『クリーニング・レディ 心の闇を掃除する女』（原題：The Cleaning Lady）は、2018年に米国で製作されたサイコホラー映画。恋愛依存症の女性と清掃員の奇妙な友情が、やがて愛憎劇へと変貌する物語。ジョン・ノーツ監督による緊張感あふれる展開が特徴です。
基本情報
- 邦題：クリーニング・レディ 心の闇を掃除する女
- 原題：The Cleaning Lady
- 公開年：2018年
- 製作国：米国
- 上映時間：90分
- ジャンル：ホラー、スリラー
見どころ
暗い過去を背負った顔にひどいやけどの痕がある掃除婦をレイチェル・アリグが怪演。ジョン・ノーツ監督の底知れぬ女の闇が見えてくる戦慄感たっぷりの演出にも注目。
あらすじ
アリス（アレクシス・ケンドラ）は、45歳のエステティシャンで、既婚者のマイケル（ステットソン・ハンティントン）との不倫関係に悩む恋愛依存症の女性です。関係を断ち切ろうとグループカウンセリングに通うものの、マイケルへの想いを断ち切れず、ズルズルと関係を続けてしまいます。ある日、マンションの自宅で浴室の配管が詰まり、清掃員のシェリー（レイチェル・アルモンテ）を雇います。
シェリーは顔に火傷の跡がある寡黙な女性ですが、手際よく仕事をこなし、アリスは彼女を信頼し、個人的に雇うことにします。シェリーはアリスの自宅でネズミを駆除するなど、真面目に働く一方、アリスはマイケルからの「会いたい」という連絡に揺れ、親友ヘレン（エリザベス・サンディ）の助言で居留守を使うことを決意。シェリーを夕食に招き、互いの過去を語り合う中で、シェリーの火傷が事故によるものであることや、アリスの不倫の悩みを共有し、微妙な絆が生まれます。しかし、シェリーがアリスのネックレスを盗むなど、彼女の行動に不穏な影がちらつきます。物語は、シェリーの裏の顔とアリスの脆い精神が交錯し、友情が危険な執着へと変わるサイコホラーへと発展します。
解説
『クリーニング・レディ 心の闇を掃除する女』は、心理的な緊張感と人間関係の複雑さを描いたサイコホラーです。ジョン・ノーツ監督は、日常的な設定から徐々に不気味な雰囲気を構築し、登場人物の心の闇を浮き彫りにします。アリスの恋愛依存症やシェリーの謎めいた過去を通じて、孤独や執着といったテーマが探求され、観客に感情的な揺さぶりをかけます。特に、シェリーのキャラクターは、表面的な従順さと裏に隠された異常性を対比させることで、ホラー要素を強化。低予算ながら、キャストの演技力と緻密な脚本により、緊張感のある物語が展開されます。映画は、R15指定を受けており、一部に過激な描写が含まれますが、ストーリー重視のホラーとして一定の評価を得ています。ただし、一部のレビューでは、物語の展開が予測可能である点や、キャラクターへの共感が難しいとの意見も見られます。
女優の活躍
主演のアレクシス・ケンドラ（アリス役）は、本作で恋愛依存症に苦しむ女性の脆さと複雑な感情を見事に演じ、観客に深い印象を与えました。彼女はアリスの内面的な葛藤や不安定さを、表情や仕草を通じて繊細に表現。特に、マイケルとの関係に揺れるシーンでは、感情の起伏を自然に演じ、キャラクターの弱さを強調しています。また、レイチェル・アルモンテ（シェリー役）は、寡黙でミステリアスな清掃員を演じ、物語後半での不気味な変貌を説得力のある演技で体現。彼女の抑制された演技が、シェリーの異常性を徐々に露呈させる鍵となり、ホラー要素を高めています。エリザベス・サンディ（ヘレン役）は、脇役ながらアリスの親友として安定感のある演技を見せ、物語に現実的なアンカーを提供しました。両主演女優の対比的な演技が、映画の緊張感を支えています。
女優の衣装・化粧・髪型
アレクシス・ケンドラ演じるアリスの衣装は、エステティシャンとしての職業を反映し、シンプルかつ上品なワンピースやブラウスが中心。色調は落ち着いたパステルカラーや白を基調とし、彼女の繊細で不安定な性格を象徴しています。化粧はナチュラルメイクで、薄いファンデーションと控えめなリップカラーが主。髪型は、肩までの長さのゆるいウェーブで、日常的かつ親しみやすい印象を与えます。一方、レイチェル・アルモンテ演じるシェリーは、清掃員としての実用的な衣装が特徴。地味なグレーやネイビーの作業着に、顔の火傷を隠すような控えめなメイクが施されています。髪型は、簡素なポニーテールやバンでまとめられ、彼女の無口で内向的な性格を強調。物語が進むにつれ、シェリーがアリスのネックレスを身につけるシーンでは、彼女の内面の変化が衣装を通じて暗示されます。これらの対比的なスタイルは、両者の社会的立場や心理状態の違いを視覚的に表現しています。
キャスト
- アリス：アレクシス・ケンドラ（恋愛依存症のエステティシャン）
- シェリー：レイチェル・アルモンテ（顔に火傷のある清掃員）
- ヘレン：エリザベス・サンディ（アリスの親友）
- マイケル：ステットソン・ハンティントン（アリスの不倫相手）
その他、脇役としてグループカウンセリングの参加者やマンションの住人などが登場しますが、主要な物語はアリスとシェリーを中心に展開します。
スタッフ
- 監督：ジョン・ノーツ
- 脚本：アレクシス・ケンドラ、サマンサ・M・ローズ
- 製作：サマンサ・M・ローズ、ジョン・ノーツ
- 撮影：クラウディオ・ロシャ
- 編集：ジェイソン・ピットマン
- 音楽：ラス・ハワード
スタッフは低予算映画ながら、緊密な連携で作品の雰囲気を構築。特に、ジョン・ノーツの演出とアレクシス・ケンドラの脚本執筆参加が、物語の心理的深みを増しています。
まとめ
『クリーニング・レディ 心の闇を掃除する女』は、恋愛依存症と孤独を抱える女性たちの出会いを通じて、心の闇を描くサイコホラーです。アレクシス・ケンドラとレイチェル・アルモンテの対照的な演技、シンプルながら効果的な衣装とメイク、そしてジョン・ノーツ監督の緻密な演出が、緊張感のある物語を紡ぎます。低予算ながら、心理的な恐怖と人間ドラマを融合させた作品として、ホラー映画ファンに一定の支持を得ています。
レビュー 作品の感想や女優への思い