ニナ・ハートレー（Nina Hartley）は米国のポルノ女優、映画監督、性教育者。バークレー出身で、看護師資格を持ち、成人映画産業で活躍。フェミニストとして性教育にも貢献。
プロフィール
- 名前：ニナ・ハートレー（Nina Hartley）
- 本名：マリー・ルイズ・ハートマン（Marie Louise Hartman）
- 生年月日：1959年3月11日（66歳）
- 出生地：米国カリフォルニア州バークレー
生い立ち・教育
ニナ・ハートレーは、1959年3月11日に米国カリフォルニア州バークレーで生まれました。本名はマリー・ルイズ・ハートマン（Marie Louise Hartman）です。彼女は社会主義を信奉するユダヤ人の家庭に生まれ、サンフランシスコ・ベイエリアで育ちました。両親はともにアメリカ共産党（CPUSA）のメンバーであり、父親のルイス・ハートマンは1957年に共産主義の信念を理由にブラックリストに載せられた経験を持ちます。両親は後に仏教に改宗し、母親のブランシュ・ハートマンは禅僧としても活動していました。ハートレーの祖父はアラバマ大学の物理学教授で、1930年代に共産党員であったことも知られています。このような型破りな家庭環境が、彼女の価値観やキャリア選択に影響を与えたと考えられます。
ハートレーは学業においても優秀で、サンフランシスコ州立大学の看護学部に進学しました。1985年に優秀な成績で卒業し、看護師の資格を取得しています。この教育背景は、彼女が後に性教育者として活動する際の基盤となりました。ティーンエイジャーの頃、彼女は「私の身体、私のルール」というスローガンに影響を受け、フェミニストとしての自覚を深めました。この考え方は、彼女の成人映画産業でのキャリアや性に対するオープンな姿勢に反映されています。
経歴
ハートレーのキャリアは、1982年に看護学校の2年生の時に始まりました。彼女はサンフランシスコのミッチェル・ブラザーズ・オファーレル劇場でストリッパーとして働き始めました。この時期、彼女は「ニナ」という名前を選びました。これは、日本人観光客にとって発音しやすい名前であったためです。また、姓の「ハートレー」は、当時マリエット・ハートレーがジェームズ・ガーナーと共演していたカメラのコマーシャルにインスパイアされたもので、本名のハートマンに近い響きを持ちつつ、本物の人物らしい名前にしたかったと述べています。
1984年、看護学校3年生の時に、彼女はポルノ映画業界に進出しました。デビュー作は、ベテランポルノ女優ジュリエット・アンダーソンがキャスティングと監督を務めた『Educating Nina』でした。この作品をきっかけに、彼女は成人映画産業で注目を集めるようになります。ハートレーは、活気のある臀部（「業界最高の尻」と称されることも）、アナルセックスシーン、異人種間のセックスシーン、レズビアンシーンで特に知られるようになりました。2017年までに、彼女は1,000本以上の成人映画に出演し、業界のレジェンドとしてCNBCに称されました。
ポルノ女優としての活動に加え、ハートレーは映画監督としても活躍しています。特にBDSMをテーマにした作品で知られ、夫のアイラ・レヴァイン（芸名：アーネスト・グリーン）と共同で『The Ultimate Guide to Anal Sex for Women』や『O嬢の性癖 (O: the Power of Submission)』などの作品に携わりました。これらの作品では、彼女は重要な役を演じつつ、性教育の側面も強調しています。また、彼女は多数の賞を受賞しており、AVN殿堂やXRCO殿堂に名を連ねるなど、業界での功績が認められています。
ハートレーは性教育者としても活動し、自身の経験を活かしてセックスに関するオープンな議論を推進しています。彼女は『Nina Hartley’s Guide to Total Sex』（2006年）や『How to Be Kinkier』（2012年）などの書籍を出版し、性教育の普及に努めました。また、テレビ番組やトークショーに出演し、成人映画産業の権利を擁護する発言を行いました。特に、ジェナ・ジェイムソンがスターダムにのぼる以前は、プロの視点から理路整然と業界を擁護できる女優として、オプラ・ウィンフリー・ショーに頻繁に出演しました。彼女は同僚のオナ・ジーと共に、女性視聴者からの厳しい質問にも毅然と対応し、業界での違法薬物使用には強く反対する立場を示しました。
ハリウッド映画にも進出し、1997年の『ブギーナイツ』ではウィリアム・H・メイシーの不貞な妻役を演じ、1996年のカナダ映画『Bubbles Galore』にも出演しました。これらの出演は、彼女の演技力が高く評価された証です。
私生活
ハートレーは私生活においてバイセクシャルであることを公表しています。19歳の時に出会った夫デイブと、女性パートナーのボビー・リリーとの三人での共同生活を20年間続けました。この関係は成人映画業界で最も長く安定した関係とされていましたが、後に解消されました。ハートレーはこの関係について、「私は未熟で、彼は独占欲が強すぎた。3人の関係が間違っていたため終わった」と振り返っています。
その後、彼女はポルノ映画監督のアイラ・レヴァイン（芸名：アーネスト・グリーン）と再婚しました。レヴァインとは仕事でも協力し、性教育やBDSMをテーマにしたプロジェクトで共同作業を行っています。彼女には子供はいませんが、夫との関係は良好で、共にセックスガイドの制作にも取り組んでいます。ハートレーの性的指向はバイセクシャルであり、彼女の作品や発言にもその視点が反映されています。
政治的には社会主義者であり、セックスに対して率直でポジティブなフェミニストとして知られています。彼女は女性に対し、「セックスは男性があなたに行うものではなく、あなたが喜びを持って飛び込むもの」と語り、性の自主性を強調しています。この姿勢は、彼女の性教育活動や業界での発言に一貫して見られます。
出演作品
- Educating Nina（1984年）：ハートレーのデビュー作。ジュリエット・アンダーソンが監督・キャスティング。
- The Ultimate Guide to Anal Sex for Women：アイラ・レヴァイン（アーネスト・グリーン）との共同作品。性教育を重視。
- O嬢の性癖（O: the Power of Submission）：BDSMをテーマにした作品で重要な役を演じる。
- ブギーナイツ（1997年）：ハリウッド映画でウィリアム・H・メイシーの妻役。
- Bubbles Galore（1996年）：カナダ映画に出演。
レビュー 作品の感想や女優への思い