『レギオン』(原題:Legion)は2010年公開の米国アクション・ホラー映画。神が人類粛清のため天使の軍団を送るが、大天使ミカエルが人類を守るため戦う。モハベ砂漠のダイナーを舞台に、妊婦チャーリーの子を守る壮絶なバトルが展開。監督はスコット・スチュワート。
基本情報
- 邦題:レギオン
- 原題:LEGION
- 公開年:2010年
- 製作国:米国
- 上映時間:100分
- ジャンル:アクション
見どころ
寂れたダイナーを舞台に、人類を見限った神と人間たちの死闘がスリリングに展開。ダイナミックなバトル演出は見応えたっぷりだ。主演は個性派俳優、ポール・ベタニー。
あらすじ
『レギオン』は、神が人類に失望し、天使の軍団「レギオン」を送り込んで人類を滅ぼそうとする中、大天使ミカエル(ポール・ベタニー)が神の命令に背き、人類を守るために戦う物語です。舞台はアメリカのモハベ砂漠に佇む寂れたダイナー「パラダイス・フォールズ」。ここでは、オーナーのボブ(デニス・クエイド)とその息子ジープ(ルーカス・ブラック)、ウェイトレスのチャーリー(エイドリアンヌ・パリッキ)、コックのパーシー(チャールズ・S・ダットン)、そして客として居合わせたハワード(ジョン・テニー)、サンドラ(ケイト・ウォルシュ)、その娘オードリー(ウィラ・ホランド)、カイル(タイリース・ギブソン)が登場します。
物語は、突如現れた老婆が怪物に変貌し、ダイナーの客を襲う場面から始まります。そこへ、翼を切り落とし人間の姿で現れたミカエルが到着。彼は、神が人類を滅ぼそうとしていること、チャーリーのお腹に宿る子が人類の希望であると告げます。ミカエルは武器を手にダイナーに立て籠もり、襲い来る天使の軍団や憑依された人間たちと戦います。やがて、神の命令を忠実に実行する大天使ガブリエル(ケヴィン・デュランド)が率いる「レギオン」がダイナーを攻撃。ミカエルとダイナーの人々は、絶望的な状況の中で団結し、チャーリーの子を守るため命がけの戦いを繰り広げます。物語は、人間の希望と信仰、そして犠牲と救済をテーマに、壮絶なバトルとドラマが交錯する展開で進みます。
解説
『レギオン』は、宗教的モチーフを基盤に、終末論的な世界観をアクションとホラーの要素で描いた作品です。神と天使という伝統的な宗教的イメージを、現代的なアクション映画の枠組みで再解釈し、天使が敵対者として登場する斬新な設定が特徴です。監督のスコット・スチュワートは、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』や『シン・シティ』で特殊効果を手掛けた経歴を持ち、本作が長編監督デビュー作となりました。彼のビジュアルセンスは、暗く荒涼としたモハベ砂漠の雰囲気や、天使の鋼鉄の翼を活かした迫力ある戦闘シーンに反映されています。
映画はB級映画のテイストを持ちつつ、ポール・ベタニーのカリスマ性や、ダイナーという閉鎖空間での群像劇が緊張感を生み出しています。批評家の反応は賛否両論で、ストーリーの単純さや説明不足を指摘する声がある一方、アクションのダイナミズムや宗教的テーマのユニークさが高く評価されました。興行的には2600万ドルの予算に対し、全世界で6700万ドル以上の収益を上げ、成功を収めました。また、本作は後にテレビシリーズ『ドミニオン』(2014年開始)としてスピンオフ化され、物語の25年後を描いています。
女優の活躍
本作では、エイドリアンヌ・パリッキ演じるチャーリーと、ウィラ・ホランド演じるオードリーが主要な女性キャラクターとして活躍します。
チャーリー(エイドリアンヌ・パリッキ)
チャーリーは、物語の中心となる妊婦のウェイトレスで、人類の希望とされる子を宿す重要なキャラクターです。パリッキは、チャーリーの内面的な葛藤と強さを繊細に表現。妊娠8か月という設定の中、襲撃されるダイナーでの恐怖や、ミカエルへの信頼、母としての決意を体現しています。特に、物語後半で自ら銃を手に戦うシーンでは、弱さの中にある力強さを見事に演じ、観客に感情移入を促します。彼女の演技は、物語の感情的な軸として機能し、アクションだけでなくドラマチックな要素を強化しています。
オードリー(ウィラ・ホランド)
オードリーは、ダイナーに居合わせたハワードとサンドラの娘で、反抗的なティーンエイジャーとして登場。ホランドは、オードリーの若さゆえの衝動性や、家族への複雑な感情を自然に表現しています。物語が進むにつれ、彼女はダイナーの防衛に参加し、特に銃を手に戦うシーンで勇敢さを発揮。ウィラ・ホランドの演技は、若者らしいエネルギーと成長する姿を強調し、物語に活気を与えています。
女優の衣装・化粧・髪型
チャーリー(エイドリアンヌ・パリッキ)
衣装
チャーリーの衣装は、ウェイトレスとしての現実的な設定を反映しています。ピンクと白のシンプルなウェイトレスのユニフォームは、モハベ砂漠の埃っぽい環境と対比し、彼女の日常性を強調。物語が進むと、戦闘に参加するため動きやすいカジュアルな服に変わり、妊娠中の体型を考慮したゆったりとしたトップスが特徴です。
化粧
チャーリーの化粧は控えめで、ナチュラルなメイクが中心。汗や埃で汚れた顔は、過酷な状況を表現し、彼女のリアルな感情を引き立てます。
髪型
髪はシンプルなポニーテールやルーズなダウンスタイルで、ウェイトレスとしての実用性を優先。戦闘シーンでは髪が乱れ、彼女の闘志を象徴しています。
オードリー(ウィラ・ホランド)
衣装
オードリーは、ティーンエイジャーらしいカジュアルでやや派手なスタイル。タイトなジーンズやタンクトップ、アクセサリーを多用した衣装は、彼女の反抗的な性格を反映。戦闘シーンでは動きやすさを優先しつつ、若々しい個性を保っています。
化粧
オードリーのメイクは、若さを強調する軽いアイライナーやリップグロスが特徴。物語の緊迫感が増すにつれ、化粧が薄れ、戦いの中で自然体になる様子が描かれます。
髪型
オードリーの髪は、ルーズなウェーブのかかったミディアムヘアで、自由奔放な性格を表現。戦闘中は髪を束ね、活動的な一面を強調しています。
キャスト
- ポール・ベタニー(ミカエル):神に背いた大天使。力強くも人間らしい演技が光る。
- ルーカス・ブラック(ジープ・ハンソン):ダイナーの息子で、チャーリーに想いを寄せる。
- タイリース・ギブソン(カイル・ウィリアムズ):息子の親権を求めるタフな男。
- エイドリアンヌ・パリッキ(チャーリー):人類の希望を宿すウェイトレス。
- チャールズ・S・ダットン(パーシー・ウォーカー):ダイナーのコックで、仲間を支える。
- ジョン・テニー(ハワード・アンダーソン):家族思いの父親。
- ケイト・ウォルシュ(サンドラ・アンダーソン):精神的に不安定な母親。
- ウィラ・ホランド(オードリー・アンダーソン):反抗的な娘。
- ケヴィン・デュランド(ガブリエル):神の命令に従う大天使。
- デニス・クエイド(ボブ・ハンソン):ダイナーのオーナー。
スタッフ
- 監督・脚本:スコット・スチュワート(長編デビュー作。特殊効果の経験を活かし、ビジュアル重視の演出)
- 脚本:ピーター・シンク
- 製作:デヴィッド・ランカスター、ミシェル・リトヴァク
- 製作総指揮:ゲイリー・マイケル・ウォルターズ他
- 撮影:ジョン・リンドレー(荒涼とした風景を効果的に捉える)
- 音楽:ジョン・フリッゼル(緊張感を高める劇伴)
- 配給:ソニー・ピクチャーズ(日本では2010年5月22日公開)
まとめ
『レギオン』は、宗教的テーマをアクションとホラーで彩ったユニークな作品です。エイドリアンヌ・パリッキとウィラ・ホランドの女優陣は、過酷な状況での人間ドラマを体現し、物語に深みを加えています。衣装や髪型はキャラクターの個性と物語の現実感を強調。スコット・スチュワートのビジュアルセンスと、ポール・ベタニーをはじめとするキャストの熱演が、終末的な世界観を魅力的に描き出しています。
レビュー 作品の感想や女優への思い