『ボディ・ダブル』(1984年)は、ブライアン・デ・パルマ監督のサイコスリラー。ヒッチコックの『裏窓』や『めまい』をオマージュし、覗き見と殺人事件を軸に展開。クレイグ・ワッソンとメラニー・グリフィスが出演し、エロティックな要素が特徴のカルト映画。
基本情報
- 邦題:ボディ・ダブル
- 原題:BODY DOUBLE
- 公開年:1984年
- 製作国:米国
- 上映時間:114分
- ジャンル:サスペンス
- 配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
見どころ
「裏窓」や「めまい」を大胆に引用し、官能シーンをふんだんに交えたB級テイストがたまらない逸品。メラニー・グリフィスが期待を裏切らない露出でポルノ女優役を好演。
女優の活躍
『ボディ・ダブル』では、メラニー・グリフィスとデボラ・シェルトンが主要な女性キャラクターを演じ、それぞれ際立った存在感を示しました。
メラニー・グリフィス(ホリー・ボディ役)
メラニー・グリフィスは、ポルノ女優ホリー・ボディを演じ、本作で大きな注目を集めました。彼女の演技は大胆で魅惑的であり、映画のエロティックなトーンを強化。グリフィスは、母親である名女優ティッピ・ヘドレン(ヒッチコックの『鳥』で知られる)の影響を受け、17歳で『ナイトムーブス』(1975年)で映画デビューを果たしましたが、その後はスランプに陥っていました。本作での助演女優としてのパフォーマンスは高く評価され、第42回ゴールデングローブ賞の助演女優賞にノミネートされるなど、彼女のキャリアの転機となりました。ホリー役では、自信に満ちたセクシーなキャラクターを自然体で演じ、観客に強い印象を与えました。
デボラ・シェルトン(グロリア・レヴェル役)
デボラ・シェルトンは、ミステリアスな美女グロリア・レヴェルを演じました。彼女は1970年にミス・バージニアUSAで優勝し、同年のミスUSAでミス・ピクサブル賞を受賞、ミス・ユニバースでは準優勝を飾るなど、モデルとしてのキャリアを積んでいました。1974年には「PLAYBOY」の表紙を飾り、テレビドラマ『ダラス』(シーズン8~10)でも活躍。本作では、官能的なダンスシーンや謎めいた雰囲気で、主人公ジェイクの執着の対象となる女性を魅力的に演じました。シェルトンの演技は、映画のサスペンスフルな雰囲気を高める重要な要素となりました。
女優の衣装・化粧・髪型
メラニー・グリフィス
ホリー・ボディ役のグリフィスは、ブロンドのショートヘアが特徴的で、80年代のポップカルチャーを反映した派手でセクシーなスタイルが際立ちます。衣装は、黒のランジェリーやタイトなドレスなど、ポルノ女優らしい大胆なものが多く、彼女のキャラクターの奔放さを強調。化粧は、濃いアイメイクと赤いリップで、挑発的かつ魅力的な印象を演出。特に、クラブでのダンスシーンでは、体のラインを強調する衣装と自信に満ちた表情が、ホリーのキャラクター性を強く打ち出していました。
デボラ・シェルトン
グロリア・レヴェル役のシェルトンは、エレガントでミステリアスな美しさを表現する衣装が特徴です。彼女の衣装は、シルクのブラウスや体のラインを美しく見せるドレスなど、上品かつ官能的。髪型は、なめらかなロングヘアで、優雅な雰囲気を醸し出していました。化粧はナチュラルながらも、目の周りの繊細なメイクでミステリアスな魅力を引き立て、覗き見られる対象としての存在感を強調していました。
あらすじ
売れない俳優ジェイク・スカリー(クレイグ・ワッソン)は、閉所恐怖症に悩まされ、恋人にも浮気されて失意の底にあります。ある日、俳優仲間のサム(グレッグ・ヘンリー)から豪邸の留守番を頼まれ、そこで望遠鏡を使って向かいの家に住む美女グロリア・レヴェル(デボラ・シェルトン)の生活を覗き見るようになります。彼女の魅惑的なダンスに心を奪われたジェイクは、グロリアを尾行し、親密な関係を築こうとします。しかし、グロリアが謎の男に追われていることに気づき、彼女を助けようとしますが、閉所恐怖症が彼の行動を阻みます。その後、グロリアが電気ドリルで惨殺される事件が発生。ジェイクは、自分が巧妙な罠にハメられたことに気づき、事件の真相を追う中でポルノ女優ホリー・ボディ(メラニー・グリフィス)と出会います。彼女の協力を得て、ジェイクは事件の背後に潜む陰謀を暴いていきます。
解説
『ボディ・ダブル』は、ブライアン・デ・パルマ監督がアルフレッド・ヒッチコックの『裏窓』(1954年)や『めまい』(1958年)を強く意識して制作したサイコスリラーです。ヒッチコックの作品から、覗き見(voyeurism)、強迫観念、恐怖症といったテーマを借用しつつ、デ・パルマ独自のエロティックで過激な要素を加え、80年代のバブル期のハリウッドらしい派手な演出で仕上げました。映画のタイトル「ボディ・ダブル」は、俳優の代役として身体の一部を演じる役割を指し、物語の鍵となる「替え玉」の概念を象徴しています。
本作は公開当時、商業的には失敗(製作費1000万ドルに対し興行収入880万ドル)し、批評家からの評価も賛否両論でした。特に、過激な暴力シーンや性的描写が物議を醸し、デ・パルマは第5回ゴールデンラズベリー賞の最低監督賞にノミネートされました。しかし、グリフィスの演技は高く評価され、後のカルト映画としての地位を確立。デ・パルマのヒッチコックへの敬愛と、彼の視覚的スタイル(長回しやスプリットスクリーンなど)が随所に感じられ、映画ファンの間で再評価されています。
物語は、主人公のジェイクが閉所恐怖症というハンディキャップを抱えながら、偶然巻き込まれた殺人事件を追う展開で、ヒッチコックの「巻き込まれ型サスペンス」を踏襲。覗き見という行為を通じて、観客もジェイクの視点に引き込まれ、倫理的な葛藤を共有します。また、ポルノ業界やハリウッドの裏側を描くことで、80年代のアメリカ社会の華やかさと退廃を映し出しています。
キャスト
- ジェイク・スカリー:クレイグ・ワッソン(閉所恐怖症に悩む売れない俳優)
- ホリー・ボディ:メラニー・グリフィス(ポルノ女優、物語の鍵を握る)
- グロリア・レヴェル:デボラ・シェルトン(謎の美女、ジェイクの執着の対象)
- サム・ブーチャード:グレッグ・ヘンリー(ジェイクに留守番を依頼する俳優)
- ルビン刑事:デニス・フランツ(事件を追う刑事)
その他、ガイ・ボイド、デヴィッド・ハスケル、レベッカ・スタンリーなど。
スタッフ
- 監督・製作・原案・脚本:ブライアン・デ・パルマ
- 脚本:ロバート・J・アヴレック
- 製作総指揮:ハワード・ゴットフリード
- 撮影:スティーヴン・H・ブラム
- 音楽:ピノ・ドナジオ
- 編集:ジェリー・グリーンバーグ、ビル・パンコウ
- 美術:アイダ・ランダム
- 字幕(日本版):菊地浩司
補足
本作は、ヒッチコックの影響を受けつつも、デ・パルマの個性が強く反映された作品です。視覚的な技巧、音楽の効果的な使用、過激な描写が融合し、独特の緊張感とエンターテインメント性を生み出しています。公開から40年以上経過した現在も、映画愛好家の間で語り継がれるカルトクラシックとして、独自の魅力を持っています。
レビュー 作品の感想や女優への思い