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乾いた湖

「見どころ」にPR表現を含みます。

1960年に松竹で公開された映画『乾いた湖』は、安保闘争の時代を背景に、若者たちの刹那的な生活と内面的な葛藤を描いた青春ドラマ。原作は榛葉英治の新聞連載小説で、寺山修司が脚色を担当し、篠田正浩が監督を務めた。この作品は、松竹ヌーヴェル・ヴァーグの代表作の一つとして位置づけられ、当時の社会的な動乱の中で、学生たちの英雄気取りやテロリズムへの傾倒を鋭く捉える。主人公の大学自治会学生が中心となり、肉体的な遊戯や政治的な野心が交錯する姿を通じて、青春の輝きと虚無感を表現。

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基本情報

  • 原題:乾いた湖
  • 公開年:1960年
  • 製作国・地域:日本
  • 上映時間:88分
  • 配給:松竹
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女優の活躍

本作『乾いた湖』では、若手女優たちが主人公の周囲で重要な役割を果たし、物語の情感を豊かに彩っています。

特に、岩下志麻は桂葉子役でデビュー作を飾り、父の自殺という悲劇に直面しながらも、強い意志を持って生き抜こうとする女性像を鮮やかに演じました。彼女の演技は、純粋さと脆さを併せ持ち、観客に強い印象を残しました。九條今日子は枝村美代子役を務め、主人公の卓也が世話をしようとする複雑な立場から、貧困と依存の狭間で揺れる心情を繊細に表現。炎加世子は北村節子役として、卓也の情欲の対象となる一方で、独立した女性としての側面も見せ、肉体的な魅力と内面的な強さを体現しました。

高千穂ひづるはマダム文枝役で、バー・マドンナの妖艶な女性として登場し、卓也を政治の世界に導く重要な橋渡し役を果たします。彼女の成熟した魅力が、若者たちの混沌を際立たせます。鳳八千代は葉子の姉・しづえ役で、家族の崩壊と許婚の破談という苦難を耐え抜く姿を静かに描き、物語の悲劇性を深めました。国景子は篠山貴子役として、グループ内の遊び相手の一人として軽やかに振る舞い、全体の青春の軽薄さを象徴します。これらの女優たちは、当時の若手として新鮮な魅力を発揮し、男性中心の物語の中で女性の視点から社会の歪みを浮き彫りにしました。特に岩下志麻のデビューは、後のキャリアの基盤を築く活躍となりました。

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女優の衣装・化粧・髪型

1960年代の日本映画らしい、日常的でありながら象徴的な衣装が女優たちに与えられ、当時の若者文化を反映しています。岩下志麻が演じる桂葉子は、主にシンプルなブラウスとスカートの学生風衣装を着用し、父の死後のシーンでは黒い喪服が彼女の悲しみを強調します。化粧はナチュラルで、若々しい素顔が際立ち、唇に薄いリップを施す程度です。髪型はショートカットやポニーテールが多く、活発さと無垢さを表しています。

九條今日子演じる枝村美代子は、貧しさゆえの質素なワンピースやセーター姿が目立ち、別荘でのシーンでは軽やかなサマードレスを纏い、刹那的な喜びを表現。化粧は控えめで、頰に淡いチークを入れ、儚げな印象を与えます。髪型はミディアムヘアを緩くウェーブさせ、柔らかな女性らしさを演出しました。

炎加世子演じる北村節子は、セクシーさを強調したタイトなドレスやブラウスを着用し、木原邸の宴会シーンではエレガントなイブニングドレスが登場。化粧はアイラインを濃く引き、唇を赤く塗り、妖艶さを高めています。髪型はアップスタイルやボブで、成熟した魅力を強調します。

高千穂ひづる演じるマダム文枝は、バーでのシーンにふさわしいシックなドレスとジャケットを着こなし、化粧はスモーキーなアイシャドウと濃い口紅で大人の色気を醸し出します。髪型はエレガントなボブやカールヘアで、洗練されたイメージです。鳳八千代演じるしづえは、姉らしい落ち着いた着物やワンピースを着用し、化粧は薄く、髪型はストレートのロングヘアで、伝統的な日本女性の美しさを体現。

国景子が演じる篠山貴子は、カジュアルなシャツとスカートで、化粧は軽く、髪型はショートで遊び心を表しています。

これらのスタイルは、安保闘争の混沌の中で、女性たちの内面的な葛藤を視覚的に支え、時代性を象徴的に描いています。

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あらすじ

大学自治会の中央委員である下条卓也は、英雄気取りでテロリストを夢見て日々を過ごしています。彼は女子学生たちとの肉体関係に溺れ、木原財閥の長男・道彦の別荘で、級友の今井、品田、そして桂葉子、枝村美代子、北村節子、篠山貴子らと若さを謳歌します。しかし、葉子の父・孝作が自殺し、新聞で農産公社の汚職事件が報じられ、代議士の大瀬戸が関与していることが明らかになります。卓也はマダム文枝の紹介でバー・マドンナに赴き、大瀬戸と出会い、文枝とも関係を持ちます。そこで卓也は大瀬戸を驚かせる政治理論を披露しますが、美代子の世話を引き受けようとするものの、道彦の冷徹な態度に直面します。また、貧乏な級友・水島の就職願いも拒否されます。

一方、葉子は父の死後大瀬戸の庇護を受け、姉のしづえは許婚の藤森から破談を告げられます。卓也は外国人のボクサー・鄭方現に藤森を殴らせ、自治会から除名されます。節子の体を求め、木原邸では自堕落な遊びに耽ります。葉子は姉の生活費が肉体の代償であることを知り、家を出ますが、仕事は見つかりません。水島はアパートで自殺します。安保反対デモが激化する中、卓也はダイナマイトを手に入れ、革命の機会と信じて部屋を出ますが、鄭方現の傷害事件が発覚し、逮捕の刑事が待っていました。外ではデモの行列が続き、卓也の運命は不透明に終わります。この物語は、若者たちの空虚な欲望と社会の腐敗を、容赦なく暴き出します。

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解説

『乾いた湖』は、1960年の安保闘争という歴史的転換点を背景に、若者たちの心理を深く掘り下げた作品です。監督の篠田正浩は、デビュー作「恋の片道切符」から続く青春像をさらに深化させ、松竹ヌーヴェル・ヴァーグの旗手として注目を集めました。脚本の寺山修司は、当時無名の詩人・劇作家として参加し、戯曲的な詩情と現実の鋭い批評を融合させ、主人公卓也の内面を象徴的に描いています。原作の榛葉英治は、社会問題を鋭く扱う作家で、この小説は新聞連載を通じて当時の若者の閉塞感を反映していました。音楽の武満徹は、後の前衛作曲家として知られる若手で、ジャズや実験的な音響を織り交ぜ、物語の混沌を強調します。撮影の小杉正雄は、モノクロのコントラストを活かし、デモの喧騒と別荘の退廃を視覚的に対比させました。本作は、大衆運動を軽蔑する卓也の視点から、学生運動の表層性を批判し、テロリズムへの傾倒を警告的に描いています。これは、当時の左翼運動の理想と現実のギャップを象徴し、後の日本映画に影響を与えました。女優たちの活躍は、男性主人公の影で女性の苦悩を浮き彫りにし、ジェンダーの視点からも興味深いです。岩下志麻のデビューは象徴的で、彼女の純粋さが卓也の腐敗を際立たせます。全体として、青春の輝きが「乾いた湖」のように虚ろであることを示唆し、観客に社会変革の難しさを問いかけます。公開当時は問題作として論争を呼び、松竹の新潮流を確立しました。今日では、60年代の日本社会を理解する上で貴重な資料として評価されています。この作品は、単なる青春映画を超え、時代的精神の鏡として永遠の価値を持ち続けます。

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キャスト

  • 三上真一郎(下条卓也役)
  • 炎加世子(北村節子役)
  • 山下洵一郎(木原道彦役)
  • 高千穂ひづる(マダム文枝役)
  • 岩下志麻(桂葉子役)
  • 九條今日子(枝村美代子役)
  • 国景子(篠山貴子役)
  • 伊藤雄之助(大瀬戸役)
  • 小坂一也(水島役)
  • 鳳八千代(しづえ役)
  • 高森真二(藤森役)
  • 水島弘(鄭方現役)
  • 田中晋二(永井役)
  • 清宮貴夫(馬場役)

スタッフ

  • 原作:榛葉英治
  • 監督:篠田正浩
  • 脚色:寺山修司
  • 撮影:小杉正雄
  • 音楽:武満徹
  • 製作:植野哲雄
  • 配給:松竹

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洋画好き(字幕派)。だいたいU-NEXTかNetflixで、妻と2匹の猫と一緒にサスペンスやスリラーを観ています。詳細は名前をクリックしてください。猫ブログ「碧眼のルル」も運営。

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