『スウィート・トラップ 消えた少女』は、ダニー・ブデイが監督し、レベッカ・ヒューズ、エイダン・スコットが脚本を担当した2020年米国のサスペンス映画。主要キャストに、ボティ・ブリス、モーガン・オベンレダー、クリス・マッケンナ。シングルマザーのジーナは、てんかん持ちの娘ケルシーを連れて新しい郊外の町へ引っ越す。高校最後の年、新しい友人やパーティーを楽しむはずが、ケルシーがデート中に拉致される。ジーナは時間との戦いを繰り広げ、娘を救うため奔走する。性的人身売買の闇に迫るサスペンスフルなストーリー。
基本情報
- 邦題：スウィート・トラップ 消えた少女
- 原題：Taking Your Daughter／My Daughter’s Been Kidnapped／Killer in Suburbia
- 製作国：米国
- 公開年：2020年
- 上映時間：90分
- 製作会社：カルテル・ピクチャーズ
- 配給会社：Lifetime、リール・ワン・インターナショナル、TF1、TV8
予告編はこちら。
見どころ
- 持病を抱える少女が、初めてのデート中に甘い罠にはまり命の危険にさらされます。
- 緊迫感あふれるストーリー展開と、娘を思う母の執念の追跡に引きつけられます。
女優の活躍
本作の中心を担う女優の一人、ボティ・ブリスはジーナ役を熱演し、母としての強い愛情と絶望的な恐怖を見事に表現しています。彼女の演技は、物語の感情的な核となり、観客を強く引き込みます。ジーナは娘の拉致に直面し、警察の無理解や周囲の裏切りを乗り越え、自らの手で真相を追及する姿が描かれます。ブリスは、日常の穏やかな母親像から、必死の捜索者への変貌を自然に体現し、特にクライマックスの対決シーンでは、迫真の叫びと涙が心を揺さぶります。
また、モーガン・オベンレダーはケルシー役を務め、拉致された少女の無力さと闘争心を繊細に演じ分けます。てんかんの持病を抱え、薬なしで発作の危機に陥る中、彼女の抵抗する様子は観る者に緊張を与えます。オベンラダーの若々しい魅力と脆さが、物語のサスペンスを高め、母娘の絆を強調する重要な役割を果たしています。
レベッカ・マーシャルはミシェル役として、ジーナの友人として支える立場から意外な展開を見せ、複雑な心理描写で活躍します。彼女の演技は、信頼の崩壊を象徴し、女優陣全体のバランスを整えています。これらの女優たちは、Lifetime映画の典型的なスリラー枠を超え、女性の強さと脆弱性を丁寧に描き出しています。
女優の衣装・化粧・髪型
ボティ・ブリスのジーナは、シングルマザーの日常を反映した実用的な衣装が特徴です。引っ越し直後のシーンでは、ゆったりとしたカーディガンとジーンズを着用し、親しみやすい郊外の主婦像を演出。捜索中は、動きやすいTシャツとレギンスに切り替え、汗ばんだ様子が緊張感を高めます。化粧はナチュラルで、疲労の影を軽く描き、髪型は肩までのボブヘアを無造作にまとめ、母親の忙しなさを表しています。クライマックスでは、乱れた髪が彼女の混乱を視覚的に強調します。
モーガン・オベンレダーのケルシーは、ティーンエイジャーのファッションを反映。パーティーシーンでは、ミニスカートとクロップトップの可愛らしいコーディネートで、青春の輝きを放ちます。拉致後のシーンでは、シンプルなTシャツとショーツに変わり、無防備さを際立たせます。化粧は軽いリップとアイラインで若さを保ち、髪型はロングヘアをストレートに流し、拘束された状態での乱れが恐怖を増幅します。てんかん発作の描写では、淡いパレットが彼女の脆弱さを強調します。
レベッカ・マーシャルのミシェルは、洗練された郊外の女性像。ブラウスとスカートのエレガントな装いで、友人としての信頼感を与えます。化粧は上品なファンデーションと赤いリップ、髪型はウェーブのかかったミディアムヘアで、秘密を抱える複雑さを示唆します。これらのスタイリングは、キャラクターの心理状態を視覚的に支え、物語のリアリティを高めています。
あらすじ
ジーナ（ボティ・ブリス）は、てんかんを患う娘のケルシー（モーガン・オベンレダー）を抱え、娘の将来のために新しい郊外の町へ引っ越します。高校最後の年を迎えたケルシーは、新しい環境に興奮し、友人たちとパーティーを楽しむようになります。一方、ジーナは仕事に追われながらも、娘の安全を第一に考え、慎重に生活を整えていきます。
ある夜、ケルシーがデートに出かけた後、突然連絡が途絶えます。ジーナは不安に駆られ、警察に通報しますが、最初は家出として扱われ、十分な捜査がされません。ケルシーのてんかん薬が残されたまま行方不明になった事実に気づいたジーナは、拉致の可能性を確信し、自ら調査を始めます。
捜索の過程で、ケルシーの新しい友人ミシェル（レベッカ・マーシャル）やその周囲に不審な影を感じ取ります。郊外の穏やかな表層の下に潜む性的人身売買のネットワークが浮かび上がり、ジーナは予想外の人物からの裏切りを知ります。時間は刻一刻と過ぎ、ケルシーの発作の危機が迫る中、ジーナは単独で犯人たちに立ち向かいます。
クライマックスでは、ジーナが隠れ家に潜入し、娘を救出するための壮絶な戦いが繰り広げられます。母の愛が奇跡を呼び、娘を無事に取り戻すものの、事件は郊外社会の闇を露呈し、家族の絆を再確認させる結末を迎えます。この物語は、日常の恐怖と勇気の対比を鮮やかに描き出しています。
解説
本作『スウィート・トラップ 消えた少女』は、2020年にLifetimeで放送されたテレビ映画で、現代社会の深刻な問題である性的人身売買をテーマに据えています。監督のダニー・ブデイは、郊外の理想郷のような表層を剥ぎ取り、そこに潜む危険性をサスペンスフルに描き出します。物語は、シングルマザーの視点から進行し、女性の自立と母性本能の強さを強調する点が特徴です。
特に、ケルシーのてんかんという設定は、単なる障害描写にとどまらず、拉致後のタイムリミットを緊張感として機能させています。薬なしで48時間以内に発作が起きるという医療的事実は、観客に現実味を与え、ジーナの焦燥を増幅します。この要素は、障害を持つ子供の親が抱える日常の不安を反映し、社会的な共感を呼ぶでしょう。
脚本は、典型的なLifetimeスリラーの枠組みを踏襲しつつ、犯人が身近な人物であるというツイストを効果的に挿入します。友人や近所の信頼が崩壊する過程は、観客に「誰を信じられるか」という疑念を抱かせ、心理的な深みを加えています。批評家からは、プロットの予測可能性を指摘する声もありますが、女優たちの感情表現がそれを補い、娯楽性とメッセージ性を両立させています。
文化的文脈では、アメリカの郊外神話を批判的に扱い、表面的な平和の裏側で起きる犯罪を告発します。日本での邦題「スウィート・トラップ」は、この甘い罠のメタファーを巧みに表し、公開当時の日活配給により、海外スリラーのファンに届けられました。全体として、家族愛の普遍性を軸に、現代の恐怖を丁寧に紡いだ作品です。
視覚的には、低予算ながら効果的な照明とカメラワークが用いられ、暗い隠れ家シーンでのクローズアップが恐怖を強調します。サウンドデザインも、発作の予兆を示す不協和音が秀逸で、没入感を高めています。総じて、娯楽を超えた社会派エンターテイメントとして評価され、視聴者に警鐘を鳴らす一作です。
感想
娘を探し求める母親の姿はやや退屈で、モーガン・オベンレダーとモンロー・クラインは無駄になったし、この映画には非論理的な内容が多すぎました。捕虜はどうやらトイレを使う必要がないようですし、ある犯人は悪事の証拠をほとんど残さずに都合よく倒れ、夜の場面に昼間が現れたり、誰かが最後に言うべき相手に「愛してる」と言ったりします…。この映画は、レベッカ・マーシャルのキャラクターとその動機にもっと焦点を当ててもよかったのではないでしょうか…？！
キャスト
| 登場人物 | 出演者 |
|---|---|
| ジーナ | ボティ・ブリス |
| ケルシー | モーガン・オベンレダー |
| ホプキンス刑事 | クリス・マッケナ |
| ミシェル | レベッカ・マーシャル |
| ライアン | ジョン＝ポール・ラヴォアジエ |
| トニ | ミヤ・ホーチャー |
| メリッサ | ソフィア・キャサリン |
| ジェイソン | オースティン・フォーク |
| デイモン | チャド・ブラノン |
| ジェシカ | モンロー・クライン |
| コリンズ刑事 | モンティ・シャープ |
| 悲嘆に暮れる母 | リサ・コール |
| フランクス刑事 | アンディ・マルティネスJr. |
| 教師 | アンジェレ・ブルックス |
| 逮捕担当官 | アル・バーク |
| 尋問官 | アンジェリーク・ヤルダ |
スタッフ
| 衣装デザイン | ダンディ・デューイ |
| 衣装デザイン助手 | ハイメ・ニコルティッチ |
- 監督：ダニー・ブデイ
- 脚本：アンソニー・トーマス
- 製作総指揮：ロバート・イートン、チャールズ・ロバート・カーマイケル
- 撮影：マイケル・C・ルヴェット
- 編集：マイク・エドモンズ
- 音楽：ルーク・ロジャース
- 製作会社：Cartel Pictures、Lifetime
- プロデューサー：ジェニファー・H・ジョンソン
レビュー 作品の感想や女優への思い