以下では、ストリッパーを題材にした映画やドラマを幅広く紹介し、それぞれ簡潔に解説しています。日本の作品から海外の作品まで、多様な視点で取り上げました。各作品は、ストリッパーという職業を通じて、女性や男性の生き方、社会的偏見、経済的格差などを多角的に描いています。
ストリッパー（2012年、日本）
『Love and Eros CINEMA COLLECTION』の一作で、片岡修二監督によるエロチック・ドラマ。ストリッパーの小百合（江口ナオ）が弟妹を養うため体を張って生きる姿と、優等生の妹・凛子（周防ゆきこ）との対立を描く。凛子の結婚破談をきっかけに、姉妹が本音でぶつかり合う物語。
小百合はストリッパーとして働き、弟妹を支えてきたが、凛子の結婚が姉の職業を理由に破談。自分の殻に閉じこもっていた凛子は、姉の生き方に疑問を投げかけつつも、互いのプライドと葛藤に向き合う。ストリッパーという職業に対する偏見や、女性の自立と美しさを描く。江口ナオの熱演と、現役ストリッパー小沢アリスのリアルなパフォーマンスが光る。華やかな舞台裏の苦悩と誇りを、情感豊かに表現した作品。
エロスを軸にしつつも、家族愛や女性の生き方を掘り下げた点で、単なる扇情的な作品を超えた深みがある。
ハスラーズ（2019年、米国）
『ハスラーズ』はローリーン・スカファリア監督によるクライム・ドラマ。2008年のリーマン・ショック後、ストリップクラブで働く女性たちが金融マンから大金を巻き上げる実話を基にした物語。ジェニファー・ロペスが主演。
デスティニー（コンスタンス・ウー）とラモーナ（ジェニファー・ロペス）は、ニューヨークのストリップクラブで働くが、金融危機で客が減少。生活のために、裕福な客を誘惑し、薬で眠らせてクレジットカードを不正利用する計画を立てる。女性たちの結束と裏切り、欲望と生存を描く。ロペスの迫真のポールダンスと、経済的格差への鋭い視点が特徴。
女性の視点から描かれた犯罪劇として高評価。エンタメ性と社会性を両立し、ロペスの演技はアカデミー賞候補とも噂された。
マジック・マイク（2012年、米国）
スティーヴン・ソダーバーグ監督、チャニング・テイタム主演のドラマ。テイタムの実際のストリッパー経験を基に、男性ストリッパーの華やかな舞台と過酷な現実を描く。
マイク（テイタム）は昼間は建設業、夜は男性ストリップクラブ「Xquisite」でスターとして活躍。19歳のアダムをクラブに誘い、ショービジネスの魅力と闇を教えるが、ドラッグや裏取引に巻き込まれる。マイク自身の夢と恋愛を追い求める姿が描かれる。テイタムのダンスシーンは圧巻で、男性ストリップの派手な世界をリアルに再現。
軽快なエンタメ性と人間ドラマのバランスが良く、続編も製作された人気作。男性ストリッパーの視点が新鮮で、テイタムの魅力が全開。
フル・モンティ（1997年、英国）
ピーター・カッタネオ監督によるヒューマンコメディ。失業中の男たちが生活のために男性ストリップショーに挑戦する姿をユーモラスに描く。ロバート・カーライル主演。
イギリス北部の工業都市シェフィールドで、鉄鋼業の衰退により失業したガズ（カーライル）は、養育費のために奔走。女性客で賑わう男性ストリップショーを見て、仲間と共にショーを企画。個性豊かなメンバーが集まり、ぎこちないダンス練習を通じて絆を深める。社会的な挫折と再起を、ユーモアと温かさで描く。
失業問題を背景に、男性のプライドと連帯感を軽妙に表現。アカデミー賞ノミネートも果たした心温まる作品で、ラストのショー場面は感動的。
（本）噂のストリッパー（1982年、日本）
森田芳光監督の日活ロマンポルノ作品。場末のストリップ劇場を舞台に、踊り子グロリアと青年の恋と葛藤を描く。風間舞子主演。
青年・洋一はストリップ劇場の踊り子グロリアに一目惚れ。彼女が別の劇場に移った後も追いかけ、彼女の過酷な現実を知る。金のために過激なショーを行うグロリアにショックを受けつつも、洋一は彼女を理解しようと奮闘。ロマンポルノの枠を超えた、青春と愛の物語として描かれる。森田監督の独特な映像美が光る。
ロマンポルノながら、恋愛と人間関係に焦点を当てた繊細な作品。ストリッパーの内面を丁寧に描き、森田監督の初期の名作として評価される。
ザ・ストリップ（2007年、日本）
ドキュメンタリー映画。日本のストリップ業界に密着し、5人の現役踊り子の私生活や舞台裏を追う。芹沢直美や西野さゆきらが出演。
日本で1947年に始まったストリップショーの歴史を背景に、現代の踊り子たちの日常を映し出す。舞台での華やかなパフォーマンスとは裏腹に、過酷な労働環境やプライベートの葛藤が明らかに。インタビューを通じて、彼女たちのプロ意識と人生観が浮かび上がる。ストリップの芸術性と社会的な偏見を問う作品。
ストリッパーの人間性を丁寧に描いた異色作。ドキュメンタリーならではのリアルさが魅力で、職業へのリスペクトを呼び起こす。
ANORA アノーラ（2024年、アメリカ）
『ANORA アノーラ』はショーン・ベイカー監督のコメディ・ドラマ。ニューヨークのストリッパー、アノーラが富豪の御曹司と結婚するが、家族の反対に直面する物語。マイキー・マディソン主演。
アノーラはストリップクラブで働き、富豪の息子イヴァンと出会い、衝動的に結婚。だが、イヴァンの両親が結婚を認めず、手下を送り込んで婚約破棄を迫る。アノーラの強気な性格と、手下たちとのドタバタな対決がユーモラスに描かれる。貧困層と富裕層の対比や、女性の自立がテーマ。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞。
笑いと感動を織り交ぜた現代的なシンデレラストーリー。アノーラの逞しさと人間味が共感を呼び、ベイカー監督の社会派視点が際立つ。
まとめ
以上、日本の作品から海外の作品まで、多様な視点で取り上げました。各作品は、ストリッパーという職業を通じて、女性や男性の生き方、社会的偏見、経済的格差などを多角的に描いています。興味に応じて、気軽なエンタメから深いドラマまで選択可能です。
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