「ラスト・クリーク」は、2018年製作の米国サスペンス・スリラー映画。ハーマイオニー・コーフィールド主演。大学4年生のソーヤが就職面接に向かう途中、ケンタッキーの森で道に迷い、無法者に追われる緊迫のサバイバルを描く。108分。
基本情報
- 邦題：ラスト・クリーク
- 原題：Rust Creek
- 公開年：2018年
- 製作国：米国
- 上映時間：108分
- ジャンル：ドラマ、スリラー
見どころ
長編映画初主演となるハーマイオニー・コーフィールドが、果敢なアクションに挑戦。絶体絶命の状況下でも強い意志を持ち、壮絶なサバイバルを生き抜こうとする女性を体現。
あらすじ
大学4年生のソーヤ・スコット（ハーマイオニー・コーフィールド）は、ワシントンDCでの就職面接のオファーを受け、意気揚々と車で向かう。しかし、休日の渋滞を避けるためナビを頼りに迂回路を選んだ彼女は、ケンタッキー州のアパラチア山脈の奥深くで道に迷ってしまう。雪の降る極寒の森で、ソーヤは死体を埋める現場を目撃したことで、地元の犯罪者であるホリスター（マイカ・ハウプトマン）とバック（ダニエル・R・ヒル）の兄弟に追われる。逃走中に足を負傷し、絶望的な状況の中、彼女は覚醒剤製造者のローウェル（ジェイ・ポールソン）に助けられる。ローウェルはソーヤを匿い、治療するが、彼の動機は不明で信頼できるか分からない。地元の保安官オドイル（ショーン・オブライアン）が絡む犯罪の網が明らかになる中、ソーヤは生き延びるため知恵と勇気を振り絞る。
解説
「ラスト・クリーク」は、低予算ながら緊張感とリアリティを追求したサバイバル・スリラー。監督ジェン・マクゴーワンは、女性の視点から描かれる主人公の闘争心と脆弱性を巧みに表現し、現代社会における女性の自立と生存本能をテーマにしています。
物語は、日常的な選択（ナビの指示に従うこと）が一瞬にして命を脅かす危機に変わる様子を描き、観客に「もし自分だったら」という問いを投げかけます。ケンタッキーの寒々とした森の風景は、ミッチェル・ローラーの撮影により、閉塞感と孤立感を強調し、物語の緊迫感を高めています。H・スコット・サリナスの音楽も、静かな不安から爆発的なサスペンスまで、感情の起伏を効果的に演出しています。
レビューでは、ストーリーの単純さや展開の予測可能性を指摘する声もある一方、主人公のリアルな恐怖と成長、そしてハーマイオニー・コーフィールドの演技が高く評価されています。Rotten Tomatoesでは80%以上の高評価を獲得し、観客を飽きさせない展開が魅力とされています。
女優の活躍
本作の主演を務めるハーマイオニー・コーフィールドは、ソーヤ・スコット役として圧倒的な存在感を発揮しています。彼女は『スター・ウォーズ／最後のジェダイ』（2017年）での小さな役で知られていましたが、本作で初の主演を務め、感情豊かでリアルな演技を見せています。ソーヤは、最初は自信に満ちた大学生として登場するが、危機に直面するにつれ、恐怖、絶望、そして最終的には自らの力で生き延びる決意を見せる複雑なキャラクターです。
コーフィールドは、ソーヤの感情の揺れを繊細に表現し、特に負傷しながらも逃げ続けるシーンでは、身体的な痛みと精神的な強さを同時に体現。ローウェルとの微妙な信頼関係を築く場面では、疑念と希望の間で揺れる表情が印象的です。彼女の演技は、観客にソーヤの恐怖と成長を共感させ、物語の中心として映画を牽引しています。また、監督が女性であることもあり、ソーヤの視点や感情が丁寧に描かれ、コーフィールドの演技がその意図を最大限に引き出しています。
女優の衣装・化粧・髪型
ハーマイオニー・コーフィールド演じるソーヤの衣装は、物語の現実感を反映し、シンプルかつ機能的です。映画の冒頭では、就職面接に向かう大学生らしく、カジュアルながらもきちんとした印象の服装が特徴。
具体的には、ダークカラーのコート、ジーンズ、ブーツ、そしてニット帽を着用し、寒冷なケンタッキーの気候に対応したスタイルです。物語が進むにつれ、彼女の衣装は泥や血で汚れ、破れることで、過酷なサバイバルの状況を視覚的に表現。
衣装デザインのアレクシス・スコットは、ソーヤの服を通じて彼女の置かれた状況の過酷さと、徐々に剥がれていく「普通の大学生」のアイデンティティを強調しています。
化粧は、大学生らしいナチュラルメイクで、薄いファンデーションと軽いリップのみ。森での逃亡中は、汗や泥で化粧が落ち、顔に傷や汚れが目立つようになり、彼女の絶望と闘争心を強調。
髪型は、最初はポニーテールで整えられていますが、逃亡中に乱れ、髪が顔にかかる様子が彼女の混乱と必死さを表現しています。この自然体なルックは、ソーヤのリアルな恐怖とサバイバルを観客に強く印象づけます。
キャスト
- ハーマイオニー・コーフィールド（ソーヤ・スコット）：本作の主人公。大学4年生で、就職面接に向かう途中で危機に巻き込まれる。
- ジェイ・ポールソン（ローウェル・プリッチャート）：覚醒剤製造者でソーヤを助ける謎めいた男。複雑な動機を持つ。
- マイカ・ハウプトマン（ホリスター）：ソーヤを追う犯罪者の一人。冷酷な性格。
- ショーン・オブライアン（オドイル保安官）：地元の権力者で、裏の顔を持つ。
- ダニエル・R・ヒル（バック）：ホリスターの弟で、ソーヤを執拗に追う。
- ジョン・マーシャル・ジョーンズ（スラッテリー）：脇役として登場する地元住民。
- ジェレミー・グレイザー（カッツ保安官代理）：ソーヤの失踪を追う若手保安官。
スタッフ
- 監督：ジェン・マクゴーワン
- 脚本：ジュリー・リプソン
- 製作：ステュ・ポラード
- 撮影：ミッチェル・ローラー
- 音楽：H・スコット・サリナス
- 衣装：アレクシス・スコット
総括
「ラスト・クリーク」は、シンプルな設定ながら、ソーヤのサバイバルを通じて人間の強さと脆さを描いた作品です。ハーマイオニー・コーフィールドの演技は、物語の感情的な軸として際立ち、観客を引き込みます。低予算ながらも、ケンタッキーの森の雰囲気や緊張感ある展開で、観る者を引きつけるスリラーとなっています。女性監督ならではの視点が、主人公の内面的な葛藤や成長を丁寧に描写し、現代的なテーマを織り交ぜた作品として評価されています。
ただし、一部の視聴者からは、ストーリーの単調さや結末の予測可能性が指摘されており、好みが分かれる作品かもしれません。それでも、コーフィールドの魅力とサバイバルの緊張感は十分に楽しめる要素です。
レビュー 作品の感想や女優への思い