双極性障害

この記事のうち「見どころ」には若干の誇張表現があります。

双極性障害は、以前は躁鬱病として知られていた精神障害で、鬱状態の期間と気分が異常に高揚する(躁状態)期間がそれぞれ数日から数週間続くことを特徴にします。

気分の高揚が激しい場合や精神病を伴なう場合は躁病といい、それほど重くなく機能に大きな影響を与えない場合は軽躁病といいます。躁病の期間中は、異常なほどエネルギッシュに、幸福に、または過敏に行動したり感じたりし、結果をほとんど考慮せずに衝動的な決定を下すことが多いです。他方、鬱病の時期には、泣いたり、人生に対して否定的な見通しをもったり、他人とのアイコンタクトが悪くなったりします。

自殺のリスクは高く、20年間で双極性障害患者の6%が自殺で死亡し、患者の30~40%が自傷行為に及んでいます。双極性障害には、不安障害や薬物使用障害など、他の精神衛生上の問題もよく関連しています。

この気分障害の原因ははっきりとはわかっていませんが、遺伝的要因と環境的要因の両方が関与していると考えられています。遺伝的要因は双極性障害の発症リスクの約70~90%を占めます。環境的危険因子には、小児期の虐待歴や長期にわたるストレスが含まれます。鬱病エピソードの有無にかかわらず、少なくとも1回の躁病エピソードがあれば双極性Ⅰ型障害に、少なくとも1回の軽躁病エピソード(完全な躁病エピソードはない)と1回の大鬱病エピソードがあれば双極性Ⅱ型障害に分類されます。大鬱病エピソードの基準を満たさない抑うつ期を伴なう軽躁エピソードがある場合は、周期性軽躁病に分類されます。これらの症状が薬物や医学的問題に起因する場合は、双極性障害とは診断されません。双極性障害と症状が重複する他の疾患には、注意欠陥多動性障害、パーソナリティ障害、統合失調症、薬物使用障害、その他多くの医学的疾患があります。診断に医学的検査は必要ありませんが、血液検査や画像診断によって他の問題を除外することはできます。

気分安定薬、とくにリチウム、ラモトリギン、バルプロ酸塩、カルバマゼピンなどの特定の抗けいれん薬、クエチアピンやアリピプラゾールなどの非定型抗精神病薬が、長期的な薬理学的再発予防の主力。コンプライアンスが懸念される患者には、長時間作用型の注射製剤が利用可能です。

また、精神療法がこの疾患の経過を改善するといういくつかの証拠があります。鬱病エピソードにおける抗うつ薬の使用については議論の余地があります。抗うつ薬は有効ですが、躁病エピソードを誘発することが示唆されているのです。 したがって、うつ病エピソードの治療はしばしば困難。電気けいれん療法(ECT)は、急性の躁病エピソードおよび鬱病エピソード、とくに精神病または緊張病において有効。精神科病院への入院は、患者が自分自身または他者に対して危険である場合に必要となることがあります。患者が治療を拒否した場合には、非自発的治療が必要となることも。

双極性障害は世界人口の約2%が罹患していて、米国では約3%が人生のいずれかの時点で罹患すると推定されています。双極性障害の患者の約4分の1から3分の1が、病気のために経済的、社会的、または仕事に関連した問題を抱えています。双極性障害は世界中で障害の原因の上位20位に入っており、社会に多大な費用をもたらしています。ライフスタイルの選択と薬の副作用により、双極性障害の患者における冠動脈性心疾患などの自然原因による死亡リスクは、一般人口の2倍です。

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双極性障害

双極性障害は、鬱病と軽躁病または躁病のエピソードを特徴とします。

  • 専門分野:精神医学、臨床心理学
  • 症状:抑うつ期と気分高揚期
  • 合併症:自殺、自傷行為
  • 通常の発症:25歳
  • タイプ:双極Ⅰ型障害、双極Ⅱ型障害、その他
  • 原因:環境および遺伝
  • 危険因子:家族歴、小児期の虐待、長期ストレス
  • 鑑別診断:注意欠陥多動性障害、パーソナリティ障害、統合失調症、薬物使用障害
  • 治療:精神療法、薬物療法
  • 薬物療法:リチウム、抗精神病薬、抗けいれん薬
  • 頻度:1〜3%

メディアによる描写

いくつかの映画・ドラマ作品では、双極性障害の診断を示唆する特徴をもった登場人物が描かれており、精神科医や映画の専門家たちの議論の的となっています。

躁鬱を長らく繰り返してきた点から双極性障害を示している映画やドラマたくさんあります。一例に『イケない転校生 デンジャラス・ガール』(2015年)では、女子高生が友人に対して、躁状態と鬱状態で接することにより対応に困らせます。

『心のままに』(1993年)では、リチャード・ギアが躁病エピソードから鬱病エピソードへ、そしてまた躁病エピソードへという具合に、精神科病院に入院し、この症候群の特徴を多く示しています。『モスキート・コースト』(1986年)では、アリー・フォックス(ハリソン・フォード)が、無謀さ、壮大さ、目標指向的活動の増加、気分の不安定さ、そして若干のパラノイアなどの特徴を示しています。精神科医は、アーサー・ミラーの名作戯曲『セールスマンの死』の主人公ウィリー・ロマンが双極性障害であることを示唆しています。

2009年のドラマ『ビバリーヒルズ高校白書』では、双極性障害と診断された登場人物シルバーが登場。BBCのソープ『イーストエンダーズ』の登場人物ステイシー・スレーターは、双極性障害と診断されたことがあります。このストーリーはBBCのHeadroomキャンペーンの一環として展開されました。また、『コントロール 洗脳殺人』(2019年)ではクリスティーナ・リッチが演じる女性は双極性障害をもち、都会の生活に疲れ家族とともみ 郊外のセキュリティ・マンションに引っ越します。

チャンネル4のソープ『ブルックサイド』では以前、登場人物のジミー・コークヒルが双極性障害と診断され、双極性障害に関するストーリーが取り上げられていました。 2011年 ショータイムの政治スリラー・ドラマ『Homeland』の主人公キャリー・マティソンは双極性障害であり、学生時代から秘密にしていました。2014年のABCの医療ドラマ『ブラックボックス』では、双極性障害をもつ世界的に有名な神経科学者が登場。

TV番組『デイヴ』では、リル・ディッキーが架空の人物として演じる同名主人公がラッパー志望。リル・ディッキーの実際の宣伝マンGaTaも自分自身を演じています。あるエピソードで、薬を断ちエピソードを起こしたGaTaが、双極性障害であることを涙ながらに告白。GaTaは、実際の生活で双極性障害をもっていますが、番組のキャラクターのように、彼は薬でそれを管理することができます。

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