『シャンハイ・クイーン』は、2022年に中国で製作されたアクション映画で、原題は「霍家拳之鉄臂嬌娃3」。監督はリウ・バインが務め、主演は新世代のアクション女優リー・モンモン（李萌萌）。本作は、霍家拳（カクケケン）と呼ばれる架空の武術を軸に、女性主人公が復讐と正義のために戦う物語を描きます。シリーズ3作目にあたりますが、単独でも楽しめる構成。舞台は1920年代の上海で、腐敗した権力者や犯罪組織との対決を通じて、ヒロインの成長とアクションが強調されます。93分のコンパクトな上映時間に、VFXとワイヤーワークを駆使した派手なカンフーシーンが詰め込まれ、ジャッキー・チェン作品の影響を感じさせる娯楽性の高い作品。日本では劇場未公開で、2025年5月9日にDVD発売予定（インターフィルム配給）。漫画的で軽快な前半と、ノワール調の後半が特徴的。
以下では『シャンハイ・クイーン』を詳細に解説しています。あらすじ、女優の活躍、感想、解説、キャスト、スタッフまとめます。情報は提供されたウェブ検索結果や一般的な映画分析の観点に基づいていますが、情報の限界により一部推測や一般論を含む場合があります。なお、映画の詳細なレビューや感想は限られた情報から構築するため、主観的要素も含まれることをご了承ください。
- シャンハイ・クイーン
- 原題：霍家拳之鉄臂嬌娃3
- 英題：The Queen of KungFu 3
- 公開年：2022年
- 製作国：中国
- 上映時間：93分
- ジャンル：アクション
- 視聴：U-next
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あらすじ
物語の主人公は、武術の天才アーシー（リー・モンモン）。彼女は全国的に名を知られた霍家拳の使い手で、師匠ズォゴン（シェ・ニン）の98歳の誕生日を祝うため故郷に帰ります。しかし、祝宴の最中、龍堂派の刺客による襲撃を受け、目の前で師匠が殺害されます。ズォゴンの死に衝撃を受けたアーシーは、妹弟子のズォユゥ（マー・ムーシュエン）と共に復讐を誓い、龍堂派の拠点である上海へ向かいます。
上海に到着したアーシーは、師匠殺しの濡れ衣を着せられ、追われる身となります。彼女は旧友で警官のジュジュ（マー・ドンチェン）と再会し、龍堂派の首領ジンガンロン（リー・ボーシュエン）と西洋人商人ハンクスが上海の裏社会を牛耳っていることを知ります。さらに、ハンクスは警察署長とも癒着しており、アーシーたちは孤立無援の戦いを強いられます。龍堂派の手下による闇討ちや裏切りが続き、アーシーは幾度となく危機に瀕しますが、持ち前の武術と機転で切り抜けます。
物語は、アーシーが腐敗した権力構造に立ち向かいながら、師匠の教えである「正義と勇気」を貫く姿を描写。クライマックスでは、ジンガンロンとの一騎打ちやハンクスとの対決を通じて、上海の闇を暴き、師匠の仇を討ちます。アーシーの復讐は単なる個人的な報復を超え、上海の民衆を抑圧から解放する象徴的な戦いへと昇華。軽快なコメディ要素とダークなノワール的展開が交錯し、アクションとドラマのバランスが取れた物語となっています。
女優の活躍
リー・モンモン（アーシー役）
本作の最大の魅力は、主演のリー・モンモン（李萌萌）のアクションと存在感。1990年代生まれの「90后」世代を代表する新進気鋭の女優で、ジャッキー・チェンがその才能を認めています。彼女は『レジェンド・オブ・ドラゴン 鉄仮面と龍の秘宝』でもアクションを披露しており、身体能力の高さと表現力が評価されています。本作では、主人公アーシーとして、華麗なカンフーアクションと感情豊かな演技を両立させ、現代のアクション映画における女性ヒーローの新たなアイコンを確立しています。
リー・モンモンのアクション場面は、霍家拳という架空の武術をベースに、酔拳や伝統的なカンフーの動きを融合させたもの。ワイヤーワークとVFXを活用した派手な技は、ジャッキー・チェンやジェット・リーの往年の作品を彷彿とさせます。とくに、龍堂派の手下との群衆戦や、ジンガンロンとの最終決戦では、彼女のスピード感ある動きと正確なキックが光ります。撮影ではスタントを極力自分でこなし、危険なシーンでも果敢に挑んだ姿勢が、アクションのリアリティを高めています。
演技面では、アーシーの復讐心と正義感の葛藤を繊細に表現。師匠の死に直面した悲しみや、裏切りに対する怒り、そして民衆を守る決意を、表情と声のトーンで伝え、観客に感情移入させます。とくに、ジュジュとの友情やズォユゥとの姉妹のような絆を描く場面では、アクション・スターとしての硬派なイメージに柔らかさを加え、キャラクターに深みを与えています。彼女の美貌も本作の魅力で、1920年代の上海を思わせるレトロな衣装（旗袍や武術着）が、アクション場面を引き立てます。
マー・ムーシュエン（ズォユゥ役）
また、脇を固める女優では、ズォユゥ役のマー・ムーシュエンが注目されます。彼女はアーシーの妹弟子として、若々しいエネルギーと忠誠心を表現し、アクション場面でもアーシーをサポートする役割を果たします。両者のコンビネーションは、物語に軽快なリズムをもたらし、女性キャラクター同士の絆を強調。リー・モンモンを中心とした女性キャストの活躍は、本作が単なる男性向けアクション映画ではなく、女性の力強さと魅力を前面に押し出した作品であることを示しています。
感想
『シャンハイ・クイーン』は、カンフー映画の伝統を受け継ぎつつ、現代的なVFXと女性主人公の視点で新鮮さを提供する作品。前半のコミカルな雰囲気は、香港映画の黄金期を思わせ、食事場面や軽妙な掛け合いが観客を和ませます。一方、後半のノワール的展開は、腐敗と裏切りが渦巻く上海の暗部を描き、物語に緊張感を加えます。この二面性が、単なるアクション映画を超えた魅力となっています。
リー・モンモンのアクションは圧巻で、特に群衆戦のダイナミックなカメラワークと相まって、引き込まれます。ストーリー自体は復讐劇の定型に沿いますが、1920年代の上海を舞台にしたビジュアルや、権力と戦うヒロインの姿は普遍的な共感を呼びます。ただし、シリーズ3作目としての背景説明が不足しており、初見の観客には一部のキャラクター関係が分かりにくいかもしれません。また、VFXの多用がアクションの生々しさを損なう場面もあります。
個人的には、女性が主役のアクション映画として、ジェンダーの枠を超えたエンパワーメントを感じました。アーシーの「百年に一人の女」というキャッチフレーズ通り、彼女の不屈の精神と優雅な戦いぶりは印象的。香港・中国映画のファンには懐かしさと新しさが共存する作品として、アクション映画初心者には入門編としておすすめできます。平均評価3.3点（Filmarks）と賛否両論ですが、娯楽性を求めていたので、十分楽しめました。
解説
『シャンハイ・クイーン』は、中国映画市場のアクションジャンルにおける近年のトレンドを反映した作品。中国では、2010年代以降、歴史や武侠をテーマにしたアクション映画が人気を博しており、本作もその系譜に連なります。舞台となる1920年代の上海は、「東洋のパリ」と呼ばれた国際都市で、列強国の利権や裏社会の混沌が交錯する時代。この設定は、単なるアクションの舞台を超え、植民地支配や腐敗に対する抵抗を象徴的に描く土壌を提供します。
霍家拳という架空の武術は、中国武術の多様性を強調しつつ、映画的誇張を加えた創作。酔拳や詠春拳の要素を取り入れ、ワイヤーワークで派手さを増したアクションは、ジャッキー・チェンやユエン・ウーピンが築いた香港アクション映画の影響が顕著。とくに、食事シーンやコミカルな掛け合いは、ジャッキー映画の定番を意識した演出で、観客に親しみやすさを与えます。一方で、後半のノワール的展開は、ハリウッドの犯罪映画や『ゴッドファーザー』のような重厚なドラマを参照し、復讐劇に深みを加えています。
本作のテーマは、個人vs.権力の対立。アーシーの戦いは、師匠の復讐から始まり、腐敗した警察や裏社会への挑戦へと拡大します。これは、中国映画が近年好む「正義のヒーロー」像を体現し、視聴者の私たちにカタルシスを提供。ただし、シリーズ3作目としての文脈が不明瞭で、前作とのつながりが曖昧な点は欠点といえます。監督リウ・バインは、『デンジャラス・レディ』でも女性主人公のアクションを描いており、女性の主体性を強調する作風が本作でも一貫しています。
文化的には、女性ヒーローの台頭が注目されます。ハリウッドの『ワンダーウーマン』や『キャプテン・マーベル』と同様、中国でも女性アクションスターの需要が高まっており、リー・モンモンはその旗手として期待されています。彼女の起用は、若年層（90后・00后）をターゲットにした戦略でもあり、現代中国の若者の価値観（自己実現や正義感）を反映しています。
キャスト
- アーシー役：リー・モンモン（李萌萌）…主人公で霍家拳の達人。復讐と正義のために戦う女性武術家。アクションと演技の両方で存在感を発揮。
- ジュジュ役：マー・ドンチェン…アーシーの旧友で正義感ある警官。ドラマ『斗羅大陸』で知られる俳優で、友情と裏切りを体現。
- ズォゴン役：シェ・ニン…アーシーの師匠で物語のきっかけとなる人物。短い出演ながら重厚な存在感。
- ズォユゥ役：マー・ムーシュエン…アーシーの妹弟子。アクションでサポートし、若々しい魅力を加える。
- ジンガンロン役：リー・ボーシュエン…龍堂派の首領で主要な敵。冷酷な悪役として物語を牽引。
- その他…ドンファジァンジェン（シゥ・ハイイェン）、シャオリウフェイダオ（チャン・ユンロン）、バイメイシイェンシァン（イー・チーロク）、シァオシーイーラン（ジャオ・スーファ）らが脇を固める。
スタッフ
- 監督・脚本：リウ・バイン…『デンジャラス・レディ』で知られ、女性アクションに定評。脚本にも参加し、コミカルとノワールの融合を試みる。
- 脚本：ツァイ・ビンジエ、ワン・ルオイ…リウ・バインと共同で、復讐劇の骨格を構築。
- 撮影監督：フー・ビンハン…1920年代の上海を再現し、アクションのダイナミズムを強調。
- 編集：タオ・チァン…テンポの良いカット割りでアクションとドラマをバランス。
- 美術：リウ・バイン、リウ・ジョン…レトロな上海の街並みや戦闘シーンの舞台を設計。
- 照明：チャン・トンジュアン…ノワール的雰囲気を強化する陰影あるライティング。
- 録音：ディン・ポンカン…アクションの効果音や環境音を鮮明に。
- アクション監督：ダン・ルオリン…霍家拳の振付やワイヤーワークを統括し、派手な戦闘シーンを演出。
- 製作：Beijing Filmtag Technology Development Co., Ltd.…中国の新興プロダクションで、若者向けコンテンツに注力。
総括
『シャンハイ・クイーン』は、リー・モンモンを中心に、カンフーアクションと女性のエンパワーメントを融合させた娯楽作品。1920年代の上海を舞台に、復讐と正義を描く物語は、香港映画の伝統と現代中国映画のトレンドを橋渡ししています。アクションの派手さとノワール的ドラマのバランスが魅力ですが、シリーズの文脈不足やVFXの過剰感は課題。ファンには懐かしく、新規の視聴者には新鮮な一作として、アクション映画の楽しさを存分に味わえます。
レビュー 作品の感想や女優への思い