トレイシー・ローズ(Traci Lords)は、アメリカの女優、元ポルノ女優、映画プロデューサー、監督、作家、歌手です。15歳でポルノ業界に入り、年齢詐称が発覚後、B級映画やテレビドラマで活躍。『クライ・ベイビー』や自伝で知られ、現在は家出少女支援に従事しています。
プロフィール
- 名前:トレイシー・ローズ(Traci Lords)
- 別名義:クリスティ・エリザベス・ナーズマン、トレイシー・エリザベス・ローズ、ノラ・クズマ
- 生年月日:1968年5月7日(57歳)
- 出身地:米国オハイオ州ステューベンビル
- 眼色:青色
- 髪色:茶色/金色/赤色
- 身長:170cm
- 体重:64.22kg
- BMI:22.2
- スリーサイズ:91 – 63 – 91 cm
- カップサイズ:D
生い立ち・教育
トレイシー・ローズは、1968年5月7日、オハイオ州ステューベンビルにノラ・ルイーズ・クズマとして生まれました。父親のルイス・クズマは鉄鋼労働者、母親のパトリシア・クズマは家庭を支え、トレイシーには姉のロレーヌと妹のレイチェル、グレースがいます。彼女の幼少期は複雑で、7歳の時に両親が離婚。父親のアルコール依存症と母親への虐待が原因でした。離婚後、トレイシーは母親と姉妹と共に曽祖母の家に移り、オハイオ州レドンドビーチで育ちました。10歳の時、友人の誕生日パーティーで16歳の少年に性的暴行を受けた経験は、彼女の人生に深い影を落としました。
教育面では、1982年にカリフォルニア州レドンドビーチのレドンド・ユニオン高校に進学しましたが、15歳で妊娠中絶を経験し、高校を中退。この時期、彼女は不安定な家庭環境と経済的困窮から逃れるため、ヌードモデルとして働き始め、それがポルノ業界への入り口となりました。後に、ポルノ業界を離れた彼女は、リー・ストラスバーグ・シアター・インスティチュートで演技を学び、女優としての新たなキャリアを築くための基礎を固めました。
経歴
トレイシー・ローズのキャリアは、15歳でポルノ業界に足を踏み入れたことから始まりました。偽造身分証明書を使い、22歳と偽って『ペントハウス』誌の1984年9月号でセンターフォールドモデルとしてデビュー。彼女は瞬く間にポルノ業界のスターとなり、約75本のアダルト映画に出演し、「ハードコアで最高給取り」と言われるほどの人気を博しました。しかし、1986年にFBIが彼女が未成年であったことを知り、彼女の出演作のほとんどが児童ポルノとして米国での配給が禁止されました。唯一、18歳の誕生日直後にフランスで撮影された『Traci, I Love You』だけが合法的に残りました。このスキャンダルは業界に大きな衝撃を与え、彼女は事実上ポルノ業界から追放されました。
ポルノ業界を離れた後、トレイシーは本名のノラ・クズマで一般映画のオーディションに挑戦しましたが、過去の経歴から門前払いされることもありました。それでも彼女は「この名前から逃げない」と決意し、トレイシー・エリザベス・ローズに改名。1988年、ロジャー・コーマン監督のリメイク映画『トレイシー・ローズの美女とエイリアン』で一般映画デビューを果たしました。この作品ではヌードシーンを要求されましたが、以降の作品では裸になることを拒否し、真剣に演技を追求しました。
1990年代には、ジョニー・デップ主演のカルト映画『クライ・ベイビー』(1990年)で注目を集め、以降、B級映画やホラー映画、アクション映画を中心に活躍。『ブレイド』(1998年)、『バーチュオシティ』(1995年)、『シリアル・ママ』(1994年)、『ブラックマスク2』(2001年)などに出演しました。テレビドラマでは『メルローズ・プレイス』(1995年)、『Roseanne』(1994年)、『Wiseguy』、『冒険野郎マクガイバー』などにゲスト出演し、女優としての地位を確立。2012年には『Excision』で最優秀助演女優賞(Fright Meter Award)、2013年にはFangoria Chainsaw Awardを受賞するなど、ホラー映画での評価も高まりました。
音楽分野では、1995年にデビューアルバム『1000 Fires』をリリースし、テクノやエレクトロニカの影響を受けた楽曲で歌手としての才能も発揮。マニック・ストリート・プリーチャーズの『リトル・ベイビー・ナッシング』(1992年)にも参加しました。また、2003年に自伝『Traci Lords: Underneath It All』を出版し、15歳でポルノスターとなった経緯やその後の人生を赤裸々に綴り、話題となりました。日本では『トレイシー・ローズ 15歳の少女が、いかにして一夜のうちにポルノスターになったのか?』(2005年、WAVE出版)として出版され、彼女自身が日本語版にコメントを寄せています。
1985年には日本のロックバンド横道坊主のプロモーションビデオ撮影のため来日し、愛染恭子と共演した『Traci Takes Tokyo』も制作。彼女の国際的な人気は、ヨーロッパや日本で独自の総集編が発売されるほどでした。現在は女優業を続けながら、家出少女支援施設の運営にも携わっています。
私生活
トレイシー・ローズの私生活は、波乱に満ちたものでした。彼女は3度の結婚を経験しています。最初は1990年に『クライ・ベイビー』の小道具係ブルック・イートンと結婚しましたが、1995年に離婚。2度目の結婚は1999年のライアン・グレンジャーとの短期間の結婚で、2000年に破綻。2002年2月23日、俳優でプロデューサーのジェフ・グルーンワルドと3度目の結婚をし、2007年10月7日に息子のジョセフ・ガナー・リーが誕生。現在はカリフォルニア州ロサンゼルスで夫と息子、2匹の猫と暮らしています。
過去には、ジョン・イーノスIII、ジョーイ・ラモーン、リキ・ラクトマン、スラッシュなど多くの著名人との交際が報じられました。彼女の自伝によると、10代の頃の過酷な経験やポルノ業界での搾取が、恋愛や人間関係に対する彼女の考えに影響を与え、恋愛シーンの演技に苦労した時期もあったといいます。
現在、トレイシーは家出少女支援施設のサポートに力を入れており、自身の経験を活かして社会貢献に取り組んでいます。彼女の純資産は約700万ドルとされ、演技、音楽、執筆、監督など多岐にわたる活動が収入源となっています。
出演作品
トレイシー・ローズの主な出演作品を以下にまとめます。彼女のキャリアはポルノ映画から一般映画、テレビドラマ、音楽まで多岐にわたります。
映画
- クライ・ベイビー(1990年):ジョニー・デップと共演したカルト映画。ワンダ・ウッドワード役で注目を集めました。
- トレイシー・ローズの美女とエイリアン(1988年):一般映画デビュー作。看護婦役を演じました。
- ブレイド(1998年):ウェズリー・スナイプス主演のアクション映画。端役ながらプレミアに出席。
- バーチュオシティ(1995年):SFアクション映画。
- シリアル・ママ(1994年):ジョン・ウォーターズ監督のブラックコメディ。
- ブラックマスク2(2001年):カメレオン役で出演。
- ノーウェア(1997年):おしゃべり娘1役。
- ビーイング・ボーン 驚異のアメリカ出産ビジネス(公開年不明):ドキュメンタリー映画。
- アメリカの息子(公開年不明):ドラマ映画。
- アバター・オブ・マーズ(2009年):エドガー・ライス・バロウズ原作のSF映画。
- Excision(2012年):ホラー映画で最優秀助演女優賞を受賞。
TV
- メルローズ・プレイス(1995年):リッキ・アボット役で4エピソードに出演。
- Roseanne(1994年):3エピソードに出演。
- Wiseguy:ゲスト出演。
- 冒険野郎マクガイバー:ゲスト出演。
ポルノ映画
- Traci Takes Tokyo(1986年):愛染恭子と共演した日本撮影の作品。
- Traci, I Love You(1986年):18歳の誕生日直後に撮影された唯一合法的なポルノ映画。
音楽
- アルバム『1000 Fires』(1995年):テクノを基調としたデビューアルバム。
- マニック・ストリート・プリーチャーズ『リトル・ベイビー・ナッシング(1992年):ゲストボーカルとして参加。
まとめ
トレイシー・ローズは、過酷な過去を乗り越え、多才なエンターテイナーとして再起した稀有な存在です。彼女の自伝や社会貢献活動は、逆境を乗り越える力強さを象徴しています。
レビュー 作品の感想や女優への思い