リウ・タオ(劉涛)は中国の女優、歌手、司会者。代表作に『天龍八部』『白蛇伝』『ミーユエ 王朝を照らす月』など。理想の恋人像として人気を博し、ライブ配信でも成功を収めた国民的スター。以下では、中国の女優リウ・タオの生い立ち・教育、経歴、私生活、出演作品をお伝えいたします。
プロフィール
各種表記
- 繁体字:劉濤
- 簡体字:刘涛
- 拼音:liú tāo
- ラテン字:Liu Tao
- 発音転記:リウ・タオ、リュウ・タオ
- 英語名:Tamia Liu
生い立ち・教育
リウ・タオは1978年7月12日、中国江西省南昌市西湖区に生まれました。幼少期についての詳細な情報は限られていますが、比較的普通の家庭で育ったとされています。彼女の生い立ちで特筆すべきは、15歳という若さで軍務に就いた経験です。1993年、彼女は南京軍区前線文工団に文艺兵(文芸兵)として入団しました。この時期、彼女は軍の文化活動に参加し、舞台公演やパフォーマンスを通じて表現力を磨いたと考えられます。1994年から1996年までは、南京軍区(安徽省滁州市駐屯)の話務班で通信兵として勤務しました。この軍務経験は、彼女の規律正しさや責任感を育む一因となったでしょう。1996年に軍を退役し、同年、中国共産党の予備党員となり、1997年に正式党員となりました。
退役後、1998年に広州外語外貿大学に入学し、法律学を専攻しました。大学では法律の知識を学びながら、将来のキャリアについて模索していたとされています。軍務と学業を通じて、彼女は多様な経験を積み、後の芸能活動における強固な基盤を築きました。この時期、彼女はまだ芸能界への進出を明確に志していたわけではなく、偶然の機会が彼女をエンターテインメントの世界へと導くことになります。
経歴
リウ・タオの芸能界デビューは2000年で、広東テレビ制作のシチュエーション・コメディ『外来媳婦本地郎』への出演がきっかけでした。この作品は地元で人気のドラマであり、彼女にとって芸能界への第一歩となりました。2003年に転機が訪れます。金庸原作の武侠ドラマ『天龍八部』で、主人公蕭峯の恋人・阿朱役を演じ、一躍注目を集めました。この役は、彼女の清純で愛らしいイメージを確立し、“理想の恋人”や“妻にしたい女性”として視聴者から広く愛されるきっかけとなりました。同年、ドラマ『還珠格格3之天上人间(マイ・フェア・プリンセスIII)』でミャンマーの公主・慕沙役を演じ、さらに知名度を上げました。
その後も、リウ・タオは時代劇を中心に活躍。2006年の『白蛇伝』では、伝説的なヒロイン・白娘子を演じ、その優雅で気品ある演技が高く評価されました。この作品で彼女は幅広い視聴者層から支持を得て、中国を代表する女優の一人としての地位を確立しました。2009年には『大理公主』で初の悪役に挑戦し、ルビー・リン(林心如)と共演。新しい役柄への挑戦は、彼女の演技の幅を広げる機会となりました。2012年の『媽祖』では海の女神・媽祖を演じ、神秘的かつ力強いキャラクターを体現。2015年には『琅琊榜(Nirvana in Fire)』や『ミーユエ 王朝を照らす月』で重要な役を演じ、歴史ドラマでの存在感を示しました。また、同年の『歓楽頌(Ode to Joy)』では現代的な女性像を演じ、若い世代からも支持を集めました。
リウ・タオは女優業だけでなく、歌手や司会者としても活動。近年ではライブ配信での成功も顕著で、2020年に始めたライブコマースでは驚異的な売上を記録しました。初回配信で4時間で6.4億台湾ドル(約25億円)の売上を達成し、10秒で10軒の家を売るなど、“販売の女王”として称賛されました。2022年にライブ配信活動を終了しましたが、彼女のビジネスセンスとカリスマ性は広く認められています。
私生活
リウ・タオの私生活は、彼女の公的なイメージである“国民賢妻”と深く結びついています。2007年9月26日、彼女は実業家の王珂(ワン・クー)と出会ってわずか20日で結婚。2008年1月6日に盛大な結婚式を挙げ、同時に芸能界からの引退を発表しました。2008年に長女、2009年に長男が生まれ、彼女は家庭を優先する生活を選びました。しかし、結婚から数年後、夫の王珂が投資の失敗で破産。リウ・タオは家族を支えるため、2010年に芸能界に復帰しました。4年間で25本のドラマに出演し、“拼命三娘(必死に働く女性)”と呼ばれるほどの精力的な活動で夫の借金を完済。この一連の行動は、彼女を“理想の妻”としてさらに多くの人々に愛される存在にしました。夫の王珂もその後再起を果たし、彼女の献身が家族の絆を強めたとされています。
リウ・タオはソーシャルメディアでも積極的に発信しており、2021年には化粧をしない自然な姿で運動する写真を公開。42歳とは思えない健康的な美貌が話題となりました。彼女の飾らない人柄と、家族や仕事に対する誠実な姿勢は、ファンから高く評価されています。
出演作品
リウ・タオの代表的な出演作品を以下に挙げます。彼女は時代劇から現代劇まで幅広いジャンルで活躍し、その演技力が高く評価されています。
TV
- 外来媳婦本地郎(2000年):芸能界デビューのシチュエーション・コメディ。
- 還珠格格3之天上人间(2003年):慕沙役で注目を集める。
- 天龍八部(2003年):阿朱役でブレイク。“理想の恋人”イメージを確立。
- 白蛇伝(2006年):白娘子役で国民的ヒロインに。
- 大理公主(2009年):初の悪役挑戦。ルビー・リンと共演。
- 媽祖(2012年):海の女神・媽祖を演じ、神秘的な魅力を発揮。
- 老有所依(2013年):高齢者問題を描いた社会派ドラマ。
- 琅琊榜(Nirvana in Fire)(2015年):歴史ドラマでの重厚な演技。
- ミーユエ 王朝を照らす月(2015年):壮大な歴史劇で重要な役を担当。
- 歓楽頌(Ode to Joy)(2016年):現代女性の友情と成長を描く人気作。
その他の活動
- 歌手としてシングルやアルバムをリリース。ドラマの主題歌も担当。
- ライブコマースでの活動(2020年~2022年):販売実績で“販売の女王”と称される。
総括
リウ・タオは、軍務や学業を通じて培った規律正しさと努力を基盤に、芸能界で確固たる地位を築いた女優です。『天龍八部』や『白蛇伝』での清純なイメージから、『琅琊榜』などの重厚な役柄まで、幅広い演技で観客を魅了。家族を支えるために芸能界に復帰し、ライブ配信でも成功を収めるなど、彼女の多才さと人間性が際立っています。リウ・タオは、現代中国を代表する“国民的賢妻”であり、女優としての輝きを今後も放ち続けるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い