『ヘアスプレー』は1960年代のボルチモアを舞台に、肥満体の少女トレイシーが人気ダンス番組に出演し、人種差別と偏見に立ち向かうミュージカルコメディ。ジョン・ウォーターズのカルト映画をアダム・シャンクマン監督がリメイク。ミシェル・ファイファーが白人至上主義者の母親役で冷徹な魅力を発揮し、歌とダンスで社会風刺を描く。
基本情報
- 邦題:ヘアスプレー
- 原題:Hairspray
- 公開年:2007年
- 製作国:米国
- 上映時間:116分
- ジャンル:コメディ、ミュージカル
- 配給:ギャガ
見どころ
監督はダンサーや振付家として知られるアダム・シャンクマン。主演は新鋭、ニッキー・ブロンスキー。主人公の母親役をジョン・トラヴォルタが特殊メイクで女装して演じる。
女優の活躍
本作でミシェル・ファイファーは、ヴェルマ・フォン・タッスルという白人至上主義者の母親役を演じています。彼女の活躍は、映画全体の緊張感とユーモアを支える重要な要素です。ファイファーは、冷徹で偏見に満ちたキャラクターを、洗練された演技で表現し、観客に強い印象を残します。特に、歌唱シーンでは力強いボーカルを披露し、ミュージカル要素を高めています。ダンスシーンでは、彼女の優雅な動きが、役柄のエリート意識を強調します。この役を通じて、ファイファーは過去のグラマラスなイメージから脱却し、複雑な悪役を深みを持って演じきりました。批評家からも、彼女の多才さが称賛され、映画の成功に大きく貢献したと言えます。全体として、ファイファーの活躍は、社会問題を風刺する物語にリアリティを与え、観る者を引き込む力を持っています。
女優の衣装・化粧・髪型
ミシェル・ファイファーの衣装は、1960年代の保守的な白人上流階級を反映したもので、タイトなドレスやハイネックのブラウスが中心です。これらは彼女のスリムな体型を強調し、役柄の洗練された冷徹さを視覚的に表現しています。色調は白やパステルカラーが多く、人種差別的な優位性を象徴します。化粧は完璧なメイクアップで、赤いリップとシャープなアイラインが特徴的です。これは、ヴェルマの外見的な完璧主義を表し、内面的な偏見を強調する効果があります。髪型はブロンドのアップスタイルやボリュームのあるウェーブが多く、時代感を出しつつ、彼女の美しさを際立たせます。これらの要素は、衣装デザイナーの努力により、ファイファーの演技を補完し、キャラクターの威圧的な魅力を高めています。全体として、衣装・化粧・髪型は、ミュージカルらしい華やかさと、社会風刺の鋭さを両立させています。
あらすじ
1962年のボルチモアを舞台に、物語は肥満体の少女トレイシー・ターナーブライト(ニッキー・ブロンソン)が、毎朝のルーチンから始まります。彼女は人気の地元テレビ番組「ザ・コルゲート・ダイアモンドTシャツレビュー」に憧れています。この番組は、ティーンエイジャーたちがダンスを披露するもので、白人中心の出演者で構成されています。トレイシーの母親エディナ(ジョン・トラボルタ)は、彼女の夢を応援しますが、父親のエンバー(クリストファー・ウォーケン)は現実的です。
ある日、学校のダンスの先生が番組のプロデューサーと繋がりがあり、トレイシーはオーディションを受け、出演を勝ち取ります。彼女の明るい性格とダンスの才能が注目を集め、すぐに人気者になります。しかし、番組のスターであるリンク・ラーキン(ザカリー・ナイト)と恋に落ちる一方で、ヴェルマ・フォン・トゥッスル(ミシェル・ファイファー)と娘アンバー(ブライス・ダラス・ハワード)は、白人至上主義者としてトレイシーを敵視します。ヴェルマは番組のスポンサーである夫の影響力を使い、人種隔離を維持しようと画策します。
トレイシーは、黒人コミュニティの友人たち、特にモッティ(クエンティン・イーストン)とペニー(アマンダ・バイニー)と交流を深め、人種差別に疑問を抱きます。番組に黒人出演者を増やそうとする運動が起き、トレイシーはリーダーとして立ち上がります。ヴェルマの陰謀が明らかになり、クライマックスでは大規模なデモンストレーションとダンスバトルが展開します。最終的に、愛と平等のメッセージが勝利し、番組は多様な出演者で生まれ変わります。トレイシーの成長と社会変革が、歌とダンスで楽しく描かれます。
解説
『ヘアスプレー』は、ジョン・ウォーターズの1988年のカルト映画を基にした2007年のミュージカルリメイクで、アダム・シャンクマン監督のもとで制作されました。この作品は、1960年代のアメリカ社会の人種差別と肥満体型への偏見を、ユーモラスなミュージカル形式で風刺しています。原作の過激なエッジを保ちつつ、ブロードウェイミュージカル版の要素を取り入れ、家族向けのエンターテイメントに仕上げられています。
テーマの中心は、多様性と受容です。主人公トレイシーの物語を通じて、白人中心のメディアが排除するマイノリティの声を描き、公民権運動の精神を反映します。ミシェル・ファイファーのヴェルマ役は、こうした偏見の象徴として機能し、彼女の演技が社会批判の鋭さを増幅させます。また、肥満体型のキャラクターを肯定的に描くことで、ボディポジティビティを促進します。音楽はスコット・ウィットマンとマーク・シャイマンによるもので、キャッチーなナンバーが物語を推進します。
監督のシャンクマンは、ダンスシーンの振付に力を入れ、時代を再現したセットと衣装で視覚的な魅力を高めています。批評家からは、ポジティブなメッセージとエンタメ性のバランスが評価され、興行収入も成功を収めました。この映画は、ミュージカル映画の復興を象徴し、現代の社会問題を振り返る鏡としても機能します。全体として、楽しく教育的で、観客に希望を与える作品です。
キャスト
- トレイシー・ターンブラッド – ニッキー・ブロンスキー(渕崎ゆり子)/太った体形の女子高生。
- エドナ・ターンブラッド – ジョン・トラボルタ(山寺宏一)/トレイシーの母親。娘の夢を消極的な理由で応援していない。
- ベルマ・フォン・タッスル – ミシェル・ファイファー(塩田朋子)/プロデューサー。
- ウィルバー・ターンブラッド – クリストファー・ウォーケン(堀勝之祐)/トレイシーの父親。妻とは違い娘を応援している。
- アンバー・フォン・タッスル – ブリタニー・スノウ(小林沙苗)/ベルバーの娘。
- ペニー・ピングルトン – アマンダ・バインズ(嶋村侑)/トレイシーの親友。
- プルーディー・ピングルトン – アリソン・ジャネイ(宮寺智子)/ペニーの母。
- コーニー・コリンズ – ジェームズ・マースデン(横堀悦夫)/ショーの司会者。
- “モーターマウス” メイベル・スタッブス – クイーン・ラティファ(上村典子)/人種差別を訴えるデモを行う。
- リンク・ラーキン – ザック・エフロン(三木眞一郎)/ダンサー。
- シーウィード・スタッブス – イライジャ・ケリー(伊藤健太郎)/ダンサー。
- ミスター・ピンキー – ジェリー・スティラー(糸博)/婦人服店の店長。
- ミスター・スプリッツァー – ポール・ドゥーリイ(辻親八)/スポンサー。
- アイネス・スタッブス – テイラー・パークス (杉本ゆう)/シーの妹。
スタッフ
- 監督:アダム・シャンクマン
- 脚本:レスリー・ディクソン
- 衣装デザイン:リタ・ライアック
レビュー 作品の感想や女優への思い