国際商業信用銀行(英語:Bank of Credit and Commerce International / 略語:BCCI)は、パキスタンの金融業者アガ・ハサン・アベディが1972年に設立した国際銀行。アフリカやアジアの発展途上国へも積極的に進出し、開業から10年後には78カ国に4000以上の支店をもち、資産は200億米ドルを超え、世界第7位のプライベート・バンクとなりました。
映画『ザ・バンク 堕ちた巨像』の実話モデルとなったように、BCCIは1980年代、規制が不十分であるとの懸念から、金融規制当局や情報機関が監視下に置きました。その後の調査で、BCCIは巨額のマネーロンダリングやその他の金融犯罪に関与し、アメリカの大手銀行の支配権を不正に取得していたことが明らかになりました。BCCIは1991年に経営破綻し、大規模な規制闘争の焦点となります。
日本国もBCCIの経営破綻で影響をうけ、次のような問題が生じました。
同行東京支店が七月八日から臨時休業に入ったため、預金の引出しができず、経営不安に追い込まれる事業者が出る等深刻な事態を惹起している。https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_shitsumona.nsf/html/shitsumon/a121004.htm
日本の場合、預金保険機構に在日外国銀行の加入を認めていないため、BCCIの東京支店預金者は預金保険で補償を受けることができません。上の引用の続きとして、在日外国銀行への預金者は守られていないにも関わらず、BCCIのような悪徳銀行に営業許可を与えたことは大蔵省の怠慢だという指摘があります。BCCI東京支店開設直前に、シンガポールは同国への同行支店開設を適格性に問題ありとして認めなかっただけに、悔やまれた事態でした。
さて、BCCIが経営破断したのは1991年。その年の7月5日に、7カ国の税関と銀行規制当局はCチェイス作戦でBCCIの支店を家宅捜索し、記録を封鎖しました。その結果、乱脈経営に加えて資金洗浄や武器密輸、麻薬取引への関与、更には核兵器の流出やCIAをはじめとした諜報機関との関わりなど、数々の不祥事が明らかになりました。
米国と英国の調査官は、BCCIが中央集権的な規制当局の審査を避けるために意図的に設立された機関で、銀行秘密管轄区域で広範囲に運営していたと断定。当行の業務は極めて複雑で、役員たちは洗練された国際的な銀行家であり、その明白な目的は、自分たちの業務を秘密にし、大規模な詐欺を行ない、摘発を避けることでした。
- 国際商業信用銀行(BCCI)は、詐欺、マネーロンダリング、贈収賄など、広範な金融犯罪に関与した国際銀行
- BCCIは70カ国以上で活動し、規制当局の監視を逃れる複雑な企業構造
- 世界的な調査によってBCCIの犯罪行為が明らかになり、預金者と投資家に多大な損失をもたらし、1991年に閉鎖
清算人のデロイト&トウシュは、銀行の監査役であるプライス・ウォーターハウスとアーンスト・アンド・ヤングを相手どって訴訟を起こし、1998年に1億7500万ドルで和解。2013年までに、デロイト&トウシュは債権者が失なった資金の約75%を回収したと主張しています。
BCCIのスキャンダルは、金融・銀行界の有力者たちが耳を傾けるべき教訓として引用され続けています。2023年3月に米国のマイケル・J・シュー通貨監督庁代行が述べたところによると、FTXと、1991年に破綻し、世界的な銀行の監督方法に大きな変化をもたらしたBCCIには強い類似点があります。
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