ミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)は、マレーシア出身の女優・プロデューサー。『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』や『グリーン・デスティニー』で世界的スターに。バレエと武術を融合したアクションで知られ、2023年に『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー主演女優賞を受賞。ハリウッドとアジアで活躍。
プロフィール
- ミシェル・ヨー(Michelle Yeoh)
- 本名:楊紫瓊
- 生年月日:1962年8月6日(62歳)
- 出生地:マレーシアペラ州イポー
- 身長:163cm
- ジャンル:女優
- 活動期間:1983年~現在
- 配偶者:ディクソン・プーン(1988年~1992年)
- ジャン・トッド(2004年~)
生い立ち・教育
ミシェル・ヨー(楊紫瓊、Michelle Yeoh Choo Kheng)は、1962年8月6日にマレーシアのイポーで、中国系マレーシア人の家庭に生まれました。父のヨー・キアン・テックは弁護士で実業家、母のジャネット・ヨーは主婦で、比較的裕福な環境で育ちました。4歳からバレエを始め、幼少期からダンスへの情熱を示しました。彼女の多文化的な背景(広東語、英語、マレー語を話す)により、国際的な視野を持つようになりました。
15歳のとき、バレエをさらに追求するため、イギリスのロンドンにあるロイヤル・アカデミー・オブ・ダンスに留学しました。そこでクラシックバレエを学び、ダンスの技術と身体のコントロールを磨きました。しかし、脊椎の怪我により、プロのバレリーナとしてのキャリアを断念せざるを得ませんでした。この挫折は、彼女を演技とアクションの世界へと導く転機となりました。マレーシアに帰国後、1983年にミス・マレーシアのコンテストで優勝し、芸能界への道が開けました。彼女の教育は、バレエを通じて培った身体能力と規律が基盤となり、後のアクション女優としての成功に大きく貢献しました。
経歴
ミシェル・ヨーの芸能キャリアは、1980年代初頭に香港で始まりました。ミス・マレーシア優勝後、香港の広告会社でコマーシャルに出演し、1984年にサモ・ハン(洪金寶)やジャッキー・チェン(成龍)と共演した『フライング・ドラゴン(The Owl vs Bumbo)』で映画デビュー。この作品で、彼女はアクションシーンに初挑戦し、注目を集めました。1985年の『皇家戦士(Royal Warriors)』と『ポリス・ストーリー/香港国際警察(Police Story)』で、アクション女優としての地位を確立。彼女は、スタントを自ら演じることで知られ、バレエで鍛えた身体能力を活かし、危険なアクションにも果敢に挑みました。
1992年、ユン・ピョウやマギー・チャンらと共演した『ポリス・ストーリー3(Police Story 3: Super Cop)』では、ジャッキー・チェンと対等に渡り合うアクションを披露し、国際的な評価を得ました。この作品は、彼女のハリウッド進出への足がかりとなりました。1997年、ジェームズ・ボンド映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ(Tomorrow Never Dies)』でピアース・ブロスナン演じるボンドの相棒ワイ・リン役を演じ、世界的なスターに。彼女のアクションと知的な魅力は、ボンドガールの枠を超えた存在感として高く評価されました。
2000年の『グリーン・デスティニー(Crouching Tiger, Hidden Dragon)』では、アン・リー監督のもと、ユー・シューリン役で情感豊かな武侠アクションを披露。アカデミー賞外国語映画賞を受賞したこの作品は、彼女の演技力と武術の融合を世界に示し、アジア映画の国際的地位を高めました。その後も、『ザ・タイガー(The Touch)』(2002年、プロデューサー兼主演)、『SAYURI』(2005年)、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.2』(2017年)など、ハリウッドとアジアの両方で活躍。
2022年の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(Everything Everywhere All at Once)』では、エヴリン・ワン役で主演。このマルチバースをテーマにした作品で、コミカルからシリアスまで幅広い演技を披露し、2023年にアカデミー賞主演女優賞を受賞。アジア人女性として初の快挙であり、彼女のキャリアの頂点となりました。彼女はまた、プロデューサーとしても活動し、自身の製作会社ミシック・フィルムズを設立。2024年にはNetflixの『ウィッチャー』スピンオフや『ブレイド・ランナー2099』に出演し、精力的に活動を続けています。
私生活
ミシェル・ヨーの私生活は、彼女のキャリアと同様に注目されてきました。1988年に香港の実業家ディクソン・プーン(潘迪生)と結婚し、一時的に女優業を引退して家庭に専念しました。しかし、1992年に離婚し、女優業に復帰。この結婚では子供は生まれませんでした。その後、2004年に元フェラーリCEOで国際自動車連盟(FIA)会長のジャン・トッドと婚約。2014年にスイスで結婚し、現在もパートナーとして支え合っています。子供はいませんが、トッドの連れ子であるニコラス・トッドと良好な関係を築いています。
ヨーは、マレーシアと香港を拠点にしつつ、国際的な生活を送っており、慈善活動にも積極的です。国連開発計画(UNDP)の親善大使として交通安全や持続可能な開発を支援し、2023年には国際オリンピック委員会(IOC)委員に選出されました。彼女の私生活は、仕事とプライベートのバランスを重視し、家族や社会貢献に重きを置く姿勢が反映されています。
出演作品
ミシェル・ヨーの出演作品は、アクション、ドラマ、SFなど多岐にわたり、彼女の多才さを示しています。以下は主要な作品の一部です。
映画
- フライング・ドラゴン(The Owl vs Bumbo)(1984年):サモ・ハン、ジャッキー・チェンと共演したデビュー作。
- 皇家戦士(Royal Warriors)(1985年):刑事役でアクションを披露。彼女のスタント技術が注目された。
- ポリス・ストーリー/香港国際警察(Police Story)(1985年):ジャッキー・チェンとの共演で、危険なスタントを自ら演じた。
- ポリス・ストーリー3(Police Story 3: Super Cop)(1992年):ジャッキー・チェンとのダイナミックなアクションで国際的評価を得た。
- 007 トゥモロー・ネバー・ダイ(Tomorrow Never Dies)(1997年):ワイ・リン役でボンドガールとして活躍。アクションと知性を融合。
- グリーン・デスティニー(Crouching Tiger, Hidden Dragon)(2000年):ユー・シューリン役で武侠アクションとドラマを融合。アカデミー賞外国語映画賞受賞。
- ザ・タイガー(The Touch)(2002年):主演兼プロデューサー。冒険アクション映画。
- SAYURI(Memoirs of a Geisha)(2005年):マメハ役で、日本の芸者文化を描いたドラマに出演。
- サンシャイン(Sunshine)(2007年):SF映画で宇宙船の乗組員役。
- バビロンA.D.(Babylon A.D.)(2008年):ヴィン・ディーゼルと共演のSFアクション。
- カンフー・パンダ2(2011年):声優として占い師のヤギ役を担当。
- ザ・レディ アウンサンスーチー ひき裂かれた愛(The Lady)(2011年):アウンサンスーチー役で伝記ドラマに主演。
- ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.2(2017年):マーベル映画でアリータ役。
- クレイジー・リッチ!(Crazy Rich Asians)(2018年):裕福な家の母エレノア役で、アジア系キャストのハリウッド映画に出演。
- エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(Everything Everywhere All at Once)(2022年):エヴリン・ワン役でアカデミー賞主演女優賞受賞。
TV
- ストライクバック:極秘ミッション(Strike Back)(2015年):アクションドラマでゲスト出演。
- スタートレック:ディスカバリー(Star Trek: Discovery)(2017年~2020年):フィリッパ・ジョージャウ役でSFドラマに出演。
- ウィッチャー(The Witcher)(2024年):Netflixシリーズのスピンオフで重要な役を予定。
- ブレイド・ランナー2099(Blade Runner 2099)(2024年):Amazon PrimeのSFシリーズに出演予定。
まとめ
ミシェル・ヨーは、マレーシア出身の国際的な女優として、香港のアクション映画からハリウッドの大作まで幅広いキャリアを築きました。バレエで培った身体能力と武術を融合させたアクションで、『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』や『グリーン・デスティニー』で世界的な名声を得ました。『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でのアカデミー賞受賞は、彼女の演技力の集大成であり、アジア人女優の歴史的快挙となりました。私生活では、ジャン・トッドとの結婚や慈善活動を通じて、バランスの取れた人生を送っています。彼女の作品は、アジアと西洋の映画文化を繋ぐ架け橋として、今後も影響を与え続けるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い