『地面師たち』は大根仁監督、新庄耕原作による、2024年日本公開のクライム・サスペンス。これまでで最も野心的な詐欺、100億円相当の一等地の不動産を手に入れるために邁進する詐欺師チーム(地面師集団)の行動を描写。明記はされていないものの、具体的展開からみて積水ハウス地面師詐欺事件をベースにしていることは明らか。綾野剛、豊川悦司、小池栄子、小林麻子、池田エライザら。
地面師たち
- 英題:Tokyo Swindlers
- 公開年:2024年
- 製作国:日本
- 再生時間:各52分
- 製作会社:Netflix
- 配給会社:Netflix
- 原作:新庄耕『地面師たち』(集英社文庫)
- ジャンル:サスペンス、クライム
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ファム・ファタル
稲葉麗子(演・小池栄子)
なりすましになる前の演技は目立ちませんでしたが、光庵寺住職になりすましてから本領発揮。坊主頭にぱっちりお目目が目立ってむっちゃ綺麗になりました。この時点で栄子が演技の上手い女優だと認識。栄子の頭にスリスリしたい(^^)
さて、『地面師たち』全7話の作品で、小池栄子は地面師グループの「手配師」稲葉麗子役を演じ、その圧倒的な演技力と存在感で視聴者を魅了しました。
麗子は、地面師グループにおいて地主の「なりすまし役」をキャスティングする重要な役割を担います。彼女の仕事は、身寄りのない高齢者や金銭的に困窮する人物を見つけ出し、地主の個人情報や不動産知識を徹底的に叩き込むこと。このプロセスは、緻密なオーディションや面接、想定問答集の作成を通じて行われ、麗子は詐欺の成功を左右するキーパーソンとして描かれます。小池は、麗子のプロフェッショナルな一面と、裏社会で生きる女性の気高さや脆さを絶妙に表現。彼女の演技は、麗子が裏社会で生き残るためのタフさと、情に流されやすい人間らしさを両立させ、視聴者に強い印象を与えた。たとえば、麗子がなりすまし役の候補者に厳しく接しつつ、どこか共感や情けを見せるシーンでは、小池の細やかな表情や声のトーンがキャラクターの複雑さを際立たせています。
物語のクライマックスでは、麗子が自ら尼僧のなりすまし役として100億円の土地詐欺に挑む場面が登場。この場面は、小池の演技の集大成。坊主頭に変貌し、住職としての振る舞いを完璧に演じる姿は、視聴者に衝撃を与えました。彼女は、尼僧の穏やかな佇まいと、詐欺師としての緊張感を同時に表現し、緊迫した交渉シーンで圧倒的な存在感を発揮。とくに、ターゲットである大手デベロッパーとの駆け引きでは、冷静かつ大胆な演技で、麗子がグループの成功を支える「縁の下の力持ち」であることを証明。この場面は、SNSやレビューで「小池栄子の変貌がすごい」「演技に引き込まれた」と話題になり、彼女のキャリアにおける新たなマイルストーンとなりました。
さらに、小池の活躍は麗子の心理描写にも及びます。麗子は、地面師グループのリーダー・ハリソン山中(豊川悦司)に対して忠誠を誓いつつ、彼の非道な手法に葛藤を抱きます。小池は、こうした内面の揺れを、表情や仕草を通じて繊細に表現。たとえば、ハリソンの命令に従いながらも、目や声に一瞬の躊躇を見せる場面では、麗子の複雑な心情が伝わり、視聴者に共感を呼びます。完成報告会では、小池自身が豊川の演技に「役者人生で初めての恐怖を感じた」と語り、その緊張感が彼女の演技を引き上げたことを明かしている。この共演者との化学反応も、麗子のキャラクターをより深みのあるものにしてくれました。
物語の終盤、麗子の運命は謎に包まれる。彼女は詐欺成功後に地面師からの引退を望むのですが、ハリソンの命令で命を狙われる可能性が示唆されます。最終場面では、麗子が夜道を歩く中、怪しい男たちに尾行される場面で終わり、彼女の生死は明かされません。この曖昧な結末は、視聴者の間で大きな議論を呼び、「麗子は殺されたのか」「生き延びたのか」と考察が飛び交いました。小池の演技は、この曖昧さをドラマの魅力に変える力を持っていた。彼女の存在感が強かったからこそ、視聴者は麗子の運命に感情移入してしまいます。
このように、Netflixシリーズ『地面師たち』における小池栄子の活躍は、単なる助演を超え、物語の核心を支える柱の一つ。彼女の演技は、麗子というキャラクターに血肉を与え、視聴者に深い感動と考察の余地を提供。ドラマの成功(配信開始から6週連続でNetflix日本トップ10テレビ部門1位、1050万ビュー達成)に大きく貢献しました。小池のキャリアにおいても、裏社会の女性像を鮮烈に描いた本作は、女優としての新たな境地を示す傑作となっています。
谷口俶恵(演・小林麻子)
生活苦にあえぐ設定で表情が痛々しいですが、もともとの顔面偏差値は高く大きな目の整った美人。
倉持玲(演・池田エライザ)
柔らかめの可愛い顔面ですが、演じた警察役は地面師を逮捕する熱意を上手に表しています。
感想
山中ハリソンが殺人や掃除を3人組に指示するのが、設定上の手抜きに思いました。この設定をやめていれば、さらにパンチのきいたドラマになったと思います。全般的には各役者の演技がうまく、地面師グループのキャラクター・バランスも良かったです。詐欺られ会社や警察の各演技やキャラクター・バランスも グッド。二晩に分けて一気に見ました。
解説
『地面師たち』は積水ハウス地面師詐欺事件を実話ベースにしたサスペンス。
不動産詐欺の世界に足を踏み入れた辻本拓海(綾野剛)。山中ハリソン(豊川悦司)は不動産の所有者になりすまし、違法な売買で利益を得る詐欺師グループを率いていました。彼らは100億円という前代未聞の事件に巻き込まれます。
エピソード
Episode#01
新橋で起こった不動産詐欺事件の捜査が警視庁捜査二課のもとに開始される一方、次の詐欺計画の準備を進める辻本拓海は、仲間の地面師たちとなりすまし役の演技指導にあたります。
Episode#02
着任したばかりの倉持とともにマイクホームズ事件の捜査にあたる下村。新たなターゲットをさがすハリソンたちは、寺に隣接する一等地に目をつけます。
Episode#03
土地の所有者である尼僧をうまく動かすため、彼女が通うホストクラブに潜入する拓海。下村と倉持は、拓海がつらい過去を抱えていることを突き止めます。
Episode#04
寺の所有地が売りに出されるという情報を得た石洋ハウスの青柳は、慌てて地面師たちと面会の約束を取り付けます。タイムリミットが迫るなか、急いでなりすまし役を見つけようとする麗子。
Episode#05
大きなリスクがあるにもかかわらず、同僚の忠告を無視して決裁を推し進めようとする青柳。一方、倉持は、ハリソンの周辺を本格的に探り始めます。
Episode#06
詐欺計画のキーパーソン谷口俶恵が思わぬ事態に見舞われたことを知った地面師たちは、取引を成功させるために必死で策を練る。だが想定外の出来事はそれだけでは終わらず…。
Episode#07
物件下見と光庵寺案内という緊迫した状況下で、機転を利かせた対応をしなければならない麗子。最後に笑うのは地面師たちでしょうか、それとも石洋ハウスでしょうか…。
キャスト

- 稲葉麗子(演・小池栄子)
- 辻本拓海(演・綾野剛)
- ハリソン 山中(演・豊川悦司)
- 後藤 義雄(演・ピエール瀧)
- 竹下(演・北村一輝)
- オロチ(演・アントニー)
- 長井(演・染谷将太)
- 谷口俶恵(演・小林麻子)
- 倉持玲(演・池田エライザ)
- 石洋ハウス秘書(演・美乃すずめ)
- 川井菜摘(演・松岡依都美)
- サキ(演・片山萌美)
ほか。
スタッフ
- スタイリスト:伊賀大介
- 衣装:荒木里江
- ヘアメイク:宮内三千代
- 特殊メイク・造型スーパーバイザー:江川悦子
レビュー 作品の感想や女優への思い