TV映画『リベンジ・タイム』は、ジュリアン・リチャーズ監督、ティモシー・ヒル、ショーン・ホーガン脚本による2018年米国製作のクライム・スリラー映画。あらすじは、義父に犯され、心も身体も支配されていた娘が、連続殺人犯でもある義父に対して復讐心が芽生えるというもの。ジェマ・ダレンダー、コスタス・マンディロー、ブリット・マキリップらが出演。
リベンジ・タイム
- 原題:Daddy’s Girl
- 公開年:2018年
- 製作国:米国
- ロケ地:ジョージア国(旧グルジア)トビリシ
- 上映時間:81分
- 撮影日:2017年9月4日、2017年9月24日~2017年10月24日
- ジャンル:ホラー、クライム、スリラー
- 視聴:U-next
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製作会社
- シーホース・フィルムハウス
- ジー・スタジオ・インターナショナル
- サーク・スタジオ
配給会社
- アラモード・フィルム
- アット・エンタテインメント
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見どころ
陵辱を繰り返す義父からの脱出と、尊厳を汚された女性の怒りを描いたリベンジ・スリラー。残虐に振る舞っていた義父が、娘の逆襲によって追い込まれていく姿に溜飲が下がります。
あらすじ
ある田舎町で義父のジョンと暮らす娘ゾーイ。母の死後、彼女は毎晩のように義父に犯され、心も身体も支配されていました。さらに彼は街で出会った女性を監禁し、陵辱の果てに殺すようになります。その悲鳴や叫びを聞くうちに、ゾーイの心に復讐心が芽生えはじめました。
ファム・ファタル
4人の女優が気になりました。
- ゾーイ役のジェマ・ダレンダー
- ジェニファー役のブリット・マキリップ
- ダニー役のダイアナ・ケア
- ステイシー役のアニー・クイグリー
主演のジェマ・ダレンダーは、よく見ると綺麗で、眼色のブルーが素敵。
感想
『リベンジ・タイム』を見ていると、拷問の連鎖というべき問題を考えさせられます。ゾーイは父親のサディスティックなDNAを受け継いでいるような印象を受けました。彼女がドアの隙間から拷問を見ているのを、私たちは偶発的に目にします。
この映画の暗黙のメッセージは、男性だけがサディストで、一貫して女性を支配するわけではないということ。女性にもそのような能力はあり、微妙に異なる形で現われることもあります。
いろんな映画で出てくる拷問の連鎖ですが、本作でそんなこんなを考えさせてくれました。
解説
『リベンジ・タイム』の脚本は10年以上前に書かれたもの。当時は『SAW』などの”拷問ポルノ”が主なキーワードでした。それ以来、観客の評価の変化に対応するため、バージョンは書き直され、監督は本作を私たちが生きるポスト#MeToo時代の論理的帰結と考えました。
『リベンジ・タイム』を簡単に振り返りましょう。
ある小さな町で、若い女性が忌まわしい継父に監禁されています。やがて彼女は、極めて邪悪な何かが進行していると疑う女性自警団と地元警官の関心を集めるようになります。『リベンジ・タイム』は、ストックホルム症候群、感情的虐待、人が沈む悪の深さといったテーマに取り組んだ、説得力のある連続殺人犯の物語。ティモシー・ヒルの脚本は、綿密な人物造形がふんだんに盛り込まれ、まったく手に汗握ります。ゾーイ(ジェマ・ダレンダー)は非常に複雑で、義父の呪縛にとらわれたまま、彼の憎むべき行為に手を貸し、暗闇の中で戦うことも出口を見つけることもできないまま。ダレンダーはその演技の中で、呪われた若い女性をとらえています。しかし、彼女のキャラクターはきれいごととはほど遠い。ゾーイは、たとえ自分がジョンの犠牲者を苦しめ続けることから救っていると信じていたとしても、自ら凶悪な犯罪を犯しています。それゆえ、なぜゾーイは、彼女が根絶やしにした女性被害者たち以上に生きる価値があるのか?この要素により、映画は予測可能な軌跡をたどることなく、主題を複雑な視点で描いています。
コスタス・マンディロー(『ソウ』シリーズ)は、非難されるべきジョンを演じて圧倒的な存在感を示しています。彼がスクリーンに登場するたびに、恐怖感、不安感、緊張感を煽り立てます。とくに、無防備でお世辞にもうまいとは言えない若い女性をナンパするバーの場面では。
マンディロールは避けたい人物として演じており、飄々とした態度で彼のキャラクターに対する警戒心を即座に喚起します。ジョンは自分なりの歪んだバージョンの地獄を作り上げ、そこで殺意を実行に移します。荒涼としたビジュアルとその環境は、ゾーイとジョンの型破りなライフスタイルと心の動揺を表現すると同時に、地獄がどのようなものであるかをプレビューしているようなもの。
ジョンの人物像のもうひとつの悲劇的な側面は、2000年代半ばのイラク戦争で築かれた彼の経歴。彼自身が、9.11後の壊れたアメリカの犠牲者であるという考えは、彼に不穏な効果をもたらす別のレイヤーを提供します。彼の境遇が彼を怪物に変えたのか、それとも彼の精神病的傾向がずっと根底にあったのか?その対極にあるのが、同じく国のために戦ったものの、別の形で影響を受けた捜査官スコット・ウォレス保安官補(ジェシー・モス)。正義を求めるスコットは、ゾーイとジョンが何か「おかしい」と直感的に気づき、ジョンは罪のない女性に苦痛を与えるという、「善と悪」の古典的な対立が描かれます。
『リベンジ・タイム』は、現在進行中の#MeToo運動と同時期に公開された興味深い作品。映画、とくにホラーは、試練に耐えて反撃し、平和を求める強い女性を表現することが不可欠。ホラーは、モンスターと闘うヒロインという象徴的な型が、彼女自身の悪魔との闘いを意味する、この種の表現にとって理想的なプラットフォームです。もちろん、『リベンジ・タイム』では、その悪役は人間であり、その分、架空の怪物よりもはるかに不安を煽ります。この映画は、ほとんどの部分で殺伐とした雰囲気を漂わせながらも、希望の感覚と「決してあきらめない」というメッセージを与え、めちゃくちゃではあるものの、痛烈な終わり方で幕を閉じます。
『リベンジ・タイム』は、素晴らしい演技と引き込まれるストーリー展開が特徴の、力強い映画です。
キャスト
登場人物 | 出演者 |
---|---|
ゾーイ | ジェマ・ダレンダー |
ジョン | コスタス・マンディロー |
ジェニファー | ブリット・マキリップ |
スコット・ウォーカー保安官補 | ジェシー・モス |
保安官 | マーク・アーノルド |
ダニー | ダイアナ・ケア |
アニー | ミカヴリー・アマイア |
ステイシー | アニー・クイグリー |
司書 | チェリーズ・シルベストリ |
カルフアン夫人 | ヘザー・ローマ |
バー・フライ | アレクサンダー・マクモラン |
ボビー・グライムス | ジョン・モライティス |
ゾーイの母 | ナティア・チチラシビリ |
若いゾーイ | ソフィオ・バビロッツェ |
食品市場の母 | アナ・イムナゼ |
食品市場の少女 | タマル・ゴゴラッズ・ラインハーゲン |
母親(声) | ミーガン・ホラウェイ |
ミカヴリー・アマイアのデビュー作品。
スタッフ
担当 | 担当者 |
---|---|
衣装監督 | スーザン・ドープナー |
衣装デザイン | スーザン・ドープナー |
衣装デザイン助手 | ニノ・ダラセリア |
衣装デザイン助手 | メラーノ・ジブジバゼ
なむ語るのファム・ファタルはこちらで読めます。 |
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