メリル・ストリープは米国の女優。映画『ディア・ハンター』でデビューし、『クレイマー、クレイマー』でアカデミー助演女優賞、『ソフィーの選択』『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』で主演女優賞を受賞しました。21回のアカデミー賞ノミネートは俳優最多です。ゴールデングローブ賞8回受賞など、数々の栄誉に輝いています。
プロフィール
- 邦題:メリル・ストリープ(Meryl Streep)
- 生年月日:1949年6月22日(76歳)
- 出生地:アメリカ合衆国ニュージャージー州サミット
- 国籍:アメリカ合衆国
- 身長:168cm
- 活動期間:1977年~
- 配偶者:ドナルド・ガマー(1978年~2017年)
- 著名な家族:メイミー・ガマー、グレイス・ガマー、ルイーザ・ジェイコブソン
生い立ち・教育
メリル・ストリープは、1949年6月22日にアメリカ合衆国ニュージャージー州サミットで生まれました。本名はメアリー・ルイーズ・ストリープ。父親のハリー・ウィリアム・ストリープ・ジュニアは製薬会社の幹部で、母親のメアリー・ウィルキンソン・ストリープは商業芸術家でした。彼女には2人の弟、ハリー・ウィリアム・ストリープ3世とダナ・デイビッド・ストリープがおり、両者とも俳優として活躍しています。母親は彼女に大きな影響を与え、幼少期から「あなたはできるわ。あなたは素晴らしい」と励まし、自信を植え付けました。ストリープ自身は内気な性格でしたが、母親の言葉が大人になっても支えとなりました。
幼少期はニュージャージー州バスキング・リッジで長老派教会の信徒として育てられ、シーダーヒル小学校とオークストリート学校に通いました。中学校では『家族の階上』という劇でルイーズ・ヘラーを演じ、初めて舞台に立ちました。1963年に家族はバーナーズヴィルに移り、バーナーズ高校に入学しました。そこでチアリーダーやホームカミング・クイーンを務め、活発に過ごしました。外見は「眼鏡をかけたガリガリの子供で、縮れた髪」だったと回想しています。家族でホームムービーを作り、演技を楽しんでいました。
12歳の時、学校のリサイタルで歌い、オペラのレッスンをエステル・ライブリングから受けましたが、4年後には辞め、観客とつながる感覚の重要性を実感しました。カトリック学校の友人を持ち、ミサに通うなど、多様な影響を受けました。大学時代に本格的に演劇に興味を持ち、1969年にヴァッサー大学で『ミス・ジュリー』に出演しました。ドラマ教授のクリントン・J・アトキンソンは、「誰もメ릴에게演技を教えたわけではない。彼女は自分で学んだ」と評しました。
アクセントの模倣や台詞の記憶に優れ、1971年にヴァッサー大学で演劇の学士号を優等で取得しました。その後、イェール大学演劇大学院で美術修士号を目指し、ウェイトレスやタイピストとして働きながら学費を稼ぎました。毎年十数本の舞台に出演し、過労で潰瘍になったこともあり、法学に転向を考えましたが、演劇を続けました。イェールでは『真夏の夜の夢』のヘレナや、80歳の女性役など多様な役を演じ、振付師カルメン・デ・ラヴァレードやアクターズ・スタジオ共同創設者のロバート・ルイスから学びました。一部の演技法に不満を抱きつつ、1975年に修士号を取得しました。1970年にはダートマス大学に客員学生として在籍し、1981年に名誉芸術博士号を受けました。この教育が彼女の演技基盤を築きました。
経歴
メリル・ストリープのキャリアは1970年代に始まりました。1975年にユージン・オニール劇場センターのナショナル・プレイライツ・カンファレンスで5本の劇に出演し、プロとしてスタートしました。ニューヨークに移り、ジョセフ・パップの『トレローニー・オブ・ザ・ウェルズ』でマンディ・パティンキンやジョン・リスゴーと共演しました。同年、ニューヨーク・シェイクスピア・フェスティバルで『ヘンリー五世』や『じゃじゃ馬ならし』に出演しました。ジョン・カザールと交際し、同居しましたが、彼の死まで続きました。ブロードウェイの『ハッピー・エンド』やオフブロードウェイの『アリス・アット・ザ・パレス』でオビー賞を受賞しました。
当初、映画に興味がなかった彼女ですが、ロバート・デ・ニーロの『タクシー・ドライバー』に感銘を受けました。しかし、『キングコング』(1976年)のオーディションでディノ・デ・ラウレンティスから「醜い」とイタリア語で言われ、落選しました(彼女はイタリア語を理解していました)。ブロードウェイで『綿でいっぱいの27台のワゴン』と『二つの月曜日の記憶』でトニー賞にノミネートされました。1977年に『ジュリア』で映画デビューしましたが、大半がカットされ、失望しました。ジェーン・フォンダの影響を受けました。
デ・ニーロの推薦で『ディア・ハンター』(1978年)に出演し、カザールのガールフレンド役を演じ、アカデミー助演女優賞にノミネートされました。同年、テレビミニシリーズ『ホロコースト』でドイツ人女性役を演じ、プライムタイム・エミー賞主演女優賞を受賞しました。カザールの死後、『ジョー・タイナンの誘惑』(1979年)や『マンハッタン』(1979年)に出演し、『クレイマー、クレイマー』(1979年)でジョアンナ・クレイマー役を演じ、脚本を修正して女性像を改善し、アカデミー助演女優賞を受賞しました。受賞スピーチ後、トイレに置き忘れたエピソードは有名です。
1980年代に入り、ニューズウィーク誌の表紙を飾り「80年代のスター」と呼ばれました。『フランス軍中尉の女』(1981年)でサラ/アンナの二役を演じ、アカデミー主演女優賞にノミネートされました。『ソフィーの選択』(1982年)でホロコースト生存者ソフィーを演じ、2度目のアカデミー主演女優賞を受賞しました。『シルクウッド』(1983年)、『アウト・オブ・アフリカ』(1985年)、『クライ・イン・ザ・ダーク』(1988年)などでノミネートを続けました。
1990年代には『ポストカーズ・フロム・ジ・エッジ』(1990年)、『マディソン郡の橋』(1995年)、『ワン・トゥルー・シング』(1998年)でノミネートされました。コメディ『デス・ビカムズ・ハー』(1992年)や家族ドラマ『ミュージック・オブ・ザ・ハート』(1999年)にも出演しました。2000年代は『アダプテーション』(2002年)で助演ノミネート、『プラダを着た悪魔』(2006年)でミランダ・プリーストリー役が大ヒットし、ノミネートされました。『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(2011年)でマーガレット・サッチャーを演じ、3度目のアカデミー主演女優賞を受賞しました。
近年は『イントゥ・ザ・ウッズ』(2014年)の魔女役でノミネート、『フローレンス・フォスター・ジェンキンス』(2016年)に出演しました。TV番組ではHBOの『ビッグ・リトル・ライズ』(2019年)でエミー賞を受賞し、『オンリー・マーダーズ・イン・ザ・ビルディング』(2023年)シーズン3でノミネートされました。映画では『ザ・ポスト』(2017年)、『』(2018年)、『リトル・ウィメン』(2019年)、『ドント・ルック・アップ』(2021年)に出演しています。アカデミー賞ノミネート21回(主演17回、助演4回)は最多で、3回受賞しています。グラミー6回、エミー6回(3回受賞)、トニー1回ノミネートで、トリプルクラウンに近いです。2012年ベルリン国際映画祭金熊名誉賞、2016年審査委員長、2024年カンヌ国際映画祭名誉パルム・ドール、2023年アストゥリアス皇太子賞芸術部門受賞。
演技スタイルは役に没入するための徹底したリサーチで、台本は数回しか読まず、言語やアクセントを巧みに使い分け、「訛りの女王」と呼ばれます。オペラ志望だった経験から音楽的才能も発揮します。
私生活
メリル・ストリープの私生活は、恋愛や家族を中心に展開しています。1970年代にジョン・カザールと婚約しましたが、1978年に彼が肺がんのため亡くなり、結婚には至りませんでした。悲しみの中、同年9月30日に彫刻家のドナルド・ガマーと結婚しました。二人は4人の子供をもうけました。長男のヘンリーはミュージシャン兼俳優、次女のメイミー、三女のグレース、四女のルイーザは女優として活躍しています。家族は彼女のキャリアを支えています。
1993年には夫の彫刻除幕式のため北九州市を訪れ、わっしょい百万夏まつりのパレードに参加しました。2023年10月、人民誌が報じたところによると、ストリープとガマーは6年以上別居状態にあるそうです。しかし、公には離婚を発表していません。彼女は環境保護や女性の権利などの社会問題に積極的に関わり、寄付やスピーチを行っています。私生活をプライベートに保ちつつ、家族との絆を大切にしています。
出演作品
年 | 作品名 | 役名・メモ |
---|---|---|
2023年 | エクストラポレーションズ | イヴ(TV番組) |
2021年 | ドント・ルック・アップ | ジャニー・オーリアン大統領 |
2020年 | ザ・プロム | ディー・ディー・アレン |
2020年 | レット・ゼム・オール・トーク | アリス・ヒューズ |
2019年 | ザ・ランドロマット 〜パナマ文書流出〜 | エレン・マーティン |
2019年 | リトル・ウィメン | マーチおばさん |
2018年 | マンマ・ミーア! ヒア・ウィー・ゴー | ドナ・シェリダン |
2018年 | メリー・ポピンズ リターンズ | トプシー |
2017年 | ザ・ポスト | キャサリン・グラハム (アカデミー主演女優賞ノミネート) |
2016年 | フローレンス・フォスター・ジェンキンス | フローレンス・フォスター・ジェンキンス(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
2015年 | リッキー・アンド・ザ・フラッシュ | リッキー・レンダル |
2015年 | サフラジェット | エメリン・パンカースト |
2014年 | ホームズマン | アラベラ・サッタリー |
2014年 | イントゥ・ザ・ウッズ | 魔女(アカデミー助演女優賞ノミネート) |
2014年 | ギヴァー 記憶を注ぐ者 | チーフ・エルダー |
2013年 | 8月の家族たち | ヴァイオレット・ウェストン(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
2012年 | ニューヨーク・バーグドルフ 魔法のデパート | 本人(ドキュメンタリー) |
2012年 | 31年目の夫婦げんか | ケイ・ソームズ |
2011年 | マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 | マーガレット・サッチャー(アカデミー主演女優賞受賞) |
2009年 | ジュリー&ジュリア | ジュリア・チャイルド (アカデミー主演女優賞ノミネート) |
2009年 | ファンタスティック・Mr.フォックス | フェリシティ・フォックス(声の出演、動画) |
2009年 | 恋するベーカリー | ジェーン・アドラー |
2008年 | マンマ・ミーア! | ドナ・シェリダン |
2008年 | ダウト 〜あるカトリック学校で〜 | アロイシウス・ボービエ修道女(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
2007年 | ダーク・マター | ジョアンナ・シルバー |
2007年 | イブニング | リラ・ロス |
2007年 | レンディション | コリン・ウィットマン |
2007年 | ライオンズ・フォー・ラムズ | ジャニーン・ロス |
2006年 | プレーリー・ホーム・コンパニオン | ヨランダ・ジョンソン |
2006年 | プラダを着た悪魔 | ミランダ・プリーストリー(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
2006年 | アント・ブリー | アリ女王(声の出演、動画) |
2005年 | プライム | リサ・メツガー |
2004年 | 影の軍隊 | エレノア・プレンティス・ショー上院議員 |
2004年 | レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語 | ジョセフィンおばさん |
2003年 | スタック・オン・ユー | 本人(クレジットなしのカメオ) |
2002年 | アダプテーション | スーザン・オーリアン (アカデミー助演女優賞ノミネート) |
2002年 | アワーズ | クラリッサ・ヴォーン |
2001年 | A.I. | ブルー・メカ(声の出演) |
1999年 | ミュージック・オブ・ザ・ハート | ロベルタ・グアスパリ (アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1998年 | ワン・トゥルー・シング | ケイト・ガルデン(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1998年 | ダンシング・アット・ルーナサ | ケイト・マンディ |
1996年 | ビフォア・アンド・アフター | キャロリン・ライアン博士 |
1996年 | マービンズ・ルーム | リー |
1995年 | マディソン郡の橋 | フランチェスカ・ジョンソン(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1994年 | リバー・ワイルド | ゲイル・ハートマン |
1993年 | ハウス・オブ・ザ・スピリッツ | クララ・デル・ヴァッレ・トゥルーバ |
1992年 | デス・ビカムズ・ハー | マデリン・アシュトン |
1991年 | ディフェンディング・ユア・ライフ | ジュリア |
1990年 | ポストカーズ・フロム・ジ・エッジ | スザンヌ・ヴェイル(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1989年 | シー・デビル | メアリー・フィッシャー |
1988年 | クライ・イン・ザ・ダーク | リンディ・チェンバレン(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1987年 | アイアンウィード | ヘレン・アーチャー(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1986年 | ハートバーン | レイチェル・サムスタット |
1985年 | プレンティ | スーザン・トラハーン |
1985年 | アウト・オブ・アフリカ | カレン・ブリクセン(アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1984年 | フォーリング・イン・ラブ | モリー・ギルモア |
1983年 | シルクウッド | カレン・シルクウッド (アカデミー主演女優賞ノミネート) |
1982年 | 夜の大捜査線 | ブルック・レイノルズ |
1982年 | ソフィーの選択 | ソフィー・ザウィストウスキー(アカデミー主演女優賞受賞) |
1981年 | フランス軍中尉の女 | サラ / アンナ(アカデミー主演女優賞ノミネート、二役) |
1979年 | マンハッタン | ジル・デイビス |
1979年 | ジョー・タイナンの誘惑 | カレン・トレイナー |
1979年 | クレイマー、クレイマー | ジョアンナ・クレイマー(アカデミー助演女優賞受賞) |
1978年 | ディア・ハンター | リンダ(アカデミー助演女優賞ノミネート) |
1977年 | ジュリア | アン・マリー |
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