湖南省は中華人民共和国の中央部に位置する省で省都は長沙市。洞庭湖の南に広がり、米の生産が盛んな地域として知られ、人口は約6600万人、面積は約21万平方km。自然豊かな丘陵と山岳地帯が特徴。湖南省は、多くの才能ある女優を輩出し、とくに、劉詩詩(リウ・シーシー)、張予曦(チャン・ユーシー)、趙麗穎(チャオ・リーイン)のような若年女優の活躍が目立つ。
歴史
湖南省の歴史は古く、紀元前から人が住んでいた痕跡があります。戦国時代には楚国の重要な地域であり、屈原などの文化人が活躍しました。秦の統一後、湖南省は長沙国として行政単位に組み込まれました。漢代には、張仲景のような医聖が長沙太守として活躍し、『傷寒雑病論』を著しました。後漢時代には、蔡倫が耒陽出身で製紙技術を発明し、中国の四大発明の一つとして世界に影響を与えました。三国時代には、蜀漢や呉の争奪の地となり、戦略的に重要な位置を占めました。
清代には、湖南省は農業と商業の中心地として発展し、湘軍が太平天国の乱を鎮圧するなど、軍事的な役割も果たしました。近代では、1911年の辛亥革命で湖南新軍が決起し、中華民国湖南軍政府が成立しました。毛沢東の出身地としても知られ、彼の故郷である韶山市は革命の象徴として重要な場所です。文化大革命期には政治的動乱の影響を受けましたが、改革開放以降は経済発展が顕著で、特に長沙市は現代的な都市として成長しました。現在の湖南省は、歴史的遺産と近代化が共存する地域として、国内外から注目されています。
芸術
湖南省は、豊かな文化と芸術の伝統を持つ地域です。以下に、代表的な芸術分野を紹介します。
- 書道: 湖南省出身の書家、懐素は「狂草」と呼ばれるダイナミックな書風で知られ、唐代の書道に大きな影響を与えました。彼の作品は、古典ロマン主義の典範とされています。
- 伝統音楽: 湘劇(湖南省の地方劇)は、独特の旋律と演技で地域の歴史や民話を表現します。また、花鼓戯(かこぎ)と呼ばれる軽快な民間劇も人気があります。
- 工芸: 湘繍(湖南省の刺繍)は、精緻な技法と鮮やかな色彩で知られ、中国四大刺繍の一つに数えられます。花や鳥をモチーフにした作品が多く、国際的にも評価されています。
- 絵画: 湖南省の伝統絵画は、洞庭湖や南嶺山脈の自然美を反映した風景画が特徴です。現代でも、地元の芸術家が自然や文化をテーマにした作品を創作しています。
登場する映画
湖南省は、その美しい自然や歴史的背景から、いくつかの映画の舞台やロケ地として登場しています。以下に代表的な作品を紹介します。
- 『戦長沙』(2014年):日中戦争中の長沙市を舞台にした家族と愛の物語。
- 『アバター』(2009年): ジェームズ・キャメロン監督のハリウッド映画ですが、湖南省の張家界国立森林公園の奇岩風景が、映画の惑星パンドラのインスピレーション源となりました。特に、天子山の独特な地形が注目されました。
- 『山の郵便配達』(1999年): 霍建起監督の映画で、湖南省の山岳地帯を背景に、郵便配達員の親子の絆を描いた作品です。美しい自然が物語に深みを加えています。
- 『芙蓉鎮』(1987年): 謝晋監督による作品で、湖南省の芙蓉鎮を舞台に、文化大革命の影響を受けた人々の生活を描いています。農村の風景や人間ドラマが感動的に表現されています。
出身女優
湖南省は、多くの才能ある女優を輩出しています。以下に、代表的な女優とその経歴、代表作を紹介します。
- ファン・ミーイー(黄米依):1994年、長沙市生まれ。中央戯劇学院卒業。『バッド・キッズ 隠秘之罪』(2020年)や『春来恋慕 銀河に願う永遠の愛』(2021年)での演技で有名に。
- リー・モン(李夢):1992年、長沙市生まれ。北京電影学院卒業。2010年の映画『白鹿原』でデビューし、『死猪』で2018年サンダンス映画祭の集団演技賞を受賞。
- 張予曦(チャン・ユーシー): 1991年生まれ、敦化市出身。モデルとしても活躍し、ドラマ『親愛的、公主病』や『無法触碰的你』で注目されました。
- チェン・イージン(陈奕静):1990年、岳陽市生まれ。映画『関雲長』でデビュー。『グランド・マスター』での交際花役や『海上嫁女記』の主演などで注目に。
- ジョナ・シャオ:1989年、長沙市生まれ。セントルイスで育ち、俳優のキャリア支援を行うCareer ACTivateを設立。『Halt and Catch Fire』や『Raya and the Last Dragon』などに出演。
- 劉詩詩(リウ・シーシー): 1987年生まれ、北京市出身ですが、湖南省での活動も多い女優。中央戯劇学院で学び、歴史ドラマ『步步驚心』(邦題:『麗-花萌ゆる8人の皇子たち』)で広く知られるようになりました。
- 趙麗穎(チャオ・リーイン): 1987年生まれ、河北省出身ですが、湖南省のドラマ制作に関与。『花千骨』や『楚喬伝』で主演を務め、中国を代表する女優の一人。
- エイダ・リュウ(柳岩):1980年、衡陽市生まれ。2024年の『乘风2024』出演を機に薩頂頂とのコラボや番組関連の投稿で話題に。
- ツゥオ・シャオチン(左小青):1977年、長沙市生まれ。北京電影学院卒業に芸術体操の国家選手から転身し、1993年に映画『陽光燦爛的日子』でデビュー。2004年のドラマ『中国式離婚』で注目を集める。
まとめ
湖南省は、豊かな自然と歴史、文化が融合した魅力的な地域です。戦国時代から現代まで、その歴史は中国の発展に大きく寄与してきました。芸術面では、書道や刺繍、地方劇が地域の個性を示し、映画では美しい風景が世界に紹介されています。また、多くの才能ある女優が湖南省にゆかりを持ち、国内外で活躍しています。湖南省の多様な魅力は、今後も多くの人々を引きつけることでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い