周囲の人々に復讐を遂げる女性の姿をスリリングに描くサスペンス。ダメ男たちをナースが成敗する構図は「マッド・ナース」と同じ。
プロミシング・ヤング・ウーマン
- 邦題:プロミシング・ヤング・ウーマン
- 原題:Promising Young Woman
- 公開年:2021年
- 製作国:英国、米国
- 上映時間:113分
- ジャンル:クライム、スリラー
- 配給:パルコ
- 視聴:U-NEXT
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見どころ
『華麗なるギャツビー』のキャリー・マリガン主演。過激なブラック・ユーモアを交え、社会にはびこるジェンダーバイアスを浮き彫りにする痛烈なストーリーが衝撃的。
あらすじ
ある事件をきっかけに医大を中退したキャシー。カフェ店員として平凡な生活を送る彼女は、毎晩のようにバーで泥酔したふりをして男たちに制裁を下しています。そんなある日、大学時代のクラスメイトで小児科医となったライアンがカフェを訪れるですが…。
ファム・ファタル
山小屋へ乗り込んで行く場面、キャリー・マリガンのナース衣装が濃厚でセクシー。薄緑のアイシャドーが赤い口紅やハイヒールとともに悪女風の濃いめ(^^)/
車から小屋へ行くとき、なぜか靴を脱ぎます。また小屋のベッドで横になっているとき、白いガーター・ストッキングを着用したキャシーの足裏が見えます。
今まで見たナース服の登場人物でこれほど脳裏に焼き付いている女性はいません。
女優の活躍
映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、エメラルド・フェネル監督によるスリリングで社会的なメッセージを織り交ぜた作品。本作での女優たちの活躍は、物語の深いテーマ性と感情的な複雑さを際立たせる重要な要素となっております。とくに主演のキャリー・マリガンをはじめ、脇を固める女優陣の演技が作品に大きな力を与えております。以下、主要な女優の活躍を中心に、その魅力をご紹介いたします。
まず、本作の中心となるキャリー・マリガンの演技は圧巻の一言に尽きます。彼女が演じる主人公キャシー・トーマスは、医学生だった過去をもちながら、ある事件をきっかけに人生が一変した女性です。キャシーは昼間はカフェの店員として働きながら、夜になると男性の欲望を利用して復讐を企てるという複雑なキャラクター。マリガンはこの役柄に、傷つきながらも強い意志をもつ女性の多面性を巧みに表現しています。彼女の演技は、時にユーモラスで軽快、時に冷たく鋭い視線で観客を引き込み、キャシーの内面の葛藤や怒りを繊細に描き出します。特に、男性との対峙シーンでは、言葉遣いや表情、仕草に至るまで計算された演技が見られ、観客にキャシーの感情の揺れを強く印象づけます。マリガンは本作でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、批評家からも高い評価を受けました。彼女の演技は、物語のテーマである性被害や社会の不条理に対する闘いを力強く体現しており、映画の核となる存在感を示しております。
次に、脇役として登場する女優陣も見逃せません。キャシーの友人や家族、周囲の人物を演じる女優たちが、物語に深みとリアリティを加えております。例えば、キャシーの両親役として出演するジェニファー・クーリッジは、コメディエンヌとしてのイメージが強い女優ですが、本作では控えめながらも温かみのある母親像を演じ、キャシーの家庭環境に温もりを与える役割を果たしております。クーリッジの演技は、コミカルな要素を抑えつつ、娘を心配する母親の心情を自然に表現し、キャシーの背景を補完する重要な存在となっております。
また、キャシーの大学時代の友人マディソン役を演じたアリソン・ブリーも印象的な演技を見せております。マディソンは、キャシーの過去の事件に関連する重要な人物として登場し、物語の展開に大きく影響を与えます。ブリーは、表面的には自信に満ちた女性像を演じつつ、過去の罪悪感や後悔を滲ませる微妙な表情で、キャラクターの複雑さを表現しております。特に、キャシーとの対話シーンでは、言葉の裏に隠された感情を巧みに演じ、観客に彼女の内面の動揺を伝えています。このシーンは、物語のテーマである「見ず知らずの無関心」がもたらす結果を浮き彫りにする重要な場面であり、ブリーの演技がその重みを一層際立たせております。
さらに、キャシーの親友ニーナの母親役として出演するモリー・シャノンも、短い出番ながら心に残る演技を見せております。シャノンは、娘を失った悲しみを抱えながらも前を向こうとする母親の複雑な心情を、抑制された演技で表現します。彼女の登場シーンは短いものの、キャシーの動機や過去の出来事を理解する上で重要な役割を果たし、物語に感情的な深みを加えております。
これらの女優たちの活躍は、単なる演技の枠を超え、映画が訴える社会的なメッセージを強化するものとなっております。『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、性被害や社会の不平等、復讐という重いテーマを扱いながら、ポップな映像や音楽を用いた独特のスタイルで描かれており、女優たちの演技がそのバランスを支える鍵となっております。キャリー・マリガンの鬼気迫る演技を筆頭に、脇を固める女優陣がそれぞれの役柄に命を吹き込み、観客に深い余韻を残します。彼女たちの演技は、個々のキャラクターの物語を豊かにするだけでなく、映画全体のテーマである正義と向き合う女性の姿を力強く描き出しております。
総じて、『プロミシング・ヤング・ウーマン』における女優たちの活躍は、物語の感情的な核を形成し、観客に強い印象を与えるものでした。キャリー・マリガンの主演としての圧倒的な存在感と、脇役たちの丁寧な演技が織りなすアンサンブルは、本作を単なる復讐劇ではなく、社会的な問いかけを投げかける作品として高めています。彼女たちの演技は、観客にキャシーの闘いとその背景にある深い悲しみを伝え、映画のメッセージを心に刻むものとなっております。
感想
今どきの復讐映画は、多くが残酷だったりグロテスクだったり、また、ありえない格闘シーンやスタントが自慢だったりしますが、本作の復讐劇は少しの捻りを活かしつつリアルに仕上がっています。
作品のテンポもよく、 ニーナを取り巻く不幸な事件とは何だったかが、作品の展開とともに明らかになってい 脚本が素晴らしいと思います。
内容面では不同意性交の複雑な問題についても考えさせられます。よくある男性側の言い訳、つまり、自分たちはガキだったという言い訳から、結婚を機に突然大人になった気分になれる意味不明な人格豹変が露骨に描かれています。
トリビア
キャリー・マリガンと休業中弁護士役のアルフレッド・モリーナは『17歳の肖像』(2009年)にて父と娘を演じています。
キャスト
登場人物 | 出演者 |
---|---|
ジェリー | アダム・ブロディ |
ジム | レイ・ニコルソン |
ポール | サム・リチャードソン |
カサンドラ | キャリー・マリガン |
モンティ | ティモシー・E・グッドウィン |
スタンリー | クランシー・ブラウン |
スーザン | ジェニファー・クーリッジ |
ゲイル | ラヴァーン・コックス |
ルビー | アリ・ハート |
ジェフ | ロレン・ポール |
ジェフの友人 | スコット・アッシェンブレナー |
ライアン | ボー・バーナム |
ニール | クリストファー・ミンツ=プラッセ |
マディソン | アリソン・ブリー |
アルフレッド | ガブリエル・オリバ |
トニー | ブライアン・リリス |
アンバー | フランシスカ・エステベス |
ジーン | ローナ・スコット |
ディーン・ウォーカー | コニー・ブリットン |
ジョージ | ケイシー・アダムス |
サイモン | ヴィンス・ロザーノ |
フィッシャー夫人 | モリー・シャノン |
ジョー | マックス・グリーンフィールド |
アル・モンロー | クリストファー・ローウェル |
チップ | マイク・ホートン |
リンカーン | スティーブ・モンロー |
トッド | アンジェラ・チュウ |
アナスタシア | オースティン・ターリン・カーペンター |
ブライズメイド | アビ・ボー |
花婿介添人 | ジェームズ・ドヘニー |
ビデオ・チュートリアルのホスト | エメラルド・フェネル |
男子学生 | ブレンダン・ヒーリー |
イブ | ラスニート・カウル |
花嫁介添人 | ジェネル・マッキー |
警官1 | パクストン・ミラー |
ジョーダン | アルフレッド・モリーナ |
花婿介添人 | ホセ・ステファン・ペレス |
踊る酔っ払い | デビッド・フィリップ・リード |
ギャビー | スカーレット・スペンサー |
結婚式司式者 | アリソン・ストーバー |
クラブの常連客/結婚式のゲスト | カーリー・タンボルスキー |
バーのパトロン | シャーロット・シャ |
スタッフ
担当 | 担当者 |
---|---|
衣装デザイン | ナンシー・スタイナー |
セット衣装 | マシュー・キャリー |
お針子 | テサ・ディアス |
衣装監督 | クラウディア・サルブ |
イラストレーター | ブライアン・バレンズエラ |
衣装第1主任 | アリソン・ウェグナー |
メイクアップ部長 | ブリジット・ヘネック |
メイクアップ部長 | アンジー・ウェルズ |
メイクアップ | アダム・クリストファー |
ヘア部門責任者 | ダニエル・キュレット |
ヘアスタイル主任 | ブライソン・コンリー |
ヘアスタイル | リー・アン・ブリテンハム |
レビュー 作品の感想や女優への思い