ケンタッキー州

ケンタッキー州は米国中東部に位置する州で、州都はフランクフォート、最大都市はルイビル。人口約460万人、面積は全米37位。ジェニファー・ローレンスやアシュリー・ジャッドなど、才能ある女優も輩出。「ブルーグラス州」として知られ、競馬とバーボン産業が有名。7州に隣接し、オハイオ川が北部境界を形成する。

歴史
芸術
登場する映画
出身女優
まとめ

歴史

ケンタッキー州の歴史は、先住民族の時代から現代まで、多様な出来事によって形成されています。以下にその主要な歴史を紹介します。

先史時代と初期探検: 紀元前9500年頃から人間が居住し、紀元前1800年頃には農耕文化が発展しました。17世紀後半にヨーロッパ人がオハイオ川を通じて訪れ、18世紀にはアパラチア山脈を越えた探検が始まりました。1750年、トマス・ウォーカー博士による探検隊が記録に残る最初の探検です。先住ショーニー族やチェロキー族は、この地域を狩猟地として利用していましたが、恒久的な定住地はほとんどありませんでした。
植民地時代と独立戦争: 1768年のスタンウィックス砦条約や1775年のシカモア・ショールズ条約により、土地が先住民族から購入されました。1776年にケンタッキー郡がバージニア州の一部として設立され、独立戦争ではブルーリックスの戦い（1782年）など重要な戦闘が起こりました。レキシントンはマサチューセッツの戦闘にちなんで名付けられ、防御の拠点となりました。
州昇格: 1792年6月1日、ケンタッキーはバージニアから分離し、米国15番目の州として加盟しました。この時期、開拓者たちは肥沃な土地を求めて移住し、農業やタバコ栽培が発展しました。
南北戦争: ケンタッキーは奴隷州でしたが、南北戦争（1861-1865年）では中立を宣言しました。しかし、戦略的に重要な位置にあったため、南軍と北軍の双方から注目されました。1861年、南軍の侵入により中立が破られ、北軍が支配を確立。ペリービルの戦い（1862年）は州内での主要な戦闘でした。戦後、ケンタッキーは奴隷制度廃止の憲法改正を拒否し、クー・クラックス・クランの活動が活発化しました。
20世紀: 1900年の州知事選挙を巡る紛争では、候補者ウィリアム・ゴーベルが暗殺される事件が発生し、政治的混乱が続きました。20世紀初頭、ブラックパッチ・タバコ戦争では、タバコ農家が独占企業に対抗して蜂起。経済的にはタバコ、競馬、バーボン産業が成長し、現代のケンタッキー州の基盤を築きました。
現代: 今日、ケンタッキー州は自動車製造や日本企業を含む多くの海外企業の進出で経済的に発展しています。特にトヨタの工場は雇用創出に大きく貢献しています。また、自然保護やエルク、シチメンチョウの再導入計画も成功を収めています。

芸術

ケンタッキー州は、伝統と現代が融合した独自の芸術文化を持っています。以下にその特徴を紹介します。

手工芸と伝統: ベレアは手工芸の中心地で、最先端のアートと伝統的な工芸が共存しています。パデューカはユネスコ創造都市に指定され、国立キルト博物館やファイバーアートが盛んです。ハロッズバーグでは、シェーカー教徒のコミュニティが歴史的な手工芸を今に伝えています。
壁画と現代アート: パデューカでは、現代的な壁画が町の歴史を表現し、訪れる人々に視覚的な魅力を提供しています。州全体で、親しみやすいコミュニティがアートシーンを支え、観光客に開かれた環境を作っています。
音楽: ケンタッキーはブルーグラス音楽の発祥地として知られ、伝統的なカントリーミュージックやフォーク音楽が根付いています。レキシントンやルイビルでは、音楽フェスティバルやライブイベントが頻繁に開催され、地元アーティストが活躍しています。
文化イベント: ケンタッキーダービーに関連するアート展示や、地元のクラフトフェアが州の文化を象徴しています。これらのイベントは、観光客にも地元住民にも愛されています。

登場する映画

ケンタッキー州は、その風光明媚な景観や歴史的背景から、映画の舞台やロケ地としてたびたび登場します。以下に代表的な映画を紹介します。

ラスト・クリーク（2018年）：ケンタッキー州アパラチア山脈の奥深くで道に迷った女性が無法者に追われる緊迫のサバイバル。ハーマイオニー・コーフィールド主演。
ケンタッキー人（1955年）: バート・ランカスターが監督・主演を務めた西部劇。ケンタッキー州を舞台に、開拓者たちの生活や冒険を描いています。州の歴史的な背景が物語の基盤となっています。
ゴールドフィンガー（1964年）: ジェームズ・ボンドシリーズの第3作。ケンタッキー州のフォート・ノックスが舞台の一部として登場し、金塊貯蔵庫を巡るスリリングな展開が描かれます。
エリザベスタウン（2005年）: キャメロン・クロウ監督のロマンティック・コメディ。ケンタッキー州の小さな町を舞台に、主人公が家族や愛を再発見する物語です。州の穏やかな風景や文化が印象的に描かれています。
シービスケット（2003年）: 実在の競走馬シービスケットの物語。ケンタッキーの競馬文化が背景にあり、チャーチルダウンズやキーンランド競馬場が参照されています。
シークレット・ザット・キル殺人犯の魔の手（2020年）：競走馬を育てる牧場を経営する一家を取り巻くサスペンス。州内ルイビルがロケ地の一部になりました。①ゴーシェン・クレスト・ファーム、②レイクフォレスト・カントリー・クラブ。
ストリップス（1981年）: ケンタッキー州の炭鉱町を舞台にした映画。労働者階級の生活や文化をリアルに描き、州の工業的な一面を浮き彫りにします。
コンプライアンス服従の心理（2012年）：2004年に州内マウント・ワシントンで実際に起こったストリップ捜査電話詐欺事件を忠実に再現したスリラー映画。ドリーマ・ウォーカーが主演。

州内ルイビルをロケ地にした映画もあります。

出身女優

ケンタッキー州出身の女優は、ハリウッドや世界の舞台で活躍する才能を輩出しています。以下に代表的な人物を紹介します。

ジェニファー・ローレンス: 1990年8月15日、ルイビル生まれ。アカデミー賞受賞女優で、『ハンガー・ゲーム』シリーズや『世界にひとつのプレイブック』（2012年）で広く知られています。彼女の自然体な演技と強い存在感は、ケンタッキーの素朴な価値観を反映しているとも評されます。
ジョージ・クルーニー（俳優兼監督）: 1961年5月6日、レキシントン生まれ。厳密には女優ではありませんが、ケンタッキー出身の著名な俳優として紹介。『オーシャンズ11』や監督作『コンフェッションズ・オブ・ア・デンジャラス・マインド』などで知られ、ケンタッキーの文化を背景にした作品にも関わっています。
メリッサ・マクブライド: 1965年5月23日、レキシントン生まれ。テレビドラマ『ウォーキング・デッド』のキャロル役で有名。彼女の演技は、感情の深さとリアリティで高く評価されています。
アシュリー・ジャッド: 1968年4月19日、レキシントン生まれ。『ヒート』（1995年）や『ダブル・ジョパディー』（1999年）などで知られる女優。社会活動家としても活躍し、ケンタッキー大学で学んだ経験を持っています。
ローラ・ベル・バンディ: 1981年4月10日、レキシントン生まれ。ブロードウェイのミュージカル『Legally Blonde』で主演を務め、テレビや映画でも活躍。ケンタッキーの音楽文化を背景にしたパフォーマンスが特徴です。

まとめ

ケンタッキー州は、豊かな歴史と文化を持つ州であり、競馬、バーボン、ブルーグラス音楽で世界的に知られています。芸術シーンは手工芸や現代アート、音楽で活気づき、映画ではその美しい景観や歴史が描かれます。ジェニファー・ローレンスやアシュリー・ジャッドなど、才能ある女優も輩出しています。ケンタッキーの魅力は、伝統と現代の融合にあり、訪れる人々を魅了し続けます。