『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』はジェームズ・ボンドの25作目。引退したボンドが新たな敵サフィンと対決。愛と裏切り、壮絶なアクションが展開する。米国・英国合作、2021年公開。
基本情報
- 邦題:007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
- 原題:No Time to Die
- 公開年:2019年
- 製作国:米国、英国
- 上映時間:163分
- ジャンル:アクション
- 配給:東宝東和
見どころ
シリーズ最凶の悪役を演じるのは『ボヘミアン・ラプソディ』のラミ・マレック。ドレスとハイヒール姿で派手なアクションを披露したアナ・デ・アルマスにも注目。
あらすじ
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』(原題:No Time to Die)は、ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる最後の作品として注目を集めた007シリーズの25作目です。物語は、MI6を引退しジャマイカで静かな生活を送るボンドから始まります。彼は恋人のマドレーン・スワン(レア・セドゥ)と穏やかな日々を過ごしていましたが、CIAの旧友フェリックス・ライター(ジェフリー・ライト)からの依頼で新たな任務に巻き込まれます。任務は、誘拐された科学者ヴァルド・オブルチェフ(デヴィッド・デンシック)を救出すること。しかし、この任務の裏には、危険なナノテクノロジー兵器「ヘラクレス」を操る謎のヴィラン、リューツィファー・サフィン(ラミ・マレック)が暗躍していました。ボンドは新エージェントのノーミ(ラシャーナ・リンチ)やMI6の仲間たちと共に、サフィンの陰謀を阻止すべく世界を駆け巡ります。過去の秘密と向き合い、愛する者を守るため、ボンドは命をかけた戦いに挑みます。
女優の活躍
本作では、複数の女性キャラクターが重要な役割を果たし、物語に深みを与えています。
レア・セドゥ(マドレーン・スワン役)
レア・セドゥ演じるマドレーンは、ボンドの恋人であり、物語の感情的な中心人物です。前作『スペクター』で初登場した彼女は、ボンドの過去と深く結びついたキャラクターとして本作でも重要な役割を担います。セドゥの演技は、繊細かつ力強く、ボンドとの愛情や葛藤を丁寧に表現。特に、過去のトラウマを抱えながらもボンドを支える姿は、観客に強い印象を与えます。彼女の存在は、ボンドの人間性を引き出し、シリーズ初の深いロマンスを描く要素となっています。
ラシャーナ・リンチ(ノーミ役)
ラシャーナ・リンチが演じるノーミは、新世代の「007」エージェントとして登場。ボンドの引退後にそのコードネームを引き継いだ彼女は、勇敢で自信に満ちたキャラクターです。リンチのアクションシーンでの堂々としたパフォーマンスは、シリーズに新たな風を吹き込みます。ノーミは、ボンドと対等に渡り合い、時に彼を挑発する存在として、物語に緊張感とユーモアを加えています。
アナ・デ・アルマス(パロマ役)
アナ・デ・アルマス演じるパロマは、キューバでの任務でボンドをサポートするCIAエージェント。短い出演時間ながら、彼女の鮮烈なアクションと魅力的なキャラクター造形が話題に。パロマの機敏な動きとユーモラスな掛け合いは、観客に強い印象を残し、デ・アルマスのスター性を存分に発揮しています。
女優の衣装・化粧・髪型
本作の女性キャラクターの衣装、化粧、髪型は、それぞれの個性を際立たせ、物語の雰囲気を高めています。
レア・セドゥ(マドレーン・スワン)
マドレーンは、エレガントかつ控えめなスタイルが特徴です。ジャマイカでのシーンでは、軽やかな白いリネンのドレスやカジュアルなトップスを着用し、自然体な美しさを強調。終盤のノルウェーでは、ダークトーンのコートやニットで、落ち着いた大人の女性像を表現しています。メイクはナチュラルで、柔らかいピンクやベージュのトーンが中心。髪型は、ルーズなウェーブやシンプルなアップスタイルで、洗練された雰囲気を保ちつつ、過度な装飾を避けたスタイルが印象的です。
ラシャーナ・リンチ(ノーミ)
ノーミの衣装は、アクションに適した実用性とモダンなデザインが融合。黒のタクティカルウェアやタイトなジャンプスーツが登場し、彼女の強さとプロフェッショナルな姿勢を強調します。メイクは控えめで、シャープなアイラインと自然な肌トーンで、戦う女性エージェントのクールな魅力を引き立てています。髪型は短めのコーンロウやタイトなポニーテールで、動きやすさとスタイリッシュさを両立。
アナ・デ・アルマス(パロマ)
パロマの衣装は、キューバの夜会シーンでの黒いドレスが特に目を引きます。深く開いたネックラインと流れるようなシルエットが、彼女の華やかさとセクシーさを際立たせます。メイクは大胆な赤リップとスモーキーアイで、魅惑的な雰囲気を演出。髪型は、緩やかなウェーブのロングヘアで、グラマラスな印象を与えつつ、アクションシーンでは動きを妨げないようまとめられています。
解説
『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、ダニエル・クレイグのボンドとしての最後の冒険を描き、シリーズの集大成ともいえる作品です。これまでのクレイグ版ボンドのテーマである「人間性」や「犠牲」をさらに掘り下げ、従来のアクションやスパイ要素に感情的なドラマを融合させています。監督のキャリー・ジョージ・フクナガは、視覚的に美しいロケーション(ジャマイカ、イタリア、ノルウェーなど)と緻密なアクションシーンで、シリーズのスケール感を最大限に引き出しました。
特に注目すべきは、女性キャラクターの描き方です。従来の「ボンドガール」という枠を超え、マドレーン、ノーミ、パロマはいずれも主体的で多面的なキャラクターとして描かれています。ノーミの登場は、007というコードネームの継承という新しいテーマを提示し、シリーズの未来を予感させます。また、ヴィランのサフィンは、冷酷かつ知的な敵としてボンドに立ちはだかり、ラミ・マレックの抑えた演技が不気味な緊張感を生み出しています。
音楽面では、ハンス・ジマーの壮大なスコアとビリー・アイリッシュによる主題歌「No Time to Die」が、作品の情感を高めています。この主題歌はアカデミー賞最優秀歌曲賞を受賞し、映画のテーマである「別れ」と「決意」を象徴しています。
キャスト
- ジェームズ・ボンド:ダニエル・クレイグ
- マドレーン・スワン:レア・セドゥ
- ノーミ:ラシャーナ・リンチ
- パロマ:アナ・デ・アルマス
- リューツィファー・サフィン:ラミ・マレック
- フェリックス・ライター:ジェフリー・ライト
- M:レイフ・ファインズ
- Q:ベン・ウィショー
- マネーペニー:ナオミ・ハリス
- ヴァルド・オブルチェフ:デヴィッド・デンシック
スタッフ
- 監督:キャリー・ジョージ・フクナガ
- 脚本:ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイド、フィービー・ウォーラー=ブリッジ、キャリー・ジョージ・フクナガ
- 製作:バーバラ・ブロッコリ、マイケル・G・ウィルソン
- 音楽:ハンス・ジマー
- 主題歌:ビリー・アイリッシュ「No Time to Die」
- 撮影:リヌス・サンドグレン
- 編集:エリオット・グレアム、トム・クロス
- 製作会社:Eon Productions, Metro-Goldwyn-Mayer, Universal Pictures
まとめ
『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』は、ダニエル・クレイグのボンドの物語を締めくくる感動的かつ壮大な作品です。女性キャラクターの活躍、スタイリッシュな衣装とメイク、緻密なストーリー展開が、シリーズの伝統と革新を見事に融合させています。アクション、ドラマ、ロマンスがバランスよく織り交ぜられ、ボンドファンだけでなく幅広い観客に訴求する作品に仕上がっています。
レビュー 作品の感想や女優への思い