基本情報
- 邦題:スカーレットレター
- 原題:주홍글씨
- 英題:THE SCARLET LETTER
- 公開年:2005年
- 製作国:韓国
- 上映時間:119分
- ジャンル:ドラマ
あらすじ
刑事イ・ギフン(ハン・ソッキュ)は、美しい妻スヒョン(オム・ジウォン)と穏やかな生活を送りながら、情熱的な愛人カヒ(イ・ウンジュ)と不倫関係を続けています。ある日、写真館の主人ミョンシクが撲殺される事件が発生し、ギフンはその捜査を担当。第一発見者である被害者の妻ギョンヒ(ソン・ヒョナ)のミステリアスな魅力に惹かれつつ、彼女の潔白を疑います。一方、スヒョンが妊娠していることを知ったギフンはカヒとの関係を清算しようとしますが、カヒもまたギフンの子を身ごもっていることが判明。捜査は迷宮入りし、ギフンの私生活は妻と愛人、そしてギョンヒとの関係で混乱を極めます。やがて、事件の真相と登場人物たちの秘密が絡み合い、衝撃的な結末へと突き進みます。
トリビア
女優イ・ウンジュの自殺
2005年2月22日の夜、檀国大学を卒業してわずか数日後、24歳の女優イ・ウンジュは城南・盆唐の自宅アパートで手首を切り、首を吊って自殺。遺族は自殺の原因を重度のうつ病と精神疾患とし、彼女がこの映画でのヌードシーンのせいで不眠症に悩まされていたと語りました。
釜山国際映画祭
第9回釜山国際映画祭クロージング作品に選ばれました。
ファム・ファタル
ソン・ヒョンア
ソン・ヒョンアが演じた妻キョンヒが可愛いくて、バイオリニスト。
イ・ウンジュ
ジャケ写真の女性(たぶんカヒ)が綺麗。イ・ウンジュが演じたカヒは歌手・ピアニストの女性で、刑事の不倫相手。
オム・ジウォン
オム・ジウォンが演じた写真店主の妻スヒョンがセクシー。松嶋菜々子似です。冒頭数分で警察に呼ばれているとき、素足のつま先を拝めます。
女優の活躍
イ・ウンジュ(チェ・カヒ役)
イ・ウンジュは、ジャズシンガーでギフンの愛人カヒを熱演。情熱的で感情豊かなカヒを、繊細かつ大胆に表現し、観客を引きつけます。劇中の歌唱シーンでは、彼女の歌声がキャラクターの内面を強調。特に、ギフンとの関係が破綻していく過程での鬼気迫る演技は圧巻で、彼女のキャリアの集大成ともいえるパフォーマンスです。『バンジージャンプする』や『タイヨウのウタ』で知られた彼女ですが、本作での美しさと迫真の演技は「神々しい」と評されました。
オム・ジウォン(ハン・スヒョン役)
オム・ジウォンは、ギフンの妻でオーケストラ奏者のスヒョンを演じ、清楚で従順な妻の裏に隠された複雑な感情を見事に表現。控えめながらも存在感を発揮し、物語後半での展開に重要な役割を果たします。彼女の落ち着いた演技は、カヒの激情と対比され、作品に深みを加えています。
ソン・ヒョナ(キム・ギョンヒ役)
ソン・ヒョナは、殺人事件の容疑者ギョンヒを演じ、ミステリアスで妖艶な魅力を放ちます。彼女の演技は、ギフンを惑わせる謎めいた女性像を強調し、サスペンス要素を強化。限られた出番ながら、印象的な存在感を示しました。
女優の衣装・化粧・髪型
イ・ウンジュ(カヒ)
カヒの衣装は、ジャズシンガーらしい華やかさと官能性を強調。ステージでは、深紅や黒のドレスが彼女の魅力的な体型を引き立て、プライベートではカジュアルながらも女性らしいワンピースやタイトなトップスを着用。化粧は、ステージ上では濃いめの赤いリップとスモーキーアイメイクで妖艶さを演出し、普段はナチュラルメイクでカヒの内面の脆さを表現。髪型は、ゆるいウェーブのかかったロングヘアで、情熱的かつ自由奔放なキャラクターを象徴しています。
オム・ジウォン(スヒョン)
スヒョンの衣装は、清楚で上品なスタイルが中心。オーケストラ奏者として、黒や白のフォーマルなドレスやブラウスにスカートを着用し、家庭ではシンプルなニットやパステルカラーの服で妻らしい柔らかさを表現。化粧は薄く、ナチュラルな肌感と淡いピンクリップで清純さを強調。髪型は、ストレートのミディアムヘアをまとめ髪にすることが多く、落ち着いた印象を与えます。
ソン・ヒョナ(ギョンヒ)
ギョンヒの衣装は、ミステリアスな雰囲気を反映し、ダークトーンのタイトなドレスやコートが多用されます。化粧は、シャープなアイラインと深みのあるリップで謎めいた魅力を際立たせ、髪型はショートカットのストレートヘアでクールな印象を強調。彼女のスタイリングは、物語のサスペンス要素を視覚的に支えています。
解説
『スカーレットレター』は、ナサニエル・ホーソーンの小説『緋文字』に着想を得たタイトルで、不倫という「罪」とその代償をテーマにした作品です。ただし、原作とは直接的な関連はなく、現代の韓国社会を舞台に、道徳的葛藤と人間の欲望を掘り下げた独自の物語を展開。監督ピョン・ヒョクは、前作『Interview』(2000年)でドグマ95の手法を取り入れた実験的なスタイルを見せましたが、本作ではサスペンスとエロティシズムを融合させ、観客を心理的な緊張感に引き込みます。映画は、殺人事件の捜査とギフンの私生活を並行して描き、伏線が巧みに張り巡らされています。特に、登場人物の多面性が強調され、ギフンが職場、妻、愛人、容疑者との関係で異なる「顔」を見せる点が興味深いです。韓国映画特有の「淡々とした日常に潜む恐怖」が随所に感じられ、ラストの展開は観客に強い印象を残します。本作はイ・ウンジュの遺作としても知られ、彼女の自殺(2005年2月22日)が映画の過激な内容や露出シーンの精神的負担と関連していると報じられました。遺書には本作への出演を後悔する言葉が含まれ、議論を呼びました。
キャスト
- イ・ギフン:ハン・ソッキュ(刑事、不倫に溺れる男)
- チェ・カヒ:イ・ウンジュ(ジャズシンガー、ギフンの愛人)
- ハン・スヒョン:オム・ジウォン(ギフンの妻、オーケストラ奏者)
- キム・ギョンヒ:ソン・ヒョナ(殺人事件の容疑者、被害者の妻)
- ミョンシク:キム・ジングン(写真館の主人、殺人被害者)
登場人物 | 出演者 |
ギフン | ハン・ソッキュ |
カヒ | イ・ウンジュ |
キョンヒ | ソン・ヒョンア |
スヒョン | オム・ジウォン |
ミョンシク | キム・ジングン |
ハン社長 | ド・ヨング |
アン刑事 | チョン・インギ |
チョ刑事 | キム・チョンリョル |
チェ刑事 | チェ・ギュファン |
警察署長 | ウォン・チャンヨン |
ヒョクジュ | ヤン・テド |
ヨンシム | キム・ヘジン |
マダム | ソル・ジユン |
スヒョンの母 | パク・ウンファ |
産婦人科医 | チェ・ドクホ |
メサ店のオーナー | ジュン・ヒョンスク |
看護師 | クォン・バンヒョン |
検死官 | チョン・スンヒョク |
司祭 | キム・ジョンギ |
スタッフ
- 監督・脚本:ピョン・ヒョク(ビョン・ヒョク)
- 撮影:チェ・サンホ
- 音楽:イ・ジェジン
- 編集:ハム・ソンウォン
- 製作:イ・スンヒョン、キム・ヒョンウ
- 配給:シネカノン(日本)、ショーボックス(韓国)
レビュー 作品の感想や女優への思い