映画『ラ・コシーナ/厨房』は、アーノルド・ウェスカーの戯曲「調理場」を原作とした2024年の米墨合作ドラマ。ニューヨークのタイムズスクエアにあるレストラン「ザ・グリル」の厨房を舞台に、移民労働者たちの日常と苦闘を描きます。
黒白映像で、監督のアロンソ・ルイスパラシオスがユーモアと緊張を交え、アメリカンドリームを追う人々のカオスを表現。主演はラウル・ブリオネスとルーニー・マーラ。上映時間139分。
基本情報
- 邦題:ラ・コシーナ/厨房
- 原題:La Cocina
- 公開年:2024年
- 製作国・地域:メキシコ、アメリカ
- 上映時間:139分
- ジャンル:ドラマ
- 配給:SUNDAE
女優の活躍
映画『ラ・コシーナ/厨房』では、ルーニー・マーラがジュリア役を演じています。彼女はアメリカ人のウェイトレスとして、妊娠の悩みを抱えながら恋人ペドロとの関係に苦しむ姿を力強く表現します。アカデミー賞に2度ノミネートされた経験を生かし、繊細な感情の揺らぎを黒白映像の中で際立たせています。ベルリン国際映画祭でのプレミアでは、彼女の演技が批評家から高く評価され、キャラクターの内面的な葛藤を自然に体現した点が注目を集めました。
また、アンナ・ディアズがエステラ役で長編映画デビューを果たします。メキシコ移民の若い女性として、厨房の忙しなさの中で希望と現実の狭間に立つ姿を新鮮に演じています。舞台経験が豊富な彼女は、セリフの少ない場面でも表情と動きで存在感を発揮し、移民の苦労を象徴する役割を果たしています。批評では、彼女の自然な演技が全体のリアリズムを高めていると称賛されています。
他の女優として、ローラ・ゴメスが登場します。彼女は厨房スタッフの一員として、多文化環境での摩擦を体現し、チームのダイナミズムに貢献します。彼女の活躍は、集団劇としての本作の魅力を支え、女性キャラクターたちの多様な視点を提供しています。これらの女優たちは、男性中心の厨房世界で女性の視点から社会問題を浮き彫りにする点で重要です。
女優の衣装・化粧・髪型
ルーニー・マーラのジュリアは、ウェイトレスとしてシンプルな制服を着用します。黒白映画のため、コントラストが強調された白いブラウスに黒いスカートとエプロンが基本で、実用的で動きやすいデザインです。化粧はナチュラルで、汗ばむ厨房の現実を反映し、薄いファンデーションと軽いリップのみ。髪型はポニーテールが多く、忙しい仕事中に邪魔にならないようまとめられ、時折乱れが感情の乱れを象徴します。
アンナ・ディアズのエステラは、新人移民らしい質素な衣装です。厨房作業着としてオーバーオール風のエプロン付きシャツを着ており、汚れやすい環境に適した機能性重視。化粧はほとんどなく、無垢で若々しい印象を与え、移民の純朴さを表しています。髪型はストレートのロングヘアをヘッドバンドでまとめ、衛生面を考慮した実用的なスタイルです。
ローラ・ゴメスをはじめとする他の女優たちは、厨房スタッフのユニフォームを統一的に着用します。白いシャツと黒パンツが標準で、化粧は最小限に抑えられ、疲労感を表現。髪型はバンやネットで固定され、食品衛生を優先したプロフェッショナルな外見です。これらの要素は、映画のリアリズムを高め、キャラクターの社会的立場を視覚的に伝えています。
あらすじ
物語はニューヨークのタイムズスクエアにある大型レストラン「ザ・グリル」の厨房で始まります。朝からランチタイムの準備に追われるスタッフたちは、多国籍の移民が多く、スペイン語や英語が飛び交います。主人公のペドロはメキシコ移民の料理人で、腕は確かですがトラブルメーカーです。彼はアメリカ人のウェイトレス、ジュリアと恋仲ですが、彼女の妊娠が新たな問題を生みます。
ある朝、売上金が盗まれた疑いがスタッフ全員にかかります。経営者のラシッドは犯人探しを始め、厨房は緊張に包まれます。ペドロは容疑者として疑われ、ジュリアとの関係も悪化。彼女は中絶を望み、ペドロはそれに同意しますが、心は揺れます。一方、新人のエステラは英語が話せず、厨房の厳しさに苦しみながらも懸命に働きます。
ランチタイムのピークでは、次々と注文が入り、厨房はカオス状態。シェフの命令が飛び、スタッフ間の摩擦が爆発します。ペドロはジュリアの秘密を知り、感情が爆発。厨房の生産ラインが止まるほどの事件が起き、無事に一日を終えられるか、スタッフたちの運命が描かれます。
物語は一日の出来事を軸に、移民の苦労、恋愛、格差を織り交ぜ、ユーモラスな場面も交えながらクライマックスへ。最終的に、厨房という閉鎖空間で人間関係が試され、各々がアメリカンドリームに向き合います。
解説
映画『ラ・コシーナ/厨房』は、厨房を世界の縮図として描き、移民問題や格差社会を鋭く批評します。監督のアロンソ・ルイスパラシオスは、自身のウェイター経験を基に、厨房の激務をリアルに再現。黒白映像が緊張感を高め、14分のワンカットシーンは息をのむ迫力です。原作の戯曲を現代的にアレンジし、アメリカの多文化社会を反映しています。
テーマとして、アメリカンドリームの幻想が強調されます。ペドロのような移民はグリーンカードを求め、労働を強いられますが、搾取される現実が露呈。ジュリアの妊娠は、個人的選択と社会圧力の葛藤を示し、女性の視点からジェンダー問題を加えます。スタッフ間の人種摩擦は、国同士の関係性を象徴し、ユーモアで痛烈に描かれます。
演出面では、カメラワークが縦横無尽に動き、厨房のダイナミズムを捉えます。音響デザインも秀逸で、調理音や叫び声がストレスを増幅。俳優たちの自然な演技が、ドキュメンタリーのようなリアリズムを生み、観客にヒリヒリした緊張を味わわせます。ベルリン映画祭での受賞は、こうした革新的アプローチが評価された結果です。
社会的なメッセージとして、誰しもが悪くなく、誰もが悪くなる人間性を探求。優先すべきはルールかモラルか、自我かコンプライアンスか。移民の誇りと現実の狭間で、観客に自問を促します。エンターテインメントとして楽しめつつ、深い洞察を提供する作品です。
キャスト
- ラウル・ブリオネス:ペドロ(メキシコ移民の料理人)
- ルーニー・マーラ:ジュリア(アメリカ人のウェイトレス)
- アンナ・ディアズ:エステラ(新人メキシコ移民)
- オデッド・フェール:ラシッド(レストラン経営者)
- リー・セラーズ:シェフ(厨房の指揮者)
- エドゥアルド・オルモス:ルイス(マネージャー)
- モテル・フォスター:ノンゾ(厨房スタッフ)
- スペンサー・グラニーズ:マックス(厨房スタッフ)
- ローラ・ゴメス:厨房スタッフ
- ベルナルド・ベラスコ:厨房スタッフ
スタッフ
- 監督・脚本:アロンソ・ルイスパラシオス
- 原作:アーノルド・ウェスカー
- 製作:ラミロ・ルイス、ヘラルド・ガティカ、アロンソ・ルイスパラシオス、ローレン・マン、イヴァン・オルリク
- 撮影監督:フアン・パブロ・ラミレス
- 編集:イブラン・アスアド
- キャスティング監督:ナナ・ローランズ
- プロダクションデザイナー:サンドラ・カブリアナ
- エグゼクティブプロデューサー:マルコ・ポロ・コンスタンドセ、ホセ・ナシフ、ウィリアム・オルソン、パトリック・プフパジェナ、アレクシス・ガルシア、クリスティーナ・ガルザ、エリザベス・ウッドワード
- 音楽:トマス・バレット
- 美術:サンドラ・カブリアナ


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