman Who Left
  • 公開年:2016年
  • 製作国・地域:フィリピン
  • 上映時間:228分

立ち去った女|公式予告編

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女優の活躍

『立ち去った女』の主演女優であるチャロ・サントス=コンシオは、ホラシア・ソモロストロ役を演じています。彼女は長年フィリピンの大手メディア企業ABS-CBNの社長兼CEOとして活躍していましたが、本作で約40年ぶりに女優業に復帰しました。この復帰作で、彼女は無実の罪で投獄された女性の内面的な苦痛と復讐心を深く表現し、国際的に高い評価を得ています。

チャロ・サントス=コンシオの演技は、静かな強さと脆弱さを併せ持つホラシアのキャラクターを体現しており、ヴェネツィア国際映画祭で黄金獅子賞を受賞した本作の成功に大きく寄与しています。彼女の復帰は、フィリピン映画界に大きな話題を呼び、女優としてのキャリアを再び輝かせるきっかけとなりました。長編映画の静かなペースの中で、彼女の微妙な表情変化が物語の緊張感を高めています。

さらに、彼女の活躍は本作以降も続き、他のプロジェクトにも参加するようになりましたが、本作が彼女の演技力を再認識させる重要な作品です。批評家からは、彼女の自然な演技がラヴ・ディアス監督のスタイルとマッチしていると評価されています。彼女の経験豊富な人生が、役柄の深みを増している点も注目されます。

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女優の衣装・化粧・髪型

チャロ・サントス=コンシオの衣装は、黒白映画のシンプルなトーンに合わせ、質素で現実的なものが中心です。釈放後のシーンでは、ゆったりとしたブラウスやスカートを着用し、投獄の苦しみを反映した控えめなスタイルが目立ちます。これにより、彼女のキャラクターの内面的な強さを強調しています。

化粧はナチュラルで、ほとんど施されていないように見えます。肌の自然な質感を活かし、疲労や年齢を感じさせるメイクが、ホラシアの長年の苦難を表現しています。目元や唇の強調を避け、素朴さが彼女の復讐心の純粋さを表しています。

髪型はストレートのロングヘアが基本で、時には緩く結ばれたスタイルです。これが、彼女の日常的な生活や変装時の変化を際立たせています。全体として、衣装・化粧・髪型は物語のリアリズムを支え、彼女の演技を引き立てる役割を果たしています。

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あらすじ

物語は1997年のフィリピンを舞台に、無実の罪で30年間投獄されていたホラシア・ソモロストロが釈放されるところから始まります。彼女は娘と再会しますが、夫はすでに亡くなり、息子は行方不明であることを知ります。投獄の原因が、元恋人で裕福なロドリゴ・トリニダードによる陰謀だったと判明します。

ホラシアはロドリゴへの復讐を計画し、夜の街を徘徊しながら周囲の人々と関わります。社会では富裕層を狙った誘拐事件が頻発し、ロドリゴも自宅に閉じこもっています。ホラシアは変装して彼に近づき、復讐の機会を伺いますが、途中で出会う人々との交流が彼女の心を揺さぶります。

クライマックスでは、ホラシアの計画が意外な展開を迎え、赦しと超越のテーマが浮かび上がります。黒白の映像が、彼女の内面的な葛藤を静かに描き出しています。

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解説

作品の背景とテーマ

本作『立ち去った女』は、ラヴ・ディアス監督がレオ・トルストイの短編小説「神は見給う、されど直ぐには現さず」を基に、フィリピンの現代社会に置き換えて制作した作品です。監督はフィリピンの歴史的な不正や権力構造を批判的に描き、無実の罪で苦しむ人々の視点から社会の闇を照らしています。黒白映像の使用は、現実の厳しさを強調し、視覚的にシンプルながら深い印象を与えます。

テーマとして、復讐と赦しの対立が中心です。ホラシアの復讐心は正当ですが、周囲の人々との触れ合いが彼女に人間的な温かさを思い出させます。これにより、個人の正義と社会的な調和のバランスを探求しています。また、フィリピンの貧富格差や犯罪の増加を背景に、権力者の孤立を描く点が、社会批評として機能します。

監督のスタイルと影響

ラヴ・ディアス監督は、長編映画で知られ、本作も228分という長さです。彼のスタイルはスロウシネマと呼ばれ、長いショットと最小限の編集で現実の時間を再現します。これにより、観客はホラシアの感情に没入します。監督自身が脚本、撮影、編集を担当し、オートゥール的なアプローチが特徴です。

本作はヴェネツィア国際映画祭で黄金獅子賞を受賞し、アジア映画の国際的評価を高めました。批評家からは、トルストイの影響を受けつつ、フィリピン独自の文脈を加えた点が高く評価されています。Rotten Tomatoesでは80%の支持率、Metacriticでは83/100のスコアを得ています。

社会的意義と批評

フィリピン国内では、富裕層の誘拐問題を反映し、社会的不正を象徴します。ホラシアの旅は、女性の強さと脆弱さを描き、ジェンダー的な視点も加わります。監督は人生のランダムさを強調し、観客に深い省察を促します。

批評では、静かな緊張感と予測不能な結末が称賛されます。一方で、長さゆえの忍耐を要する点が指摘されますが、それがテーマの深みを生んでいます。本作はアジア映画賞で監督賞、女優賞、脚本賞にノミネートされ、国際的な影響力を示しています。

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キャスト

  • チャロ・サントス=コンシオ:ホラシア・ソモロストロ / レナータ
  • ジョン・ロイド・クルス:ホランダ
  • ノニー・ブエンカミノ:マグババロット
  • シャメイン・ブエンカミノ:ペトラ
  • マイケル・デ・メサ:ロドリゴ・トリニダード
  • カカイ・バウティスタ:ダディング
  • マージョリー・ロリコ:ミネルバ
  • メイエン・エスタネロ:ネナ
  • ラオ・ロドリゲス:ファーザー
  • ジーン・ジュディス・ハビエル:マメング
  • メイ・パネル:ウォーデン
  • ジョーアン・レキエスタス:タバ
  • ダニエル・パリサ:ハリー
  • ロメリン・サレ:不明

スタッフ

  • 監督:ラヴ・ディアス
  • 脚本:ラヴ・ディアス
  • 製作:ラヴ・ディアス
  • 撮影:ラヴ・ディアス
  • 編集:ラヴ・ディアス
  • 製作総指揮:ロナルド・アーギュレス

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