ノースカロライナ州は米国南東部に位置し、人口約1040万人(2020年)で全米9位。州都はローリー、最大都市はシャーロット。東は大西洋、西はアパラチア山脈に面し、四季のある温暖な気候が特徴。バイオテクノロジーや金融が主要産業。
ここでは、カリフォルニア州に次ぐ映画制作の盛んな州として知られるノースカロライナ州の特徴を複数の観点から紹介しています。
- 歴史:先住民族から植民地時代、南北戦争、現代の経済発展までを詳細に。
- 芸術:シャーロットとアッシュビルの美術館や文化施設、音楽や演劇の拠点を紹介。
- 登場する映画:州内で撮影された代表作をリスト形式で列挙し、背景を説明。
- 出身女優:著名な女優をリストアップし、代表作や特徴を記載。
歴史
ノースカロライナ州の歴史は、数千年前の先住民族の文化に始まります。西暦1000年頃にはミシシッピ文化が栄え、土盛りマウンドや交易ネットワークを築きました。ヨーロッパ人との接触は16世紀に始まり、1584年にイギリス女王エリザベス1世がウォルター・ローリー卿に土地特許を与え、ロアノーク島に植民地が設立されました。しかし、この「失われた植民地」は謎の消失を遂げ、アメリカ史の未解明の出来事として知られています。ローリー市は彼の名に由来します。1712年までに「ノースカロライナ」という名称が一般化し、1729年にイギリス王室が植民地を買い上げました。1789年11月21日、ノースカロライナは合衆国12番目の州として加入しました。
19世紀初頭、シャーロットでは金鉱が発見され、アメリカ初のゴールドラッシュが起こりました。1837年にはシャーロットに造幣局が設けられ、金貨が製造されました。南北戦争前、奴隷制度は存在したものの、奴隷の割合は南部州の中では低く、33%(1860年)が奴隷でした。1835年、奴隷反乱の影響で自由黒人の投票権が制限されました。南北戦争中、州民の多くは連合国を支持せず、徴兵忌避や納税拒否が頻発しました。
レコンストラクション期には、1868年に新しい州憲法が制定され、奴隷制の禁止や普通選挙が導入されました。19世紀後半、ピードモント地区で綿糸繊維産業が発展し、経済の多様化が進みました。1903年、ライト兄弟がキティホークで人類初の動力飛行に成功し、州のナンバープレートに「First in Flight」と記される誇りとなりました。20世紀初頭、教育政策が強化され、チャールズ・エイコック知事の下で学校建設が進められました。また、1920年代の道路建設やフォートブラッグなどの軍事基地設立により、州経済はさらに成長しました。1910年から1940年にかけ、大移住により多くのアフリカ系アメリカ人が北部へ移住しました。現代では、ITやバイオテクノロジー、金融産業が州経済の柱となっています。
芸術
ノースカロライナ州は芸術と文化の中心地として、特にシャーロットとアッシュビルで際立っています。シャーロットのアップタウンには多くの美術館や博物館が集まり、ハーベイ・B・ガント黒人芸術・文化センターはアフリカ系アメリカ人の芸術、音楽、ダンス、演劇を展示し、文化継承に貢献しています。ベクトラー近代美術館は20世紀中盤の近代美術、アルベルト・ジャコメッティやジョアン・ミロの作品を展示。レバイン新南部博物館は南北戦争後の南部の歴史をテーマに、ディスカバリー・プレイスは科学技術を展示し、IMAXシアターも備えます。ザ・ライト・ファクトリー現代写真映画美術館は写真と映画に特化した展示を行っています。
アッシュビルは芸術家の集まる街として知られ、歴史と自然が融合した文化が魅力です。リバーズアート地区ではギャラリーやスタジオが集まり、地元アーティストの作品が展示されます。また、毎年開催されるアッシュビル映画祭やクラフトフェアは国内外から注目を集めます。ローリーでは、ノースカロライナ交響楽団(1932年創設)やプログレス・エナジー演技芸術センターが文化活動の拠点です。州全体で、地域の歴史や多様な文化を反映した芸術が育まれ、観光客にも人気です。
登場する映画
ノースカロライナ州は、カリフォルニア州に次ぐ映画制作の盛んな州として知られています。シェルビー、ローリー、ダーラム、シャーロット、アッシュビル、ウィルミントンに撮影所があり、数多くの映画やテレビ番組が撮影されています。以下は代表的な作品です。
- スクリーム:シリーズ第5弾。2020年9月から11月にかけてノースカロライナ州で撮影されました。
- ウォーターフロント:TV番組。同州の漁業を舞台に、バックリー家の崩壊と再生を描いたクライム。
- ドーソンズ・クリーク:ウィルミントンで撮影された人気青春ドラマ。
- One Tree Hill:ウィルミントンを中心に撮影された青春ドラマシリーズ。
- ケープ・フィアー:マーティン・スコセッシ監督のサスペンス映画で、州の海岸部が舞台。
- 地獄のデビルトラック:スティーヴン・キング原作のホラー映画。
- クロウ/飛翔伝説:ゴシックな雰囲気で知られるアクション映画。
- キャビン・フィーバー:ホラー映画で、州の森林地帯が舞台。
- 愛しのローズマリー:コメディ映画で、シャーロットなどがロケ地。
- アイアンマン3:ウィルミントンで撮影されたスーパーヒーロー映画。
- ラストサマー(リブート版):サウスポートを舞台に、過去のトラウマと新たな恐怖を織り交ぜた物語を展開。
- キリング・ビューティー あどけない殺人者:サイコパスな女子にビューティ・サロン経営者が翻弄されるサスペンス。
これらの作品は、州の美しい海岸線、森林、都市部を活かし、映画産業の成長を支えています。州の税控除も映画制作を後押ししており、南部の風景が作品に独特の魅力を与えています。
出身女優
ノースカロライナ州出身の女優は多く、映画やテレビで活躍しています。以下は代表的な人物です。
- ジュリアン・ムーア(1960年、フォートブラッグ生まれ):アカデミー賞受賞女優。『スティル・アリス』で主演女優賞を受賞し、『ブギーナイツ』や『ハンニバル』などで知られる。繊細かつ力強い演技が特徴。
- シャロン・ローレンス(1961年、シャーロット生まれ):州内で学業を積み、ノースカロライナ大学チャペルヒル校でジャーナリズムの学士号を取得。連続ドラマ『NYPDブルー』にシルヴィア・コスタス役で出演。
- ジェン・ライオン(1980年、ハイポイント生まれ):州内で学業を積み、ノースカロライナ大学芸術学部で学び、2003年に卒業。TV番組「Claws」「Saint George」「Justified」(2010年)の出演で知られる。
- エヴァン・レイチェル・ウッド(1987年、ローリー生まれ):『サーティーン あの頃欲しかった愛のこと』で注目され、『ウエストワールド』で主演。幅広い役柄を演じる実力派。
- ジェイミー・プレスリー(1977年、キンストン生まれ):『マイ・ネーム・イズ・アール』でエミー賞を受賞。コメディからドラマまで多彩な活躍。
- アンディ・マクダウェル(1958年、ガフニー生まれ):『恋人たちの予感』や『フォー・ウェディング』で知られる。モデル出身の優雅な演技が魅力。
- ジェシカ・キャップショー(1976年、ムーアズビル生まれ):『グレイズ・アナトミー 恋の解剖学』でアリゾナ・ロビンス役を演じ、医療ドラマで人気。
- メアリー・エリザベス・ウィンステッド(1984年、ロッキーマウント生まれ):「絶叫クイーン」として知られ、『ファイナル・デッドコースター』や『10 クローバーフィールド・レーン』などに出演。
- マディー・ハッソン(1995年、ニューバーン生まれ):地元のキャスティングディレクターを通じて女優のオーディションを受験。
これらの女優は、ノースカロライナ州の多様な文化や環境で育ち、国際的な舞台で成功を収めています。州の芸術や映画産業の発展が、こうした才能を育む土壌となっていると言えるでしょう。
また、サウスカロライナ州生まれの女優アンナ・キャンプのように、ノースカロライナ州の名門校ユニバーシティ・オブ・ノースカロライナ・スクール・オブ・ジ・アーツに進学し、演劇教育を受けたケースもあります。
レビュー 作品の感想や女優への思い