マーベルの映画「ファンタスティック・フォー」シリーズに登場するスーザン・“スー”・ストーム（Susan “Sue” Storm）というキャラクターについ詳細に解説しています。
スー・ストームは、ファンタスティック・フォーの主要メンバーであり、インビジブル・ウーマン（Invisible Woman）として知られるスーパーヒーロー。この解説では、彼女の映画での描写、キャラクターの背景、能力、役割、関係性、そしてシリーズごとの違いを中心に説明します。
基本背景
スーザン・“スー”・ストームは、マーベル・コミックの「ファンタスティック・フォー」に登場するキャラクターで、1961年にスタン・リーとジャック・カービーによって初めて紹介されました。映画では、彼女はファンタスティック・フォーのリーダー、リード・リチャーズ（ミスター・ファンタスティック）の恋人であり、後に妻となる重要なキャラクターです。スーは、チームの中で知性と感情のバランスを保つ存在として描かれ、強力な超能力を持つヒーローでもあります。
映画「ファンタスティック・フォー」シリーズは、以下の主要な実写映画で展開されています。
- 2005年公開『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』（監督：ティム・ストーリー）
- 2007年公開『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』（監督：ティム・ストーリー）
- 2015年公開『ファンタスティック・フォー』（監督：ジョシュ・トランク）
これらの映画でスー・ストームはそれぞれ異なる女優によって演じられ、キャラクターの解釈や描写も若干異なります。
キャラクターの概要と能力
基本プロフィール
スー・ストームは、科学的探求心を持つリード・リチャーズの研究チームの一員として登場します。彼女はリードの恋人であり、ジョニー・ストーム（ヒューマン・トーチ）の姉（または義姉、映画によっては設定が異なる）です。スーは知的で落ち着いた性格を持ち、チームの精神的支柱として機能します。彼女の職業は映画によって異なり、2005年版では科学者やビジネスマンとしての側面が強調され、2015年版では若い研究者として描かれます。
超能力：インビジブル・ウーマン
スー・ストームは、宇宙線（コズミック・レイ）に曝露したことで超能力を獲得します。彼女の主な能力は以下のとおりです。
- 透明化…スーは自分自身や周囲の物体を透明にすることができます。この能力は、敵からの隠密行動や防御に役立ちます。
- フォースフィールド生成…スーは強力なエネルギー場を作り出し、攻撃を防いだり、物体を閉じ込めたりできます。このフォースフィールドは、物理的な攻撃だけでなく、エネルギー攻撃にも耐えることができます。映画では、フォースフィールドを使った戦闘シーンが特に印象的です。
- エネルギー操作（限定的）…2005年と2007年の映画では、フォースフィールドを攻撃的に使用する場面も見られ、爆発的なエネルギー波を放つ描写があります。
これらの能力は、彼女をチームの守備的な要として位置づけ、戦闘では防御やサポートに特化した役割を果たします。しかし、彼女の能力は精神的な状態に影響されやすく、ストレスや感情の揺れが能力の制御に影響を与えることがあります。
映画シリーズごとの描写
2005年・2007年版（ジェシカ・アルバ）
2005年公開『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』と2007年公開『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』では、ジェシカ・アルバがスー・ストームを演じました。このバージョンのスーは、知的で自信に満ちた大人の女性として描かれ、リード・リチャーズ（ヨアン・グリフィズ）とのロマンスが物語の中心的な要素です。
2005年『ファンタスティック・フォー 超能力ユニット』
スーは、リードの元恋人で、ヴィクター・フォン・ドゥーム（ドクター・ドゥーム）の会社で働く科学者として登場。宇宙ミッション中にコズミック・レイに曝露し、透明化とフォースフィールドの能力を獲得します。映画では、彼女の能力の制御に苦労する姿が描かれ、特に感情的な動揺が能力に影響を与える点が強調されます。スーとリードの関係は、すれ違いや葛藤を経て再び結ばれる過程が丁寧に描かれます。また、弟のジョニー（クリス・エヴァンス）との軽妙な姉弟関係も魅力の一つです。
戦闘では、フォースフィールドを使ってチームを守る役割が目立ち、ドクター・ドゥームとの最終戦では彼女の能力が決定的な役割を果たします。
2007年『ファンタスティック・フォー 銀河の危機』
続編では、スーとリードが結婚を計画する中、シルバ―・サーファーとガラクタスという新たな脅威に立ち向かいます。スーはより成熟したキャラクターとして描かれ、チームのリーダーシップを発揮。彼女のフォースフィールドは、シルバ―・サーファーとの戦いやガラクタスへの対抗策として重要な役割を果たします。また、映画の後半では、シルバ―・サーファーとの交流を通じて彼女の慈悲深い一面が強調され、敵との対話を通じて和平をもたらす姿勢が描かれます。
この映画では、スーの能力がさらに洗練され、フォースフィールドを攻撃的に使用するシーンも増えました。ジェシカ・アルバの演技は、スーの強さと優しさをバランスよく表現し、観客に愛されるキャラクター像を築きました。
2015年版（ケイト・マーラ）
2015年のリブート版『ファンタスティック・フォー』では、ケイト・マーラがスー・ストームを演じました。このバージョンは、より暗くシリアスなトーンで、若く現代的なキャラクター設定が特徴です。
キャラクター設定
2015年版のスーは、リード（マイルズ・テラー）やジョニー（マイケル・B・ジョーダン）と共に、量子ゲートを研究する若い科学者として登場。彼女は養子としてストーム家に迎え入れられており、ジョニーとは義理の姉弟関係です。この設定は、コミックの伝統的な血縁関係からの変更点として議論を呼びました。スーは、知性と冷静さを兼ね備えたキャラクターとして描かれ、チームの科学的な側面を支えます。
能力と役割
スーの能力は、前作と同様に透明化とフォースフィールドですが、映画のトーンに合わせてよりリアルで科学的な描写が試みられています。彼女は、量子ゲートの実験中に異次元からのエネルギーに曝露し、能力を獲得。戦闘では、フォースフィールドを使った防御や攻撃が描かれますが、映画全体のアクションが控えめなため、彼女の能力の活躍は限定的でした。
スーの役割は、チームの結束を保つことや、リードの逃亡後に彼を呼び戻すことに重点が置かれます。しかし、映画自体の脚本や演出の問題から、スーのキャラクターは深く掘り下げられず、感情的な成長や関係性の描写が不足しているとの批判を受けました。
評価と課題
ケイト・マーラのスーは、知的で内向的なキャラクターとして新たな解釈を提示しましたが、映画の失敗（興行的・批評的）により、彼女の演技やキャラクターの魅力が十分に活かされませんでした。ファンからは、コミックのスーの力強さやリーダーシップが不足しているとの声も多く、2015年版のスーは賛否両論の存在となりました。
人間関係
リード・リチャーズとのロマンス
スーとリードの関係は、ファンタスティック・フォーの物語の中心的な要素です。2005年・2007年版では、2人のロマンスが物語の軸となり、すれ違いや葛藤を経て愛を深める姿が描かれます。スーはリードの科学への没頭や優柔不断さに苛立つ一方、彼の純粋さや情熱に惹かれます。2007年の結婚シーンは、ファンの間で特に印象的な瞬間として愛されています。
2015年版では、2人の関係はより控えめで、友情から始まる淡い恋愛として描かれますが、映画の短い尺とストーリーの未完成さから、感情的な繋がりが十分に描かれませんでした。
ジョニー・ストームとの姉弟関係
スーとジョニーの関係は、映画に軽快なユーモアと家族の絆をもたらします。2005年・2007年版では、ジョニーの無鉄砲さとスーの冷静さが対比され、姉弟の掛け合いが魅力的なシーンを生み出します。2015年版では義理の姉弟という設定が導入され、関係性がやや希薄に感じられましたが、ジョニーの反抗的な態度に対するスーの包容力が描かれました。
ベン・グリムとの友情
スーは、ベン・グリム（ザ・シング）に対して姉貴分のような優しさを見せ、彼の外見の変化による苦悩を理解しようとします。2005年版では、ベンの恋愛問題をサポートするシーンがあり、彼女の思いやりが強調されます。
テーマと象徴性
スー・ストームは、単なるスーパーヒーロー以上の存在として、さまざまなテーマを象徴します。
女性の強さ
スーは、ファンタスティック・フォーの中で最も感情的なキャラクターでありながら、戦闘での強さとリーダーシップを発揮します。彼女のフォースフィールドは、守る力と攻撃力を兼ね備え、女性の多面性を表現しています。
家族の絆
スーは、チームを家族としてまとめ上げる役割を果たし、特にジョニーやベンとの関係を通じて、血縁を超えた絆の大切さを示します。
自己犠牲
2007年の映画では、シルバ―・サーファーとの交流やガラクタスへの対抗で、彼女が自己犠牲の精神を見せる場面があります。
映画外での影響
スー・ストームは、コミックや映画を通じて、女性スーパーヒーローの先駆けとして重要な存在です。2005年・2007年の映画は、ジェシカ・アルバの人気もあり、スーを一般の観客に広く知らしめました。彼女の能力やキャラクター性は、後のマーベル映画（例：『キャプテン・マーベル』や『ブラック・ウィドウ』）の女性ヒーロー像に影響を与えたとも言えます。
一方、2015年のリブート失敗は、スーのキャラクターの再解釈の難しさを浮き彫りにしました。ファンからは、コミックのスーのリーダーシップやカリスマ性をより忠実に描く続編が求められています。
今後の展望
2025年現在、MCU（マーベル・シネマティック・ユニバース）版『ファンタスティック・フォー』の公開が2025年7月25日に予定されており、スー・ストーム役にはヴァネッサ・カービーがキャスティングされています。この新作では、コミックに忠実なスーの描写が期待され、彼女の科学者としての知性、インビジブル・ウーマンとしての力強さ、そしてリードとのロマンスがどのように描かれるかが注目されています。MCUの広大な世界観の中で、スーが他のヒーロー（例：アベンジャーズやX-MEN）とどう関わるかも興味深いポイントです。
結論
スーザン・“スー”・ストームは、ファンタスティック・フォーの心臓部とも言えるキャラクターです。2005年・2007年の映画では、ジェシカ・アルバが演じるスーの魅力が光り、強さと優しさを兼ね備えたヒーロー像を確立しました。一方、2015年のリブートでは、ケイト・マーラの新たな解釈が試みられたものの、映画全体の失敗によりその魅力が十分に発揮されませんでした。スーの透明化やフォースフィールドの能力は、彼女の守護者としての役割を象徴し、チームや家族を守る姿勢を体現しています。MCU版でのスーの登場が待たれる中、彼女のキャラクターは今後もマーベルファンにとって重要な存在であり続けるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い