スカーレット・ヨハンソンは、1984年ニューヨーク生まれのアメリカ人女優で、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)のブラック・ウィドウ役で世界的に知られる。2024年と2025年は、彼女のキャリアにおいて転機の年となった。主演映画のヒット、監督デビュー、スキンケアブランドの拡大、AI関連の論争、そして政治活動が目立った。
スカーレット・ヨハンソンの最近の動向(2024年・2025年)
2024年の活躍:ロマコメと声優、ブランドの成長
2024年は、スカーレット・ヨハンソンの多才さが光る年だった。年初には、自身のプロダクション会社「These Pictures」を通じて制作・主演したロマンティック・コメディ『Fly Me to the Moon』(邦題:プロジェクト・アーティミス)が7月12日に公開された。チャニング・テイタムと共演し、宇宙開発競争を背景にした軽快な物語で、批評家から「二人のスクリューボール・ケミストリーがハイライト」と絶賛された。興行収入は全世界で約2億ドルを超え、彼女のプロデューサーとしての手腕が評価された。
同年9月には、アニメーション映画『Transformers One』で声優を務め、オプティマス・プライム(クリス・ヘムズワース)と共演。興行収入は5億ドル近くを記録し、家族向けエンターテイメントの成功を収めた。
また、スキンケアブランド「The Outset」をさらに拡大。2024年春に新製品をリリースし、インタビューで「自然由来の成分で、忙しい母親の日常をサポートする」と語った。夫のコリン・ジョスト(SNLキャスト)との子育て(娘ローズ、10歳と息子コスモ、4歳)を振り返り、「家族が私の原動力」と明かした。
一方、5月にはOpenAIのChatGPTの新ボイス機能が彼女の声に酷似していた問題で論争を呼んだ。ヨハンソンは以前にOpenAIから声の提供を依頼され断っていたため、法的措置を検討。最終的にOpenAIは該当ボイス「Sky」を停止し、彼女は「AIの倫理的境界を考えるきっかけになった」とコメント。テック業界での影響力が再確認された。
政治面では、11月の大統領選でカマラ・ハリス候補を支持。他の俳優らとZoomミーティングに参加し、女性の権利を訴えた。Time誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出されたのもこの年で、2度目(前回2021年)。
2025年の飛躍:監督デビューとブロックバスターの二刀流
2025年は、スカーレット・ヨハンソンの「二刀流」が本格化。監督デビュー作と大作主演が重なり、キャリアのピークを迎えた。2月16日にはSNLの50周年スペシャルに出演、夫ジョストとの夫婦漫才が話題に。3月2日のアカデミー賞ではプレゼンターを務め、クラシックなドレス姿がSNSでトレンド入りした。
5月にはMCUの『サンダーボルツ*』が公開されたが、彼女のブラック・ウィドウは2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』で引退済み。代わりに、6月6日の『The Phoenician Scheme』(ウェス・アンダーソン監督作)でスパイ役を演じ、批評家から「ユーモアと緊張感のバランスが絶妙」と称賛された。
夏のハイライトは7月2日公開の『Jurassic World Rebirth』。ジョナサン・ベイリーやマハーシャラ・アリと共演し、恐竜復活の新章で主演。興行収入は全世界で8億6,200万ドルを突破し、フランチャイズ史上最高のオープニングを記録。レッドカーペットでベイリーとのキスシーンがバズり、「PDAの女王」との愛称が付いた。ヨハンソンは「アクションの過酷さを乗り越え、女性リーダーの強さを描きたかった」と語った。インタビューでは、Instagram加入をプロモーションで促されたが「ソーシャルメディアは興味ない。プライバシーを守る」と断固拒否。
監督デビュー作『Eleanor the Great』は、9月26日公開。脚本はトリー・カーメン、95歳のジュン・スキブが孤独な女性エレノアを演じる。ヨハンソンは監督・プロデューサーとして参加し、カンヌ国際映画祭(5月)とトロント国際映画祭(9月)でプレミア上映。批評家からは「共感を呼ぶ繊細な演出」「嘘が雪だるま式に膨らむ心理描写が秀逸」と高評価。LA Timesは「強いキャストがタフなニューヨーク物語を支える」とレビューした。ヨハンソンはCBSニュースで「子供時代の夢が叶った。観客にエレノアへの慈悲を感じてほしい」と語り、Forbesでは「女優経験が監督業に活きた」と振り返った。
同映画のプロモーションで、9月23日のTODAYショーではゲストホストを務め、チキンウィング作りやピアス開けに挑戦。InStyle誌のインタビューでは、初期キャリアの「男性視線中心の役」を告白。「若い頃はオブジェクト化されたが、今は多様な女性像が増えた」とハリウッドの変化を指摘した。
他のプロジェクトも活発。8月8日公開の『North Star』では海軍大佐役で姉妹のドラマを演じ、9月には『My Mother’s Wedding』を夏にリリース予定。2025年末にはジェームズ・グレイ監督のクライムスリラー『Paper Tiger』でマイルズ・テラー、アダム・ドライバーと共演。Amazonの限定シリーズ『Just Cause』では記者役でエグゼクティブ・プロデューサーも務める。
受賞歴も輝かしい。10月19日のニューポートビーチ映画祭でVarietyの「Legend & Groundbreaker Award」を受賞。Time誌の100人に再選され、興行収入総額は151億ドル超えのハリウッド最高女優に君臨。
個人的には、ジョストとの結婚5周年を祝い、カンヌでラブラブ写真を公開。ビル・マーレイの過去スキャンダルについて「人生が彼を謙虚にした」とフォローし、業界の成熟を語った。
社会的影響と今後の展望
スカーレット・ヨハンソンは、AI倫理やジェンダー平等の議論をリード。2025年のAI女優「Tilly Norwood」騒動では、業界の未来を象徴的に問う声が上がった。慈善活動では、双子の兄ハンターと基金を運営。
今後、2026年には『Featherwood』(アンドレア・アーノルド監督)やDisney+の『Blonde Phantom』シリーズが予定。インディー回帰と大作のバランスで、ヨハンソンはハリウッドの象徴として進化を続ける。40歳を過ぎても、その魅力と影響力は衰え知らずだ。
レビュー 作品の感想や女優への思い