サイコ

この記事のうち「見どころ」には若干の誇張表現があります。

サスペンスの巨匠、アルフレッド・ヒッチコック監督が放つ傑作スリラー。

『サイコ』は、アルフレッド・ヒッチコックが製作・監督した1960年のアメリカン・ホラー映画。脚本はジョセフ・ステファノが手掛け、1959年に発表されたロバート・ブロックの同名小説を基にしています。

主演はアンソニー・パーキンス、ジャネット・リー、ヴェラ・マイルズ、ジョン・ギャヴィン、マーティン・バルサム。プロットの中心は、逃亡中の横領犯マリオン・クレーン(リー)と内気なモーテル経営者ノーマン・ベイツ(パーキンス)の出会いとその余波で、私立探偵(バルサム)、マリオンの恋人サム・ルーミス(ギャヴィン)、彼女の妹ライラ(マイルズ)が彼女の失踪を捜査します。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

サイコ

  • 邦題:サイコ
  • 原題:Psycho
  • 公開年:1960年
  • 製作国:米国
  • 上映時間:109分
  • ジャンル:サスペンス、スリラー
  • 配給:パラマウント・ピクチャーズ

予告編はこちら。

見どころ

ヒッチコック監督がロバート・ブロックの原作を映画化したサスペンススリラーの名作。その演出スタイルは、恐怖感を煽る音楽と共に数多くの模倣やパロディを生んだ。

あらすじ

最愛のトムと一緒になるために会社の金を横領してしまったマリオン。彼の下へ車を走らせる途中、彼女は廃れたモーテルに宿泊することに。管理人に空腹を伝えると、親切な彼は自宅の夕食に招待してくれる。しかし、その家には年老いた母がいて…。

ファム・ファタル

『サイコ』は、プロダクション・コードが崩壊した後の1960年代に米国で登場した映画の典型例。肯定的な意味で問題提起を歓迎されています。

未婚カップルの扱い

サムとマリオンがベッドを共にする恋人同士として描かれ、マリオンがブラジャーを着けている冒頭の場面からして、セクシュアリティと暴力の描写において前例のないものでした。当時のプロダクション・コードの基準では、未婚のカップルが同じベッドにいるところを見せることはタブーだったのです。

ジェンダーの問題

もうひとつの問題がジェンダー不適合にあります。同性愛者であったとされるパーキンスと、以前に『ロープ』を撮ったヒッチコックは、ともにこの映画の侵犯的な主題を経験していました。映画の終盤、ライラの殺人未遂で明らかになるまで、観客はベイツの女装に気づきません。警察署でサムは、ベイツがなぜそのような格好をしていたのか尋ねます。ベイツの二重人格を知らない警察官は、ベイツが女装しているという結論を発表。精神科医は彼を訂正し、ベイツは母親の服を着ると自分が母親だと思い込めると説明します。

ジャネット・リーの乳房

スティーヴン・レベロが1990年に出版した『Alfred Hitchcock & the Making of Psycho』によれば、プロダクション・コードを施行する検閲官たちにはリーの乳房が見えると主張する者がいたため、ヒッチコックと揉めたそうです。

Stephen Rebell, Alfred Hitchcock & the Making of Psycho
https://amzn.to/3BU9UPq

ヒッチコックは数日間プリントを手放さずそのままにして、承認のために再提出をしました。それまで乳房が見えていた者には見えなくなり、見えていなかった者には見えるようになりました。監督がリーの代役の尻を映したショットを1つ削除した後、検閲委員会はこの映画を承認しました。ヒッチコックは、もし委員会がシャワー場面を残してくれるなら、撮影現場で委員会のもとにオープニングを撮り直すと言いました。委員会のメンバーが再撮影に現れなかったため、オープニングはそのままになりました。

初登場の水洗トイレ

検閲官にとってもうひとつの懸念材料は、マリオンがトイレの水を流す場面で中身(破れたメモ用紙)が丸見えになっていたことでした。当時、アメリカでは主流の映画やテレビに水洗トイレは登場していなかったのです。

各国でのタブー

マリオン(ジャネット・リー)がベイツ・モーテルでシャワーを浴びていると、シルエットの暴漢に刺される。https://youtu.be/0WtDmbr9xyY?si=DbykU5BG_5kyf_Fh

国際的には、ヒッチコックは『サイコ』のマイナーチェンジを余儀なくされ、そのほとんどがシャワー場面でした。

イギリスでは、英国映画分類委員会(全英映像等級審査機構とも/BBFC)が刺す音と目に見えるヌードショットのカットを要求し、ニュージーランドでは、ノーマンが手についた血を洗うショットが気持ち悪いとされました。シンガポールでは、シャワー場面はそのままに、アーボガストの殺害シーンとノーマンの母親の死体のショットが削除されました。

アイルランドはかなり厳しく、検閲官のジェリー・オハラが1960年に初見した際に上映を禁止。翌年、約47フィートのフィルムが欠落した高度に編集されたバージョンがアイルランドの検閲官に提出されました。オハラは最終的に7カットをさらに要求。

  1. マリオンがサムに靴を履くように言うセリフ(これは彼がズボンかパンツを脱いでいることを暗示していた)
  2. 壁の穴からマリオンを覗き見るノーマンの2ショット
  3. マリオンが服を脱ぐシーン
  4. シャワーを流れるマリオンの血のショット、血が見えているときに手を洗うノーマンのショット
  5. 繰り返される刺傷事件(「一刺しで十分だ」とオハラは書いている)
  6. 保安官の妻の台詞の「ベッドで」という言葉→「ノーマンは二人がベッドで一緒に死んでいるのを見つけた」
  7. アーボガストがマリオンと一夜を過ごしたかどうかについてノーマンに質問したこと

1986年、『サイコ』のノーカット版はBBFCに受け入れられ、15(15歳未満視聴非推奨)に分類されました。2020年、ユニバーサル・ピクチャーズは公開60周年に合わせ、本作のノーカット版を初めてブルーレイ化しました。

解説

『サイコ』は現在、ヒッチコックの最高傑作のひとつとされ、間違いなく彼の最も有名で影響力のある作品。その巧みな演出、緊迫した雰囲気、印象的なカメラワーク、記憶に残るスコア、象徴的な演技を称賛する国際的な映画評論家や学者たちから、映画芸術の主要作品として高く評価されてきました。

アメリカ映画史上、最も調査された監督の長いキャリアのなかで「最も深く分析された作品」と評価され、しばしば史上最高の作品にランクされます。内容についてはアメリカ映画における暴力、逸脱行動、セクシュアリティの許容範囲に新たなレベルを設定し、スラッシャー映画というジャンルの最も初期の例のひとつとされています。

1980年にヒッチコックが死去した後、ユニバーサル・ピクチャーズは3本の続編、リメイク、テレビ用スピンオフ作品、TV番組といった後続作品を製作しました。1992年、米国議会図書館はこの映画を「文化的、歴史的、美学的に重要」とみなし、米国国立フィルム登録簿に保存することにしました。

リメイク

ヒッチコックの死後、『サイコ』ひな3本の続編が製作されました。

  • サイコII(1983年)
  • サイコIII(1986年)
  • サイコIV ザ・ビギニング(1990年)

アンソニー・パーキンスは3作すべての続編でノーマン・ベイツ役に復帰し、3作目では監督も務めました。ノーマン・ベイツの母親役の声は、オリヴィア・ハッセーが演じた『サイコIV』を除き、著名なラジオ女優ヴァージニア・グレッグが担当。ヴェラ・マイルズは『サイコII』のライラ・クレーン役も再演しました。続編の評判はいずれも散々で、オリジナルより劣っているというのが一般的でした。

1998年、ガス・ヴァン・サント監督がヴィンス・ヴォーン、ジュリアン・ムーア、アン・ヘッシュを主演に、ほぼ一発撮りのリメイク(カラー)版『サイコ』を製作。ヴァン・サントは、この映画は「巨大な実験的プロジェクト」であり、商業的にも批評的にもうまくいかなかったが、もっと手を加えてもう一度やるかもしれないと語っています。

ほかに本作をモチーフやオマージュにしたものに次の作品があります。

キャスト

  • アンソニー・パーキンス(ノーマン・ベイツ役)
  • ヴェラ・マイルズ(ライラ・クレーン役)
  • ジョン・ギャヴィン(サム・ルーミス役)
  • マーティン・バルサム(私立探偵ミルトン・アーボガスト役)
  • ジョン・マッキンタイア(アル・チェンバース保安官代理)
  • サイモン・オークランド(リッチモンド医師役)
  • フランク・アルバートソン(トム・キャシディ役)
  • パット・ヒッチコック(キャロライン役)
  • ヴォーン・テイラー(ジョージ・ローリー役)
  • ルリーン・タトル(チェンバース夫人役)
  • ジョン・アンダーソン(カリフォルニア・チャーリー役)
  • モート・ミルズ(ハイウェイ・パトロール警官役)
  • ジャネット・リー(マリオン・クレーン役)
ヴァージニア・グレッグ、ポール・ジャスミン、ジャネット・ノーランは、ノーマ・”マザー”・ベイツの声として出演し、ノンクレジット。3人の声は入れ替わって使われましたが、最後の場面のスピーチはグレッグが全て演じました。

スタッフ

  • リタ・リッグス(衣装デザイン)
  • ヘレン・コルヴィグ(衣装監督)
  • ジョアン・ジョセフ(衣装・ジュエリー)
  • セオドア・R・パルヴィン(男性用衣装)
  • リタ・リッグス(女性用衣装)
  • ジャック・バロン(メイクアップ監督)
  • フローレンス・ブッシュ(ヘアスタイル)
  • ロバート・ドーン(メイクアップ監督)
  • ラリー・ジャーメイン(ヘアスタイル)
この記事を書いた人
なむ

洋画が好きです(字幕派)。だいたいU-NEXTで観ています(^^) 詳細は名前をクリックしてください。

なむ語るをフォローする
劇場映画
スポンサーリンク
このページをシェアする
なむ語るをフォローする

コメント コメントをお気軽に ^_^

タイトルとURLをコピーしました