ハルビン市は中華人民共和国黒竜江省の省都であり、人口約1000万人の大都市。松花江沿いに位置し、ロシア文化の影響を受けた「極東のパリ」と呼ばれる街並みが特徴。経済、工業、観光が発展し、冬季のハルビン氷雪祭りは世界的に有名。
歴史
ハルビン市の歴史は、古代から始まりますが、現代の都市としての発展は19世紀末から顕著です。以下にその歴史を詳しく説明します。
- 先史時代:ハルビン周辺では、約22,000年前の旧石器時代後期の遺跡(閻家崗遺跡)が発見されており、人間の頭蓋骨化石「ハルビンマン」や、2021年に新種として確認された「ホモ・ロンギ(ドラゴンマン)」の化石(14万6000年前)が注目されています。これらは、ハルビンが古代から人類の活動の場であったことを示しています。
- 19世紀~ロシアの影響:ハルビンが都市として発展し始めたのは、1896年のロシア帝国による東清鉄道の建設からです。この鉄道建設により多くのロシア人が移住し、ロシア様式の建築物が市内に多く建てられました。中央大街や聖ソフィア大聖堂は、この時期の象徴です。1917年のロシア革命後、白軍の残兵やロシア系ユダヤ人が流入し、都市はさらに発展しました。
- 満洲国時代:1930年代の満洲事変後、ハルビンは満洲国の領土となり、日本による統治下に置かれました。この時期、731部隊の司令部が設置されるなど、軍事的な拠点としても利用されました。一方で、ロシア文化の影響は引き続き強く、異国情緒あふれる街並みが形成されました。
- 中華人民共和国成立後:1945年の満洲国滅亡後、ハルビンは中華人民共和国黒竜江省の一部となり、行政機能を迅速に回復。1950年、毛沢東の訪問を機に、第一次五カ年計画で国家重点建設都市に指定され、重工業が発展しました。ソ連の支援により、電力、航空機、薬品、自動車産業などが成長。特に大慶油田の発見は、黒竜江省全体の経済発展に寄与しました。
- 現代:1996年、松花江地区と合併し、現在のハルビン市が成立。副省級市として、8区、7県、4県級市を管轄し、面積約53,068平方キロメートル、人口約974万人(2004年時点)を擁する大都市となりました。文化大革命の影響を受けつつも、経済・科学・文化の中心地としての地位を確立。毎年6月の「ハルビン国際経済貿易商談会」や冬季の氷雪祭りで国際的な注目を集めています。
登場する映画
ハルビンはその独特な歴史的背景から、いくつかの映画の舞台や題材となっています。以下に代表的な作品を紹介します。
ハルビン(2025年公開)
韓国映画で、1909年にハルビンで起きた伊藤博文暗殺事件を題材とした歴史サスペンス。監督はウ・ミンホで、ヒョンビンが安重根(アン・ジュングン)、リリー・フランキーが伊藤博文を演じます。物語は、大韓義軍を率いる安重根が日本軍との戦闘を経て、ウラジオストクで同志たちと暗殺計画を進める姿を描きます。
2024年の第49回トロント国際映画祭でワールドプレミア上映され、第61回百想芸術大賞で最優秀作品賞を受賞。撮影監督ホン・ギョンピョの大賞受賞も話題となりました。ただし、フィクション要素が多く、歴史の正確性には議論があります。日本人役の韓国人俳優による日本語の訛りが、日本人観客にとって気になる点として挙げられています。
中国(1972年公開)
ミケランジェロ・アントニオーニ監督によるイタリアのドキュメンタリー映画。文化大革命期の中国を記録し、ハルビンを含む複数の都市を訪れました。一般市民の生活を捉えた作品ですが、中国政府にとって不都合な描写が含まれ、公開が大幅に遅れました。イタリアでは高く評価され、アンドレイ・タルコフスキーが「映画の傑作」と称した作品です。
出身女優
ハルビン市および黒竜江省は、美人女優が多い地域として知られています。中国のネット上で公開される「中国都市別美人ランキング」でも、ハルビン出身の女性は高く評価されます。特徴として、色白で透き通る肌、高身長、面長で大人っぽい顔立ちが挙げられます。以下に代表的なハルビン出身の女優を紹介します。
- 蕭紅(シャオ・ホン):1911年ハルビン生まれの作家であり、女優ではありませんが、中国近代四大才女の一人に数えられる文化人。彼女の作品は映画化されることも多く、その文学的影響力からハルビン出身の著名人として紹介されます。代表作『呼蘭河伝』は、彼女の故郷ハルビンを舞台にした自伝的小説で、映画やドラマ化されています。
- リー・ビンビン(李冰冰):1973年ハルビン生まれ。中国を代表する国際的女優で、ハリウッド映画『バイオハザードV リトリビューション』や『トランスフォーマー ロストエイジ』に出演。透き通るような白い肌と凛とした美貌で知られ、黒竜江省の美人女優の象徴的存在です。彼女の出演作品は、中国国内外で高い評価を受けています。
- チー・ウェイ(戚薇):ハルビン出身の女優兼歌手。ドラマ『美人心計』や『愛情睡醒了』で人気を博し、クールで知的な美貌が特徴。彼女の活躍は、ハルビンの女性が持つ「大人っぽい魅力」を象徴しています。
- ニー・ニー(倪妮):ハルビン出身ではないものの、黒竜江省にゆかりがある女優としてしばしば言及されます。映画『金陵十三釵』でブレイクし、繊細な演技と美しい容姿で知られています。ハルビンの美人女優リストに含まれることがあります。
- チャン・ティエンアイ(張天愛):1988年ハルビン生まれの女優・モデル。
- シュー・トントン(徐冬冬):1990年ハルビン生まれのアクション女優。
- チャオ・シン(喬欣):1993年ハルビン生まれの女優。
- リー・モンモン(李萌萌):1993年ハルビン生まれのアクション女優。
結論
ハルビン市は、黒竜江省の経済・文化の中心地であり、ロシア文化の影響を受けた独特な魅力を持つ都市です。その歴史は、先史時代から現代まで多様な変遷を遂げ、映画や文学を通じて世界にその名を知られています。また、美人女優の輩出地としても有名で、中国のエンターテインメント業界に大きな影響を与えています。ハルビンの歴史的背景や文化は、今後も多くの人々を惹きつけるでしょう。
レビュー 作品の感想や女優への思い