『ハウスメイド』は2010年に公開された韓国のイム・サンス監督によるエロティック・スリラー映画。出演者は、チョン・ドヨン、ユン・ユジョン、パク・チヨン、ソ・ウなど。あらすじは、チョン・ドヨン演じるウニが、上流家庭の家政婦として働きながら、破壊的な三角関係に巻き込まれていくというもの。2010年カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。
基本情報
- 邦題:ハウスメイド
- 原題:하녀/下女
- 英題:The Housemaid
- 公開年:2010年
- 上映時間:107分
- 製作国:韓国
- ジャンル:サスペンス、ドラマ、ホラー
- 配給:ギャガ
- 続編:蜜の味 テイスト・オブ・マネー(2012年)
予告編はこちら。
見どころ
- キム・ギヨン監督の名作「ハウスメイド」(1960年)を、イム・サンス監督がリメイク。
- 階級社会で生きる人たちの非人間性、徐々に人格が壊れていく人たちなどを、迫真の演技で描写。

ハウスメイドは家政婦と訳されることが多いです。古くは女中や下女など。言葉の説明は、ハウスキーパーに似た職業と仕事内容で分かります。
ファム・ファタル
4人の美熟女が登場。メイク頑張ったときの重厚なセクシーさは、どなたも満点。ハウスメイドのイ・ウンイを演じたチョン・ドヨンと、フン夫人を演じたソ・ウが若年美人。
チョン・ドヨン(イ・ウニ役)

最初のベッドシーンで匂いの大切さを私に教えてくれました。
チョン・ドヨン演じるウニが吊り下がりながらシャンデリアを掃除している最中に、彼女が着用するボディハーネスが見えます。
あなたは私のことを人間だとも思っていないでしょうけど、この赤ちゃんはあなたのものです。
この映画には、チョン・ドヨンの太ももの上に大きな傷跡(火傷)がみえる場面が2つあります。ハングル・セルロイドのウェブサイトでそのことについて尋ねられたイム・サンス監督は、次のように答えました。
撮影が始まる前に、彼女は私にその傷跡について話してくれました。でも撮影が進むにつれて、その傷跡が映画の中のアイデアととてもマッチしていると感じたので、とくに焦点を当てた場面をいくつか用意したのは事実。CGで消すこともできましたが、チョン・ドヨンと相談して、この傷は映画にとてもマッチしているので残すべきだということで意見が一致しました。
ユン・ヨジョン(ビョンシク役)
韓国を代表するオカンといえばユン・ヨジョン。彼女はベテラン家政婦ビョンシクとして、新米イ・ウンイを応援しています。
ソ・ウ(ヘラ役)
成金らしい意地悪な感じを小悪魔風に演じていて前半は楽しめました。母が登場してからは押され気味の演技。これも含めたら、ソ・ウの演技力は高いといえるかも。
パク・チヨン(ヘラの母親ミヒ役)

頬ずりしたい…。
あくどいヘラ母ミヒの顔面と表情がセクシーだと思ったら、「犯罪の女王」に出演したパク・チヨンでした。どうやら、わたしはこのタイプに惹かれるらしい。
本作でパク・チヨン演じるヘラ母は、妊娠・出産を盾に結婚を迫るデキ婚戦略を娘ヘラに教えてきたことが分かり、なかなかの悪女ぶりを発揮しています。フンがピアノを弾く場面では、黒ストッキングに包まれた脚を組んで、ソファに座っているのですが、暗い照明とあいまって、とってもファム・ファタルな雰囲気を醸し出していました。
お金持ちの夫がいれば、浮気はつきものよ。
感想
上流階級といっても、大きい家に住んでいる程度の上流が舞台。家族が成金すぎて、上下関係に固執しすぎる様子を定番風に映しています。
そこに、ピュア色な女子がエロ色を覚えはじめて、グレーゾーンとブラックゾーンを揺れ動くヘラやブラック一色の邪悪さを徹底するヘラ母たちに、女性ならではの戦争に巻き込まれ、女性の露骨さをたっぷりと味わえます。とくに、パク・チヨンが演じるヘラ母はどぎつい悪女ぶりに、暗い衣装や恋メークが重なって、わたしはすっぽりと吸い込まれました。
1時間9分頃、ウニがベッドに座っているとき、背景には英語の文字がかすかに見える大きなアートがあります。その言葉はナサニエル・ウェスト『ミス・ロンリーハーツ』からの引用で、鬱、孤独、飲酒、不倫、身体的虐待など、この映画のテーマと重なるものが多い。
特集
- 「映画にて」カンヌ国際映画祭2010(TV Episode 2010)…韓国映画特集で紹介。
- 「エバート・プレゼンツ アット・ザ・ムービーズ』 もうひとりの女/コールド・ウェザー/ルーダー・ザン・ア・ボム/ハウスメイド/サンクタム(TV放映:2011年)…批評家たちが映画を批評するクリップを放映。
- 蜜の味 テイスト・オブ・マネー(2012年)…家族が視聴室でこの映画を視聴。
女優の活躍
映画『ハウスメイド』の主演女優であるチョン・ドヨンは、家政婦ウニ役を演じています。彼女の演技は、純粋で無垢な女性が次第に絶望と復讐心に駆り立てられる過程を繊細に表現しており、高く評価されています。特に、ヌードシーンでは実際の傷跡を活かしたリアルな描写が、キャラクターの脆弱性を強調しています。この役で、チョン・ドヨンは韓国映画界での地位をさらに固め、国際的に注目を集めました。
ユン・ヨジョンは、ベテランの家政婦ビョンシク役を務めています。彼女の活躍は、複雑な忠誠心と内面的な葛藤を巧みに描き出し、複数の映画賞で最優秀助演女優賞を受賞しました。この演技により、ユン・ヨジョンは後年のハリウッド進出の基盤を築き、国際的なキャリアを広げました。彼女の存在感が、物語の緊張感を高めています。
ソウは、裕福な妻ヘラ役で出演しています。彼女の演技は、冷徹で計算高い上流階級の女性を体現し、嫉妬と支配欲を力強く表現しています。この役で助演女優賞にノミネートされ、ソウのキャリアにおいて重要な作品となりました。パク・チヨンは、ヘラの母ミヒ役を演じ、家族の暗部を象徴する強烈なキャラクターを熱演しています。彼女の活躍は、物語の悪役としてのインパクトを強めています。
他の女優たちも、脇役ながら物語を支えています。例えば、アン・ソヒョンは娘ナミ役で、無垢な子供の視点を提供し、家族の崩壊を強調しています。全体として、女優たちの活躍が、女性間の対立と階級差を鮮やかに描き出しています。
女優の衣装・化粧・髪型
チョン・ドヨンの衣装は、家政婦としてのシンプルな制服が中心です。白や淡い色のエプロンとワンピースが、彼女の純粋さを象徴しています。化粧は控えめで、自然な肌色を活かしたナチュラルメイクが施され、髪型は短めのボブスタイルで、清潔感を強調しています。これにより、彼女のキャラクターが庶民的な存在として際立っています。
ユン・ヨジョンの衣装は、ベテラン家政婦らしい地味な服装で、グレーや黒のシンプルなドレスです。化粧は薄く、シワを隠さない現実的なメイクが用いられ、髪型はまとめ髪で実用的です。このスタイルが、彼女の忠実で忍耐強い性格を反映しています。
ソウの衣装は、上流階級の妻らしい豪華なドレスやマタニティウェアで、シルクやレース素材が使用されています。化粧は洗練されたメイクで、赤いリップとアイラインが強調され、髪型はエレガントなアップスタイルです。これにより、彼女の優位性と美しさが視覚的に表現されています。
パク・チヨンの衣装は、厳格な母らしいダークカラーのスーツやドレスです。化粧は重厚で、ダークなアイシャドウが冷徹さを演出し、髪型はストレートのロングヘアです。この外見が、家族の権力構造を象徴しています。全体的に、衣装・化粧・髪型は階級差を強調するデザインとなっています。
あらすじ
物語は、ソウルの街中で若い女性が自殺するシーンから始まります。主人公のウニは、レストランで働く普通の女性ですが、裕福な家族の家政婦として雇われます。家族は、夫のフン、妊娠中の妻ヘラ、娘のナミ、そしてベテラン家政婦のビョンシクで構成されています。ウニはナミとすぐに仲良くなり、家族に溶け込んでいきます。
しかし、フンがウニにワインを振る舞い、ピアノを弾くなどして誘惑します。次第に二人は肉体関係を持ち、ウニは妊娠してしまいます。ビョンシクがこの関係に気づき、ヘラの母ミヒに報告します。ミヒはウニを排除するため、事故を装って彼女を梯子から落とします。ウニは病院で妊娠を知り、中絶を考えるものの拒否します。
ヘラは夫の浮気を許すふりをしつつ、ウニに大金を渡して中絶を迫りますが、拒否されると毒を盛ります。ヘラは双子を出産しますが、ウニは毒で倒れ、ミヒが無断で中絶手術をさせます。ウニはこれを知り、復讐を決意します。ビョンシクの助けを借りて家に潜入し、赤ん坊に母乳を与え、家族の前でシャンデリアにぶら下がって自らを燃やします。
物語の結末は、家族がナミの誕生日を祝うシーンで終わります。雪の中で英語を話し、シャンパンを飲む姿が、狂気を思わせます。このあらすじは、階級の残酷さと復讐の連鎖を描いています。
解説
映画『ハウスメイド』は、1960年のオリジナル『下女』を現代的にリメイクした作品です。監督のイム・サンスは、韓国社会の格差問題を正面から取り上げ、上流階級の家族と下層の家政婦の対立を強調しています。エロティックなシーンを通じて、権力と欲望の絡み合いを表現し、暗いユーモアを交えた心理スリラーとなっています。
物語の鍵は、階級差の象徴として描かれる家屋です。ヨーロッパ風の豪華な邸宅が、表面的な優雅さと内面的な残酷さを表しています。シャンデリアのモチーフは、破壊と復讐を象徴し、初めの自殺シーンと結びついています。この設定が、社会の無関心と個人レベルの闘争を強調します。
女優たちの演技が、キャラクターの複雑さを深めています。特に、ウニの変貌は、被害者から加害者への転換を示し、復讐映画の伝統を継承しています。批評では、セクシーでスタイリッシュな作風が称賛されつつ、ウニの動機の曖昧さが指摘されています。全体として、韓国映画の国際的な評価を高めた一作です。
続編の『蜜の味 テイスト・オブ・マネー』では、同じ監督がさらに格差社会を掘り下げています。本作は、カンヌ映画祭でパルム・ドールにノミネートされ、興行的にも成功しました。視覚的な美しさと緊張感が、観客を引き込む要因となっています。
キャスト
- チョン・ドヨン:ウニ(家政婦)
- イ・ジョンジェ:フン(主人)
- ユン・ヨジョン:ビョンシク(ベテラン家政婦)
- ソウ:ヘラ(妻)
- アン・ソヒョン:ナミ(娘)
- パク・チヨン:ミヒ(ヘラの母)
- ファン・ジョンミン:ウニの友人
- ムン・ソリ:産婦人科医
スタッフ
- 監督:イム・サンス
- 脚本:イム・サンス
- 原案:キム・ギヨン
- 製作:ジェイソン・チェ
- 撮影:イ・ヒョンドク
- 編集:イ・ウンス
- 音楽:キム・ホンジプ
- 衣装デザイン:チェ・セヨン
- メイク:イ・ウンジュ




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