松雪泰子は日本国の女優・歌手。スターダストプロモーション所属。高校在学中にモデルとしてデビューし、1991年にドラマ『熱血!新入社員宣言』で女優デビュー。1993年の『白鳥麗子でございます!』でブレイク。以降、ドラマ、映画、舞台で活躍。代表作に映画『フラガール』やドラマ『Mother』などがあり、日本アカデミー賞を複数受賞。私生活では1998年に結婚し2001年に長男を出産、2004年に離婚。現在も息子と暮らしながら、多彩な役柄を演じ続けています。
生い立ち・教育
松雪泰子は、1972年11月28日、佐賀県鳥栖市に生まれました。幼少期から活発で好奇心旺盛な少女でした。家族構成は両親と弟2人。弟の一人は元美容師で現在俳優の高村晃平(本名:松雪浩平)、もう一人は歌手のYUNAH(本名:松雪陽平)です。実家は地元で会社を経営する比較的裕福な家庭で、松雪自身も幼い頃からバレエ、ピアノ、日本舞踊を習い、厳しい練習を通じて忍耐力を養いました。当時は母親の勧めで嫌々ながら続けていましたが、後年これらの経験が女優としての表現力に大いに役立ったと感謝の念を抱いています。
小学校は地元公立の鳥栖市立田代小学校に通いました。学校生活では明るく人気者で、友人たちと遊ぶのが楽しみでした。中学校は同じく鳥栖市立田代中学校です。この頃からモデルへの憧れが芽生え始め、ファッション雑誌を読み漁る日々を送っていました。高校は佐賀県立鳥栖商業高等学校に進学。商業科で簿記やビジネスを学びましたが、芸能界への興味が強く、在学中の1989年、17歳の時に雑誌『MEN’S NON-NO』が主催する「第1回メンズノンノ・ガールフレンドオーディション」に応募します。数千人の応募者の中から見事グランプリに選ばれ、モデルとしてデビューを果たしました。この出来事は彼女の人生の転機となり、高校卒業を待たずして上京の道を決意。高校時代は学業とモデルの両立に苦労しましたが、家族の支えもあり、無事卒業しました。
大学進学については、芸能活動を優先したため進学せず、プロの道へ進みました。生い立ちを通じて、地方出身の純朴さと都会的な洗練を併せ持つ彼女の魅力は、こうした多様な経験から形成されたと言えるでしょう。幼少期の芸術教育が基盤となり、後の女優業で柔軟な身体表現や情感豊かな演技を可能にしています。
経歴
松雪泰子の経歴は、モデルから女優、歌手へと多岐にわたる輝かしいものです。1989年のモデルデビュー後、1991年にテレビドラマ『熱血!新入社員宣言』(テレビ東京)で女優としてデビュー。19歳の若さで新人OL役を演じ、初々しい魅力で注目を集めました。同年、ドラマ『バナナチップス・ラブ』(TBS)で早くも主演を務め、演技力の高さを発揮。1993年、TBSの金曜ドラマ『白鳥麗子でございます!』で主演の白鳥麗子役に抜擢されます。この役は、強気で毒舌の社長令嬢という個性的なキャラクターで、視聴率30%超えの大ヒット。映画版(1995年)も製作され、松雪の名を一躍全国区にしました。以降、『白鳥麗子』シリーズは3作に及び、彼女の代表的なキャリアとなりました。
1990年代後半は、ドラマ『きらきらひかる』(1998年、フジテレビ)でアイドル役を演じ、歌手としても1995年にシングル「ESP」(東芝EMI)でデビュー。アルバム『pray』(1996年)をリリースし、オリコンチャートにランクインするなど、音楽活動も並行しました。2000年代に入り、シリアスな役柄に挑戦。2001年の『救命病棟24時 第2シリーズ』(フジテレビ)で看護師役、2003年の『勝利の女神』(フジテレビ)で主人公の母親役を熱演。2004年のNHKスペシャル『砂の器』では、複雑な人間心理を繊細に表現し、高い評価を得ました。
2006年、映画『フラガール』(監督:李相日)で炭鉱町の振付師役を主演。厳しい環境下で少女たちを指導する姿が感動を呼び、興行収入22億円超の大ヒット。第30回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞し、米アカデミー賞外国語映画賞日本代表に選出されました。2008年には『デトロイト・メタル・シティ』でロックバンドのマネージャー役、『容疑者Xの献身』で刑事役を演じ、両作品で優秀助演女優賞をダブル受賞。2010年のドラマ『Mother』(日本テレビ)では、虐待される少女を救う母親役で主演。ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞し、社会問題をテーマにした演技で絶賛されました。
2010年代は舞台にも進出。2012年のNHK大河ドラマ『平清盛』で藤原顕子役、2018年の朝ドラ『半分、青い。』(NHK)で主人公の母役を務め、幅広い世代から支持。2016年の『グッドパートナー 無敵の弁護士』(テレビ朝日)では弁護士役で活躍。また、自身のブランド「Malulu..」をプロデュースし、ファッションやライフスタイル分野でもクリエイティブな一面を発揮。2020年代に入り、2021年の『初情事まであと1時間』(MBS/BS松竹東急)や2023年の『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(TBS)で主演・主要キャストを務め、ミステリアスな役どころで存在感を示しています。2024年の『マル秘の密子さん』(日本テレビ)では複雑な姉役を演じ、最新作でも健在の演技力を証明。受賞歴は日本アカデミー賞複数ほか、藍綬褒章(2017年)も受章。モデル時代から30年以上、第一線で活躍を続ける彼女の経歴は、努力と才能の結晶です。
私生活
松雪泰子の私生活は、華やかな芸能活動とは対照的に、家族中心で穏やかなものです。1998年3月、ロックバンド「ザ・スリル」のギタリスト、GAKU(本名:門脇学)と結婚。当時26歳の松雪は、音楽を通じた出会いが運命的だったと語っています。2001年1月には長男を出産し、母としての喜びを味わいました。しかし、2004年12月、仕事の多忙さと生活リズムのすれ違いを理由に離婚。シングルマザーとして息子を育て上げ、現在も深い絆で結ばれています。息子は2001年生まれで、2025年現在22歳。名前は非公表ですが、小学校は和光学園、中学・高校は広尾学園に通い、現在は慶應義塾大学に在学中と報じられています。松雪は息子の教育に熱心で、プライベートでは一緒に旅行を楽しむ姿が目撃されることも。息子が大学進学を決めた際には、「母親として誇らしい」とインタビューで喜びを語りました。
離婚後、再婚の噂は浮上しつつも、松雪は「恋愛はゆっくりと進めるタイプ」と述べ、積極的に公表していません。好きな男性のタイプは「包容力があって、尊敬できる繊細で優しい人」。一目惚れではなく、時間をかけて心を通わせる性格です。私生活のエピソードとして、20歳の頃に役者の道に迷い、半年間仕事を休んで世界旅行に出かけたことがあります。この旅で自己を見つめ直し、復帰を決意。以降、役作りに没頭する姿勢が強まりました。趣味は大型自動二輪車で、1450ccのハーレーダビッドソンを所有。「チーム極悪」というライダー仲間とツーリングを楽しむアクティブな一面もあります。生ガキが大好物で、食の趣味はシンプル。健康管理に熱心で、コレステロール値が高い体質を考慮し、水素水やハーブ、サプリメントを日常的に摂取。毎日のストレッチやヨガ、リラクゼーションを欠かさず、50歳を超えても美しいプロポーションを維持しています。
家族との関係は良好で、弟たちの芸能活動を温かく見守っています。母親とは幼少期の習い事の思い出を共有し、感謝の気持ちを忘れません。プライベートでは読書や美術鑑賞を好み、マニアックな作品に惹かれる独自の感性を持っています。コロナ禍では自宅で息子と料理や映画鑑賞をし、家族の絆を深めました。松雪の私生活は、仕事と家庭のバランスを大切にし、自由でポジティブな生き方を体現しています。
出演作品
松雪泰子の出演作品は、テレビドラマ、映画、舞台、音楽と多岐にわたり、彼女の演技の幅広さを示しています。以下に主なものを挙げます。
TV
- 『熱血!新入社員宣言』(1991年、テレビ東京) – デビュー作、新人OL役。
- 『白鳥麗子でございます!』(1993年、TBS) – 主演、白鳥麗子役。ブレイクのきっかけ。
- 『白鳥麗子でございます!2』(1996年、TBS) – 主演、続編。
- 『きらきらひかる』(1998年、フジテレビ) – 主演、アイドル役。
- 『救命病棟24時 第2シリーズ』(2001年、フジテレビ) – 看護師役。
- 『勝利の女神』(2003年、フジテレビ) – 主人公の母親役。
- 『砂の器』(2004年、TBS) – 重要な脇役。
- 『Mother』(2010年、日本テレビ) – 主演、母親役。受賞作。
- 『平清盛』(2012年、NHK大河ドラマ) – 藤原顕子役。
- 『家族狩り』(2014年、テレビ朝日) – 主演、ミステリアスな妻役。
- 『グッドパートナー 無敵の弁護士』(2016年、テレビ朝日) – 弁護士役。
- 『半分、青い。』(2018年、NHK連続テレビ小説) – 主人公の母役。
- 『ミス・ジコチョー〜天才・天ノ教授の調査ファイル〜』(2019年、テレビ朝日) – 探偵役。
- 『初情事まであと1時間』(2021年、MBS/BS松竹東急) – ゲスト出演。
- 『ペンディングトレイン-8時23分、明日 君と』(2023年、TBS) – 主要キャスト。
- 『マル秘の密子さん』(2024年、日本テレビ) – 姉役。
- 『邪神の天秤 公安分析班』(2022年、WOWOW) – 刑事役。
- 『祈りのカルテ〜研修医の謎解き診察記録〜』(2022年、日本テレビ) – 医師役。
- 『夕暮れに、手をつなぐ』(2023年、TBS) – 家族役。
映画
- 『フラガール』(2006年) – 主演、振付師役。日本アカデミー賞受賞。
- 『デトロイト・メタル・シティ』(2008年) – マネージャー役。優秀助演女優賞。
- 『容疑者Xの献身』(2008年) – 刑事役。優秀助演女優賞。
- 『白鳥麗子でございます!』(1995年) – 主演、映画版。
- 『20世紀少年』(2008-2009年) – 重要な役。
- 『鋼の錬金術師』(2022年) – 主要キャスト。
- 『甘いお酒でうがい』(2022年) – 主演、独身OL役。
- 『ノンレムの窓』(2024年) – PTA役。
- 舞台:『夜叉ケ池』(2013年) – 主役。
- 『キャバレー』(2016年) – サリー役。
- 『髑髏城の七人 Season鳥』(2017年) – 主要役。
- 『るつぼ』(2020年) – 出演。
- 『キレイー神様と待ち合わせした女ー』(2019年) – 主演。
音楽
- シングル「ESP」(1995年) – 歌手デビュー曲。
- アルバム『pray』(1996年) – 代表作。
ラジオ
- ラジオ:『松雪泰子 星の輝く夜に…』(1992-1993年、ニッポン放送) – パーソナリティ。
- 『松尾スズキと30分の女優2』(2022年、WOWOW) – 出演。
これらの作品を通じて、松雪はコミカルからシリアス、ヒューマンドラマまで幅広い役柄をこなしています。最新作ではSF要素の強いドラマにも挑戦し、常に進化を続けています。
レビュー 作品の感想や女優への思い