ヘレン・ハント(Helen Hunt)は米国の女優・監督。シットコム『狂っちゃいないわ、私たち』で人気を博し、4度のプライムタイム・エミー賞と4度のゴールデングローブ賞を受賞。映画『恋愛のルール』でアカデミー賞主演女優賞を獲得し、『ツイスター』や『君に読む物語』などのヒット作で知られる。監督としても活躍する多才なアーティスト。
プロフィール
- 名前:ヘレン・ハント(Helen Hunt)
- 本名:Helen Elizabeth Hunt
- 生年月日:1963年6月15日(62歳)
- 出生地:アメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルス
- 身長:170cm
- 職業:女優、監督、脚本家
- ジャンル:映画、テレビドラマ
- 活動期間:1973年~
- 配偶者:ハンク・アザリア(1999年~2000年)
生い立ち・教育
ヘレン・ハントは、1963年6月15日にカリフォルニア州カルバーシティで生まれました。父親のゴードン・ハントは映画、声優、舞台の監督兼演技コーチとして知られ、母親のジェーン・エリザベス・ノービスは写真家でした。叔父のピーター・H・ハントも監督で、母方の祖母ドロシー・フライズは声優コーチを務めていました。父親側の祖母はドイツ系ユダヤ人の血統を持ち、他の祖父母はイギリス系でメソジストの背景でした。
3歳の頃、家族はニューヨーク市に移住し、父親が劇場監督として活動する中で、ヘレンは頻繁に演劇を観劇する機会に恵まれました。この環境が、幼少期から演劇や芸術への興味を育みました。家族のクリエイティブな職業に囲まれて育ったため、自然とエンターテイメントの世界に親しみました。彼女は8歳で父親のもとで演技を学び始め、9歳で1973年のTV映画『Pioneer Woman』に初出演し、プロのキャリアをスタートさせました。
教育面では、カリフォルニア州バーバンクのプロビデンス高校を卒業しました。バレエも学び、芸術的な感性を磨きました。また、短期間ですがカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)に在籍し、さらなる学問を修めました。しかし、演技への情熱が強く、大学を中退して本格的に俳優業に専念しました。このような生い立ちは、彼女の多角的なキャリアの基盤を形成したと言えます。家族の影響を受け、創造性と忍耐力を身につけたヘレンは、幼少期の経験を活かし、後年の成功を支えました。
経歴
ヘレン・ハントのキャリアは、1970年代の子供時代から始まりました。初期の出演作には、1976年のTV番組『Family』や1977年の『The Mary Tyler Moore Show』、同年の映画『Rollercoaster』があります。また、『The Swiss Family Robinson』でのリカーリング・ロールや、『The Bionic Woman』、『Highway to Heaven』などのゲスト出演も行いました。1980年代には、ティーン向け映画で活躍し、『Trancers』(1984年)、『Girls Just Want to Have Fun』(1985年)、『Peggy Sue Got Married』(1986年)に出演しました。これらの作品で、若々しい魅力と演技力を発揮しました。
1983年のテレビ映画『Quarterback Princess』では、男子校フットボールチームを率いる女子高生を演じ、高い評価を得ました。1984年の医療ドラマ『St. Elsewhere』でのリカーリング・ロールも、彼女のブレイクスルーとなりました。1992年から1999年まで放送されたシットコム『狂っちゃいないわ、私たち(Mad About You)』でジェイミー・ブークマン役を演じ、ポール・ライザーとの絶妙なケミストリーで人気を博しました。この役で、1996年から1999年まで4年連続でプライムタイム・エミー賞主演女優賞を受賞し、3度のゴールデングローブ賞も獲得しました。シリーズの最終回を含む数エピソードを監督し、演出家としての才能も開花させました。
映画界では、1996年のブロックバスター『ツイスター』でビル・パクストンと共演し、当年の興行収入第2位の成功を収めました。1997年の『恋愛のルール』では、ジャック・ニコルソン演じる強迫観念症の男性との恋愛を繊細に描き、アカデミー賞主演女優賞を獲得しました。2000年には『What Women Want』、『Cast Away』、『Pay It Forward』、『Dr. T & the Women』と4本のヒット作を連続リリースし、キャリアのピークを迎えました。
2007年に監督デビュー作『Then She Found Me』を発表し、自ら主演も務めました。以降、『Ride』(2014年、脚本・監督・主演)など監督作品を増やし、TV番組『House of Lies』(2016年)、『This Is Us』(2016年)、『Feud: Bette and Joan』(2017年)のエピソードを監督しました。2012年の『The Sessions』では、セックス・サロゲート役でアカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。2019年には『Mad About You』のリバイバル版に出演し、2021年から『Blindspotting』でレギュラー役を務めています。最近では『World on Fire』(2019年)にも出演。彼女の経歴は、テレビから映画、監督業へ多岐にわたり、受賞歴もアカデミー賞1回、エミー賞4回、ゴールデングローブ賞4回と輝かしいものです。常に挑戦を続け、業界のロールモデルとなっています。
私生活
ヘレン・ハントの私生活は、キャリアの華やかさと対照的に、静かで家族中心のものです。1999年7月に俳優のハンク・アザリアと結婚しましたが、わずか17ヶ月後の2000年8月に離婚しました。この短い結婚生活は、互いの多忙なスケジュールが原因でした。離婚後、彼女は一時的に公の場から距離を置き、心身の休息を取ったとされています。
2001年頃から、脚本家・プロデューサーのマシュー・カーナハンと交際を始め、2004年5月に娘のマケナ・レイを出産しました。二人は16年間のパートナーシップを続けましたが、2017年8月に別居を発表しました。現在も良好な関係を保ち、共同で娘の養育に当たっています。ヘレンは母親として、娘のプライバシーを守ることを重視し、公の場で家族の話題を控えめに語っています。
2017年のロサンゼルスでのWomen’s Marchに参加し、女性の権利擁護を表明しました。また、2019年10月にロサンゼルスで交通事故に遭い、病院に搬送されましたが、重傷は免れ、翌週には仕事に復帰しました。この出来事は、彼女の回復力とプロフェッショナリズムを象徴します。私生活では、ヨガや瞑想を趣味とし、精神的なウェルビーイングを大切にしています。慈善活動にも積極的で、環境保護や教育支援に寄与しています。ヘレンの私生活は、プロフェッショナルな成功を支える穏やかな基盤を提供しています。
出演作品
ヘレン・ハントの主な出演作品を、映画とテレビに分けて紹介します。彼女のキャリアは多岐にわたり、ジャンルを問わず活躍しています。
映画
- Rollercoaster(1977年):トレイシー・カルダー役
- Trancers(1984年):レナ役
- Girls Just Want to Have Fun(1985年):リン・ストーン役
- Peggy Sue Got Married(1986年):ベス・ボデル役
- Project X(1987年):テリ・マクドナルド役
- Stealing Home(1988年):ホープ・ワイアット役
- Next of Kin(1989年):ジェシー・ゲイツ役
- Trancers II: The Return of Jack Deth(1991年):レナ役
- The Waterdance(1992年):アンナ役
- Only You(1992年):クレア・エンフィールド役
- Bob Roberts(1992年):ローズ・ポンデル役
- Mr. Saturday Night(1992年):アニー・ウェルズ役
- Kiss of Death(1995年):ベヴ・キルマーティン役
- Twister(1996年):ジョー・ハーディング役
- As Good as It Gets(1997年):キャロル・コノリー役(アカデミー賞受賞)
- What Women Want(2000年):エリカ・ベイトマン役
- Cast Away(2000年):ケリー・フライス役
- Pay It Forward(2000年):アーリーン・フォスター役
- Dr. T & the Women(2000年):グレイス・ブッダー役
- The Curse of the Jade Scorpion(2001年):ローラ・ケネディ役
- Bobby(2006年):サマンサ役
- Then She Found Me(2007年、監督・主演):ジュヌヴィエーヴ役
- Soul Surfer(2011年):トミー・ハミルトン役
- The Sessions(2012年):シェリル・コーエン=グリーン役(アカデミー賞ノミネート)
- Decoding Annie Parker(2013年):スーザン役
- Ride(2014年、監督・脚本・主演):ロック役
- The Miracle Season(2018年):キャロリン・ブロック役
- ナイト・ウォッチャー(2020年):エセル・ブロムリー役
TV
- Family(1976年):ゲスト出演
- The Mary Tyler Moore Show(1977年):ゲスト出演
- Swiss Family Robinson(1975-1976年):エリカ役
- St. Elsewhere(1984年):ゲスト出演
- Quarterback Princess(1983年、テレビ映画):タビサ・ベネット役
- It Takes Two(1982-1983年):メイ役
- Mad About You(1992-1999年、2019年リバイバル):ジェイミー・ブークマン役(エミー賞4回受賞)
- Empire Falls(2005年、ミニシリーズ):グレイス・メイズ役
- World on Fire(2019年):ロザリー・ウォー役
- Blindspotting(2021-2023年):マリー・ヴァレンシア役
これらの作品を通じて、ヘレン・ハントはコメディからドラマまで幅広い演技を見せ、監督としても革新的な貢献を果たしています。彼女のキャリアは、持続的な進化を体現しています。
レビュー 作品の感想や女優への思い