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五瓣の椿

「見どころ」にPR表現を含みます。
殺しの現場に謎を残す椿一輪。岩下志麻主演による時代劇サスペンスの傑作。

井手雅人脚色、野村芳太郎監督により、松竹配給で1964年11月21日に公開されました。

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五瓣の椿

  • 英題:The Scarlet Camellia
  • 公開年月日:1964年11月21日
  • 上映時間:162分
  • 製作国:日本国
  • 原作:山本周五郎『五瓣の椿』講談社、1959年
  • 製作会社:松竹
  • 配給会社:城戸四郎、松竹
  • 視聴:U-next
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見どころ

名匠・野村芳太郎監督が山本周五郎の同名小説を映画化した壮絶な復讐劇。岩下志麻が清純派のイメージを一新する妖艶な演技を見せ、ブルーリボン賞主演女優賞を受賞。

あらすじ

天保5年正月の夜半。むさし屋喜兵衛の寮が不審火で燃え、焼け跡から3人の焼死体が出た。そして、その年の晩秋。江戸の町では悪名高い男たちの怪死事件が相次ぐ。捜査に当たる八丁堀の与力・青木は、やがて下手人である謎の美女の意外な正体を掴む。

感想

五瓣の椿の花があしらわれた死体の数が増え始めると、当局は早く犯人を見つけて事件を解決しようと躍起に。捜査が進むにつれ、疑惑の目は狭まっていきます…。野村芳太郎監督の『五瓣の椿』は、呪術的な心理スリラーであり、復讐のダークな叙事詩でもあります。著名な作家、山本周五郎の同名小説を原作とする説得力のあるドラマ/犯罪物語は、19世紀を舞台としています。そして本作は野村監督らしい多面的な作品であり、捜査対象やストーリーの焦点は一般的な犯罪ドラマの枠をはるかに超え、野村は犯罪が行われた時代、社会、社会秩序に対する洞察に満ちた見解を随所に織り込んでいます。卓越した演技でスタイリッシュに作られ、壮大なスケールの豪華なディテールに引き込まれる『五瓣の椿』は、魅惑的なエンターテインメントであり、おすすめです(^^)

解説

日本以外ではほとんど知られていないが、野村芳太郎といえば戦後のノワール、とくに松本清張の探偵小説の映画化が有名で、ミュージカルや時代劇などさまざまなジャンルの監督として幅広く多彩なフィルモグラフィーを残しています。サイレント映画の野村布袋監督の息子である彼は、キャリアの大半を松竹で過ごしました。松竹は、衝撃的な児童虐待ドラマ『鬼畜』やハンセン病を前面に出した『砂の城』など、彼自身の作品が何らかの形で物議を醸すことはしばしばありましたが、健全な方向へと傾いた強力なスタジオ・ブランドを持っていました。山本周五郎の小説を映画化した1964年の『五瓣の椿』は、野村のフィルモグラフィーの中では珍しい作品であり、基本的に封建時代の日本を舞台にした警察を描いています。

志乃(岩下志麻)が舞台上の役者を睨みつけながら、後に彼の部屋へ戻り、くすくす笑う扇風機のような姿を見せ、最後に銀のかんざしで彼を殺して、タイトルにもなっている血のように赤い椿の花だけを残すという、作為的な幕開けから映画が始まります。後に「椿殺人事件」と呼ばれる一連の殺人事件の最初の犯行ですが、後に判明するように、この俳優が死ななければならなかったのは、志乃の母親を「ニンフ」と決めつけ、何人もの婚外恋人がいた不義密通のせいでした。 末期の結核のため田舎で休養中に火事で亡くなったと聞かされた父親と非常に親しかった志乃は、父親を辱めた不実な男たちへの復讐に燃えているようですが、母親に対する感情はもっと複雑なようです。

実際、志乃は母親が続けていることをスケベとみなしており、復讐のために自分のセックスアピールを武器にしながらも、とくに慎重。しかし、自由な性の表現が悪いというより、過剰で無責任。志乃が母親を恨んでいるのは、主に母親が父親を苦しめているからです。父親が家業の重荷を背負っている間、志乃は適当な男たちと遊んでいたのです。江戸時代の警察官である青木(加藤剛)は、犯人の行動を容認することはできないものの、犯人の動機はある意味で道徳的に正当化できるため、非難することもできません。

終わりが近いと悟った志乃は、椿の花と一緒に青木へのメモを残すという、非常に現代的な連続殺人犯の型にはまった行動に出ます。この男たちが彼女の母親や他の女性にした仕打ちには法的には何の問題もありませんでしたが、ある意味道徳的な犯罪なのです。後に彼女は、蔑まれたもう一人の愛人、つまり小さな子供を二人連れたパトロンに愛想を尽かされて投げ出された愛人に大金を手渡し、田舎の家族のもとに帰るように勧めます。志乃の探求は本質的にフェミニズム的であり、女性を利用し虐待することが完全に常態化した残酷な家父長制社会に向けられています。しかし、皮肉なことに、彼女たちの主な狙いは彼女の身体ではなくお金だったようで、彼女の母親を、男性たちとまったく同じように自分の性愛を受け入れる勇気をもった、堕落した女性性の怪物であると特徴づける点で、若干の問題もあります。

志乃の母の死は、おそらく、絶え間ない快楽の追求のために妻と母の両方の役割を拒否し、性的な罪を犯し、家族をないがしろにしたことに対する「天罰」とみなされています。しかし、その憤りさえも、志乃の怒りの矛先は、最後のターゲットとなった男たちに向けられます。男たちは、女もセックスを楽しんでいるのだから、同じように加担しているのだと自分を正当化し、自分はただで快楽の瞬間を手に入れますが、女は一生その代償を払うことになるかもしれないと思い知らされるのです。志乃の母親が家庭を顧みなかったように、男たちは不倫関係で妻を傷つけるだけでなく、後に縁を切ることになる愛人や、残していく隠し子にも同時にダメージを与えます。現代の犯罪ドラマの自然主義を捨て、不気味な照明の切り替えや串刺しにされた被害者たちの陰惨な描写でゴースト映画に近いものを作り上げた野村は、不当な扱いを受けたヒロインが、束縛された女性らしさの象徴を抑圧勢力に反旗を翻しますが、彼女の不幸の立役者を狂気と破滅に追いやる一方で、復讐の探求が招いた予期せぬ結末によって結局は破滅してしまうという、哀愁に満ちた道徳物語を作り上げています。

キャスト

  • 志乃、おりう、お倫、おみの、およね – 岩下志麻
  • 岸沢蝶太夫 – 田村高廣
  • むささびの六 – 大辻伺郎
  • 仲次郎 – 穂積隆信
  • おはな – 千之赫子
  • 海野得石 – 伊藤雄之助
  • おくに – 平松淑美
  • おかね – 楠田薫
  • 藤井新五郎 – 諸角啓二郎
  • 門七 – 江幡高志
  • むさし屋喜兵衛 – 加藤嘉
  • おその – 左幸子
  • 徳次郎 – 早川保
  • 嘉助 – 青山宏
  • おまき – 村上記代
  • おとよ – 高橋とよ
  • 菊太郎 – 入川保則
  • 青木千之助 – 加藤剛
  • 葛西新左衛門 – 柳沢真一
  • 内村伊太夫 – 河野秋武
  • 井田十兵衛 – 山本幸栄
  • 上総屋七造 – 谷晃
  • 香屋清一 – 小沢昭一
  • 与助 – 渡辺篤
  • 伊勢屋宗三郎 – 稲川善一
  • 宗三郎の娘 – 久美悦子
  • 小幾 – 木村俊恵
  • 佐吉 – 西村晃
  • 見張り番の爺 – 上田吉二郎
  • 丸梅源次郎 – 岡田英次
  • お孝 – 山岡久乃
  • おつる – 市原悦子
  • おかよ – 進藤恵美
  • 石出帯刀 – 永井智雄
  • 女患者 – 水木凉子
  • 牢番 – 沢村いき雄

キャスト

  • 監督 – 野村芳太郎
  • 脚色 – 井手雅人
  • 製作 – 城戸四郎、杉崎重美
  • 音楽 – 芥川也寸志
  • 撮影 – 川又昻
  • 美術 – 松山崇、梅田千代夫
  • 編集 – 浜村義康
  • 原作 – 山本周五郎

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