ケリー・グリーンウッド(Kerry Greenwood)による『令嬢探偵ミス・フィッシャー』シリーズは、2023年時点で23巻が刊行されている歴史ミステリー小説です。以下に、日本語訳の状況を詳しくまとめます。
日本語訳の概要
日本では、早川書房が同シリーズの一部を翻訳出版していますが、全23巻のうち日本語訳されているのはごく一部に限られています。以下は、日本で出版された主な翻訳作品(2023年時点)です。
コカイン・ブルース(Cocaine Blues, 1989年)
- 日本語訳:早川書房、2004年刊行(訳者:田口俊樹)
- シリーズ第1作。フライニーがロンドンからメルボルンに帰国し、麻薬密売事件に挑む物語。ドラマ版の第1話の基盤でもあります。
- ISBN: 978-4-15-00112-8
高く飛びすぎて(Flying Too High, 1990年)
- 日本語訳:早川書房、2005年刊行(訳者:田口俊樹)
- シリーズ第2作。フライニーが飛行機を操縦しながら、誘拐事件と殺人事件を解決。
- ISBN: 978-4-15-00113-5
バララット列車殺人事件(Murder on the Ballarat Train, 1991年)
- 日本語訳:早川書房、2006年刊行(訳者:田口俊樹)
- シリーズ第3作。列車内で起きた殺人事件を追う物語で、ドラマ版でも人気のエピソード。
- ISBN: 978-4-15-00114-2
翻訳状況の特徴
翻訳巻数の限界
全23巻のうち、日本語訳は上記の3巻(シリーズの初期3作)のみが確認されています。2023年時点で、4巻目以降の翻訳は出版されていません。このため、シリーズ全体の物語を日本語で楽しむには、現時点では英語版を読む必要があります。
翻訳のスタイル
翻訳者・田口俊樹による日本語訳は、フライニーの軽妙な語り口や1920年代のスラングを活かしつつ、日本語読者に親しみやすい文体で好評です。原作のウィットや時代背景を損なわないよう工夫されています。
出版状況
早川書房はミステリーやSFの翻訳出版で定評がありますが、『ミス・フィッシャー』シリーズの翻訳は2006年以降、新刊が追加されていません。これは、ドラマ版の人気(2012年放送開始)にもかかわらず、日本での原作需要が限定的だった可能性があります。##日本語訳の入手可能性
書店・オンライン
『コカイン・ブルース』、『高く飛びすぎて』、『バララット列車殺人事件』は、早川書房の「ハヤカワ・ミステリ文庫」シリーズとして刊行されていますが、現在は新品での入手が難しい場合があります。中古書店やオンライン書店(例:Amazon.co.jp、楽天ブックス、honto)で購入可能ですが、在庫状況は変動します。
- 電子書籍…2023年時点で、電子書籍版(Kindleや楽天Koboなど)の提供は確認されていません。紙の書籍が主な形態です。
- 図書館…日本の公共図書館や大学図書館でこれらの翻訳版が所蔵されている場合があります。特に、ミステリーや海外文学に強い図書館で入手できる可能性があります。
翻訳が進まない理由(推測)
市場規模
日本でのオーストラリア文学や歴史ミステリーの需要が、アガサ・クリスティなどの古典ミステリーや現代アメリカのベストセラーに比べ小さい可能性があります。
ドラマの影響
ドラマ版『探偵ミス・フィッシャー~華麗なる事件簿(2012年~)が日本でNetflixなどを通じて人気を博しましたが、原作小説の翻訳促進にはつながらなかったようです。視聴者が映像で満足し、原作への関心が広がらなかった可能性があります。
シリーズの長さ
23巻という長編シリーズの翻訳は、出版社にとってコストとリスクが大きいため、初期の数巻で市場の反応を見た後、継続を断念した可能性があります。
その他の言語への翻訳
シリーズは英語圏以外でも翻訳されており、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語などで一部の巻が出版されています。Xの投稿によると、韓国語やタイ語への翻訳も存在するとの情報がありますが、日本語訳は比較的少ない状況です。
今後の展望
新刊の可能性
ケリー・グリーンウッドは2025年3月に逝去しましたが、最新作『Murder in the Cathedral(シリーズ23巻目)が2025年後半に英語版で刊行予定です。日本での翻訳需要が高まれば、早川書房や他の出版社が新たに翻訳を進める可能性はありますが、現時点では具体的な計画は公表されていません。
ファン活動
日本国内のファンコミュニティや、ドラマ版の人気を背景に、翻訳の再開を求める声が強まれば、出版社が再検討する可能性があります。オンライン書店やSNSでのレビューが影響を与えることも考えられます。
日本語訳を補完する方法
日本語訳が3巻までで止まっているため、シリーズの続きを楽しむには以下の方法があります:
- 英語版の購入…Amazon、Book Depository、World of Booksなどで英語版を購入可能。シリーズ全巻が英語で入手しやすく、電子書籍(Kindle)も提供されています。
- 原作の短編集…『The Lady with the Gun Asks the Questions(短編集)など、シリーズの補完的な物語も英語で入手可能です。
- ドラマとの併用…ドラマ版は原作のストーリーを一部改変していますが、シーズン1~3で多くのエピソードがカバーされています。NetflixやAcorn TVで視聴可能です。
結論
『令嬢探偵ミス・フィッシャー』シリーズの日本語訳は、早川書房より『コカイン・ブルース』、『高く飛びすぎて』、『バララット列車殺人事件』の3巻が出版されていますが、以降の巻は翻訳されていません。原作の魅力をすべて楽しむには、英語版の読書やドラマ版の視聴を組み合わせるのがおすすめです。ファンからの需要が高まれば、さらなる翻訳の可能性もあるため、SNSやレビューを通じて声を上げるのも有効かもしれません。
レビュー 作品の感想や女優への思い