『エクスポーズ 暗闇の迷宮』（2016年）は、キアヌ・リーブス主演のアメリカ製クライム・スリラー。NY市警の刑事スコッティが相棒の死の真相を追う中、謎の美女イサベルと警察の腐敗に迫る。複雑な展開と衝撃の真実が描かれる。
基本情報
- 邦題：エクスポーズ 暗闇の迷宮
- 原題：Exposed
- 公開年：2016年
- 製作国：米国
- 上映時間：102分、ジャンル：サスペンス
見どころ
刑事が相棒の死の真相に迫っていくさまを、謎が謎を呼ぶスリリングな展開で描く。鍵を握る女性を「ノック・ノック」でもキアヌと共演したアナ・デ・アルマスが好演。
女優の活躍
『エクスポーズ 暗闇の迷宮』では、アナ・デ・アルマスが謎の美女イサベル・デ・ラ・クルーズ役で際立った活躍を見せています。彼女はこの作品で、キアヌ・リーブスと『ノック・ノック』（2015年）に続き2度目の共演を果たし、物語の鍵を握る重要なキャラクターを演じました。イサベルは、信心深いヒスパニック系の女性として登場し、夫が戦場に赴く中、神秘的な体験や心理的な葛藤を抱える複雑な役どころです。アナ・デ・アルマスは、感情の揺れや内面的な苦悩を繊細に表現し、特に幻覚や神の子を宿したという信念を通じて、観客に深い印象を与えます。彼女の演技は、物語のサスペンス要素と宗教的なテーマを結びつける重要な役割を果たし、批評家や観客から「可愛らしい」「存在感がある」と評価されました。 また、ミラ・ソルヴィノもスコッティの過去を知る女性ジャニン役で出演し、アカデミー賞受賞女優としての貫禄を見せています。彼女の登場シーンは限られているものの、物語に深みを与える重要な役割を担っています。
女優の衣装・化粧・髪型
アナ・デ・アルマスの衣装は、イサベルのキャラクター性を反映したシンプルかつ現実的なデザインが特徴です。彼女はニューヨークの一般市民として登場するため、普段着としてカジュアルなトップスやジーンズ、ジャケットが中心です。これらの衣装は、彼女のヒスパニック系の背景や保育所勤務の設定に合わせて控えめで親しみやすいものになっています。特に、暗い色調のコートやセーターが多く、物語の重苦しい雰囲気を補強しています。化粧はナチュラルで、日常的な女性像を強調。イサベルの純粋さや信仰心を表現するため、派手なメイクは避けられ、薄いファンデーションと控えめなリップが使用されています。髪型はショートカットで、動きやすく実用的なスタイルが採用されており、彼女の若々しさと脆弱さを際立たせています。このショートカットは、物語の冒頭で地下鉄のシーンにおける緊迫感や、彼女の心理的な不安定さを視覚的に表現する役割も果たしています。
ミラ・ソルヴィノの衣装は、より大人っぽく落ち着いたスタイルで、ダークトーンのドレスやコートが中心。彼女の化粧も控えめで、落ち着いた印象を与えるリップとアイメイクが施されています。髪型はミディアムレングスの緩いウェーブで、彼女の成熟したキャラクター性を強調しています。
あらすじ
ニューヨーク市警の刑事スコッティ・ガルバン（キアヌ・リーブス）は、相棒ジョーイ・カレン（クリストファー・マクドナルド）が何者かに殺害された事件の捜査に奔走します。しかし、ジョーイには汚職や不祥事の噂があり、同僚たちの協力が得られない中、スコッティは単独で捜査を進めます。唯一の手がかりは、ジョーイが撮影した写真に写る謎の美女イサベル・デ・ラ・クルーズ（アナ・デ・アルマス）。一方、イサベルはドミニカ系またはプエルトリコ系の夫ホセがイラクに派兵中で、義理の家族と暮らしながら保育所で働いています。彼女は地下鉄のホームで不思議な光景――宙に浮かぶ男を目撃し、さらには自分が神の子を宿したと信じるようになります。スコッティの捜査とイサベルの神秘体験が交錯する中、警察内部の腐敗や裏社会の危険な秘密が浮かび上がり、物語は予想外の結末へと向かいます。スコッティはイサベルに接触し、ジョーイの死の真相に迫りますが、その先には衝撃的な事実が待ち受けていました。
解説
『エクスポーズ 暗闇の迷宮』（原題：Exposed、別題：Daughter of God）は、ジー・マリク・リントン（デクラン・デイル名義）が監督・脚本を手掛けた2016年のクライム・スリラー。物語は二つの並行する視点――刑事スコッティの捜査とイサベルの神秘的な体験――を交互に描き、最終的にそれらが交差する構成が特徴です。この二重構造は、観客に複雑なストーリー展開を提供する一方、批評家からは「プロットが退屈で無闇に複雑」と批判されることもありました（Rotten Tomatoes支持率8%、Metacritic23/100）。 監督のリントンは当初、宗教的・心理的なテーマを強調した作品を目指しましたが、編集過程でスタジオの意向によりクライムスリラー色が強まり、原題「Daughter of God」が示すテーマが薄れたことが議論を呼びました。 それでも、キアヌ・リーブスとアナ・デ・アルマスの演技は高く評価され、特にアナの神秘的で脆いキャラクター造形は観客を引き込みます。映画は警察の腐敗や信仰、トラウマといったテーマを扱い、ニューヨークの暗い裏社会を背景に、重厚なサスペンスを展開します。新宿シネマカリテの「カリテ・ファンタスティック！シネマコレクション2016」で上映され、日本でも注目を集めました。
キャスト
- キアヌ・リーブス（スコッティ・ガルバン）：ニューヨーク市警の刑事。相棒の死の真相を追い、警察の腐敗に立ち向かう。
- アナ・デ・アルマス（イサベル・デ・ラ・クルーズ）：神秘体験に悩むヒスパニック系の女性。物語の鍵を握る。
- ミラ・ソルヴィノ（ジャニン・カレン）：スコッティの過去を知る女性。アカデミー賞受賞女優として脇を固める。
- クリストファー・マクドナルド（ゴールウェイ警部）：警察内部の重要人物。
- ビッグ・ダディ・ケイン（ジョナサン・“ブラック”・ジョーンズ）：裏社会の人物で、スコッティの捜査に関わる。
スタッフ
- 監督・脚本：ジー・マリク・リントン（デクラン・デイル名義）
- 製作：キアヌ・リーブス、ほか
- 音楽：カルロス・ジョゼ・アルヴァレス
- 撮影：トレヴァー・フォレスト
- 編集：メロディ・ロンドン
- 製作会社：ライオンズゲート、エメット・ファーラ・オアシス・フィルムズ
- 配給：ライオンズゲート・ホーム・エンターテインメント（米国）、ハピネット（日本）
総括
『エクスポーズ 暗闇の迷宮』は、キアヌ・リーブスとアナ・デ・アルマスの共演が光るサスペンス映画。複雑なプロットと宗教的テーマが交錯する中、アナの繊細な演技とシンプルな衣装・髪型がキャラクターの深みを引き立てます。警察の腐敗や信仰をテーマにした重厚な物語は、観客に深い思索を促しますが、編集による方向性の変化が賛否両論を呼びました。それでも、キャストの熱演とニューヨークの暗い雰囲気は見応え十分です。
レビュー 作品の感想や女優への思い