『Black&White/ブラック&ホワイト』は2012年に米国で公開されたロマンティック・アクション・コメディ。CIAの親友エージェント、FDRとタックが同じ女性ローレンに恋をし、互いのスキルを駆使して競い合い、スパイの技術を悪用した恋の妨害がユーモラスに描かれる。監督マックGのポップな演出が魅力だが、批評家からは編集と脚本が不評。リシ・ウィザースプーン、クリス・パイン、トム・ハーディの共演が光る。
基本情報
- 邦題:Black&White/ブラック&ホワイト
- 原題:This Means War
- 公開年:2012年
- 製作国・地域:アメリカ
- 上映時間:98分
- ジャンル:アクション
- 配給:20世紀フォックス映画
女優の活躍
本作の女優、リシ・ウィザースプーンは主人公ローレン・スコットを演じ、物語の中心を担います。ローレンは最近の失恋から立ち直ろうとする製品テスト会社のエグゼクティブで、親友のトリッシュの勧めでオンラインデートに挑戦します。FDRとタックの両方に惹かれ、葛藤する複雑な心境を自然に表現し、観客を引き込む魅力的な演技を披露しています。ウィザースプーンはこれまで『レジェンド・オブ・フォール』や『ブロンド・法律の女たち』で多様な役柄をこなしてきましたが、本作ではコメディ要素の強いロマンティックなヒロインとして、軽快なユーモアと繊細な感情の揺らぎを巧みに融合させています。
特に、両者のデートシーンでは、FDRの派手なアプローチに戸惑いつつも楽しむ様子や、タックの穏やかな優しさに心を開く瞬間を、表情豊かに体現。クライマックスの選択シーンでは、緊張感あふれるアクションの中で決断を下す強さを発揮し、単なる恋の対象ではなく、独立した女性像を描き出しています。批評家からは「魅力的な存在感で物語を支える」と評価され、IMDbのユーザー評価でも「ウィザースプーンは常にチャーミング」との声が多く、アクションとコメディのバランスを取る上で欠かせない活躍を見せました。彼女の演技は、男優二人の競争を中和する役割を果たし、全体のエンターテイメント性を高めています。
女優の衣装・化粧・髪型
リシ・ウィザースプーンの衣装は、現代的な都会女性の洗練されたスタイルを反映し、シンプルながら大胆なカラーパレットが特徴です。ローレンの日常シーンでは、フィットした白いブラウスにタイトなスカートを合わせ、プロフェッショナルな印象を与えます。デート時には、鮮やかな赤いワンピースやエメラルドグリーンのドレスが登場し、FDRとの冒険的な外出にぴったりのアクセントカラーで、情熱的な魅力を強調。タックとの穏やかなディナーでは、柔らかなパステルカラーのニットとジーンズの組み合わせが、親しみやすい家庭的な雰囲気を演出します。衣装デザイナーは、こうした多様なルックを通じてローレンの内面的な変化を視覚的に表現し、観客に視覚的な喜びを提供しています。
化粧はナチュラルでヘルシーな仕上がりが基調。日常では、軽いファンデーションにピンクのチークとニュートラルなリップで、フレッシュな肌を活かしたメイク。デートシーンでは、ウィングドアイライナーで目を強調し、フューシャピンクのリップでロマンティックさを加え、照明の下で輝くよう工夫されています。クライマックスのアクションでは、ウォータープルーフのマスカラが耐久性を確保し、緊張感を損なわず自然な表情を保ちます。このメイクアップは、ウィザースプーンのクリアな肌質を最大限に引き立て、キャラクターの自信と脆弱性をバランスよく表現しています。
髪型はロングのブロンドヘアをメインに、シーンに応じて変化。オフィスではストレートでシックにまとめ、プロフェッショナルさを強調。FDRとのデートではソフトウェーブを加え、フェミニンな魅力を演出し、風に揺れる様子がロマンスを象徴します。タックとのシーンでは、ルーズなポニーテールでリラックスした印象を与え、家族的な温かみを表します。全体として、ヘアスタイリストはウィザースプーンのシグネチャーであるシャープなバングを活かし、キャラクターの感情移行を髪の動きで視覚化。批評では「ヘアがストローみたい」との指摘もありますが、多くは「完璧なブロンドの輝き」と称賛されています。これらの要素が融合し、ウィザースプーンの視覚的な魅力が本作のファッション面を豊かにしています。
あらすじ
CIAのトップエージェントであるフランクリン・“FDR”・フォスター(クリス・パイン)とタック・ハンセン(トム・ハーディ)は、親友でありながら最高のパートナーです。香港での任務で、国際犯罪者カール・ハインリヒ(ティル・シュバイガー)の陰謀を阻止しますが、ハインリヒの弟を殺してしまい、復讐の標的にされます。帰国後、上司のコリンズ(アンジェラ・ベースット)からデスクワークを命じられます。
タックは離婚した元妻ケイティとの息子ジョーの空手クラスで、家族とのつながりを再構築しようとしますが、うまくいきません。オンラインのデートサイトに登録し、製品テスト会社のエグゼクティブ、ローレン・スコット(リシ・ウィザースプーン)とマッチング。ローレンは元彼の婚約を知り、親友トリッシュ(チェルシー・ハンドラー)の勧めでデートを始めます。FDRはタックのバックアップとして近くに潜みますが、タックとローレンのデートは順調です。
しかし、FDRはビデオ店でローレンと偶然出会い、彼女に興味を持ちます。ローレンのテストグループに乱入し、デートに誘います。FDRとタックは互いに同じ女性をデートしていることに気づき、秘密にしつつ競争を始めます。FDRはプライベートジェットやグスタフ・クリムトの絵画コレクションで派手なデートを、タックは家族的な温かみでアプローチします。
ローレンは罪悪感から一週間で決断を下そうとしますが、二人はCIAの技術で互いのデートを盗聴・妨害。ローレンが「どちらともセックスして決める」とトリッシュに漏らすのを聞き、妨害をエスカレートさせます。一方、ハインリヒが復讐に現れ、FDRはタックに警告しますが信じてもらえず、喧嘩に発展。ローレンは二人が親友だと知り激怒します。
ハインリヒの部下にローレンとトリッシュが誘拐され、FDRとタックは協力して救出。カーチェイスでハインリヒのSUVを破壊し、ローレンはFDRの側を選びます。ハインリヒは死亡。タックはFDRと和解し、元妻ケイティとも再会。エンディングではFDRとタックが次の任務に向かい、FDRがローレンとの結婚を告白し、タックをベストマンに任命します。
解説
『Black&White/ブラック&ホワイト』は、2012年に公開されたロマンティック・コメディとアクションのハイブリッド作品で、監督マックGのポップでダイナミックなスタイルが全編に息づいています。マックGは『チャーリーズ・エンジェルズ』で知られるように、音楽ビデオ出身の感性で、視覚効果とテンポの速い編集を駆使。スパイ映画の要素を恋愛コメディに融合させる試みは、ジェームズ・ボンドシリーズや『ミスター&ミセス・スミス』を思わせ、娯楽性を追求しています。しかし、批評家からは「編集の乱雑さ」と「ユーモアの欠如」が指摘され、Rotten Tomatoesで25%の低評価。Roger Ebertは「無能な愚作」と酷評し、Peter Traversは「ユーモアと心の欠如」を嘆きました。一方、観客からはA-のCinemaScoreを獲得し、軽快なエンタメとして楽しむ層に支持されています。
テーマ的には、友情と恋愛の対立が核心。FDRとタックの競争は、CIAのハイテクを悪用したコミカルな妨害(盗聴、GPS追跡)で描かれ、現代のプライバシー侵害を風刺的に扱います。ローレンの選択は、派手さ(FDR)対安定(タック)の対比を象徴し、女性の主体性を強調。ウィザースプーン、ハーディ、パインの三者三様の魅力が、化学反応を生み、Todd McCarthyは「主演三人の魅力を無駄にしている」と惜しみつつも、俳優の演技を認めています。ハリウッドのスター・パワー(プロデューサー・ウィル・スミス)が、興行収入1.6億ドルを達成させました。
文化的文脈では、2010年代初頭のロマコメブームを反映。女性像の進化を示唆しつつ、ステレオタイプ(金髪美女の選択役)を残す点で議論を呼んでいます。アクションシーンは派手ですが、ストーリーの支えにならず、Claudia Puigは「アクションとコメディの融合に失敗」と分析。全体として、完璧ではないが、スターの輝きと笑いのための軽やかさが魅力の作品です。リメイクの可能性や続編の噂もありますが、批評の低さから実現せず、カルト的人気を博しています。
キャスト
- リシ・ウィザースプーン:ローレン・スコット役
- クリス・パイン:フランクリン・“FDR”・フォスター役
- トム・ハーディ:タック・ハンセン役
- ティル・シュバイガー:カール・ハインリヒ役
- アンジェラ・ベースット:コリンズ役
- チェルシー・ハンドラー:トリッシュ役
- ジョン・ポール・ラッタン:ジョー役
- ローラ・ヴァンダーヴォート:ブリッタ役
- アビゲイル・スペンサー:ケイティ役
- デヴィッド・コーナー:スティーブ役
- マッシー・タブレイ:キラ役
- ライアン・ヘストン:ダイキン役
- レアラ・サヴァスタ:ケリー役
スタッフ
- 監督:マックG
- 脚本:ティモシー・ダウリング、マーカス・ゴーテセン
- 製作総指揮:ウィル・スミス、ミア・リヴィ、ジョン・ポール・ラッタン
- 製作:アダム・グッドマン、ブライアン・ファーザー
- 撮影:ラッセル・カーペンター
- 編集:ニコラス・ド・トス、ジャン=イヴ・エステヴェス
- 音楽:クリストフ・ベック
- 衣装デザイン:キンバリー・クロック
- 美術:ジェームズ・D・ビセット
- 特殊効果:コールドライト・ビジュアル・エフェクツ
- 配給:20世紀フォックス映画
レビュー 作品の感想や女優への思い