『ワンナイト・カップル』(2015年/韓国)は、元恋人の結婚式で出会ったジョンフンとシフが、酔った勢いで一夜を共にするところから始まるロマンティックコメディ。シフの提案でコーヒーショップのスタンプを10個貯めるまで関係を続けることに。スタンプが溜まるにつれ、二人の心に変化が生まれる。ユン・ゲサン、ハン・イェリ主演。以下では女優の活躍、衣装・化粧・髪型、あらすじ、解説、キャスト、スタッフをまとめています。
基本情報
- 邦題:ワンナイト・カップル
- 原題:극적인 하룻밤
- 英題:LOVE GUIDE FOR
- 公開年:2015年
- 製作国:韓国
- 上映時間:107分
見どころ
慰めあうだけの関係がいつしかお互い気になる存在になっていく、そんな心の変化に胸がときめく。純愛とエロティックが同居したテンポの良い展開で、恋の素晴らしさを実感。
あらすじ
ユ・ジョンフン(ユン・ゲサン)は臨時教員として働く男性で、元恋人の結婚式に参列するが、内心では失恋の傷を引きずっています。一方、シフ(ハン・イェリ)は料理人として働き、同じく元恋人の結婚式に出席し、複雑な気持ちを抱えています。結婚式の二次会で出会った二人は、酒に酔った勢いで意気投合し、ジョンフンのマンションで一夜を共にしてしまいます。しかし、翌朝、シフが大量の薬を飲んで倒れているのを発見したジョンフンは、慌てて彼女を病院へ運びます。幸い命に別状はなかったものの、シフの衝動的な行動に驚くジョンフン。
シフは、失恋の痛みを紛らわすため、ジョンフンに一夜限りの関係を続けることを提案します。そのルールは、会うたびにコーヒーを飲み、コーヒークーポン券にスタンプを10個貯めるまで体の関係を維持し、10個貯まったら関係を解消するというもの。この奇妙な「失恋克服クーポン券」による交際が始まります。
最初は気軽な関係だった二人ですが、スタンプが貯まるにつれて互いの心に変化が生まれます。ジョンフンはシフの天真爛漫さに惹かれ、シフもジョンフンの不器用ながら優しい一面に心を開いていきます。しかし、シフの元恋人ジュンソク(パク・ビョンウン)が再び現れ、ジョンフンの心に嫉妬が芽生えます。ジュンソクとの再会をきっかけに、二人の関係は揺れ動き、互いの本当の気持ちに向き合うことになります。果たして、体の関係から始まった二人の間に本物の愛は芽生えるのか? スタンプ10個目の結末とは?
解説
『ワンナイト・カップル』は、現代の恋愛における複雑な感情や人間関係をユーモアと温かさで描いた作品です。この映画の魅力は、恋愛における「不器用さ」と「成長」を丁寧に描いている点にあります。ジョンフンとシフは、ともに失恋の傷を抱え、表面的にはクールに振る舞おうとしますが、内面では脆さや不安を抱える等身大のキャラクターです。このリアルな人間像が、観客に共感を呼び起こします。
特に、シフが提案する「コーヒークーポン券」というユニークな設定は、恋愛におけるルールや駆け引きを象徴しており、物語に軽快なリズムを与えています。この設定は、一見コミカルですが、恋愛における心の変化やタイミングの重要性を浮き彫りにし、物語に深みを加えています。また、韓国のラブコメディらしい軽やかなテンポと、シリアスな感情のバランスが絶妙で、笑いと感動の両方を楽しめる作品となっています。
監督のハ・ギホは、ユン・ゲサンとハン・イェリの自然体な演技を引き出し、日常的な会話や仕草を通じて二人の関係性の変化を丁寧に描いています。韓国映画特有の情感豊かな演出と、現代的な恋愛観が融合した本作は、恋愛に疲れた大人たちに「もう一度恋をしてみよう」と思わせるメッセージを伝えています。
女優の活躍
本作のヒロイン、チョン・シフを演じたハン・イェリは、この映画でラブコメディ初挑戦ながら、鮮烈な印象を残しました。ハン・イェリは、1984年12月23日生まれの韓国出身の女優で、映画やドラマで幅広い役柄を演じてきた実力派です。彼女は「海にかかる霧」(2014年)での大胆な演技や、「ミナリ」(2020年)での繊細な家族愛の表現で国際的に注目を集めていますが、本作ではこれまでとは異なる明るくチャーム溢れる一面を見せています。
ハン・イェリ演じるシフは、天真爛漫で少し破天荒な性格の女性です。失恋の痛みを抱えながらも、前向きに振る舞う彼女のキャラクターは、ハン・イェリの自然体な演技によって生き生きと描かれています。特に、シフがジョンフンと軽妙な掛け合いをするシーンでは、彼女のコミカルなタイミングと愛らしい表情が光ります。一方で、シフが過去の恋愛の傷を吐露するシーンでは、感情の機微を繊細に表現し、観客の心を掴みます。このバランスの取れた演技が、シフというキャラクターに深みを与え、物語の感情的な軸を支えています。
ハン・イェリは、本作での演技が評価され、以降も多様なジャンルの作品に出演。彼女の国際的な活躍は、「ミナリ」でアカデミー賞ノミネート作品に出演したことでさらに加速しました。本作は、彼女のラブコメディでの才能を示す重要な一歩であり、観客に彼女の新たな魅力を発見させる作品となりました。
女優の衣装・化粧・髪型
ハン・イェリの衣装、化粧、髪型は、シフのキャラクター性を強調し、物語のトーンにマッチしたものとなっています。以下に詳細を解説します。
衣装
シフの衣装は、料理人としてのカジュアルさと、若い女性らしい可愛らしさを両立させています。物語の冒頭、結婚式のシーンでは、シフはシンプルながらエレガントなワンピースを着用。淡い色調のドレスは、彼女の明るい性格を反映しつつ、失恋の傷を抱える繊細さをほのかに感じさせます。普段のシーンでは、カジュアルなデニムやTシャツ、ゆったりとしたニットなど、リラックスしたスタイルが中心。これらは、シフの天真爛漫で飾らない性格を表現しています。特に、ジョンフンとのデートシーンでは、女性らしい花柄のトップスやスカートが登場し、恋愛の進展とともに彼女の柔らかい魅力が強調されます。料理人としてのシーンでは、白いシェフコートを着用し、プロフェッショナルな一面も垣間見えます。
化粧
ハン・イェリのメイクは、ナチュラルさを基調としています。シフのキャラクターは、派手さよりも自然体の美しさが求められるため、薄めのベースメイクに、ピンクやコーラル系のチークとリップが使用されています。これにより、彼女の若々しさと親しみやすさが引き立っています。結婚式のシーンでは、控えめなアイメイクと赤みのあるリップで、華やかさを加えつつもやりすぎないバランスが保たれています。物語が進むにつれ、シフの感情の変化に合わせて、化粧も微妙に変化。恋心が芽生えるシーンでは、柔らかいピンク系のメイクで女性らしさが強調されます。
髪型
ハン・イェリの髪型は、シフの自由奔放な性格を反映したものが多く、セミロングのナチュラルなウェーブヘアが基本です。普段は髪を下ろしたカジュアルなスタイルで、動きのあるウェーブが彼女の活発さを表現。デートシーンでは、ゆるく結んだポニーテールやハーフアップで、女性らしい柔らかさをプラスしています。料理人として働くシーンでは、衛生面を考慮して髪をまとめ、プロフェッショナルな印象を与えます。髪色のトーンは自然なダークブラウンで、シフの飾らない魅力を引き立てています。
これらの衣装、化粧、髪型は、シフのキャラクターの成長と恋愛の進展を視覚的に表現する重要な要素となっており、ハン・イェリの魅力を最大限に引き出しています。
キャスト
- ユ・ジョンフン役:ユン・ゲサン…臨時教員の男性で、元恋人の結婚式に参列するが、内心では失恋の傷を引きずる。クールなふりをしつつも不器用な性格が魅力。ユン・ゲサンは「最高の愛 ~恋はドゥグンドゥグン~」で知られ、本作でもコミカルさと繊細さを両立した演技を見せる。
- チョン・シフ役:ハン・イェリ…料理人で、天真爛漫だが失恋の痛みを抱える女性。ハン・イェリは本作でラブコメ初挑戦ながら、明るさと脆さを絶妙に演じ分ける。
- ジュンソク役:パク・ビョンウン…シフの元恋人で、物語の後半で再登場し、ジョンフンの嫉妬を誘う。パク・ビョンウンは「恋愛の温度」などに出演。
- パク・ヒョジュ…脇役として物語に彩りを添える。彼女は「2度目の二十歳」などに出演し、安定した演技力を持つ。
- チョン・スヨン…助演として登場し、物語の軽快な雰囲気を支える。
スタッフ
- 監督・脚本:ハ・ギホ…「ラジオデイズ」などで知られるハ・ギホが監督・脚本を担当。日常のディテールを丁寧に描き、恋愛の機微をユーモラスに表現。
- 製作:STORIGEE Co., Ltd.、YEONWOO MOODAE Co., Ltd.…韓国映画らしい情感豊かなプロダクション。
- 撮影:自然光を活かした柔らかい映像美が特徴で、ソウルの街並みやカフェの雰囲気を効果的に捉える。
- 音楽:軽快なメロディと情感を揺さぶるバラードが、物語のトーンを支える。
- 編集:テンポの良いカット割りで、ラブコメらしいリズム感を演出。
総括
『ワンナイト・カップル』は、恋愛における不器用さと成長をテーマにした、ユーモアと感動のバランスが絶妙なラブコメディです。ハン・イェリの天真爛漫な魅力とユン・ゲサンの不器用な誠実さが、物語に温かみを加え、観客に共感と笑いを提供します。コーヒークーポン券というユニークな設定を通じて、恋愛のタイミングや心の変化を描いた本作は、恋に疲れた大人に希望を与える作品です。衣装やメイク、髪型もキャラクターの個性を引き立て、視覚的にも楽しめる一作となっています。

レビュー 作品の感想や女優への思い