『フィアー・ストリート: プロムクイーン』は、R・L・スタインのホラー小説を原作とするNetflix映画で、2025年5月23日配信開始。呪われた町シェイディサイドを舞台に、1988年の高校プロムでクイーン候補者が次々と殺されるスラッシャーホラーの第4弾。監督はマット・パーマー。
基本情報
- 邦題:フィアー・ストリート: プロムクイーン
- 原題:Fear Street: Prom Queen
- 公開年:2025年
- 製作国:米国
- 上映時間:88分
- ジャンル:ホラー
あらすじ
1988年、オハイオ州の呪われた町シェイディサイド。シェイディサイド高校では、プロムの季節が到来し、プロムクイーンの座を巡る熾烈な争いが繰り広げられています。主人公のロリ・グレンジャー(インディア・ファウラー)は、学校では目立たない存在で、母親が過去に殺人事件の容疑者とされた汚名からいじめを受けてきました。それでも、家族の名誉を回復するため、彼女はプロムクイーンに立候補します。他の候補者には、学校の人気者で意地悪なティファニー・ファルコナー(フィナ・ストラッツァ)とその取り巻きたち、そして反逆児のクリスティー・ルノー(エラ・ルービン)が名を連ねます。
プロムの準備が進む中、ロリは親友のメーガンと共にドレスを選び、イベントに向けて心を弾ませます。しかし、プロムクイーン候補たちが次々と謎の失踪を遂げ、残酷な方法で殺害される事件が発生。プロム会場は甘美なダンスパーティーから血と恐怖に染まった悪夢の舞台へと変わります。ロリは、連続殺人鬼の正体を突き止め、生き残るために奔走します。物語は、シェイディサイドの呪いと過去の事件(特に1978年のナイトウィングキャンプ場での大量殺人事件)に繋がる伏線を織り交ぜながら、緊張感あふれる展開で進みます。果たして、ロリはプロムを生き延び、クイーンの座を手にできるのでしょうか?
女優の活躍
『フィアー・ストリート: プロムクイーン』では、若手女優たちが物語の中心を担い、ホラーと青春ドラマの融合を見事に演じています。以下に主要な女優の活躍を紹介します。
インディア・ファウラー(ロリ・グレンジャー役)
主人公ロリを演じるインディア・ファウラーは、本作で感情豊かな演技を披露しています。ロリは学校でのいじめや家族の過去に悩む少女でありながら、プロムクイーンを目指す強い意志を持っています。ファウラーは、ロリの内面的な葛藤や恐怖に直面しながら成長する姿を繊細に表現。特に、殺人鬼に追われる緊迫したシーンでは、恐怖と勇気を同時に体現し、観客を引き込みます。彼女の自然体な演技は、ティーンホラーの主人公として共感を呼び、シリーズの新たな顔としての存在感を示しています。
フィナ・ストラッツァ(ティファニー・ファルコナー役)
ティファニー役のフィナ・ストラッツァは、学校の「女王」的存在として、意地悪で自信満々なキャラクターを魅力的に演じています。ティファニーの高慢な態度と、裏に隠された脆さがストーリーに深みを加えており、ストラッツァの表現力は特に際立っています。彼女の登場シーンでは、プロムクイーン候補としてのカリスマ性と、恐怖に直面した際の動揺を巧みに演じ分け、物語の緊張感を高めています。
エラ・ルービン(クリスティー・ルノー役)
『ゴシップガール』(リブート版)で知られるエラ・ルービンは、反逆児のクリスティー役で独特の個性を発揮。彼女の自由奔放な振る舞いと、プロムでの予想外の展開における感情的な演技が光ります。ルービンは、クリスティーの複雑な背景を表現し、観客に強い印象を残します。
スザンナ・ソン、リリ・テイラー、キャサリン・ウォーターストン
脇を固める女優陣も見逃せません。スザンナ・ソンはティファニーの取り巻きの一人として、青春の残酷さを体現。リリ・テイラーとキャサリン・ウォーターストンは、物語の鍵を握る大人役として、ミステリアスな雰囲気を醸し出し、シリーズの呪いの背景に深みを与えています。特にウォーターストンは、『ファンタスティック・ビースト』シリーズでの経験を活かし、ホラー要素とドラマチックな演技のバランスを絶妙に保っています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の舞台は1988年のアメリカ高校で、80年代のファッションとカルチャーが色濃く反映されています。衣装、化粧、髪型は、時代感とキャラクターの個性を強調する重要な要素です。
衣装
ロリ(インディア・ファウラー)の衣装は、控えめながらもプロムでの輝きを意識したデザインが特徴です。普段はカジュアルなジーンズやTシャツで、典型的な「地味な高校生」を表現。プロムでは、淡いパステルカラーのドレスを選び、シンプルながらも彼女の内面の純粋さを映し出します。一方、ティファニー(フィナ・ストラッツァ)は、派手なスパンコール付きのドレスや、流行のオフショルダー・スタイルで、80年代の「人気者」らしい華やかさを演出。クリスティー(エラ・ルービン)は、パンク風のレザージャケットや大胆な柄のドレスで、反逆的な性格を強調しています。プロム会場のシーンでは、ビビッドな色使いやボリュームのあるシルエットが80年代の雰囲気を再現し、ホラーと対比する華やかなビジュアルを作り出しています。
化粧
化粧は、キャラクターの個性と時代感を反映。ロリはナチュラルメイクで、薄いリップと軽いチークが中心。プロムでは、控えめなアイシャドウとグロスで少女らしい魅力を引き立てます。ティファニーは、鮮やかなピンクやブルーのアイシャドウ、太いアイライン、濃いチークで、80年代の派手なメイクを体現。クリスティーは、ダークなアイライナーやスモーキーなアイシャドウで、反抗的な雰囲気を強調。ホラーシーンでは、血や汗でメイクが崩れる演出が恐怖感を増幅します。
髪型
髪型も80年代のトレンドを反映。ロリは、普段はシンプルなポニーテールやルーズなウェーブで、親しみやすさを表現。プロムでは、ゆるやかなカールで優雅さを加えています。ティファニーは、ボリュームのあるハイポニーテールやバナナクリップを使用し、トレンディなスタイルを披露。クリスティーは、短めのボブに大胆なヘアスプレーでボリュームを出し、パンク風のアレンジで個性を際立たせています。全体的に、ヘアスプレーやカールでボリューム感を強調した80年代スタイルが、ノスタルジーを呼び起こします。
解説
『フィアー・ストリート: プロムクイーン』は、R・L・スタインのYAホラー小説シリーズ「フィアー・ストリート」の15作目『The Prom Queen』(1992年刊)を原作とする、Netflixのホラーシリーズ第4弾です。シリーズは、呪われた町シェイディサイドを舞台に、異なる時代(1994年、1978年、1666年、そして本作の1988年)で展開するホラーストーリーで知られています。過去3作はリー・ジャニアク監督による三部作として2021年に配信され、連続性のある物語と伏線回収が高く評価されました。本作は新たな監督マット・パーマーがメガホンを取り、独立した物語として描かれつつ、シリーズの呪いの要素を継承しています。
本作の特徴は、80年代のスラッシャーホラー(『スクリーム』や『ハロウィン』に似た雰囲気)と、ティーン向け青春ドラマの融合です。プロムという華やかな舞台が、血まみれの恐怖に変わる対比が効果的で、80年代のノスタルジーを強調する演出(ビデオカメラ風の映像や音楽)が随所に盛り込まれています。物語は、シェイディサイドの呪いと関連するミステリーを背景に、プロムクイーン候補たちの殺人事件を軸に展開。批評家の評価は賛否両論で、Rotten Tomatoesでは48%(23件のレビュー)と低めですが、ファンからは「可愛いキャストと80年代の雰囲気」が好評です。一方で、ストーリーの単調さやキャラクターの掘り下げ不足を指摘する声もあります。
本作は、シリーズのファンにとって、シェイディサイドの呪いの新たな一面を探る機会を提供します。特に、ティファニーの母親と呪いの関連を示唆する魔法陣のシーンは、シリーズ全体との繋がりを匂わせ、考察の余地を残しています。80年代のティーンホラーの魅力を現代に蘇らせつつ、現代的な映像美と緊張感を融合させた作品です。
キャスト
- インディア・ファウラー:ロリ・グレンジャー(主人公、プロムクイーン候補)
- フィナ・ストラッツァ:ティファニー・ファルコナー(人気者の候補者)
- エラ・ルービン:クリスティー・ルノー(反逆児の候補者)
- スザンナ・ソン:ティファニーの取り巻き
- キャサリン・ウォーターストン:ミステリアスな大人役
- リリ・テイラー:物語の鍵を握る大人役
- クリス・クライン:脇役
- デヴィッド・イアコノ:脇役
- アリアナ・グリーンブラット:脇役
その他、多数の若手俳優が出演。
スタッフ
- 監督:マット・パーマー(『最悪の選択』)
- 脚本:マット・パーマー、ドナルド・マクリーリー
- 原作:R・L・スタイン(『The Prom Queen』、フィアー・ストリートシリーズ第15作)
- 製作:Netflix
総括
『フィアー・ストリート: プロムクイーン』は、80年代のノスタルジーとスラッシャーホラーの魅力を融合した作品で、若手女優たちの活躍と時代感あふれるビジュアルが魅力です。ロリを中心としたキャラクターたちの葛藤と恐怖は、青春の甘酸っぱさとホラーの緊張感を見事に描き出しています。シリーズのファンには新たな物語として楽しめ、初めて観る視聴者にも80年代ホラーの雰囲気を堪能できる作品です。ただし、ストーリーの単調さを指摘する声もあり、シリーズ全体の完成度と比較すると賛否が分かれます。それでも、プロムの華やかさと血まみれの恐怖のコントラストは、ホラーファンに十分なスリルを提供します。
レビュー 作品の感想や女優への思い