ボストン大学（Boston University、略称BU）は1839年に設立されたボストンの私立研究大学です。チャールズ川沿いのキャンパスを中心に、3つの都市型キャンパスを有し、約38,000人の学生（140カ国以上から）が在籍しています。17の学部・カレッジと計算・データサイエンス学部を擁し、300以上のプログラムを提供する大規模な総合大学です。研究活動が活発で、R1分類の最高レベルを認定されており、国際的に高い評価を得ています。包括的な教育理念のもと、多様な学生に機会を提供し、ボストンの活気ある環境で学問を深めています。出身女優にフェイ・ダナウェイ、ジーナ・デイヴィス、ジュリアン・ムーア、アミ・ポーラーら。映画『クレイグリスト・キラー』でボストン大学の首席で将来を嘱望される優秀な医学生フィリップ・マルコフというキャラクターが登場。
歴史
ボストン大学は、1839年にバーモント州ニューズリーでニューズリー聖書研究所として設立されたのが起源です。当初はボストンのメゾジスト派グループによる神学学校として始まり、米国初のメゾジスト派神学校となりました。1847年にはニューハンプシャー州コンコードに移転し、Methodist General Biblical Instituteと改称されました。1867年にボストンのビーコン・ヒルに移り、Boston Theological Seminaryとなりましたが、1869年にマサチューセッツ州議会から「Boston University」の名称で大学憲章を取得し、正式に大学として認められました。創設者はIsaac Rich、Lee Claflin、Jacob Sleeperの3人のメゾジストの事業家で、彼らの名を冠した寮が現在も存在しています。憲章には、当時としては先進的な規定が盛り込まれ、教員や学生の宗教的意見による差別を禁じ、性別、人種、宗教（神学部を除く）にかかわらず平等な機会を提供するものでした。これにより、ボストン大学は包括性を重視した先駆的な教育機関となりました。
1871年にBoston Theological Instituteが神学部として吸収され、大学の本格的な発展が始まりました。1872年にIsaac Richが死去し、その遺産（主にボストン市内の不動産、150万ドル以上）が大学に寄付されましたが、同年の大火災により大部分が失われ、保険会社も破綻したため、1882年の受け取り額は半減いたしました。このため、当初のキャンパス計画が変更され、ビーコン・ヒルやボイルストン街、コプリー・スクエア周辺に施設を分散させました。1875年、教授Alexander Graham Bellが電話を発明し、大学に革新をもたらしました。また、1877年にはHelen Magill Whiteがアメリカ初の女性PhD（古典学）を取得、1878年にはAnna Oliverが米国初の女性神学士となり、1881年にはLelia J. Robinsonがマサチューセッツ州初の女性弁護士となりました。1897年に卒業したSolomon Carter Fullerは米国初のアフリカ系精神科医となり、アルツハイマー病研究に貢献されました。
1920年代、Lemuel Murlin学長のもと、チャールズ川沿いの現在のキャンパス（15エーカー）を購入し、統一を試みました。ゴシック様式の行政塔計画はStorrow Drive建設のための土地収用により縮小されましたが、Daniel L. Marsh学長（1926-1951）が募金キャンペーンを推進し、1930年代の大恐慌と第二次世界大戦を乗り越えてキャンパスを整備いたしました。1936年までに学生数は10,384人に達しました。1951年からHarold C. Case学長（1967年まで）が研究大学への転換を進め、キャンパスを45エーカーに拡大し、68の新築物を建設されました。West CampusのClaflin、Rich、Sleeper寮やWarren Towers（1965年、1,800人収容）が建ち、ブータリズム様式の法科大学院タワー、George Sherman Union、Mugar Memorial Libraryが加わりました。工学部とコミュニケーション学部は旧厩舎や自動車展示場を改修されました。
1960年代、学生運動が活発化し、WBUR-FMの編集政策をめぐる紛争や軍事募集反対のデモが発生しました。John Silber学長（1971-1996）はキャンパス拡大を進め、Elie WieselやDerek Walcottらノーベル賞受賞者を招聘されました。Photonics CenterやSchool of Managementの新築、Life Science and Engineering Buildingが建設されました。1970年代にはアフリカ系アメリカ人カリキュラムの改善を求めるシットイン（1968年）や、授業料引き上げ反対デモ（1978年）、教員ストライキ（1979年）があり、多様な学生活動が展開されました。21世紀に入り、2003年にDaniel S. Goldinの招聘が失敗した後、Robert A. Brown学長（2006-2023）が就任し、2012年にAssociation of American Universitiesに加盟されました。2012年から2019年の募金キャンペーンで18億5千万ドルを調達し、教員74ポジションを創設されました。2015年にオープンアクセス政策を採用し、キャンパス改造を進めました。StuVi2（2017年）、Rajen Kilachand Center（2017年）、Center for Computing & Data Sciences（2022年）などが完成し、2024年にMyles Standish Hallの名称を610 Beacon Streetに変更されました。2019年から国内学生の全額奨学金制度を導入し、2020年のCOVID-19パンデミックではオンライン授業に移行、独自の検査ラボを設置されました。2022年にはOmicron変異株の機能獲得研究が議論を呼びました。2023年にBrown学長が退任し、2024年にMelissa L. Gilliam学長が就任されました。2024年4月のストライキは10月16日に終了しました。こうして、ボストン大学は歴史的な変革を繰り返し、今日の繁栄を築いてまいりました。
教育
ボストン大学は、私立研究大学として、ボストンに3つの都市型キャンパスを持ち、17の学部・大学院を通じて学士、修士、博士、医学、歯学、ビジネス、法学の学位を提供しています。2024年現在、学生数は37,367人（学部生17,926人、大学院生18,074人、その他1,367人）、教員数は4,490人です。主なキャンパスはチャールズ川沿いのCharles River Campus（Fenway-KenmoreとAllston地区、169エーカー）、医療キャンパス（South End地区）、Fenwayキャンパス（2018年にWheelock Collegeと合併）です。大学は非宗派ですが、歴史的にUnited Methodist Churchと関連しており、モットーは「Learning, Virtue, Piety」です。スポーツチームはTerriersで、Patriot LeagueとHockey Eastに所属し、マスコットはRhett the Boston Terrierです。
教育プログラムは多岐にわたり、神学部（1839年設立、最古）、Chobanian & Avedisian医学校（1848年）、法学部（1872年）、College of Arts & Sciences（1873年）、Graduate School of Arts & Sciences（1874年）、Sargent College of Health and Rehabilitation Sciences（1881年）、Questrom School of Business（1913年）、Wheelock College of Education & Human Development（1918年）、School of Social Work（1940年）、College of Communication（1947年）、College of Engineering（1950年）、College of General Studies（1952年）、College of Fine Arts（1954年）、Henry M. Goldman School of Dental Medicine（1963年）、Metropolitan College（1965年）、School of Public Health（1976年）、School of Hospitality Administration（1981年）、Arvind & Chandan Nandlal Kilachand Honors College（2010年）、Frederick S. Pardee School of Global Studies（2014年）があります。2019年にFaculty of Computing & Data Sciencesを設立し、データサイエンス教育を強化、2022年に医学校を改称されました。各学部は3文字の略称（例: CAS=College of Arts & Sciences、ENG=College of Engineering）で呼ばれます。
入学は競争的で、2024年の学部新入生合格率は11.1%（応募者78,769人、合格者8,743人、在籍者3,268人）、平均GPAは3.9、SAT中間50%は1,469です。学生の多様性は白人50.6%、アジア人14%、国際学生11.6%、ヒスパニック8.6%、黒人3.2%です。国際学生の43%が中国人です。affordableBUプログラムで国内学生の全額奨学金を提供します。ランキングではU.S. News & World Reportで全国42位、グローバル86位（2026年）、QSで88位、THEで76位です。研究活動はR1分類（最高レベル）で、2024年の研究助成金は5億7950万ドル、2023年のR&D支出で私立大学16位です。主要研究分野はデータサイエンス、工学生物学、グローバルヘルス、感染症、神経科学、光子学、都市ヘルスです。NSFから2,000万ドルのEngineering Research Center助成（2017年、心組織工学）、NIAIDからNational Emerging Infectious Diseases Laboratories（NEIDL、バイオコンテインメントラボ）建設助成（2003年）を受けました。CARB-X（抗生物質耐性対策、3億5,000万ドル）も主導します。BU Hubは大学全体の学部コアカリキュラムで、哲学的解釈、科学的探究、量的推論、多様性、コミュニケーション、知的ツールキットの6つの能力を養います。Kilachand Honors College（2010年）は4年間の統合カリキュラムと共学修活動を提供します。Boston University Academy（1993年設立）は大学付属の私立高校で、大学コース受講が可能、2023年の平均SATは1,491です。メンタルヘルスカウンセリングプログラムは医学校唯一のカウンセラー教育で、ACA基準を遵守します。図書館やジャーナル（Boston University Law Reviewなど）も充実しています。Wheelock College of Education & Human Developmentでは、子供・青少年メンタルヘルス、聴覚障害研究、教育デザイン、ティーチング＆ラーニング、若者開発＆正義などの専門化が可能で、オンライン修士プログラムも充実しています。これらのプログラムにより、学生は実践的なスキルと深い知識を身につけ、社会に貢献できる人材として育っていきます。
出身女優
- フェイ・ダナウェイ：フロリダ州立大学とフロリダ大学で学びましたが、演劇への情熱からボストン大学へ移籍。1962年に美術学士号を取得。『ボニーとクライド』や『ネットワーク』でアカデミー賞を受賞した新ハリウッドの象徴です。
- アレクサンドラ・クーパー：スポーツ奨学金を得て入学。映画とテレビを専攻し、2017年に卒業。
- ジェシカ・ローテ：2009年に美術の学士号を取得して卒業。
- タラ・アッシュ：演劇学部で演技の学士号（BFA）を取得。
- シンシア・ホー：コミュニケーション学部を卒業。
- ジーナ・デイヴィス：1979年に美術学士号を取得。『アクシデンタル・ツーリスト』でアカデミー賞助演女優賞を受賞し、女性の映画描写改善に貢献しています。
- ジュリアン・ムーア：1983年に美術学士号を取得（演劇の学士号という説あり）。『Still Alice』でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、タイム誌の影響力ある100人に選ばれました。
- アルフレ・ウッダード：1974年に美術学士号を取得。4回のエミー賞受賞者で、『クロスクリーク』でアカデミー賞ノミネートを果たしています。
- マリサ・トメイ：1980年代に在籍。『マイ・カッシン・ヴィニー』でアカデミー賞助演女優賞を受賞した実力派女優です。
- エミリー・デシャネル：2000年に演劇学士号を取得。『ボーンズ』シリーズで知られる人気女優です。
- ギニファー・グッドウィン：1999年に演劇学士号を取得。『ビッグ・ラブ』や『ワンス・アポン・ア・タイム』で活躍しています。
- メア・ウィニンガム：1971年に演劇学士号を取得。エミー賞受賞者で、多様な役柄をこなすベテラン女優です。
- オリンピア・デュカキス：文学士と美術修士号を取得。『ムーンストラック』でアカデミー賞助演女優賞を受賞しました。
- アミ・ポーラー：1991年に演劇学士号を取得。『パークス・アンド・レクリエーション』でコメディアンとして成功を収めています。
- ブリアンヌ・ヒル：心理学を専攻。大学2年次にスポーツカウンセラーとの会話で演技への情熱を再確認し中退。
- オリビア・カルポ：中退。
出身女性アスリート
- シャロン・コルイヤー＝ダンビル：陸上競技選手。1984年ロサンゼルス五輪でジャマイカ代表として活躍し、BUのトラック＆フィールド殿堂入りしています。
- ジェニファー・ランクトット：陸上競技選手。1992年NCAA室内選手権でマイル優勝、3度のオールアメリカンに選ばれました。
- キャサリン・ベイカー：水泳選手。2016年リオ五輪で金メダル2個（背泳ぎ）を獲得したオリンピックメダリストです。
- シドニー・マクラフリン：陸上競技選手。2016年リオ五輪銅メダル、2020年東京五輪金メダル（400mハードル世界記録）で輝きました。
- ハンナ・ロバーツ：BMXフリースタイル選手。2020年東京五輪銀メダリストで、BU在籍中に頭角を現しました。
- タハリ・ジェームズ・カスティーリャ：陸上競技選手。BUのトラック＆フィールド殿堂入りし、国際大会で活躍しています。
- ローレン・アンドリュース：陸上競技選手。1980年代のBU女性アスリートとして殿堂入り、記録を更新しました。
- リサ・ウェルチ・ブレイディ：陸上競技選手。BUの殿堂入りメンバーとして、チームの黄金時代を支えました。
- ミリアム・クニン：陸上競技選手。BUトラック＆フィールドの殿堂入りで、国際的な競技実績を有します。
- カレン・フィリップス：陸上競技選手。BUの殿堂入り選手で、1980年代の女性アスリートのパイオニアです。
レビュー 作品の感想や女優への思い