インディペンデント・スピリット賞（Independent Spirit Awards）は、非営利団体Film Independentが主催する、インディペンデント映画を対象とした映画賞。1984年に創設され、毎年アカデミー賞の前日、通常はアメリカ合衆国カリフォルニア州サンタモニカのビーチでテント形式の授賞式が開催されます。この賞は、メジャースタジオのシステム外で製作された映画や、低予算で情熱を持って制作された作品を称えることを目的としています。授賞式はIndependent Film Channel（IFC）で生中継され、日本ではムービープラスで放送されることがあります。対象となる映画は、特定の制作費上限（2023年時点で3000万ドル）などの条件を満たす必要があります。
賞の種類
- 最優秀作品賞
- 最優秀監督賞
- 最優秀主演俳優賞（2023年より性別区分廃止）
- 最優秀助演俳優賞（2023年より性別区分廃止）
- 最優秀脚本賞
- 最優秀撮影賞
- 最優秀編集賞
- 最優秀国際映画賞
- ジョン・カサヴェテス賞（100万ドル以下の低予算映画対象）
- 最優秀新人監督賞
- 最優秀新人俳優賞（2021年まで）
- プロデューサー賞
- ロバート・アルトマン賞（アンサンブルキャスト、監督、キャスティングディレクター対象）
- ブレイクスルー賞（新人俳優や監督に贈られる）
歴史
インディペンデント・スピリット賞は、1984年に「FINDIE（Friends of Independents Awards）」として設立されました。1986年に現在の名称に変更され、インディペンデント映画の発展と若手映画製作者の支援を目的としてきました。授賞式はアカデミー賞の前日に開催されることが伝統で、インディペンデント映画の魅力を広く発信する場となっています。2023年からは、演技賞の性別区分を廃止し、「最優秀主演俳優賞」「最優秀助演俳優賞」に統一するなど、時代に合わせた改革も行われています。過去の受賞作には、『プラトーン』（1986年）、『パルプ・フィクション』（1994年）、『ブロークバック・マウンテン』（2005年）、『パスト ライブス 再会』（2024年）などがあり、多くの受賞作品が後にアカデミー賞でも評価されるなど、影響力を持っています。
おもな受賞女優
インディペンデント・スピリット賞の主演女優賞および助演女優賞（2022年までの性別区分ありの時期）の受賞者から、代表的な女優を以下に挙げます。なお、2023年以降は性別区分が廃止されたため、以降の受賞者は「主演俳優賞」「助演俳優賞」に含まれる可能性があります。
- 1987年：イザベラ・ロッセリーニ（『ブルーベルベット』、主演女優賞）
- 1990年：アンジェリカ・ヒューストン（『グリフターズ/詐欺師たち』、主演女優賞）
- 1994年：ジュリアン・ムーア（『セーフ』、主演女優賞）
- 1996年：フランシス・マクドーマンド（『ファーゴ』、主演女優賞）
- 2000年：エレン・バースティン（『レクイエム・フォー・ドリーム』、主演女優賞）
- 2005年：フェリシティ・ハフマン（『トランスアメリカ』、主演女優賞）
- 2007年：エリオット・ペイジ（『JUNO/ジュノ』、主演女優賞）
- 2008年：メリッサ・レオ（『フローズン・リバー』、主演女優賞）
- 2010年：ナタリー・ポートマン（『ブラック・スワン』、主演女優賞）
- 2013年：ケイト・ブランシェット（『ブルージャスミン』、主演女優賞）
- 2016年：イザベル・ユペール（『エル 欲望に囚われて』、主演女優賞）
- 2019年：レネー・ゼルウィガー（『ジュディ 虹の彼方に』、主演女優賞）
- 2022年：タイラー・ペリー（『ドント・ルック・アップ』、助演女優賞）
- 2023年：ダバイン・ジョイ・ランドルフ（『ホールドオーバーズ』、助演俳優賞）
受賞女優一覧
インディペンデント・スピリット賞の受賞女優を、過去の主演女優賞（Best Female Lead、1985年から2022年まで）と助演女優賞（Best Supporting Female、1985年から2022年まで）、および2023年以降の性別非特定演技賞（Best Lead PerformanceおよびBest Supporting Performance）から女性受賞者を網羅的にまとめました。
2023年以降の賞は性別を問わないため、女性受賞者のみを抽出しています。リストは年ごとに時系列で整理し、作品名を併記しています。この賞はインディペンデント映画の優れた演技を称えるもので、多くの受賞者がアカデミー賞などでも評価されています。
主演女優賞（Best Female Lead）受賞者（1985-2022年）
- 1985年：ジェラルディン・ペイジ（『The Trip to Bountiful』）
- 1986年：シェール（『Mask』）
- 1987年：イザベラ・ロッセリーニ（『ブルーベルベット』）
- 1988年：ジュリー・クリスティ（『Afterglow』）
- 1989年：ミシェル・ファイファー（『テッドdyベア』）
- 1990年：アンジェリカ・ヒューストン（『グリフターズ/詐欺師たち』）
- 1991年：キャリー・スノッドグレス（『Wild Hearts Can’t Be Broken』）
- 1992年：メアリー・スティーンバーゲン（『A Cry in the Dark』）
- 1993年：イメルダ・スタウントン（『Antonia and Jane』）
- 1994年：ジュリアン・ムーア（『Safe』）
- 1995年：ニコール・キッドマン（『To Die For』）
- 1996年：フランシス・マクドーマンド（『ファーゴ』）
- 1997年：ロビン・タネイ（『Two Girls and a Guy』）
- 1998年：キャサリン・キーオスト（『The Hi-Lo Country』）
- 1999年：セリーヌ・ルロワ（『Boys Don’t Cry』）
- 2000年：エレン・バースティン（『レクイエム・フォー・ドリーム』）
- 2001年：トニ・コレット（『The Gift』）
- 2002年：ロクサーヌ・ヘイワード（『Personal Velocity: Three Portraits』）
- 2003年：シャーリーズ・セロン（『モンスター』）
- 2004年：ホープ・デイビス（『American Splendor』）
- 2005年：フェリシティ・ハフマン（『Transamerica』）
- 2006年：シャーリーズ・セロン（『スタンドアップ』）
- 2007年：エリオット・ペイジ（『Juno/ジュノ』）
- 2008年：メリッサ・レオ（『Frozen River』）
- 2009年：ガブリエル・ユニオン（『Good Hair』）
- 2010年：ナタリー・ポートマン（『Black Swan』）
- 2011年：ミシェル・ウィリアムズ（『My Week with Marilyn』）
- 2012年：ジェニファー・ローレンス（『Winter’s Bone』）
- 2013年：ケイト・ブランシェット（『ブルージャスミン』）
- 2014年：ブリー・ラーソン（『Short Term 12』）
- 2015年：ジュリアン・ムーア（『Still Alice』）
- 2016年：イザベル・ユペール（『エル ELLE』）
- 2017年：フランシス・マクドーマンド（『Three Billboards Outside Ebbing, Missouri』）
- 2018年：ローリン・ハント（『The Florida Project』）
- 2019年：レネー・ゼルウィガー（『Judy』）
- 2020年：エレン・バースティン（『Pieces of a Woman』）
- 2021年：エマ・ストーン（『The Favourite』）
- 2022年：テイラー・ペイジ（『Zola』）
助演女優賞（Best Supporting Female）受賞者（1985-2022年）
- 1985年：アンジェリカ・ヒューストン（『The Dead』）
- 1986年：スーシン・サラドン（『Down and Out in Beverly Hills』）
- 1987年：ヴァネッサ・レッドグレイヴ（『Prick Up Your Ears』）
- 1988年：メル・ハリス（『Slaves of New York』）
- 1989年：ジェーン・ヴォート（『A Shock to the System』）
- 1990年：アニタ・カズ（『Enemies, a Love Story』）
- 1991年：エリザベス・ペナ（『Dead Again』）
- 1992年：ジュディ・デイビス（『Barton Fink』）
- 1993年：アルマ・ザベディ（『Mi Vida Loca』）
- 1994年：ディアナ・スカルウィン（『Household Saints』）
- 1995年：マリサ・トメイ（『The Paper』）
- 1996年：キンバリー・エリス（『Girl 6』）
- 1997年：ジュリアン・ムーア（『Boogie Nights』）
- 1998年：キャサリン・キーナー（『Out of Sight』）
- 1999年：ストーム・リード（『The Lovely Bones』）
- 2000年：シャーリーズ・セロン（『The Cider House Rules』）
- 2001年：ヘイリー・ベリー（『Monster’s Ball』）
- 2002年：パットシー・ケラー（『Roger Dodger』）
- 2003年：ショニ・スミス（『Lost in Translation』）
- 2004年：マギー・ジレンホール（『Secretary』）
- 2005年：ミシェル・ウィリアムズ（『Brokeback Mountain』）
- 2006年：エレン・バースティン（『The Wicker Man』）
- 2007年：ジェニファー・ジェイソン・リー（『No Country for Old Men』）
- 2008年：ペネロペ・クルス（『Vicky Cristina Barcelona』）
- 2009年：アンナ・ケンドリック（『Up in the Air』）
- 2010年：ユマ・サーマン（『Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief』）
- 2011年：シャニン・ソサモノ（『The Big C』）
- 2012年：ヘレナ・ボナム・カーター（『Les Misérables』）
- 2013年：サルマ・ハエック（『Grown Ups 2』）
- 2014年：パトリシア・アークエット（『Boyhood』）
- 2015年：エマ・ストーン（『Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)』）
- 2016年：ケイト・マッキノン（『Ghostbusters』）
- 2017年：アリソン・ジャネイ（『I, Tonya』）
- 2018年：エミリー・ブラント（『A Quiet Place』）
- 2019年：ローラ・ダーン（『Marriage Story』）
- 2020年：ホン・チャウ（『The Farewell』）
- 2021年：キルスティン・ダンスト（『The Power of the Dog』）
- 2022年：ルース・ネッガ（『Passing』）
性別非特定演技賞（Best Lead PerformanceおよびBest Supporting Performance）からの女性受賞者（2023年以降）
2023年以降、演技賞は性別非特定となりましたが、ここでは女性受賞者を抽出しています。2025年までの最新情報を含みます。
- 2023年（Best Lead Performance）：ミシェル・ヨー（『Everything Everywhere All at Once』）
- 2023年（Best Supporting Performance）：ジェイミー・リー・カーティス（『Everything Everywhere All at Once』）
- 2024年（Best Lead Performance）：エマ・ストーン（『Poor Things』）
- 2024年（Best Supporting Performance）：ダ・ヴァイン・ジョイ・ランドルフ（『The Holdovers』）
- 2025年（Best Lead Performance）：マイキー・マディソン（『ANORA アノーラ』）
- 2025年（Best Supporting Performance）：ナヴァ・マウ（『Baby Reindeer』、TV部門）
この一覧は、Wikipediaや公式発表、信頼できるメディア報道に基づいてまとめられたものです。受賞者はインディペンデント映画界の多様な才能を象徴しており、多くの場合、社会的・文化的影響力の高い作品で活躍しています。なお、TV部門の受賞も一部含めていますが、主に映画部門に焦点を当てています。
レビュー 作品の感想や女優への思い