俺にさわると危ないぜ
- 英題:BLACK TIGHT KILLERS
- 公開年:1966年
- 製作国:日本
- 上映時間:86分
- 製作会社:日活
- 配給会社:日活、Cinépix Film Properties
予告編はこちら。
あらすじ
ベトナムで戦場カメラマンをしていた本田大輔は、日本へ戻る飛行機の中でノースウエスト航空のスチュワーデス沢之内百合子と出会います。東京のバーで彼女と飲んだ後、彼は黒タイツの女忍者による暗殺から百合子を救うことに巻き込まれます。誘拐犯からゆり子を救い出そうとしたとき、大輔は、ゆり子の父親が島に隠した第二次世界大戦時代の財宝を狙う外国人グループを発見し…。
ファム・ファタル
カラフルな60年代ファッションをたっぷり楽しめます。
ザ・ニンジャーズ(ブラック・タイツ団)
黒タイツのパワフルでインパクトのある存在感を拝めます。
- フユ子:西尾三枝子
- ヨシ江:加茂こずえ
- ナツ子:浜川智子
- アキ子(リーダー):北あけみ
金粉ダンサー
クラブ「ユニコーン」で全身に金粉を塗って踊るダンサー。望月明・岡玲子(ゴールデン・スパイダーズ)。
感想
長谷部安春のデビュー作『俺にさわると危ないぜ』は、彼の師匠である鈴木清順監督の60年代のクレイジーな映画と見紛うばかり。松原智恵子が演じる沢之内ヨリ子の父親が隠したと噂される第二次世界大戦時の失われた金塊を探すため、アメリカ人、ヤクザ、女忍者といった複数のグループに挟まれたカップル(小林旭と松原智恵子)を描くカラフルなスパイもの。女忍者たちはザ・ニンジャーズというグループで、この映画の英語タイトル『BLACK TIGHT KILLERS』にも反映されています。文字どおり黒タイツに身を包み、カミソリのように鋭い巻尺刀、チューインガムの弾丸、忍者の星に見立てた45回転レコードを武器に戦います。色使いが素晴らしく、間違いなく『東京流れ者』を思い出すでしょう。米国では2000年にイメージ社からDVDでリリースされましたが、ディスクはかなりひどいもので、ハードコードされた字幕はスペルミスが多く、画面に白いものが映ると消えてしまうことが多いです。そのためか、ストーリーを追うのが難しい場面もありますが、いずれにせよ、この映画は映像のために見るようなものです(^^)
評価
オールムービーのジョナサン・クロウは、長谷部安春監督の師匠である鈴木清順の影響が『俺にさわると危ないぜ』に見られると指摘しています。長谷部は鈴木のように、ギャング・スターというジャンルのメタファーを使って、「尾びれ、完璧なファッション、突然の予期せぬゴーゴー・ダンス、クールなジャズ、異常な暴力」による「ポップ・アートの夢の世界」を作り出しています。長谷部監督の派手な色使いは、批評のなかでも特筆され、「ワイルドで退廃的な面白さ」と評価されました。
スティーブ・フェントンは、ピンク映画というジャンルの調査のなかで、『俺にさわると危ないぜ』を「銃を持ったチックス。これ以上何が必要だ?」とまとめました。また、ジャスパー・シャープは、筋書きはとくに印象に残らないと書いているものの、長谷部のビジュアルについては、「この映画には、最も色あせたビジュアル・グルメでさえ満足させるに十分な、サッカリンでコーティングされた目の保養にならない個々のシークエンスは一つもない」とコメントし、「この単純に不思議な映画は最初から最後まで面白い」と締めくくりました。
キャスト
- 本堂大介:小林旭
- 沢之内ヨリ子:松原智恵子
- フユ子:西尾三枝子
- ヨシ江:加茂こずえ
- ナツ子:浜川智子
- アキ子:北あけみ
- 神崎の部下:野呂圭介
- 岡田の部下:野呂圭介
- ゲリラ兵:進千賀子
- キク江:可能かづ子
- ハル江:斎藤仁子
- 赤ん坊をあやす女:佐川明子
- 刑事:小柴隆
- 岡田の部下:柴田新三
- 音楽喫茶支配人:野村隆
- 岡田の部下:露木譲、三浜元
- 神崎の部下:晴海勇三
- 警官:平塚仁郎
- クラブのボーイ:井田武
- 神崎の部下:田畑善彦、岩手征四郎
- 刑事:久遠利三
- クラブの歌手:高美アリサ
- 神崎の部下:大庭喜儀
- 警官:高緒弘志
- 神崎の部下:水川国也
- クラブのダンサー:望月明、岡玲子(ゴールデン・スパイダーズ)
- 振付:古沼斐佐雄
- 技斗:高瀬将敏
- 百地:左卜全
- サブ:郷鍈治
- 遠山警部:高品格
- 神崎:森塚敏
- 岡田:二本柳寛
レビュー 作品の感想や女優への思い