『噂のギャンブラー』(原題:Lay the Favorite)は、2012年公開のアメリカ・イギリス合作のコメディドラマ。実在の女性ギャンブラー、ベス・レイマーの自伝を基に、スポーツ賭博の世界に飛び込む女性の波乱万丈な人生を描く。監督はスティーヴン・フリアーズ。主演のレベッカ・ホールは持ち前の知性とエネルギッシュな演技で、物語の中心として圧倒的な存在感を発揮。
基本情報
- 邦題:噂のギャンブラー
- 原題:Lay the Favorite
- 公開年:2012年
- 製作国:米国
- 上映時間:94分
あらすじ
フロリダ州でストリッパーとして働くベス・レイマーは、単調な生活に嫌気が差し、夢の舞台であるラスベガスへ移住します。そこでカジノのウェイトレスとして働き始めた彼女は、同じモーテルに住むホリーの紹介で、凄腕のスポーツ賭博師ディンクと出会います。ディンクのアシスタントとして雇われたベスは、持ち前の明るさと数学的才能を発揮し、賭博の世界で頭角を現します。しかし、ディンクの妻チューリップの嫉妬や、賭博の違法性にまつわるトラブルが彼女を待ち受けます。ベスはニューヨークやカリブ海へと活動の場を広げ、恋愛や友情を織り交ぜながら、自身の道を切り開いていきます。実話に基づくこの物語は、彼女の型破りな人生と成長をユーモラスに描き出します。
女優の活躍
本作の主演を務めるレベッカ・ホール(ベス・レイマー役)は、持ち前の知性とエネルギッシュな演技で、物語の中心として圧倒的な存在感を発揮しています。ベスというキャラクターは、天真爛漫でありながらも鋭い直感と計算能力を持つ女性で、ホールは彼女の複雑な魅力を巧みに表現。ストリッパーから賭博の世界へ飛び込む大胆さと、時に無鉄砲な行動を取る人間味を、生き生きと演じています。特に、ディンクとの軽妙なやりとりや、賭博の現場での緊張感あるシーンでは、ホールの感情表現が光ります。彼女の演技は批評家からも高く評価され、本作の数少ない好評ポイントの一つとなりました。
一方、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ(チューリップ役)は、ディンクの妻として強烈な個性を放ちます。ゼタ=ジョーンズは、嫉妬深いがどこか憎めない女性像を見事に演じ、ベスとの対立を通じて物語に深みを加えています。彼女の登場シーンは少なくとも、貫禄ある演技で観客を引き込み、コミカルかつドラマチックな場面で存在感を示します。この二人の女優の対比が、物語にユーモアと緊張感をもたらしています。
女優の衣装・化粧・髪型
レベッカ・ホールの衣装は、ベスのキャラクターの変遷を反映しています。物語冒頭のフロリダでのストリッパー時代では、派手なビキニや露出度の高いコスチュームが登場。明るいピンクやグリッター素材の衣装は、彼女の若さと奔放さを強調します。ラスベガスに移ってからは、カジュアルなTシャツやショートパンツが中心となり、親しみやすい雰囲気を演出。賭博の世界に深く関わるにつれ、ビジネスカジュアルなブラウスやスカートが登場し、プロフェッショナルな一面を表現しています。化粧は、ストリッパー時代は濃いアイラインとリップが特徴的ですが、ラスベガス以降はナチュラルメイクに変化し、ベスの成長を視覚的に示します。髪型は、ロングのブロンドヘアをルーズに下ろしたスタイルが基本で、場面によってはポニーテールや軽く巻いたスタイルで変化を加えています。
キャサリン・ゼタ=ジョーンズの衣装は、チューリップの派手で自信に満ちた性格を反映。タイトなドレスや高級感あるアクセサリーが多用され、ゴージャスな印象を与えます。化粧は、濃い目のアイシャドウと鮮やかな赤リップで、彼女の強い個性を強調。髪型は、滑らかなウェーブのかかったロングヘアで、エレガントかつ威圧的な雰囲気を漂わせます。彼女のスタイリングは、ベスとの対比を際立たせ、物語のドラマ性を高めています。
解説
『噂のギャンブラー』は、ベス・レイマーの自伝『Lay the Favorite: A Memoir of Gambling』を原作としたコメディドラマです。監督のスティーヴン・フリアーズは、『クィーン』や『ハイ・フィデリティ』で知られる実力派で、本作では軽快なテンポとユーモアを織り交ぜつつ、ギャンブルの裏社会を描いています。しかし、批評家からは賛否両論で、特にスポーツ賭博の複雑な仕組みが十分に説明されていない点や、キャラクターの深掘りが不足している点が批判されました。Rotten Tomatoesでは支持率18%、Metacriticで38/100と厳しい評価を受けています。それでも、レベッカ・ホールとブルース・ウィリスの演技は好評で、ユーモラスな掛け合いや実話ベースのユニークなストーリーが一部の観客に愛されました。
本作は、ギャンブルという題材を通じて、女性の自立と成長を描く作品でもあります。ベスは単なる「運のいい女」ではなく、数学的才能と直感を武器に男社会で成功を収める姿が描かれ、現代的なヒーロー像を提示します。ただし、映画の焦点がコメディとドラマの間で揺れ、賭博の世界のスリルや緊張感がやや希薄に感じられる点は否めません。興行的にも失敗に終わり、1400万ドルの製作費に対し全世界で150万ドルの収益に留まりました。それでも、実話に基づくユニークな視点と、豪華キャストの軽妙な演技は、特定の観客層に訴求する魅力を持っています。
キャスト
- レベッカ・ホール:ベス・レイマー(主人公、元ストリッパーで賭博師に転身)
- ブルース・ウィリス:ディンク・ハイム(凄腕のスポーツ賭博師)
- キャサリン・ゼタ=ジョーンズ:チューリップ(ディンクの妻)
- ジョシュア・ジャクソン:ジェレミー(ベスの恋人)
- ヴィンス・ヴォーン:ロージー(賭博関係者)
- ローラ・プリポン:ホリー(ベスの友人)
- フランク・グリロ:フランキー(賭博関係者)
- ウェンデル・ピアース:デイヴ(賭博関係者)
- コービン・バーンセン:ジェリー(ベスの父親)
スタッフ
- 監督:スティーヴン・フリアーズ
- 脚本:D・V・デビンセンティス
- 原作:ベス・レイマー(『Lay the Favorite: A Memoir of Gambling』)
- 製作:ジョージ・クローニー、ジェフリー・レヴィ=ヒント、ポール・トライビッツ
- 撮影:マイケル・マクドノー
- 編集:ミック・オーズリー
- 音楽:クリストファー・ピーターソン
- 配給:ファインフィルムズ(日本)、The Weinstein Company(アメリカ)
総括
『噂のギャンブラー』は、実在の女性ギャンブラー、ベス・レイマーの型破りな人生をユーモラスに描いた作品です。レベッカ・ホールとブルース・ウィリスの軽妙な演技、キャサリン・ゼタ=ジョーンズの存在感が光る一方、物語の焦点のブレや賭博世界の描写の浅さが批評家の不評を買いました。それでも、個性的なキャラクターと実話ベースのストーリーは、気軽に楽しみたい観客に一定の魅力を提供します。衣装やスタイリングもキャラクターの個性を引き立て、視覚的な楽しみを加えています。コメディとドラマの融合を求める方や、ユニークな実話映画に興味がある方におすすめの作品です。
レビュー 作品の感想や女優への思い