『ハロウィンII/ブギーマン』は1981年10月30日に公開された米国のスラッシャー映画。監督はリック・ローゼンタールで、ジョン・カーペンターとデブラ・ヒルが脚本・製作を担当しました。前作の直後を描き、マイケル・マイヤーズがローリー・ストロードを病院で追跡します。兄妹関係が明かされ、ホラー要素が増強された続編です。
基本情報
- 邦題:ハロウィンII/ブギーマン
- 原題:HALLOWEEN II
- 公開年:1981年
- 製作国:米国
- 上映時間:92分
- ジャンル:ホラー
見どころ
ジョン・カーペンター監督による前作の世界観を引き継ぎつつ、残酷描写と恐怖はさらにパワーアップ。犠牲者の数、殺人のバリエーションも増大していて見応えばっちり。
女優の活躍
『ハロウィンII/ブギーマン』では、ジェイミー・リー・カーティスが主人公のローリー・ストロードを再び演じています。彼女は前作から引き続き、マイケル・マイヤーズの標的として描かれ、病院で負傷しながらも必死に逃げ回る姿が印象的です。カーティスは当時22歳で、恐怖に怯えながらも強い意志を見せる演技が評価されており、物語の中心を担っています。特に、夢の中で過去を思い出すシーンや、クライマックスの対決では、感情の深みを表現しています。他の女優として、パメラ・スーザン・シュープが看護師のカレン・ベイリーを演じ、ヌードシーンを含む過酷な死の描写で注目を集めました。シュープは撮影時の冷たい水を使ったシーンで耳の感染症にかかるなど、身体的に厳しい役をこなしています。アナ・アリシアは看護師のジャネット・マーシャルを、グロリア・ギフォードは看護師長のバージニア・アルヴェスを演じ、それぞれ病院内の緊張感を高める役割を果たしています。ナンシー・スティーブンスはマリオン・チェンバーズとして再登場し、物語の鍵となる情報を提供します。タウニー・モイヤーは看護師のジル・フランコを演じ、マイケルに殺されるシーンでスリルを加えています。これらの女優たちは、1980年代のスラッシャー映画の典型として、恐怖の犠牲者役を熱演し、映画のホラー要素を強化しています。全体として、女優たちの活躍は、男性中心のホラー映画の中で女性の視点と強さを描き出す点で重要です。カーティスは特に、本作で「スクリーム・クイーン」としての地位を確立し、以後のキャリアに影響を与えました。シュープやアリシアのような脇役女優も、限られた出番の中でインパクトを残し、映画のリアリズムを高めています。彼女たちのパフォーマンスは、監督のリック・ローゼンタールの演出により、自然で緊張感のあるものとなっています。
女優の衣装・化粧・髪型
ジェイミー・リー・カーティス演じるローリー・ストロードの衣装は、病院の患者服が主で、負傷した状態を反映したシンプルで現実的なものが中心です。化粧は最小限で、恐怖と痛みによる蒼白い顔色を強調し、自然なメイクが施されています。髪型については、前作の長い髪を再現するため、ウィッグを使用しており、カーティス本人の短い髪を隠す工夫がなされています。これにより、キャラクターの一貫性が保たれています。パメラ・スーザン・シュープの看護師カレンは、白い看護師服が基本ですが、ヌードシーンでは衣装が最小限となり、ホラー映画らしい露出が目立ちます。化粧は日常的なナチュラルメイクで、仕事中の現実感を出しています。髪型はショートヘアで、動きやすいスタイルです。アナ・アリシアのジャネット・マーシャルも看護師服を着用し、化粧は控えめで、髪はミディアムレングスのストレートです。グロリア・ギフォードのバージニア・アルヴェスは、看護師長らしい厳格な印象を与える制服と、シンプルなメイク、アップスタイルの髪型です。ナンシー・スティーブンスのマリオン・チェンバーズは、看護師服にメガネを加え、化粧はプロフェッショナルな印象で、髪はボブスタイルです。タウニー・モイヤーのジル・フランコは、看護師服に明るいメイクとポニーテールの髪型で、若々しさを表現しています。これらの衣装・化粧・髪型は、1970年代後半の病院設定を反映し、ホラー映画の緊張を視覚的に高めています。特に、カーティスのウィッグは、撮影時の工夫として知られています。全体として、女優たちの外見は、物語のリアリティを支え、恐怖の雰囲気を強調するものとなっています。
あらすじ
1978年10月31日のハロウィンの夜、イリノイ州ハドンフィールドで、前作の事件直後から物語は始まります。マイケル・マイヤーズは、ドクター・サム・ルーミスに6発の銃弾を浴びてバルコニーから転落したはずですが、奇跡的に生き延び、姿を消します。ルーミスは保安官のリー・ブラケットと共にマイケルを追跡します。一方、負傷したローリー・ストロードはハドンフィールド記念病院に運ばれ、治療を受けます。病院では、救急隊員のジミー・ロイドがローリーに惹かれ、彼女の世話をしますが、看護師長のバージニア・アルヴェスに制限されます。マイケルはラジオのニュースからローリーの居場所を知り、病院に向かいます。彼は電話線を切り、車のタイヤをパンクさせて人々を孤立させます。次々と犠牲者を生み出し、警備員のバーナード・ガレットをハンマーで、ドクター・フレデリック・ミクスターを注射針で、救急隊員のバッド・スカルロッティを絞殺、看護師のカレン・ベイリーを熱湯で殺害します。ローリーは夢の中で、自分の養子縁組とマイケルを精神病院で訪れた記憶を思い浮かべます。ジミーと看護師のジル・フランコがローリーを探しますが、ジルはマイケルに殺されます。ルーミスは看護師のマリオン・チェンバーズから、ローリーがマイケルの妹で、両親の死後養子に出されたことを知ります。ルーミスは保安官補のテレンス・ガンメルを強引に連れて病院に戻ります。ジミーは負傷し、ルーミスたちが到着します。マイケルはガンメルを殺し、ルーミスとローリーは手術室に逃げ込みます。ローリーはマイケルの目を撃ち、ルーミスはガスを充満させて爆発を起こし、自分もろともマイケルを焼き尽くします。翌朝、ローリーは別の病院に移され、トラウマを抱えながらも生き延びます。このあらすじは、前作の緊張を継続し、家族の秘密を加えて深みを増しています。
解説
『ハロウィンII/ブギーマン』は、1978年のオリジナル『ハロウィン』の直接的な続編として製作され、マイケル・マイヤーズの不死身さを強調したスラッシャー映画の典型です。監督のリック・ローゼンタールはデビュー作ながら、ジョン・カーペンターのスタイルを継承し、暗闇と静けさを活かした恐怖描写を展開しています。しかし、カーペンター本人がポストプロダクションで追加の gore(残虐描写)を挿入したため、オリジナルのペースが崩れたとローゼンタールは不満を述べています。予算は前作の320,000ドルから2,500,000ドルに増え、撮影はカリフォルニアの病院で行われました。脚本では、ローリーとマイケルの兄妹関係が新たに導入され、以後のシリーズに影響を与えましたが、2018年のリブート版でリセットされました。このプロットツイストは、物語に動機を与え、ホラーの深みを加えています。批評家からは、女性の描写が女性蔑視的だと指摘され、フェミニスト批評で議論を呼びました。ロジャー・イーバートは「イディオット・プロット」(愚かな行動が前提の物語)と評し、キャラクターの判断ミスを批判しています。一方、1980年代のスラッシャーブームを反映し、ヌードや暴力が増加した点が商業的に成功を収めました。音楽はカーペンターとアラン・ハワースが担当し、オリジナルテーマのバリエーションで緊張を高めています。全体として、本作はホラー映画の進化を示す作品であり、シリーズの基盤を固めました。文化的影響として、ハロウィンのサディズムを象徴するシーンが、実際の事件を連想させ、社会的な議論を喚起しました。女優たちの活躍、特にカーティスのパフォーマンスは、ジャンルのアイコンを確立し、後のホラー映画に影響を与えています。この解説から、本作が単なる続編ではなく、ホラー映画のトレンドを変えた点が理解されます。
キャスト
- ジェイミー・リー・カーティス:ローリー・ストロード
- ドナルド・プリーゼンス:ドクター・サム・ルーミス
- ディック・ウォーロック:マイケル・マイヤーズ(ザ・シェイプ)
- チャールズ・サイファーズ:保安官リー・ブラケット
- ナンシー・ルーミス:アニー・ブラケット(カメオ)
- ハンター・フォン・リア:保安官補ゲイリー・ハント
- ナンシー・スティーブンス:マリオン・チェンバーズ
- ジェフリー・クレイマー:ドクター・グラハム
- フォード・レイニー:ドクター・フレデリック・ミクスター
- パメラ・スーザン・シュープ:看護師カレン・ベイリー
- レオ・ロッシ:バッド・スカルロッティ
- アナ・アリシア:看護師ジャネット・マーシャル
- グロリア・ギフォード:看護師長バージニア・アルヴェス
- ランス・ゲスト:ジミー・ロイド
- ダナ・カーヴェイ:バリー・マクニコル
- キャサリン・バーグストロム:デブラ・レイン
- ジャック・ヴァーボイス:ベン・トレイマー
- アン・ブルナー:アリス・マーティン
- ルシール・ベンソン:エルロッド夫人
- タウニー・モイヤー:看護師ジル・フランコ
- クリフ・エミック:バーナード・ガレット
- ジョン・ゼンダ:保安官補テレンス・ガンメル
スタッフ
- 監督:リック・ローゼンタール
- 脚本:ジョン・カーペンター、デブラ・ヒル
- 製作:デブラ・ヒル、ジョン・カーペンター
- 撮影:ディーン・カンディ
- 編集:マーク・ゴールドブラット、スキップ・スクールニック(ポストプロダクション)
- 音楽:ジョン・カーペンター、アラン・ハワース
- 製作総指揮:ムスタファ・アッカド、ジョセフ・ウォルフ
- 美術:マイケル・リヴァ
- 特殊効果:ローレンス・カヴァナ
- 衣装デザイン:メアリー・ジョー・ディーガン
レビュー 作品の感想や女優への思い