ゴーン・ガール

『ゴーン・ガール』は、デヴィッド・フィンチャー監督、ジリアン・フリン脚本、2012年の同名小説を基にした2014年の米国のサイコスリラー映画。主演はベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、そして映画初出演のキャリー・クーン。映画では、ニック・ダン（アフレック）が、ミズーリ州で起きた妻エイミー（パイク）の突然の失踪事件の第一容疑者となります。

『ゴーン・ガール』は、2014年9月26日に第52回ニューヨーク映画祭のオープニング作品としてプレミア上映され、2014年10月3日に20世紀フォックスにより全米で劇場公開されました。批評家からは好意的な評価を受け、全世界で3億7000万ドルの興行収入を記録。フィンチャー監督の最高興行収入を記録し、カルト的なポストモダン・ミステリーとされています。

『ゴーン・ガール』でロザムンド・パイクは、アカデミー賞主演女優賞、BAFTA賞主演女優賞、批評家チョイス映画賞主演女優賞、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞（映画ドラマ部門）、映画俳優組合賞優秀主演女性男優賞など数多くのノミネートを獲得しました。

ゴーン・ガール

• 原題：Gone Girl
• 公開年：2014年
• 上映時間：149分
• 製作国：米国
• ジャンル：サスペンス、スリラー
• キーワード：婚前契約、不妊治療、結婚記念日、計画失踪、虚言癖
• 製作会社：20世紀スタジオ

予告編はこちら。

『ゴーン・ガール』予告編

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見どころ

• 妻殺害の容疑者にされた夫は、次々と現れる不利な証拠に追い詰められていきます。
• なぜ事件が起きたのか。その経緯と思惑が明らかになるたびに驚愕するかも。
• 有無や効果などの面から不妊治療にこだわって見ていくと物語のカラクリが見えやすい。
• 後半に弁護士とニックは、メディアとの関係も睨みながら、どのようにピンチを打開するでしょうか？

あらすじ

5年目の結婚記念日に、ニックの妻エイミーが失踪。警察は失踪と他殺の両面から捜査を開始し、マスコミはこの謎めいた事件に注目。調べが進むにつれ、ニックの不可解な言動が明るみに出て、彼は全米から批判と疑惑の目にさらされることになります。

ファム・ファタル

ロザムンド・パイク

知的で陽気な女性をロザムンド・パイクが演じています。本作ではブロンドヘアで出演し、反射や角度で輝くときがあって素敵でした。

エミリーとのデートを回顧する場面が断続的に挿入されます。夫婦生活が破綻していったからか、失踪してから可愛くなりました。元カレとの再会と同棲の間に白いブラジャーとストッキングでベッドシーン。タング？のショーツが可愛い。

また、ニックとエイミーが図書館でセックスするとき、二人はジェーン・オースティンの『高慢と偏見』の話をします。ロザムンド・パイクは『高慢と偏見』（2005年）の主役の一人で、ジェーン・ベネット役を演じました。

デヴィッド・フィンチャーは、35歳のロザムンド・パイクをエイミー役に起用した理由のひとつを、彼女の外見が年齢不詳で、年上にも年下にも通用することだと説明。また、ロザムンドが一人っ子であることを明かしたことも、フィンチャー監督に言わせれば、エイミーのキャラクターにとって非常に魅力的な点でした。

ロザムンド・パイクが映画評論家のピーター・トラヴァースに語ったところによると、デヴィッド・フィンチャーは撮影現場で彼女が携帯電話を使おうとしているのを見つけると、「険しい顔 」のセルフィーを撮って彼女に送り、彼女は即座に携帯電話をポケットにしまうのだそうです。

ロザムンド・パイクは、『誘う女』（1995年）のニコール・キッドマンの演技や『氷の微笑』（1992年）のシャロン・ストーンの演技からインスピレーションを得ました。また、ジョン・F・ケネディ・ジュニアの妻、キャロライン・ベセット＝ケネディの身のこなしや飄々とした雰囲気も参考にしたそうです。

エミリー・ラタコウスキー

夜に押し入ってきた不倫相手。素直で激しい求愛が新鮮。

セーラ・ウォード

キャスターのシャロン・シーバー役のセーラ・ウォードはキレイとはいいにくいけど、仕事姿がカッコいい。劇中劇で脚を組んで少し靴をブラブラさせるのですが、そのときの白いストッキングが肉肉しくてセクシーでした。

感想

前半でエイミー失踪の絡繰りがわかるので退屈だと思っていました。しかし、後半、有名弁護士を雇ってニックが反撃開始。マンネリ感が一掃されました。

そして、

• 状況証拠や物的証拠集め
• エミリーの日記や発言の齟齬追求
• ガチの法定闘争

のどれかになると、後半の展開に期待しながら見ていったら、結末は、うーん、まぁまぁ。

虚言癖とは2つの嘘つきのうち、1つ目のものだそうで、となるとエミリーは？！

1. 本人が自覚をもって嘘をつく
2. 本人が自覚をもたずに嘘をつく

最終的には狂言師よりも策士かどうか、そして押しが強いかどうかの勝負となりました。

妻は夫よりも明らかに賢かったのですが、妻自身が賢い人間だとは思えませんでした。その点が物足らなかったです。

続編の可能性については、2014年10月のインタビューでロザムンド・パイクは、ジリアン・フリンが脚本を書けば続編のために戻ってくると述べました。2015年1月、フリンは続編のアイデアには前向きですが、オリジナルのキャストとスタッフが再び揃うのは「数年先」になるだろうと述べました。

衣装

『ゴーン・ガール』の衣装デザイナーはトリッシュ・サマーヴィル。サマーヴィルは『ドラゴン・タトゥーの女』の衣装デザイナーとしてデヴィッド・フィンチャー監督と仕事をした経験があります。サマーヴィルは『インスタイル』誌に対し、ニックとエイミーの服装は、映画の舞台が現代であるため現代的でありながらも、ニックとエイミーが普通の気取らないカップルであるという考えを表現するため、控えめでシンプルなものにしたかったと語っています。サマーヴィルは、まるでネットで注文したかのような、あるいはショッピングモールで買ったかのような日常生活に見える服にしたかったと説明し、ニックとエイミーの「日常生活」がどのようなものかを把握することが最大の難関のひとつだったと語っています。

エイミーが自称「クール・ガール」である結果、彼女の衣装は、伝統的にシックでありながら、少女の隣人的な態度をそのまま反映しています。このことは、エイミーのジュエリーにも表れています。彼女は、ローズゴールドのカルティエのラブ・ブレスレットと、エイミーが過去の思い出の品をいかに大切にしているかを示すために、浮き上がる「A」のネックレスを身に着けています。

ニック・ダンのキャラクターは、よりシンプルな身のこなし方をする。サマーヴィルは、彼にシンプルで体にフィットしたスーツを着せたかったのですが、俳優ベン・アフレックの体格が大きいため、デザイナーズ・スーツが最も適していることに気づきました。ニック・ダンがドルチェ＆ガッバーナのスーツやプラダのシャツを着ているのを見ることができます。妻が行方不明になっているのを発見して帰宅したニックが着るシャツは、その後の数日間このシャツを脱がないため、この映画の重要なピースとなっています。ニックが着ている悪名高いブルーのシャツは、スティーブン・アランがデザインしたブルーのボタンアップで、Jブランドのジーンズと組み合わせています。

エイミーとニックがミズーリに引っ越したとき、サマーヴィルは変化を意味するためにエイミーのワードローブに小さな変更を加えました。彼女はより落ち着いた色を身につけてジーンズを穿き、ハイヒールを履かなくなりました。

テーマ

ジェンダー

2013年、『タイム・アウト』誌のライター、ノヴィッド・パーシがこの小説の結末を「極論」と評したインタビューにおいて、フリンは、この小説は「女性は生まれつき善良である」という概念に対抗するものであり、女性も「男性と同じように暴力的な心をもつ」ことを示したかったのだと説明しました。

2014年11月のインタビューで、フリンはジェンダーに関する批判的な反応によって影響されたことを認めました。「24時間くらい布団の中でウロウロしていました。私はフェミニズムを殺した。なぜあんなことをしたんだろう？ばかばかしい。そんなつもりじゃなかったのに。それからすぐに、自分の書いたことが心地よく感じられるようになった」。

2014年10月3日、『Ms.マガジン』へのブログ投稿で、ナタリー・ウィルソンは、失踪を演出するために「必要な資金、スキル、ノウハウ、暇な時間」を与えているエイミーの社会的特権を取り上げないことで、『ゴーン・ガール』は「女性の行動に関する1000のミソジニスト的神話と恐怖の結晶」だと論じています。

アリッサ・ローゼンバーグは2014年10月3日付の『ワシントン・ポスト』紙に、当初はこの本に「納得がいかなかった」ものの、小説と映画に魅了されたのは、「エイミー・エリオット・ダンは、同時に女性差別主義者でありミサンドリストであると正確に表現できる唯一の架空の人物である」という結論に達したことも一因だと書いています。

「ゴーン・ガールの最大の悪役は結婚そのもの」と題された2014年10月6日付の記事で『Jezebel』誌のジェシカ・コーエンは「映画のエイミーは、本で出会う生き生きとしたキャラクターに比べると淡白。本のエイミーの複雑さを取り除けば《狂ったクソ女》しか残らない。だからといって彼女が魅力的でないわけではないが、そのせいで映画は小説よりもずっと女性差別的な感じがする」とコーエンは認めています。

『タイム』紙のエリアナ・ドクターマンは同日、『ゴーン・ガール』は「狂気の女性の性差別的描写」であると同時に「フェミニスト宣言」でもあり、この二面性が映画を興味深いものにしていると書きました。

『ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス』のゾエ・ヘラーは「エイミーの問題は、彼女が悪質で非難されるべき行動をとることでも、彼女の行動がある種の女性差別主義者の妄想に信憑性を与えることでもない。問題なのは、エイミーが実際にはキャラクターではなく、むしろ女性の意地悪な能力に関するあまり面白くないアイデアのアニメーションであることだ」とし、「この映画はくだらない作品であり、適切な 「不支持」を巻き起こすほどの迫力はありません」。

2014年10月6日付の『ガーディアン』紙に寄稿したジョーン・スミスは、2013年に発表された、英国におけるレイプの虚偽の申し立ては極めてまれであるという調査結果を引き合いに出し、この映画が「レイプ神話のリサイクル」であると批判しました。彼女は、「登場人物たちは、暴行を受けたという女性に対する反応が、騎士道精神に基づいた気遣いであるパラレルワールドに住んでいる。そのことを、懐疑的な警察官によって訴えを却下された、ここでもアメリカでも、すべての被害者に伝えてほしい」と。翌日、『ガーディアン』紙に寄稿したエミーネ・サナーは、スミスの主張は「この映画が、もっと幅広い女性の物語や、主流文化に登場するキャラクターを背景にしたものであったなら、これほどの重みはなかっただろう」と書きましたが、ドックターマンの「私たちの小説に登場するあらゆる種類の女性」の描写を求める訴えで締めくくりました。

オーストラリアのウェブサイト『ユリイカ・ストリート』のティム・クルーナートは2014年10月8日、この映画がニックの視点に焦点を当てていることが「エイミーの動機を難解にし（彼女が単なる社会病質者である可能性もあるが）、彼女が……反女性神話を擬人化していることを増幅させている」と書いていますが、クルーナートは『ゴーン・ガール』を「結婚という表向きは最も親密な関係の中でさえ、他人の心を知ることの不可能性について説得力のある考察をしている」と結論付けています。

キャスト

スタッフ

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