『エクスペンダブルズ ニューブラッド』(原題:Expend4bles)は、2023年に公開された米国のアクション映画で、「エクスペンダブルズ」シリーズの第4弾です。本作は、シルヴェスター・スタローンが率いる傭兵軍団「エクスペンダブルズ」が新たなミッションに挑む姿を描いた、豪華キャストによるアクション大作です。以下に、概要、女優の活躍、あらすじ、解説、キャスト、スタッフについて詳しく解説します。
概要
『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は、2010年に始まった「エクスペンダブルズ」シリーズの最新作で、2023年9月15日に中国本土で、9月22日に米国で公開され、日本では2024年1月5日に公開されました。監督はスコット・ウォー(『ネイビーシールズ』『ニード・フォー・スピード』)が務め、脚本はカート・ウィマー、タッド・ダッガーハート、マックス・アダムズが共同で執筆しました。本作は、シリーズの特徴である「往年のアクションスターの共演」と「過激なアクションシーン」を継承しつつ、新たなキャストを加えて「ニューブラッド(新血)」として生まれ変わったチームを描きます。予算は1億ドルで、興行収入は全世界で約5100万ドルを記録しましたが、批評家からは脚本や視覚効果、スタローンの出番の少なさについて批判を受けつつも、ジェイソン・ステイサムの活躍やアクション場面の迫力は高く評価されました。シリーズのテーマである「チームワーク」と「筋肉による問題解決」を軸に、核兵器奪還という高リスクなミッションが展開されます。
女優の活躍
本作では、女性キャラクターとしてミーガン・フォックスとレヴィ・トランが登場。とくにフォックスの演じるジーナが物語の重要な役割を担います。
女性キャラクターの活躍は、従来の男性中心のシリーズに新たなダイナミズムを加え、とくにジーナの指揮官としての役割が物語の転換点となっています。ただし、シリーズのコアである「オールドスクールなアクション」のトーンを維持するため、女性キャラクターの感情的な描写は控えめで、アクション重視の展開が優先されました。
ミーガン・フォックス(ジーナ役)
ミーガン・フォックスは、『トランスフォーマー』シリーズで知られる女優で、本作ではCIA局員であり、リー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)の元恋人という複雑な背景を持つジーナを演じます。ジーナはバーニー・ロス(シルヴェスター・スタローン)の死後、エクスペンダブルズのリーダーとしてチームを率いる役割を担い、戦闘シーンでも銃器や格闘技を駆使して活躍します。フォックスの演技は、クールで合理的なリーダー像を体現しつつ、クリスマスとのロマンティックなやり取りで人間味を加えています。特に、貨物船での最終決戦では、ジーナがチームの戦略を指揮し、敵のテロリスト集団と対峙する姿が印象的です。批評家からは、フォックスの存在感がシリーズに新たな魅力をもたらしたと評価される一方、キャラクターの深掘りが不十分との指摘も一部ありました。彼女は2024年のゴールデン・ラズベリー賞で助演女優賞を受賞しましたが、これは作品全体の賛否両論を反映したものと考えられます。
レヴィ・トラン(ラッシュ役)
レヴィ・トランは、新メンバーであるラッシュを演じ、チームの戦闘員としてアクション場面に参加します。トランは『マックギーバー』や『ファースト・ファミリー』での出演で知られ、格闘技のスキルをもつ女優です。ラッシュは、チームの若手として軽快な動きと銃撃戦で貢献し、とくに中盤の市街戦シーンで敵を翻弄する姿が光ります。トランの役柄は比較的小さく、ジーナほどの物語への影響力はありませんが、女性メンバーとしての存在感を示しました。彼女のアクションは、シリーズの「肉体派」スタイルにマッチしており、ファンからは好意的に受け止められています。
あらすじ
バーニー・ロス(シルヴェスター・スタローン)が率いる傭兵軍団「エクスペンダブルズ」は、CIAから新たなミッションを受け、国際テロリストのスアルト・ラフマト(イコ・ウワイス)が核爆弾を入手するのを阻止するためリビアへ向かいます。バーニーは元相棒のリー・クリスマス(ジェイソン・ステイサム)を再び招集し、ドルフ・ラングレン、ランディ・クートゥアら旧メンバーと、50セント、ミーガン・フォックス、トニー・ジャーら新メンバーを加えたチームを結成します。
ミッション中、ラフマトの背後に謎のテロリスト「オセロット」の存在が浮上。バーニーは過去にオセロットによって仲間を失った因縁を抱えています。クリスマスはラフマトを追いつめるものの、バーニーの乗る飛行機を救うため命令を無視し、その結果、バーニーの飛行機が撃墜され、彼の焼死体が発見されます。悲嘆に暮れるクリスマスはCIAのマーシュ(アンディ・ガルシア)によりチームから追放され、ジーナが新リーダーに任命されます。
クリスマスは復讐を誓い、バーニーの旧友デーシャ(トニー・ジャー)の協力を得て、ラフマトが潜む核兵器搭載の貨物船に潜入。チームと合流し、激しい戦闘の末、マーシュがオセロットであることが判明します。エクスペンダブルズは核爆発を阻止し、ラフマトとオセロットを倒しますが、ミッションの背後にはさらなる陰謀が潜んでいました。最終的に、バーニーの死は偽装であり、彼が生きていたことが明らかになり、チームは再び団結して新たな戦いに備えます。
解説
『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は、シリーズの核心である「豪華アクションスターの共演」と「過激なアクション」を継承しつつ、新たな試みとしてジェイソン・ステイサムを中心としたストーリー展開や女性キャラクターの強化を図った作品です。以下に、作品の特徴と意義を解説します。
シリーズの進化と課題
本作は、シリーズの「オールスターキャスト」コンセプトを維持しつつ、新世代のアクションスター(50セント、ミーガン・フォックス、トニー・ジャー、イコ・ウワイス)を導入することで、現代の観客層にアピールしようとしました。特に、ステイサムのリー・クリスマスが物語の主軸となり、バーニーの出番が少ない点は、シリーズの世代交代を意識した選択と言えます。しかし、スタローンの不在感や脚本の粗さが批判され、シリーズの魅力である「チーム全員の見せ場」が薄れたとの声も。興行成績が予算を下回ったこともあり、商業的には苦戦しましたが、アクション映画としての娯楽性は健在です。
アクションの魅力
監督のスコット・ウォーは、スタントマン出身の経験を活かし、銃撃戦、格闘戦、爆破シーンをふんだんに盛り込みました。特に、トニー・ジャーのムエタイやイコ・ウワウスのシルクド・ソラットを用いた戦闘シーンは、アジアのアクション映画の影響を感じさせ、シリーズに新たな風を吹き込みます。ステイサムのナイフアクションやフォックスの銃撃戦も見どころで、貨物船での最終決戦は緊張感と迫力に満ちています。視覚効果については一部で安っぽさが指摘されましたが、肉体派アクションのダイナミズムはシリーズの伝統をしっかり守っています。
テーマとメッセージ
シリーズのテーマである「仲間との絆」と「復讐」が本作でも強調されます。バーニーの死(偽装)やクリスマスの追放を通じて、チームの結束力と個々の成長が描かれ、ジーナのリーダーシップは女性の力を示す象徴でもあります。また、核兵器というグローバルな危機を扱うことで、現代の地政学的緊張感を背景に、アクション映画としてのスケール感を高めています。ただし、キャラクターの掘り下げが浅く、感情的なドラマが希薄な点は、シリーズ全体の課題とも言えます。
文化的影響と評価
「エクスペンダブルズ」シリーズは、80年代・90年代のアクション映画へのオマージュとして始まり、現代のアクション映画に影響を与えてきました。本作は、ステイサムやフォックスといった現代のスターを起用することで、若い観客を引き込む試みをしましたが、批評家からは賛否両論(Filmarks平均スコア3.4/5)。ファンからは「ステイサム無双」や「筋肉アクションの祭典」として楽しめる一方、シリーズのピークは『2』だったとの意見も多いです。
キャスト
以下は主要キャストとその役柄です。
- ジェイソン・ステイサム(リー・クリスマス役):元SAS隊員でナイフ術の達人。バーニーの右腕としてチームを牽引。
- シルヴェスター・スタローン(バーニー・ロス役):エクスペンダブルズのリーダー。早撃ちと航空機操縦の名手。
- ミーガン・フォックス(ジーナ役):CIA局員でクリスマスの元恋人。新リーダーとして活躍。
- カーティス・“50セント”・ジャクソン(イージー・デイ役):新メンバー。怪力と冷静な判断力を持つ。
- ドルフ・ラングレン(ガンナー・ヤンセン役):射撃と空手の達人。アルコール問題を抱える不安定なメンバー。
- ランディ・クートゥア(トール・ロード役):破壊工作のプロ。ナイーブな性格。
- トニー・ジャー(デーシャ役):バーニーの旧友。ムエタイとククリナイフの使い手。
- イコ・ウワイス(スアルト・ラフマト役):テロリストのリーダー。トンファー状の武器を操る。
- アンディ・ガルシア(マーシュ役):CIAの指揮官で、物語の鍵を握る人物。
- ジェイコブ・スキピオ(ガラン役):新メンバー。おしゃべりな若手。
- レヴィ・トラン(ラッシュ役):新メンバー。軽快な戦闘スタイル。
日本語吹き替え版では、山路和弘(バーニー)、ささきいさお(ガンナー)、大塚明夫(トール)らが続投し、ジーナ役には甲斐田裕子が起用されました。
スタッフ
- 監督:スコット・ウォー(『ネイビーシールズ』『ニード・フォー・スピード』)
- 脚本:カート・ウィマー、タッド・ダッガーハート、マックス・アダムズ
- 原案:スペンサー・コーエン、カート・ウィマー、タッド・ダッガーハート
- 製作:ケヴィン・キング・テンプルトン、レス・ウェルドン、ヤリフ・ラーナー、ジェイソン・ステイサム、シルヴェスター・スタローンほか
- 音楽:ギヨーム・ルーセル
- 撮影:ティム・マーリス・ジョーンズ
- 編集:マイケル・J・ドゥシー
- 製作会社:ミレニアム・メディア、ライオンズゲート
- 配給会社:ライオンズゲート(米国)、松竹=ポニーキャニオン(日本)
ウォーのアクション演出やウィマーの脚本は、シリーズの荒々しい魅力を維持しつつ、新たな視点を加える試みがなされました。
結論
『エクスペンダブルズ ニューブラッド』は、シリーズの伝統である豪華キャストと過激なアクションを継承しつつ、ステイサムやフォックスを中心とした新たな展開を試みた作品です。ミーガン・フォックスのジーナは、女性リーダーとしての存在感を発揮し、アクション映画における女性の役割を広げました。物語は核兵器奪還という壮大なミッションを軸に、復讐と絆を描き、ファンには「筋肉と爆破の祭典」として楽しめる内容です。一方で、脚本の粗さやスタローンの出番の少なさが課題として残り、シリーズの今後の方向性を模索する一作となりました。アクション映画の純粋な楽しさを求める観客には満足度の高い作品と言えるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い